ヒト・カタ・ヒト・ヒラ

さんかいきょー

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国崩し・東瀬織と悪意の箱のこと

設定解説のこと5-2

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 ・東瀬織withマガツチ・アマテル

 東瀬織の最終戦闘形態。
 瀬織が神としての力で人間の混沌とした想念を集め、自分を神として信仰する唯一の人間の意思で純粋な願いへと変換。コロニウム素子に注ぎ込むことで、大破したサソリ型戦闘機械傀儡〈マガツチ改〉を再構成したものが〈マガツチ・アマテル〉である。

 その機体は太陽神としての瀬織を表す金色と、荒神としての瀬織を表す闇色の二色で色分けされている。
 属性も太陽の光と荒神の闇との陰陽二極を兼ね備え、現在の瀬織の有り様そのものである。

 全ての方術をノーリスクかつ最大出力で行使でき、大技の発動にも一切の隙がない。
 二振りの方術剣〈扶桑・昇〉と〈扶桑・没〉を基本武装とし、背部武装ユニットに二門の方術砲(愛宕)〈妙高〉を内蔵する。
 方術砲は瀬織と分離した〈マガツチ・アマテル〉単機状態でも使用が可能。
 電子戦用端末は無線化され、大量に放出することで質、量ともに敵に対して優位に立つ。
 推進方式もメタマテリアル推進から空間に直接作用する慣性制御に更新されている。

 人知を超越した神域の戦闘力を持つ形態だが、コロニウム素子に人の意思を定着させるには時間制限があり、この姿を長時間維持し続けるのは困難である。


 ・若木ウカ

 日本政府による、超長期的な国家国民の意識改革及び統治計画「ウ計画」の要たる人造神。
 約1000年前に京都から紛失した東瀬織の頭部予備部品を核とし、それに適合する現代技術の胴体を接合することで完成した。
 ウ計画の開始は1950年代だが、技術的理由で人造神として実用段階に入ったのは2000年代に入ってから。
 政治経済軍事等の社会の全てを司るAIとしてネットワーク上にデータはクラウド化されて分散され、地上の各地にバックアップサーバーを設置、更に最悪の事態に備えて宇宙空間に通信衛星名目でオリジナルを打ち上げ、これら全てが破壊されない限り永遠不滅の存在だった。
 しかし瀬織の謀略により社会的に抹殺されたことでクラウドデータは忌避され、全てのバックアップも破壊され、更には宇宙空間への直接攻撃でオリジナルも喪失し、ウカを要としたウ計画は完全に崩壊した。


 オリジナルが最終決戦時に装着した空間機動装甲〈シュリガーラ〉は、宇宙空間での拠点である大型人工衛星「通天柱」内で急遽作製された。
 ハッキングにより入手した米軍の宇宙空間活動用パワードスーツの試作データを元に、自衛隊の装甲戦闘服、各種機動兵器、そして東瀬織の〈マガツチ〉のデータすらも利用して作られた。
 人造神であるウカが使用することから生命維持装置の類はなく、完全に戦闘用に特化している。
 メタマテリアルスラスターによる高速機動、ハイクラスの複合装甲、そしてマニドライブを応用した対魔力武装を備え、その性能は〈マガツチ〉を装着した瀬織を遥かに上回る。


 瀬織との最後の戦いに際して、ウカは自らの精神力で自己を「神」から「神に立ち向かう人」へと変質させた。
 機動装甲〈シュリガーラ〉の色は白から真紅に変化し、炎の属性を持つ〈ルーパ・シュリガーラ〉へと強化された。
 この形態になったことで神性は喪失したが、逆に神や魔に対抗する強い概念となった。

 尚、ウカの名前の由来はウカノミタマであり、稲荷権現やダーキニーと習合した神でもある。
 サンスクリット語の名称は全てダーキニー由来であり、これは瀬織に対抗するための魔術的なゲン担ぎの銘々でもある。

