【完結】薬草摘みのトトセと、忘れ去られた祠の神様のお話

ゆらり

文字の大きさ
上 下
18 / 19

15.5 いいこと

しおりを挟む
 ――トトセちゃんはいい子だけど、恋愛には疎いのよね。

 レンドの前ではあんなに「大好き」っていう感じの可愛い笑顔でいるのに、どうして男心は読まないのかしら。わたしのあげたお守りを大事にしてくれるのは友達として嬉しいけれど、彼氏のお守りと一緒に首から下げてるのはどうかと思うのよ。

 せめて見せるのは彼氏のだけにしときなさいよ! 

 つまんない嫉妬されるわたしの身にもなって欲しいわよね。レンドは村一番の男前って言われるようになったのに、今でもトトセちゃんが絡むとバカになるのよねぇ……。顔真っ赤にして怒るところとか、子供の頃と変わらないわ。

 まあ、そういうところがレンドらしくて面白いけど。

 だからトトセちゃんに「レンドのお守りだけにしなさい」って言っておいたのよ。自分のお守りだけを身に着けてるトトセちゃんを見たら、レンドはきっと上機嫌になるわ。トトセちゃんにとってもいいことでしょ? お守り絡みで喧嘩になった事もあるみたいだし。

 不機嫌になってバカなこと言うレンドなんて、トトセちゃんは「大嫌い」なんだから。



「ロンロちゃん、いいことあったよ」

 着けるのはレンドのお守りだけにしなさいって言った少し後に、トトセちゃんが嬉しそうに報告してきたわ。上手くいったのね。よかった。

「あらそう。どんなことがあったの?」
「レンドがね、凄く嬉しそうだったんだよ。俺のだけ特別だなって言ってた」
「よかったわね。トトセ、好きな子には特別なことをいっぱいしてあげるといいのよ」
「うん。そうみたいだね」

 トトセちゃんもニコニコ上機嫌ね。綺麗な顔してるから目の保養になるわ! 

 お父さんとお母さんが美男美女だし、二人に似てるトトセちゃんは凄く美形なのよ。自覚ゼロだから、レンドは結構苦労してるんじゃないかしら?

「特別ってどういうことがいいのかな」
「そうねぇ。レンドに聞いてみたら? 何かして欲しいことない? ってね」
「わかったよ。聞いてみる」
「きっとレンドは喜ぶわよ」
「そうだどいいけど。今のレンドはいつもニコニコしてて、嬉しそうだし、して欲しい事あるのかな」

 あら。お熱いわねぇ……。子供の頃の拗れっぷりがウソみたい。仲良くしてるのはいいことよね。

 ……多分、そのまんま真っすぐに「ねえ、特別にして欲しいことない?」って、聞くでしょうね。トトセちゃん、あんまり真っすぐに可愛く言うとレンドが興奮して倒れるかもしれないわよ……。夫夫(夫婦)でして欲しい特別な事って言ったらね? ほら、やっぱりあれとかこれとかでしょ? うふふ。あらいけない。顔がだらしなく緩んじゃいそう!

「あと、トトセちゃんもして欲しいことを言うといいかもね」

 きっと可愛いおねだりでしょうね。レンドと違ってトトセちゃんは純粋無垢だもの。それはそれで、素敵だわ……。後でどんなことをおねだりしたのか聞いてみましょ。楽しみだわ!







※蛇足回でした。ロンロちゃんは策士。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~

松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。 ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。 恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。 伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。

【完結】異世界はなんでも美味しい!

鏑木 うりこ
BL
作者疲れてるのよシリーズ  異世界転生したリクトさんがなにやら色々な物をŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”うめー!する話。  頭は良くない。  完結しました!ありがとうございますーーーーー!

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

エスポワールで会いましょう

茉莉花 香乃
BL
迷子癖がある主人公が、入学式の日に早速迷子になってしまった。それを助けてくれたのは背が高いイケメンさんだった。一目惚れしてしまったけれど、噂ではその人には好きな人がいるらしい。 じれじれ ハッピーエンド 1ページの文字数少ないです 初投稿作品になります 2015年に他サイトにて公開しています

あやかしの押しかけ婿と暮らしています!

のは
BL
2022.10.28改稿版に差し替えました。 あやかし×大学生。ふたりともピュアですが、自分の気持ちに気付いてからは受けのほうが積極的です。 へたれ攻めなのかもしれない。 【登場人物】 ◆行久(ゆきひさ)二十歳(大学二年) 子どものころからあやかしに狙われている。怖がりだが、うっかりルラに餌付けされた。童顔を気にしている。 ◆ルラ 年齢不詳(大学一年) あやかし。先祖と約束したからと押しかけて来た。行久のことをハニーと呼ぶ。行久が小学生のころからずっとストーカーをしている。 ◆トマソン 二十歳(大学二年生) 行久の幼馴染。本名は苫原尊裕(とまはらたかひろ)。行久が頼りにしている。 R部分には※をつけております。 この作品はムーンライトノベルズに掲載したものを、改題の上、糖度マシマシに加筆修正したものです。 元タイトルは『さわやかに粘着してくる物の怪くん』

処理中です...