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第四話

設定解説のこと4-2

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フォルダを引っくり返したら10年以上前に描いたラフ画やら、描いてる途中で放棄した絵やら出てきてので

折角なので設定補完用に一部掲載します。




・碓氷燐

17歳、女性。

現役の現代ニンジャで女子高生。日焼け肌と銀のメッシュを入れた長い黒髪が特徴。

性格は下劣かつ下品だが義理堅く、心の奥では自分を導いてくれるような存在を求めている。

先祖代々「碓氷流活殺法」なる忍術を伝承する邪忍の家系で、彼女もまた薬毒の扱いに長ける。

両親は燐の幼少時に目の前で暴漢に撲殺されており、以後は親戚に引き取られて育つ。

戦闘用の装備はアズハと同様に電磁反応装甲を仕込まれた制服と、メタマテリアル製のニードル・スピアだが、忍術流派としては直接戦闘には不向きで消極的。

体力的にもアズハには劣るため、彼女とコンビを組む時には後方支援に徹することがほとんど。



・若木ウカ

女性型広報用アンドロイド。

見た目は16-17歳程度の美少女で、AIサポートアプリ「UKA」のイメージキャラクターをそのまま三次元化したような外見に作られている。

その正体は、70余年前から進められてきた国家的陰謀「ウ計画」の要となる人造神。

1000年前に京都から紛失した、東瀬織の予備パーツの頭骨をベースに、適合する現代テクノロジーのボディを結合させて作られた。

性能も安定性も全てにおいて瀬織を上回っており、人格も慈愛に満ちている。

日本社会のいたるところに浸透した「UKA」とその提携アプリに仕込まれたバックドアを用いて、あらゆる情報を掌握、支配することが可能。

路上の監視カメラから、ネットワークに接続された一般のパソコン、1億台を超えるスマートフォンのカメラやマイクに至るまで、その全てがウカの目であり耳なのだ。

将来的には更なるアップデートを重ね、政治経済軍事の全てを司る無窮の女神として、日本を永遠の幸福に導くとされている。

なお、瀬織たちの前に姿を見せた広報用ボディは単なる一個体の端末に過ぎない。

一般市民への認知度向上と疑似人格AIに対する忌避感を薄めるため、年単位で配信やバーチャルアイドル活動を行い、大きな成果を上げている。
ウカを新世代のアイドルとして信奉するファンは数百万人いる一方で、旧来の人間のアイドルやバーチャル配信者のファンとの軋轢が生じている。


・コキュートス

男性、本名不明、年齢不詳(30代後半と推定される)、出身は中東に位置する非アラブ系の某国。

元々は某国の工兵部隊で大尉を務めていたが、ゲリラの奇襲攻撃で四肢を失う。

その後、軍病院でBMIチップの移植手術を受け、脳波による遠隔操作可能な義肢を取り付けられ、日常生活に復帰するも

カウンター的なテロ行為によって家族を失う。

家族の死は彼を人間的な全ての束縛から解放した。

精神は倫理から飛翔し、肉体は戦闘用サイボーグへの改造を以て人の領域を超越し、彼は真の自由を得た。

彼の精神が破綻しているのか、それともこれが本性だったのかは、誰にも分からない。

改造後は、実用性のみを追求した武骨な義肢と、手術痕と体外に露出したBMI端子によってグロテスクな外見となった顔面を隠すために常に軍用コートを着用し、目深にフードを被っている。

改造後の寿命が尽きかけた彼は、かねてより興味を抱いていた「最強のサイボーグキラー」そして「ただの人間」である南郷十字との対決を夢見て軍を脱走。

ウカの導きで来日した。



・右大鏡花

23歳、女性。

宮元園衛の秘書を務める。

外見は眼鏡をかけたクールで知的な女性に見える。

事実、仕事中は見た目通りの働きをするのだが――。

以前は素性の知れない南郷十字を見下していたが、人外に堕ちた義兄の呪われた人生を終わらせてくれたことへの感謝、南郷が敢えて自分にきつく当たった理由を知るなどして、彼に対する感情が180°変化。

