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本編

12 飯食うと元気になるタイプなんだよ俺!

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 ――あんなにへこんでぐったりしていた俺だったけど、すっかり回復したみたいだ。


 昼にチキン&ポテトフライを山盛り貪り食ったのに、腹ペコであります! 何があっても飯を食う気力があるのはいいことだよな! ということで、早く食べたいからささっと高速で支度した夕飯のメニューをご紹介だ。

 まずは、小さめに刻んだ野菜たっぷりのスープ。朝のうちに作っておいたから温め直して完了。

 メインは蒸した肉をスライスしてマリネにしたもの。これは前の日に漬けておいたヤツ。味が落ち着いて良い感じだ。小皿で添えた作り置きの熟成ソースを付けても美味いぞ。お好みでどうぞー。

 サイドはどっさり葉野菜系サラダ。マリネと合わせて食べるやつ。それから、しっかり炒めたべーコンと香りキノコを混ぜ込んでおいたライスもある。食べる直前に炒めてバターで香り付けして仕上げだ。冷めないうちに頬張ると最高だぞ!

 おっと忘れるとこだったけど、デザートはパウンドケーキ。度数が高くて値段も高い酒をちょっと振り掛けて寝かせた大人仕様でございます。二種類の味で沢山作ってある。これは、フルーツを添えたりしてアレンジしながら何日かに分けて出す予定だったりするぞ。

 例によって、保冷庫に隠してある。食後に出すつもりだ。とはいっても、最近は夕飯の支度中なんかにカムロさんがふらりと現れて、保冷庫の中を覗かれてる。 

「これ、今食べてもいいですか」なんて聞いてくるんだけど、駄目に決まっておりますよ。3時におやつをお召し上がりになられたばかりではございませんか。

 分かっていて聞いてくるんだよなこの人は!

「ダメです」
「少しだけ食べたいです。味見程度でいいですから」
「うーん……、仕方ありませんね。それじゃ、少しだけ」

 繰り広げられる母子みたいな会話。

 食後のデザートって言葉が、超魔術師様の辞書にはない! どんだけ甘い物好きなんだ。ちなみに、この時点で全部食べて下さりやがったら、食後の追加はございませんよ。

 ――さーて、晩飯の時間だぞ! 

 カートに乗せて食堂へ直行。並べ終えたらカムロさんがやって来た。感知能力が凄い。

「今日もご馳走ですね」
「あはは。ありがとうございます。冷めないうちにどうぞ。熱々のバターライスは最高ですよ」

 いただきまーす! 

 ぱくっとライスを頬張ると、口の中にバターと香りキノコの風味が広がる! しっかり煮込んで野菜の旨味を凝縮させたスープをひと口飲むと、バターと茸の味に慣れた舌をリフレッシュしてくれて、飽きずに何度もライスを頬張れる。マリネも漬かり具合が丁度良くて、葉野菜サラダとの相性も抜群だ! 

 我ながらうまあぁ! 腹減ってるから余計に美味いな! はぁ、生き返る。

「ふふ。食欲旺盛ですね。元気になったみたいでよかったです」
「あ、はい。お陰様で。もうばっちりです」

 問題は解決してないけどな! それでも帰って来たときの気分が嘘みたいにすっきりしている。諸々のことは、まあ焦らずに考えよう。今すぐどうこうなんて無理だからなぁ……。このまま諦めるのか、逆らうのか。あー! もうやめたやめた。飯マズになっちゃうからな! 

 もぐもぐうまぁ!

「ふふ。それなら、もっと元気になれるように沢山食べないといけませんね」
「遠慮なく頂いてます」

 ぱくぱくもぐもぐ。背は伸び切ったみたいだけど、まだ育ち盛り気分の俺。遠慮などしない! 食費を出してくれてるカムロさんに大感謝だ。いつもありがとうございます! 
 
「このマリネ、店で出されている物みたいです。いつもどうやって作っているんですか」
「前の日から漬けておくと、こんな味になるんですよ。割と簡単です」
「なるほど」
「味付けも大事ですけど、時間が調味料ってやつです。作ってすぐだとこんな味になんないんで」
「時間が調味料……。面白い言葉ですね」

 にこにこ。微笑みながら優雅にマリネを頂いてらっしゃるカムロさんは、さっきの色気爆発の気配はちっとも感じられない。それでも超美形には変わりないけどな。

 これがレストランだったりしたらあちこちから視線が乱射されてるかもしれない。そこら辺のちょっとした店なんか入ったら、落ち着いて食べにくそうだ。

 ふー、食べた食べた! 満腹だぞ!

「ごちそうさまでした」

 カムロさんも食べ終えたから、調理場からお茶とデザートのセットを出してくる。

「今日はパウンドケーキですよ。酒で風味付けしています」
「良い香りですね……。クリームが添えてあるのがたまりません」

 とてつもなく至福なお顔をしていらっしゃいます。ご機嫌麗しくて大変よろしゅうございますよ。

 パウンドケーキ自体は甘さを控えめにしてあるので、ジャムとか添えてもくどくなく食べられるぞ。今夜のは紅茶入りでミルククリーム添えだ。なお、クリームはきついくらいに甘めのカムロさん仕様だ。

「これは紅茶味です。プレーンもありますよ。たくさん作りましたんで、またお出ししますよ」
「楽しみにしてます。……プレーンもひと切れ食べたいです」
「あー、はい。了解です」

 次から2種で出しますねわかりました。欲張りさんめ! プレーンはベリーソースでも添えよう。

 そんなこんなで、デザートを食べ終えた頃には、俺はすっかりいつもの調子に戻っていた。単純だって? そのくらいの方がいいんじゃないのかな! いつまでもへこたれたって、いいことナイナイ!
 

 ――飯食うと元気になるタイプなんだよ俺!








※飯テロとかいうタグを付けるべきなのか否か。例によって料理は適当です。フレーバーテキスト程度にお楽しみください。
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