【完結】薬草摘みのトトセと、忘れ去られた祠の神様のお話

ゆらり

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15.5 いいこと

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 ――トトセちゃんはいい子だけど、恋愛には疎いのよね。

 レンドの前ではあんなに「大好き」っていう感じの可愛い笑顔でいるのに、どうして男心は読まないのかしら。わたしのあげたお守りを大事にしてくれるのは友達として嬉しいけれど、彼氏のお守りと一緒に首から下げてるのはどうかと思うのよ。

 せめて見せるのは彼氏のだけにしときなさいよ! 

 つまんない嫉妬されるわたしの身にもなって欲しいわよね。レンドは村一番の男前って言われるようになったのに、今でもトトセちゃんが絡むとバカになるのよねぇ……。顔真っ赤にして怒るところとか、子供の頃と変わらないわ。

 まあ、そういうところがレンドらしくて面白いけど。

 だからトトセちゃんに「レンドのお守りだけにしなさい」って言っておいたのよ。自分のお守りだけを身に着けてるトトセちゃんを見たら、レンドはきっと上機嫌になるわ。トトセちゃんにとってもいいことでしょ? お守り絡みで喧嘩になった事もあるみたいだし。

 不機嫌になってバカなこと言うレンドなんて、トトセちゃんは「大嫌い」なんだから。



「ロンロちゃん、いいことあったよ」

 着けるのはレンドのお守りだけにしなさいって言った少し後に、トトセちゃんが嬉しそうに報告してきたわ。上手くいったのね。よかった。

「あらそう。どんなことがあったの?」
「レンドがね、凄く嬉しそうだったんだよ。俺のだけ特別だなって言ってた」
「よかったわね。トトセ、好きな子には特別なことをいっぱいしてあげるといいのよ」
「うん。そうみたいだね」

 トトセちゃんもニコニコ上機嫌ね。綺麗な顔してるから目の保養になるわ! 

 お父さんとお母さんが美男美女だし、二人に似てるトトセちゃんは凄く美形なのよ。自覚ゼロだから、レンドは結構苦労してるんじゃないかしら?

「特別ってどういうことがいいのかな」
「そうねぇ。レンドに聞いてみたら? 何かして欲しいことない? ってね」
「わかったよ。聞いてみる」
「きっとレンドは喜ぶわよ」
「そうだどいいけど。今のレンドはいつもニコニコしてて、嬉しそうだし、して欲しい事あるのかな」

 あら。お熱いわねぇ……。子供の頃の拗れっぷりがウソみたい。仲良くしてるのはいいことよね。

 ……多分、そのまんま真っすぐに「ねえ、特別にして欲しいことない?」って、聞くでしょうね。トトセちゃん、あんまり真っすぐに可愛く言うとレンドが興奮して倒れるかもしれないわよ……。夫夫(夫婦)でして欲しい特別な事って言ったらね? ほら、やっぱりあれとかこれとかでしょ? うふふ。あらいけない。顔がだらしなく緩んじゃいそう!

「あと、トトセちゃんもして欲しいことを言うといいかもね」

 きっと可愛いおねだりでしょうね。レンドと違ってトトセちゃんは純粋無垢だもの。それはそれで、素敵だわ……。後でどんなことをおねだりしたのか聞いてみましょ。楽しみだわ!







※蛇足回でした。ロンロちゃんは策士。 
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