今では南郷を心から敬愛して、隙あらば感情のままに甘えようと試みている。

抑圧された青春時代を送った反動なのか感情は暴走し、遂には南郷のことを勝手に「兄さん」と呼ぶに至った。

デスクワークは優秀だが、フィールドワークには不向き。



・氷川朱音

14歳、女子中学生。

幼少時に宮元園衛の活躍を目の当たりにし、長年彼女に……「正義のヒロイン」に憧れていた。

しかし、その夢が叶わぬと知って感情は反転。

心は闇に染まり、肉体は荒神と同化することで完全に人外に堕ちた。

太陽神としての力の一端を取り戻した瀬織によって一度は浄化されたものの、変質した精神は元に戻らず、今では眷族として瀬織に絶対の忠誠を誓っている。

瀬織の下位互換的な能力を得て、人間の精神操作や簡単な呪術行使、〈マガツチ〉の装着などが可能となった。

背徳的行為やグロテスクな蟲、そして夜闇を好む性格に変わっているが、本人曰く「私は解放されただけ」とのこと。


戦闘機械傀儡マガツチ・予備機を装着した戦斗形態。
見た目は立派だが、朱音は戦闘経験も0に等しい素人のため戦力としては二線級以下でしかない。
南郷や園衛なら一撃で撃破可能な〈アルティ〉相手でも時間稼ぎが限界である。


マガツチ・予備機は、旧型のマガツチの3Dスキャンデータから製造された装備試験用の機体。
マガツチ改に代わって武装やソフトウェアの運用試験を行う機体で、本来は実戦運用は想定外となっている。
性能に関してはワイヤーアンカーの増設と外骨格装甲への変型に耐え得るように調整されている以外は、旧型のマガツチと同等で戦闘能力は低い。


・剣持弾

30歳、男性。

陸上自衛隊一等陸尉。

デルタムーバーの操縦に長けた自衛官で、その技術は陸自に留まらず西側軍隊でトップクラスと評される。

指揮能力も高く、かつてはPKO活動で護衛部隊の指揮を執った経験がある。

ゴラン高原派遣任務中に非公式の実戦に参加したという噂もあるが、真偽は不明。

上層部は彼を腫物的に扱っている節があるが、退官させないのは口外されると困る秘密があるため――とも噂される。

理性的な指揮官である一方、必要に迫られた場合は自ら積極的に突撃する激情と剽悍さも併せ持つ。

モットーは「間違った命令に従う必要はない」「クソみてェな上官は〇して良い」。

なお、既婚者かつ子持ち。





・デルタムーバーについて



ヒト、馬、車に次ぐ第四の陸上機動戦力――故に、この兵器カテゴリはデルタムーバーと名付けられた。

開発の発端は、1980年代のソ連時代まで遡る。



アフガニスタン侵攻に際し、軍部は険しい山岳部に対応した新たな戦闘車両を欲した。

要求は「広い仰俯角を取れる砲塔」「三次元的な戦闘領域に対応可能な機動力」「ヘリボーン/エアボーン可能な軽量性」の三点である。

極めて困難な要求であった。

不可能を可能にしたのは、ある亡命科学者の開発したカーボン製高分子アクチュエーターであった。

後にタジマ式人工筋肉と呼ばれるこのマテリアルを使用することで、著しく軽量な有関節車両の試作に成功。

後は実用化の承認を待つのみ――となった段階で、計画は思わぬ軌道変更を迫られた。



当時、ソ連内で極めて深刻な原発事故が発生。

計画は、これに対応するための有関節作業車両としての転用が決定された。

同様の開発計画は過去にアメリカにも存在したが、対放射線装備の過大な重量が原因で失敗している。

だが、ソ連は違った。

人工筋肉を用いた革新的駆動方法を採用することで、対放射線仕様の有人作業車両は完成した――のだが、全ては遅かった。

既に原発の封印作業は概ね完了し、多額な予算を投入した車両は無用の長物となった。

軍部は責任追及を逃れるため、作業車両の生産ラインを元の戦闘車両として改装転用。

「これは元々兵器として作られた」と一応の言い訳を立てた。

こうした紆余曲折の果てにロールアウトしたのが、史上初のデルタムーバー〈PBM-91〉通称パウークであった。

PBMとは「прыгающая боевая машина(跳躍する戦闘車両)」の頭文字をアルファベット化したもの。



アメリカ軍の情報部は、この開発計画を「核攻撃後の強襲制圧用戦闘車両」と誤認したため、強い危機感から同様の兵器を急ピッチで開発。

それがデルタムーバーの語源となった有関節機動兵器「DM1 ミッドフィールダー」である。

このミッドフィールダーの初期型にも、パウークと同様の対放射線防御が施されていた。



この奇妙な陸戦兵器は約4メートルほどの身長で、四脚の下半身に人形の上半身が乗ったような見た目で、脚部の先端についたタイヤで走行し、時にはワイヤーアンカーで壁面や崖を登り、三次元的な戦闘を行う。


