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2 レンレの森
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レンレ村の傍にあるレンレの森。
広い広い森は、家の材料から薬草までなんでも採れる大事な場所。だから、村のみんなで大切にしてる。この森がなかったら、きっととっても困るからね。
「あっ、イタミグサ!」
潰してペタッと貼ると何だかひんやりして、痛みが減るイタミグサ。タタンさんの旦那さんのテッテさんがよく使ってる薬草だよ。
ふっさふさ生えてる平たくて大きなイタミグサの、外側の一番大きな葉っぱを何枚かナイフで切り取って籠に入れた。
テッテさんが使う分だけだよ。いっぱい採っても何日かすると萎れて駄目になるし、全部採ったらみんなの分がなくなってしまうからね。
「これでよし」
今日のお駄賃は何かなあ。こないだもらった芋団子美味しかったな。……また団子だったら嬉しいな。母さんも喜んでたし。
なんて考えながら、僕はさくさく森の中を進んでいった。お母さんの熱冷まし用の薬草もすぐ見つかって、食べられる木の実もいっぱい拾えた。美味しそうな感じのキノコもあったけど、どれが食べられるか分からないから、絶対に触らないよ。
「今日も欲しい物がちゃんと採れたな」
見つけるのが難しい薬草もなんとか見つけられたから、こっちは干しておいて行商人さんに買い取ってもらおう。レンレの森の珍しい薬草って、けっこう高く売れるんだって。代わりに塩とか小麦粉とかを交換してもらえるから、お金の代わりにしてるよ。
前によその人が採りに来たことがあったけど、誰も見つけられなかったんだって。村の人は普通に必要な分だけ採れるのに、不思議だよね。
もしかしたら、神様が守ってくれてるのかな。
一度も見たことがないけれど、僕はきっと神様はいると思う。いつか会えたら、お礼を直接、いっぱい言いたいな。
「森の神様、いつも恵みをありがとうございます」
帰る前に、僕はいつも神様にお礼を言ってる。
聞こえてるか分からないけれど。気持ちは大事かなって。森から色んな物をもらって生活してるんだから、お礼はちゃんと言わないとね。
薪になる枝もいっぱい拾って、日が暮れる前に家に帰ってこれたよ。
「――ただいま、母さん」
「お帰りトトセ。今日はどうだった?」
縫い物をしてた母さんが、ゆっくり立ち上がって背中から籠を下ろすのを手伝ってくれる。
「ちゃんと熱冷ましの薬草を見つけたよ。あと、木の実がいっぱい。それから、タタンさんにイタミグサを頼まれて届けたから、お駄賃に芋団子もらえた!」
「よかったわね。今日もいっぱい働いてくれて、ありがとうトトセ」
拾った小枝は竈の横に置いて、芋団子は母さんに渡して、行商人さんに渡す薬草は、縄で束ねて吊るして干しておくよ。
「トトセ、晩ごはんよ」
「はーい!」
今日の晩ごはんは小麦粉をこねて薄く焼いたパンと、ちょっぴりお肉が入った野菜いっぱいのスープ。それから、タタンさんの作った芋団子だよ。
「今日のスープ、お肉が入ってるね。ファスさんちのおすそ分け?」
「昼過ぎくらいにシシアさんが持って来てくれたの」
「そうなんだ」
シシアさんはファスさんの奥さんだよ。今日は大物が獲れたんだね。
近所のタタンさんも、お肉が食べられてるんじゃないかな。そんなにたくさんじゃないけど、ちょっぴりでもお肉が入っていると美味しさが違うんだよね。
あっ、でも、お肉が入ってなくても母さんのスープは美味しいよ。竈で焼いたパンもね。ほんのり塩味のパンはそのまま食べてもスープに浸けても美味しいから、毎日食べても飽きないし。
「いただきまーす!」
今日もご飯が美味しい。暗くなったら後は寝るだけ。明日も薬草摘み、頑張るよ。
おやすみなさーい!
