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13 いっぱい仲良し
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レンドがお守りをくれるって言ってから何日も過ぎて、お父さんに色々教えてもらったお陰で、前よりもたくさんの薬草や食べられるキノコや実を僕が覚えられた頃。
ひとりで薬草摘みに行こうとしていたら、レンドが「おい、ちょっと待てよトトセ!」って言いながら僕を追いかけて来たよ。
「トトセ! これ、やるよ。俺の作ったお守りだ」
顔の前に出された手には、尖ったところを少し丸くしてピカピカに磨いた矢じりと、つやつやしていて綺麗な緑色の石があった。皮ひもに通して首飾りにしてあるよ。ロンロちゃんのお守りとは全然違うけれど、これはこれでかっこいいね。
「俺がいつも使ってる矢から外した矢じりだ。石は川で探して磨いたやつ。いい色だろ」
「うん。綺麗だね。でも、矢は狩りに使う大事な道具でしょ。もらってもいいの?」
「一本くらい減っても困らねぇよ。俺は狩りが上手いんだ」
ちょっぴり得意そうな感じで、レンドが笑ってる。前より背が高くなってるし、お肉のおすそ分けも増えてるんだよね。ファスさんと一緒に村のまとめ役のお仕事も手伝ってるみたいだし
なんだか、かっこいいね。
「もらってくれるんだろ? 約束したんだから」
「あっ、うん。どんなのかなって、楽しみにしてたよ」
「へへっ。そうか。楽しみにしてたんだな。着けてやるよ」
皮ひもを首の後ろで結んでくれたよ。前より大人っぽくなったレンドの顔がとっても近くにある。
あれ? 近くで見るとレンドの目は、お守りの石と同じ色だね。
「レンドの目、綺麗だね。お守りの石と同じ」
「同じのを探したんだ」
「ふうん。じゃあ、僕とレンドはお揃いだね」
「そっ、そうだな。な、なんか嬉しいな……」
「レンドと仲良しになれたみたいで、僕も嬉しいかも」
大嫌いだったのに不思議だね。
レンドの顔が真っ赤だよ。僕もなんだかほっぺたがあったかくなってるから、もしかして赤くなってるのかな。レンドが紐を結び終わって、さっと僕から離れた。
「あ、あのさ、トトセ、俺、ずっとお前が好きだからな。前は意地悪しちまったけど、こ、これからはお前と、な、仲良くしたい」
「うん。僕も仲良しになれたらいいなって、思ってたから」
「今のレンドなら友達になれそう」なんて僕が言ったら、「と、友達……」って言ってしょんぼりしちゃったよ。えっ、嫌なのかな。
「友達は嫌?」
せっかく仲良くできると思ったのに、嫌なのかな。そうだったらがっかりだよ。
「ちっ、違う! 友達が嫌なんじゃない。そうじゃなくてもっと特別に仲良くなりてぇんだ」
「もっと特別ってどんな感じなの。いっぱい仲良くなるって事かな?」
「そ、そうだ。いっぱい仲良くなりてぇ!」
いっぱい仲良くなるってどうするんだろうね。ちょっとよく分からないけど、今のレンドといっぱい仲良く出来たら楽しそうな気はするよ。
「……うーん、どうしたらいいか分からないから、難しいね。今、たぶん僕とレンドはちょっぴり仲良しになったと思うよ。だから、これからも仲良くしていれば、いつかいっぱい仲良くできるようになれるかも」
「ちょっぴりかよ。まあ、今はそれでいいや……」
早くいっぱい仲良くなりたいのかな。しょんぼりしたままのレンドがちょっぴりかわいそうな気がして、背伸びして、レンドの頭を撫でてあげたよ。
「元気出して。これから仲良くしてね。レンド」
「あっ、ああ! 仲良くする!」
頭を撫でられたのが嬉しかったのかな。レンドは僕をぎゅーって抱き締めてきたよ。びっくりしたけど、仲良しになれた気がして、嬉しかった。
これからいっぱい仲良しになれたら、もっと嬉しくなるのかな?