 ストーリー上の最後の敵だったウカだが、ウ計画における彼女は俗物の権力者たちに運用された道具でしかなく、彼女自身が悪というわけではない。



 ・機動懸糸傀仏デウス・エクス・マキナ

 人工衛星「通天柱」内に格納されていた、ウカ専用の大型戦闘端末。
 個体名称は〈ドゥルガー〉。
 全高30メートルに達する巨大な仏像であり、蓮華座に乗った姿をしている。
 本来は遠い未来にウカが社会的に認められた時にシンボルとして披露される予定だった。
 急遽、戦闘用に改修されるも資材と技術力の不足から、関節駆動はメタマテリアルワイヤーを用いたマリオネット形式となった。
 大小千本近い腕を持つが、これは千手観音ではなく准胝観音をモチーフとしているため。
 准胝観音の原型はヒンドゥー教における、恐るべき戦いの女神ドゥルガーである。

 ウカとはメタマテリアルワイヤーによって有線リンクしており、またマニドライブの魔力レジストによって、外部からのハッキングは困難。
 千本近い多腕の全てにマニドライブとメタマテリアルシールド、ワイヤーネイルを持ち、大型推進器でウカに追随して援護を行う。
 ウカ専用のウェポンコンテナを搭載し、必要に応じて退魔炎熱刀〈ヴァジュラ・カルトリ〉、退魔炎熱剣〈ヴァジュラ・カトガ〉、重粒子線ビーム砲〈マハー・アグニ〉等を射出する。

 この機体も最終決戦時のウカの進化に合わせて、全体のカラーリングが真紅に変化した。

 ・R.N.A.ヘビーアーマー・七殺火

 R.N.A.アーマーの本来の姿ともいえる超重パワードスーツ。
 装着者は全身を積層重電磁装甲と人工筋肉に覆われ、もはや人造生物に組み込まれた生体部品のごとき様相を成す。
 全高は3メートル近く、本体重量も1トンを超えるという巨大化は「対デルタムーバー、対戦車用機動歩兵」として本末転倒に近い結果となっているが、その火力とパワーは絶大。
 しかし煩雑な火器管制は人間の処理能力の限界を超えており、半径100メートルの通信範囲内に支援用AIを搭載した車両がいなければ機能不全を引き起こす。
 また、関節駆動も追従性の不足をメタマテリアルスラスターで四肢を強引に加速させることで俊敏性を補っている。
 この機体は要するに、あらゆる面で技術的に不可能な代物を力技で成立させているだけの、崩壊寸前の怪物なのである。

 操縦する人間も投薬処置で強引に反応速度を向上させる必要があり、人体の耐久限界が機体の稼働限界とイコールになっている。
 大量の対戦車ロケットランチャー、グレネードランチャー、シールドアーム内蔵の20mm機関砲でハードスキンの敵部隊を単機で蹂躙する火力を有し、
 背部ウェポンハンガーに大量に装備されたマニピュレーターが自動小銃で近接防御を行い、格闘戦はシールドアームによる直接打撃とワイヤーネイルで全ての障害を粉砕する。
 短SAMも数十発を装備し、攻撃ヘリや近接航空支援も寄せ付けない。
 敵の攻撃に対しては背部フレキシブルアームが自在に可動させるメタマテリアルシールド、メタマテリアルスラスター推進の副次効果として発生する作用点フィールド、そして本体の重電磁装甲の多重防御により、重砲の直撃にすら耐える。
 これはパワードスーツという概念を超えた──歩行戦艦、人間戦車、個人要塞ともいうべき狂気と呪怨の産物だった。

 なお、装着者は通常装甲服の上にR.N.A.ライトアーマーを装着し、更にヘビーアーマーを重ね着するという、マトリョーシカに似た拷問同然の装着形式を強いられる。

 ・サイボーグソルジャー・コキュートスwithプラズマブースター
 コキュートスに専用増加装備を装着した最終決戦仕様。
 プラズマブースターの設計図はウカがハッキングで不正に入手したものであり、実機の開発は日本で行われた。
 ブースターはコキュートスの両脚に装着する。
 これにはプラズマジェネレーターと燃料、推進装置、そして多連装ホーミングプラズマカノンが装備され、火力と機動性、継戦能力を向上させる。
 ホーミングプラズマはプラズマ誘導子を弾頭として射出する武装で、自律制御で敵を追尾、あるいは意表を突いた方向からの攻撃を可能にしている。
 同時に開発されたプラズマランチャーは、同様のホーミングプラズマとコールドニードルを連射するカービンシステムを内蔵した武装である。
 これらの全武装を一斉に放つ「プラズマバスター・チャージショット」は、直撃すればR,N,A,ヘビーアーマーの全ての防御機能をダウンさせるほどの威力を持つ反面、保有しているプラズマを一時的に使い切ってしまう欠点も持つ。

