【完結】金の王と美貌の旅人

ゆらり

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本編第二部「金の王と不変の佳人」

3 交わり  ※R18

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 ――キュリオの体術によって、瞬時に互いの位置がぐるりと入れ替わった。

 組み敷かれていたはずの彼が、組み敷く側に。不意の逆転に目を見開いて驚くリヤスーダを見下ろすキュリオは、下腹まで大胆にはだけた夜着姿が淫らでありながらやはり美しく、そして妖艶ですらあった。

「上手くはないかもしれないが……」

 言いながらリヤスーダの夜着を一気に下まで肌蹴させ、右手で割れた腹筋の溝をさらりとなぞっていく。そして、すでに熱の集まり見せていた色の濃い男の徴へ、細長く白い指をためらいもなく絡めさせた。
 
「う、あっ!」
「私の手でも心地良さそうだね。よかった」
 
 リヤスーダの口から上がった声に、キュリオが甘く幸せに満ちた微笑みを見せる。そして、覆いかぶさるようにして身を低くした彼の艶のある長髪が逞しい体の上へはらりと散らばっていった。

「君の身体はとても熱い」
 
 優しく抜き上げる手の動きはそのままに、鍛え上げられた厚い胸板に頬を摺り寄せて甘えた。

「ああ、心臓がこんなに速く動いている」

 翡翠の瞳をとろりと潤ませて愛し気に笑みながら、心臓の真上へと唇を寄せる。

「ふふ、可愛い……。とても、愛おしい音だ……」

 脈打つ心臓そのものを慈しむように、優しく唇を押し付けてキュリオは褐色の肌を吸った。

 慈愛から発露した美しい仕草であったのに、男のものを愛撫する手と相まって組み上がったのは、凶悪なまでの淫猥さと色香の匂い立つ光景だった。美しくも淫らで暴力的なまでの光景に堪え切れず、リヤスーダは小さく呻きながらあっけなく果てた。

「ん、感じてくれて嬉しいよ。リヤ、私の手は気持ち良かったかね」
「ああ、良過ぎるくらいにな」
「そうかね。それならば安心したよ」

 艶やかに微笑みながら唇を重ねてきたキュリオを、リヤスーダは強く抱き締めた。
 
「ん……く、ふっ、あ、んっ……」
「キュリオ……」

 口付けながら夜着を完全に剥ぎ取り、一糸まとわぬ姿になった細身を押し倒す。

「お前にもっと触れたい。隅々まで」
「……幾らでも、もっと触れてくれ。私に熱を映して、この体を温めて欲しい」

 柔く口元を綻ばせ、情を求めるその表情は無垢なものだ。先ほどまでの妖艶な姿が嘘のように。

「君の好きなように、私を抱いてくれ。それが私の望みでもあるのだから」
「ああ……」

 自ら寝返りを打ち、締まった腰とそれに続く形の良い臀部をリヤスーダの眼前に晒した。白い肌の上を褐色の大きな手が撫で下ろしていく。尻の狭間に滑り込まされた指先が、隠されたそこを探り当てた。

「んっ……」
「痛みがあるようなら言え」
「構わない。痛みなど恐れはしない。早く……、私を君のものにしてくれ」
「煽るな。ただでさえ、お前が欲しいというのに……!」
「少し、慣らしてはある」

 窄まりを探る指を招き入れようと、キュリオは腰を揺らめかせる。

「早く、今すぐにでも、君の欲望で私を貫いて欲しい」

 浅く腰を上げた姿勢で肩越しに振り返った彼の瞳は、涙が滴らんばかりに潤んでいて、男の欲情を誘うには十分な威力を秘めていた。

「お前っ……! もういい。痛みなど感じさせないようにするまでだ」

 後ろを探る指先の動きは、緩慢なものから忙しないものへと変わっていく。慣らしてはあるという言葉の通りに、多少香油で解されてはいたようだが、太く節くれた男の指をすんなりと受け入れるほどには熟れていない。

「ん、んっ……! まだ、なのか……」
「まだだ。俺のものなどこれでは入らない」
「あっ、あぁ……もう、いい、から……、あっ、リヤ、お願いだから、早く……!」
「口を閉じていろ。お前の声は媚薬のようだぞ」

 香油をたっぷりと足され、寝台から離れても聞こえそうなほどの水音が立てられる。リヤスーダの男らしく太い指が、固く閉じた慎ましい窄まりを淫らに拓かせていった。

 そして、半刻ほども過ぎた頃に、ようやくキュリオの望む行為が与えられた。

「あ、あああっ……!」

 ひとつに繋がっていくその最中に、艶やかな悲鳴が上がる。

「んっ、キュリオ……!」
「ああっ、あぁ……、リヤ……、もっと、強く……」
「くっ……!」

 今までの時間を取り戻すかのように、激しくも甘い交わりだった。

「キュリオ、これ以上は……」
「駄目だ。まだ、君と繋がっていたい」

 幾度となく果てて、さすがにこれ以上負担はかけられないとリヤスーダが身を離そうとする度にキュリオは体内に納められた彼の徴を絞り上げ、切なげな瞳で「私を離さないで……」と、懇願し続けた。

「リヤ、もっと……私を愛して……」
「うっ、はぁっ、キュリオ! くうっ!」

 のは果たしてどちらなのか。

 甘く淫らな檻に囚われたリヤスーダは、キュリオに煽られ求められるまま……、そして自らの性欲の激しさのままに、彼の類稀な美しい体を隈なく蹂躙し、愛し尽くしていった。

 夜が白み始める頃合いまで、二人の交わりは続いたのだった。 
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