【完結】薬草摘みのトトセと、忘れ去られた祠の神様のお話

ゆらり

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11 ショールとお守り

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「――こんにちはー」
 
 ある日の朝に、ロンロちゃんがお家に来たよ。

「こんにちは。ロンロちゃん、今日も元気ね」
「えへへ。ルルナさんは今日の髪型も素敵です」
「ありがとう。少しいつもと違う編み込みをしてみたの。よかったらロンロちゃんもどうかしら」
「はいっ! お願いします」

 ロンロちゃんのお家にはお母さんが居なくて、お父さんや兄弟と暮らしているよ。

 お母さんが居ない分、ロンロちゃんは色んなことを頑張っているし、刺繍をしたり、飾り紐を編んだりして、商人さんに買い取ってもらっているんだって。可愛くて頑張り屋さんなんだよ。

「あっ、今日はルルナさんに渡したい物があるの」

 ちょっぴりほっぺを赤くして、ロンロちゃんはカバンから布を取り出して、お母さんの前で広げて見せた。

「これ、私が刺繍したショールです。使ってください」
「まあっ! 素敵ね。こんなに綺麗で大きな刺繍、大変だったでしょうに」
「ルルナさんに喜んでもらえるのが楽しみで、ぜんぜん大変じゃなかったです」

 ほんとに綺麗なショールだね。薄い水色の布に青色の糸で、花の模様がいっぱい刺繍してあるよ。

「優しい気持ちの込められた、素晴らしいショールだ。よかったねルルナ」
「ええ。とても嬉しいわ。ありがとうロンロちゃん」

 ショールを羽織ったお母さんの肩をお父さんが抱いて立つと、すごくいい感じ。
 
 ロンロちゃんがさっきよりほっぺたを赤くして「素敵……。理想の夫婦だわ……」なんて小さな声で言いながら、うっとりしてる。

「あっ、トトセちゃんとソソラさんにもありますよ。お守りです」

 そういえば、僕のお守りも作ってくれるって言ってたね。お守りがふたつカバンから出てきたよ。

「わぁ。かっこいいお守りだね。ありがとうロンロちゃん」

 翼を広げた青い鳥と、赤い太陽の模様が刺繍されてる。すごくかっこいい。

「ありがとうロンロちゃん、素敵なお守りだ」
「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しい!」

 お父さんにもお礼を言われて、ロンロちゃんも嬉しそう。今日はとてもいい日だね。

「ふふ。さあ、こっちにいらっしゃいロンロちゃん。髪を編み込みしましょうね」
「はーい!」

 僕は髪が短いから、櫛でとかすくらいしかできないけれど、ロンロちゃんは髪が長くて色んな髪型にできるから、お母さんはいつも楽しそうにロンロちゃんの髪型を変えてあげてるんだよね。

「トトセ、そろそろ森へ行こう」
「うん。お母さん、ロンロちゃん、いってくるね」
「あっ、行ってらっしゃい! 気を付けてね」
「いってらっしゃい。気を付けて」

 もらったお守りは長い飾り紐がついていたから、首に掛けてみたよ。お父さんとお揃いだね。かっこいいし、なんだか安心するよ。本当に守られてるみたい。

 今日もこれから薬草摘みだよ。

 お母さんとロンロちゃんへのお土産にできるような、美味しい木の実も見つかるといいね。お父さん教えてもらいながら頑張ろう。
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