ひとりで薬草摘みに行こうとしていたら、レンドが「おい、ちょっと待てよトトセ!」って言いながら僕を追いかけて来たよ。
「トトセ! これ、やるよ。俺の作ったお守りだ」
顔の前に出された手には、尖ったところを少し丸くしてピカピカに磨いた矢じりと、つやつやしていて綺麗な緑色の石があった。皮ひもに通して首飾りにしてあるよ。ロンロちゃんのお守りとは全然違うけれど、これはこれでかっこいいね。
「俺がいつも使ってる矢から外した矢じりだ。石は川で探して磨いたやつ。いい色だろ」
「うん。綺麗だね。でも、矢は狩りに使う大事な道具でしょ。もらってもいいの?」
「一本くらい減っても困らねぇよ。俺は狩りが上手いんだ」
ちょっぴり得意そうな感じで、レンドが笑ってる。前より背が高くなってるし、お肉のおすそ分けも増えてるんだよね。ファスさんと一緒に村のまとめ役のお仕事も手伝ってるみたいだし
なんだか、かっこいいね。
「もらってくれるんだろ? 約束したんだから」
「あっ、うん。どんなのかなって、楽しみにしてたよ」
「へへっ。そうか。楽しみにしてたんだな。着けてやるよ」
皮ひもを首の後ろで結んでくれたよ。前より大人っぽくなったレンドの顔がとっても近くにある。
あれ? 近くで見るとレンドの目は、お守りの石と同じ色だね。
「レンドの目、綺麗だね。お守りの石と同じ」
「同じのを探したんだ」
「ふうん。じゃあ、僕とレンドはお揃いだね」
「そっ、そうだな。な、なんか嬉しいな……」
「レンドと仲良しになれたみたいで、僕も嬉しいかも」
大嫌いだったのに不思議だね。
レンドの顔が真っ赤だよ。僕もなんだかほっぺたがあったかくなってるから、もしかして赤くなってるのかな。レンドが紐を結び終わって、さっと僕から離れた。
「あ、あのさ、トトセ、俺、ずっとお前が好きだからな。前は意地悪しちまったけど、こ、これからはお前と、な、仲良くしたい」
「うん。僕も仲良しになれたらいいなって、思ってたから」
「今のレンドなら友達になれそう」なんて僕が言ったら、「と、友達……」って言ってしょんぼりしちゃったよ。えっ、嫌なのかな。
「友達は嫌?」
せっかく仲良くできると思ったのに、嫌なのかな。そうだったらがっかりだよ。
「ちっ、違う! 友達が嫌なんじゃない。そうじゃなくてもっと特別に仲良くなりてぇんだ」
「もっと特別ってどんな感じなの。いっぱい仲良くなるって事かな?」
「そ、そうだ。いっぱい仲良くなりてぇ!」
いっぱい仲良くなるってどうするんだろうね。ちょっとよく分からないけど、今のレンドといっぱい仲良く出来たら楽しそうな気はするよ。
「……うーん、どうしたらいいか分からないから、難しいね。今、たぶん僕とレンドはちょっぴり仲良しになったと思うよ。だから、これからも仲良くしていれば、いつかいっぱい仲良くできるようになれるかも」
「ちょっぴりかよ。まあ、今はそれでいいや……」
早くいっぱい仲良くなりたいのかな。しょんぼりしたままのレンドがちょっぴりかわいそうな気がして、背伸びして、レンドの頭を撫でてあげたよ。
「元気出して。これから仲良くしてね。レンド」
「あっ、ああ! 仲良くする!」
頭を撫でられたのが嬉しかったのかな。レンドは僕をぎゅーって抱き締めてきたよ。びっくりしたけど、仲良しになれた気がして、嬉しかった。
これからいっぱい仲良しになれたら、もっと嬉しくなるのかな?
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