広い広い森は、家の材料から薬草までなんでも採れる大事な場所。だから、村のみんなで大切にしてる。この森がなかったら、きっととっても困るからね。
「あっ、イタミグサ!」
潰してペタッと貼ると何だかひんやりして、痛みが減るイタミグサ。タタンさんの旦那さんのテッテさんがよく使ってる薬草だよ。
ふっさふさ生えてる平たくて大きなイタミグサの、外側の一番大きな葉っぱを何枚かナイフで切り取って籠に入れた。
テッテさんが使う分だけだよ。いっぱい採っても何日かすると萎れて駄目になるし、全部採ったらみんなの分がなくなってしまうからね。
「これでよし」
今日のお駄賃は何かなあ。こないだもらった芋団子美味しかったな。……また団子だったら嬉しいな。母さんも喜んでたし。
なんて考えながら、僕はさくさく森の中を進んでいった。お母さんの熱冷まし用の薬草もすぐ見つかって、食べられる木の実もいっぱい拾えた。美味しそうな感じのキノコもあったけど、どれが食べられるか分からないから、絶対に触らないよ。
「今日も欲しい物がちゃんと採れたな」
見つけるのが難しい薬草もなんとか見つけられたから、こっちは干しておいて行商人さんに買い取ってもらおう。レンレの森の珍しい薬草って、けっこう高く売れるんだって。代わりに塩とか小麦粉とかを交換してもらえるから、お金の代わりにしてるよ。
前によその人が採りに来たことがあったけど、誰も見つけられなかったんだって。村の人は普通に必要な分だけ採れるのに、不思議だよね。
もしかしたら、神様が守ってくれてるのかな。
一度も見たことがないけれど、僕はきっと神様はいると思う。いつか会えたら、お礼を直接、いっぱい言いたいな。
「森の神様、いつも恵みをありがとうございます」
帰る前に、僕はいつも神様にお礼を言ってる。
聞こえてるか分からないけれど。気持ちは大事かなって。森から色んな物をもらって生活してるんだから、お礼はちゃんと言わないとね。
薪になる枝もいっぱい拾って、日が暮れる前に家に帰ってこれたよ。
「――ただいま、母さん」
「お帰りトトセ。今日はどうだった?」
縫い物をしてた母さんが、ゆっくり立ち上がって背中から籠を下ろすのを手伝ってくれる。
「ちゃんと熱冷ましの薬草を見つけたよ。あと、木の実がいっぱい。それから、タタンさんにイタミグサを頼まれて届けたから、お駄賃に芋団子もらえた!」
「よかったわね。今日もいっぱい働いてくれて、ありがとうトトセ」
拾った小枝は竈の横に置いて、芋団子は母さんに渡して、行商人さんに渡す薬草は、縄で束ねて吊るして干しておくよ。
「トトセ、晩ごはんよ」
「はーい!」
今日の晩ごはんは小麦粉をこねて薄く焼いたパンと、ちょっぴりお肉が入った野菜いっぱいのスープ。それから、タタンさんの作った芋団子だよ。
「今日のスープ、お肉が入ってるね。ファスさんちのおすそ分け?」
「昼過ぎくらいにシシアさんが持って来てくれたの」
「そうなんだ」
シシアさんはファスさんの奥さんだよ。今日は大物が獲れたんだね。
近所のタタンさんも、お肉が食べられてるんじゃないかな。そんなにたくさんじゃないけど、ちょっぴりでもお肉が入っていると美味しさが違うんだよね。
あっ、でも、お肉が入ってなくても母さんのスープは美味しいよ。竈で焼いたパンもね。ほんのり塩味のパンはそのまま食べてもスープに浸けても美味しいから、毎日食べても飽きないし。
「いただきまーす!」
今日もご飯が美味しい。暗くなったら後は寝るだけ。明日も薬草摘み、頑張るよ。
おやすみなさーい!
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