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8.5 レンドとロンロ
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――なんであんなバカなことしてたんだ……。
森の方に駆けて行って、小さくなっていくトトセの背中を見ながら俺はぎりっと歯ぎしりをした。ああくそ! イライラする! トトセにイラついてじゃねぇよ。自分にイラついてんだ。
ちっさくて柔い見た目だけど、母ちゃんのために一生懸命頑張ってるアイツが俺は好きだ。ああいうの、健気っていうんだろうな。会うと毎日、ぎゅうっと胸が苦しくなって熱くなるんだ。
もっと話したいし、やわらかそうな青い髪に触りたい。同じ色の青い目も、晴れた空みたいにきれいで凄く好きだ。アイツと仲良くなりたい。
……けど、上手く声を掛けられなくて、手が出ちまった。
軽く小突いたら、俺の方を見てくれた。ちょっと迷惑そうな顔はするけど、なんだかんだ言いながら俺にかまってくれた。それで、気付いたらいつも小突いたりするようになっちまったんだよな……。
俺、トトセの優しいとこに甘えてたんだ。ガキだよなぁ……。アイツの方がずっと大人だ。
ロンロのことで頭に血が上って、アイツの父ちゃんの悪口を言ったのもガキ過ぎて最悪だった。
俺が小突いたくらいじゃあんまり怒らないトトセが、聞いたことのない大声を出しながらぶん殴ってきたし。
そんなに痛くなかったけど、アイツに「大嫌い」だって言われたら胸が凄く痛かった。
「はぁ……」
へこんでても仕方ねぇな……狩り、行くか。
また痛くなってきた胸の辺りをさすりながら、狩場のある森へ歩き出そうとしたら、ロンロがニヤニヤ笑いながら俺を見てた。
「な、なんだよ」
「べっっにぃ。レンドが萎れてるのが面白いだけよ」
「はあっ? こっ、この性悪女!」
この女! ムカつく! トトセに気に入られてるってだけでムカつくのに!
「タタンさんから聞いたわよ。トトセちゃんのこと好きなのに、なんで意地悪なんかしてたのよ」
「ぐっ! う、うるせぇよ……」
くそっ! あのババァ! ロンロにしゃべりやがったな! 年寄りの癖に力が強いし……叩かれた尻が三日くらいはずっと痛かった。俺が悪かったけど、腫れるまでぶっ叩くことねぇだろうが!
「ばかすぎて意味わかんないわ」
「お前に言われたくねぇ!」
「あら? そんなこと言っていいの? レンドが嫌われたなら、私がトトセちゃんと仲良くなっちゃうおうかしら。そうしたら、ルルナさんが私のお義母さんになるのね……うふふ、素敵……」
カーっと頭に血が上った。この性悪! ブチ殴りてぇ!
「おっ、お前なぁっ! ルルナおばさん目当てかよ! トトセに謝れ!」
「なによ。それこそ言われたくないわぁー。トトセちゃんに意地悪してた、あんたになんかね」
く、口で勝てねぇ! 顔は可愛いくせにすげぇ性格が悪いんだよなこいつ!
「あーあ、情けない顔しちゃって。そんなに好きなら好きって言えば良かったのよ。最初からね」
「出来ねぇからこんな事になってんだろうが!」
「あら、そうだったわね。まっ、精々頑張りなさいよ」
楽しそうに笑いながら、ロンロがトトセの家の方に歩いて行った。
ロンロはトトセの母ちゃんと仲がいい。それに、トトセにも気に入られてる。アイツが本気になったら、俺はトトセを取られちまうんじゃないのか……。
「くそっ!」
……負けるかよ! 俺がトトセを嫁に貰うんだからな!
森の方に駆けて行って、小さくなっていくトトセの背中を見ながら俺はぎりっと歯ぎしりをした。ああくそ! イライラする! トトセにイラついてじゃねぇよ。自分にイラついてんだ。
ちっさくて柔い見た目だけど、母ちゃんのために一生懸命頑張ってるアイツが俺は好きだ。ああいうの、健気っていうんだろうな。会うと毎日、ぎゅうっと胸が苦しくなって熱くなるんだ。
もっと話したいし、やわらかそうな青い髪に触りたい。同じ色の青い目も、晴れた空みたいにきれいで凄く好きだ。アイツと仲良くなりたい。
……けど、上手く声を掛けられなくて、手が出ちまった。
軽く小突いたら、俺の方を見てくれた。ちょっと迷惑そうな顔はするけど、なんだかんだ言いながら俺にかまってくれた。それで、気付いたらいつも小突いたりするようになっちまったんだよな……。
俺、トトセの優しいとこに甘えてたんだ。ガキだよなぁ……。アイツの方がずっと大人だ。
ロンロのことで頭に血が上って、アイツの父ちゃんの悪口を言ったのもガキ過ぎて最悪だった。
俺が小突いたくらいじゃあんまり怒らないトトセが、聞いたことのない大声を出しながらぶん殴ってきたし。
そんなに痛くなかったけど、アイツに「大嫌い」だって言われたら胸が凄く痛かった。
「はぁ……」
へこんでても仕方ねぇな……狩り、行くか。
また痛くなってきた胸の辺りをさすりながら、狩場のある森へ歩き出そうとしたら、ロンロがニヤニヤ笑いながら俺を見てた。
「な、なんだよ」
「べっっにぃ。レンドが萎れてるのが面白いだけよ」
「はあっ? こっ、この性悪女!」
この女! ムカつく! トトセに気に入られてるってだけでムカつくのに!
「タタンさんから聞いたわよ。トトセちゃんのこと好きなのに、なんで意地悪なんかしてたのよ」
「ぐっ! う、うるせぇよ……」
くそっ! あのババァ! ロンロにしゃべりやがったな! 年寄りの癖に力が強いし……叩かれた尻が三日くらいはずっと痛かった。俺が悪かったけど、腫れるまでぶっ叩くことねぇだろうが!
「ばかすぎて意味わかんないわ」
「お前に言われたくねぇ!」
「あら? そんなこと言っていいの? レンドが嫌われたなら、私がトトセちゃんと仲良くなっちゃうおうかしら。そうしたら、ルルナさんが私のお義母さんになるのね……うふふ、素敵……」
カーっと頭に血が上った。この性悪! ブチ殴りてぇ!
「おっ、お前なぁっ! ルルナおばさん目当てかよ! トトセに謝れ!」
「なによ。それこそ言われたくないわぁー。トトセちゃんに意地悪してた、あんたになんかね」
く、口で勝てねぇ! 顔は可愛いくせにすげぇ性格が悪いんだよなこいつ!
「あーあ、情けない顔しちゃって。そんなに好きなら好きって言えば良かったのよ。最初からね」
「出来ねぇからこんな事になってんだろうが!」
「あら、そうだったわね。まっ、精々頑張りなさいよ」
楽しそうに笑いながら、ロンロがトトセの家の方に歩いて行った。
ロンロはトトセの母ちゃんと仲がいい。それに、トトセにも気に入られてる。アイツが本気になったら、俺はトトセを取られちまうんじゃないのか……。
「くそっ!」
……負けるかよ! 俺がトトセを嫁に貰うんだからな!
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