-ロシア製の第三世代型デルタムーバー〈PBM-10 スコルピオーン〉。

胸部にアクティブ装甲を採用し、高い防御力を持つ。珍しい三脚タイプの機種。

長い首は市街戦でペリスコープのように使用する。

ロシア製のデルタムーバーは腕の防盾、そして第二世代機以降は対人用のシュレッダーアームが特徴。-



しかし、程なくして東西冷戦は終結。

ロシアで配備されたばかりの〈PBM-91〉の実機とエンジニアは世界中に流出し、デルタムーバーの開発技術は東西に拡散した。

今日では、デルタムーバーは世界各地の低強度紛争、そして市街戦では必ず姿を確認できるポピュラーな戦闘車両となっている。


-イスラエル製3.5世代型デルタムーバー〈マスティマ〉

同国の第三世代機〈マラクーMk.3〉をベースに、低強度紛争用に改修された最新型。

両肩と脚部に電磁発火式のアクティブ防御システムを装備している。

外装を変更することで近接格闘制圧仕様の〈アビシャグ〉、機動防空管制仕様の〈ソロモン〉等に換装可能。-


当初、アメリカはデルタムーバーの技術を秘匿したため、皮肉にも現在世界中に溢れるデルタムーバーの大半はソ連製の〈PBM-91〉の子孫となっている。

〈DM1〉直系の子孫は、アメリカ製とイギリス製の機体のみである。



デルタムーバーはある程度の炭素加工技術を持ち、自国で戦車のパワーパックを開発できる工業力を持つ国ならば生産、開発が可能。

最新型となる第三世代機はインホイールモーター等のハイテクノロジーを搭載しているため整備運用が難しいが、第二世代機までなら装甲車を運用できる軍隊ならば問題なく運用できる。


-ミチエーリK

秘密結社〈暁のイルミナ〉が超能力兵士用にチューンしたとされるデルタムーバー。

臀部エンジンブロックが極端に小型なことから、ハイブリッドもしくは純粋なバッテリー駆動と推測される。

タイヤも存在しないため、長距離移動を想定しない特殊任務用の機体と思われる。

デルタムーバーとしては異例の"二脚"であり、現行の二世代先のテクノロジーで開発されたとの説もあるが詳細不明。-


日本ではソ連から〈PBM-91〉の開発に関わったメインスタッフの一人が"帰国"したため、

かなり早期にデルタムーバーの独自開発に着手。

初の国産第一世代型デルタムーバーは〈95式特車装輪機〉として1994年に先行配備が開始。

当初は国民、マスコミ、野党から有用性を疑問視する声が相次いだものの、

翌年に発生した化学テロ事件で95式がガスの充満する地下鉄構内に突入し、多くの人命を救助したことから評価は一変。

今日まで、デルタムーバーは本邦では優秀なレスキュー車両としての認識が強い。


-日本製デルタムーバーは「髷マゲ」に見える意匠が頭部にあるのが特徴とされる-


-防衛装備庁小美玉分舎で撮影された不鮮明な写真

右側は陸自の〈13式特車装輪機 スモーオロチ〉の指揮官仕様のようだが、中央と左は不明。

中央は蓬葉重工社内で開発され、次期主力機コンペに落選した試作機との情報もある。

撮影時、カメラマンは「オクトがこいつと並んでる写真撮るなぁぁぁぁぁぁ! バカァ――――ッッッ」とおかしな男に怒鳴られた。-


-防衛装備庁小美玉分舎で撮影された不鮮明な写真
現地のスタッフが〈オクトオロチ〉と呼んでいたデルタムーバー。
各種試験装備のテストベッドとして、外部からの有線による遠隔操作で使用されていた。
頭頂部メインカメラや胸部の展開式コロニウム結晶複合センサーユニットが13式と同型。
恐らく大半のパーツが13式と共通と思われる。
腹部装甲が展開して攻撃的なサブアームに変型するようだ。-
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