 ・ジゾライド改二・全装重武仕様

 ・ジゾライド改二・全装重武仕様
 改二巨大陸上用重突撃戦闘機械傀儡。
 直立二足歩行のティラノサウルス型戦闘機械傀儡・ジゾライドの近代改修試作型。
 10年以上前に試作された機体だが、対禍津神戦役が終了したことで不要の存在となり、書類上は「廃棄」された。
 だが実際はウ計画との将来的な武力衝突を予期していた当時の開発総責任者、左大千一郎の判断でスクラップ名目で回収、秘匿されていた。
 装甲は10式戦車と同クラス複合装甲に換装され、妖魔よりも人類の兵器との戦闘を想定している。
 装甲換装により、防御力を向上させつつも軽量化に成功した。
 主砲も自動装填装置を内蔵した105mmライフル砲へと更新。
 発射と再装填に砲手が必要で、戦闘機動中は発射不能だった155mm榴弾砲よりも単純な威力は劣っているが、それ以外の全ての面で勝っている。
 格闘戦においては全身に配置された姿勢制御スラスターで強制加速を行い、人工筋肉のパワーと合わせて瞬間的に超音速の挙動で敵に食らいつく。
 駆動系や電子機器のオーバーヒートの問題に関しても概ね改善され、超常現象の一種であるフロギストンモードからの復帰も機体へのダメージが軽減されている。

 10年前の稼働テストの際に、左大千一郎と防衛省関係者との些細な口論がキッカケで10式戦車一個小隊との模擬戦が行われた。
 この模擬戦でジゾライド改二は、10式が追従不能な運動能力で砲撃を全て回避。
 瞬く間に距離を詰めて、10分と経たぬ内に小隊を全滅させた。
 しかし、この一件で防衛省との関係に亀裂が生じたため、ジゾライド改二の表向きの廃棄処分という形で政治的解決を図ったという説がある。

 全高:5.2メートル
 全備重量:40.7トン
 武装:105mmライフル砲×2、35mm機関砲×2、複合防盾システム改(グレネードランチャー×4、M2機関銃×1内蔵)、ハイドラロケット弾ポッド×4、中距離多目的誘導弾改×2、チタニウムハイパープレッシャークロー、ハイパーエレクトロンファング、パイルドライバー内臓式クラッシャーテイル、特殊兵装コンテナ(ダブルパイルドライバー内蔵)、単分子結晶スパインブレード加速器(背ビレ)、オクトオロチアーム×2(貫手用フィンガーネイル、極低温ソード、メタマテリアルブレード内蔵式防盾)、ハイパワーE.M.S.S.(電磁シールド発生器)

 ・ケンザン改
 改巨大陸上用電子戦重戦闘機械傀儡。
 ステゴサウルス型の機体で、主に電子戦や砲撃に用いられる。
 ケンザンは1950年代から使用されていた大型傀儡で、大人しい性格から戦闘には不向きだが、山岳部などの不整地への物資輸送に活躍していた。
 1990年代に入り、禍津神との戦役が開始。
 ケンザンは大型戦闘機械傀儡としてのペイロードの大きさが注目された。
 そして大規模な近代改修計画「改・戦闘機械傀儡計画」によって、極めて強力な対妖魔電子戦機として生まれ変わった。
 背ビレから広範囲に放出される干渉波によって実体の有無に関わらず妖魔を探知し、強力なゴーストジャミング(電磁干渉の一種)で霊体を破壊、ないしは弱体化させることで、直接戦闘の必要もなく妖魔の排除が可能。
 また元来のペイロード大きさを利用して、155mm榴弾砲をはじめとした重火器を装備した火力支援も行う。
 高精度の探知能力とジャミングを利用した精密射撃は敵にこちらの位置を悟らせないまま、一方的なアウトレンジ攻撃を可能としている。
 10km以上も離れた射点に反撃できる妖魔は無に等しく、極論を述べればケンザン改のみで戦争を終結させることも可能だった。
 しかし、ハイコストな電子戦装備を搭載したために製造費が高騰し、調達価格は1体30億円に上った。
 また運用に関しても電子戦システムとそれを輸送するトラック、専門のオペレーター、更に砲撃戦では砲兵要員も必要なため、非常に手間と金のかかる重い機材となってしまった。
 主に後方からの支援を任務としていたことから、禍津神との最終決戦後の残存機数は大型機の中で最も多い。
 だが恐竜としての温厚な性格が災いし、決戦の勝利で全ての未練を晴らして成仏してしまった魂が多く、稼働可能な機体は数機しか残らなかった。

