【完結】薬草摘みのトトセと、忘れ去られた祠の神様のお話

ゆらり

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14 ちょっぴり我慢してね

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 頭を撫でてあげてから、レンドはときどき僕を抱き締めるようになったよ。

「ねぇ、なんで抱き付いてくるの」
「好きだからだ。嫌いな奴にはこんなことしねぇぞ」
「僕のこと、ほんとに好きなんだね。レンドは」
「いつも言ってるだろ」

 レンドに抱き締められると、ちょっぴりドキドキするよ。お父さんやお母さんに抱き締められるのと違う感じ。くっついてるとなんだか気持ちがよくて、ずっとくっついていたくなるんだよ。変だね。

 あんなに嫌いだって思ってたバカレンドなのに、どうしてだろう。薬草摘みと狩りが終わったあと、家に帰る前に少しだけレンドと二人で会うようになった。

 晩ご飯までには帰らないといけないから、ほんとに少しだけの時間。

 手を繋いで一緒にお家まで帰ってる。僕の手は小さくて柔らかいってレンドは言うけれど、僕も男の子だから、ロンロちゃんやお母さんみたいに柔らかくないし、小さくもないと思うんだけど。レンドの手は大きくてごつごつしてて、あったかいよ。

 嫌いだったときの気持ちが、あんまり思い出せなくなってきた。レンドのかっこいところとか、優しいところを色々知って、好きな気持ちの方が増えてきたよ。

「僕……、レンドがすごく好きだよ。大嫌いだったのに、不思議だね」
「……トトセ!」

 レンドが嬉しそうに「俺もすごく好きだ!」って叫んで、またぎゅって抱き締めてきたよ。

「わあっ!」

 急にギュってされるとびっくりするよ。くっつかれると嫌じゃないけどなんだかムズムズする。

「絶対優しくするから、俺の嫁になってくれ」

 ぎゅうぎゅう抱き締めてくるレンド。いつもより力が強くて苦しいから、「ちょっと離れて」って言いながらぐいぐい押して離れてもらったよ。

「僕男だからお嫁さんじゃないよ。お婿さんだよ」
「どっちでもいい。一緒に暮らそう」
「うーん、まだお父さんとお母さんと一緒にいたいから、大人になったらね」
「そっ、そんな……」

 レンドが泣きそうになってるよ。仕方ないよね。僕はまだ子供だもの。僕があともう少し、背が伸びて大人になったら……、きっとレンドと一緒に暮らすと思う。

 僕もレンドをお婿さんにしたいくらい好きだよ。だから、ちょっぴり我慢してね。
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