 ケンザン改の総生産数は47機。
 内、2機が大破。40機が再起動不能となって損失した。

 ケンザンの改造機として最も有名なのは、前面投射火力を極限まで強化した〈クマソ〉と呼ばれる機体である。
 155mm榴弾砲を二門、ハイドラロケット弾ポッド、対妖魔四連衝撃砲、五式大目牙巨砲、M2機関銃、35mm機関砲、106mm無反動砲などをペイロード限界まで装備した砲撃特化の改造機で、アウトリガーを用いた一斉射撃で多くの大型妖魔を粉砕した。
 この機体の155mm榴弾砲は、水平撃ちが可能なようにポジション変更用の改造が施されていた。

 全高:3.2メートル
 本体重量:20.3トン
 武装:155mm榴弾砲、M2機関銃、ハイドラロケット弾ポッド、106mm無反動砲、35mm機関砲、HEATスパイク、特殊対霊誘導弾、広域電磁干渉フィン(背ビレ)

 ・カリュウゴウ・火星型
 改高速爆撃戦闘機械傀儡。
 ランフォリンクス型の機体で、主に上空からの対地攻撃に活躍した。
 原型機となったカリュウゴウの開発は早く、1950年代初頭には初号機が完成していた。
 初期型は旧日本軍のパルスジェットエンジンを主機とし、無誘導兵器による対地攻撃を主な任務としていた。
 1990年代の「改・戦闘機械傀儡計画」によって近代改修を施されたものを火星型と呼称する。
 政治的交渉によって当時まだ開発中だったF2支援戦闘機と同型のエンジンを主機として採用し、改修前とは桁違いの推力を獲得。
 アビオニクスも最新のものに更新され、空自で使用されている対地、対空オプションを装備可能となった。
 火星型による近接航空支援は絶大な戦果を上げ、翼竜の俊敏性と現代航空機の機動性から放たれる業火の前に、敵妖魔は成す術なく焼き尽くされていった。

 カリュウゴウは戦闘爆撃だけでなく航空輸送にも利用された。
 足による助走と制動、翼の羽ばたきを併用した短距離離着陸は場所を選ばず、迅速に物資や火砲を輸送し、戦術に大きく貢献した。
 特に155mm榴弾砲一門を単機で輸送及び運用可能なことは特筆すべき点であり、榴弾砲を最適な砲撃ポジションまで輸送し、自ら装備して発射するという極めて柔軟な運用が可能だった。
 また非常に危険な運用だが、榴弾砲の空中発射も可能だったという。

 禍津神との最終決戦時には爆撃だけでなく対空近接戦闘も行い、火炎放射やカギヅメで多くの敵分身体を撃破した。
 カリュウゴウ・火星型の総生産数は36機。
 内34機が大破、もしくは再起動不能となって損失した。

 全高:4.8メートル
 本体重量:6.9トン
 武装:155mm榴弾砲、20mmバルカン砲、ロケット弾ポッド、無誘導爆弾、赤外線誘導爆弾、クラスター爆弾、JDAM、短射程空対空ミサイル、特殊対霊誘導弾、30mmガトリング砲、打突用チタンクロー、対妖魔火炎放射器

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