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第三話

剣舞のこと・舞姫は十字星に翔ぶ52

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 障害を排除して、ようやく南郷の所に駆けつけようというのに、園衛は下に降りる方法が分からなかった。

 戦闘の音は遥か地下から響いているというのに、庁舎として使われていた頃のエレベーターシャフトは地下深部まで繋がっておらず、階段も地下二階までしかない。

 実に腹立たしい。悪の秘密結社のアジトらしい構造だ。こんなクソのような建物、設計した奴を見つけて逆さづりにして殴り殺してやりたいと思う。

 なので――

「私をイライラさせるな……っ!」

 メイスを振り上げて、地下の壁を破壊した。

 鉄筋コンクリートのブ厚い壁が粉砕され、更なる地下に続く空洞が露わになる。照明などない。完全な闇が広がっている。

 うっすら青白く光る園衛が、躊躇なく闇中へ身を投げた。

 重力に引かれて遥か下層へと落ちていく。

 闇の中では速度も距離も分からない。1秒後には、この大空洞の底にぶつかって、潰れたトマトのような無様を晒しているかも知れない。

 並の女なら、まともな人間なら発狂しかねない状況の中でさえ、園衛は己が落ちいく地獄の底を凝視していた。

 底の底は白く、戦闘の煙火、加速された重金属粒子の輝きが小さく覗えた。

 その光点の元に――激しい憎悪の根源を、園衛の第六感が察知した。

 人ならざる魔の気配へと、金色の目で狙いをつける。

「麒麟将・太精丸!」

 武具の名を呼び、量子テレポートで手元に転送。

 現れたのは、長大な長巻だった。

 長巻は強弓へと変型。横持ちに構え、光の弦を引き絞り、園衛は落下しながら光弾を射出――。

「討魔刀法! 月光!」

 蒼い月の光が矢となって、闇を貫く。

 そして蒼き一閃が、南郷を掴むエイリアスビートルの腕を撃ち抜いた。

 月光の矢は、霊的ダメージを対象に与える。

 それは即ち、電子構造の撹乱と破壊である。

 量子的な生死の境目にいる今のエイリアスビートルには、単純な物理攻撃よりも有効だった。

「ヌ!」

 エイリアスビートルの腕にノイズが走り、制御に障害が発生した。収束していた重金属粒子が咳き込みながら拡散し、南郷の頭を掴む手から力が抜ける。

 そこへ、園衛が更に畳みかける。

 強弓に気合を込め、槍投げのごとく空中で振りかぶる!

「討魔刀法! 震電・噴式ッ!」

 ボッ! という爆発音と共に、強弓から青白いブラストが発火。弓幹を安定翼とした、ロケット式対妖魔断罪切断装置と化して投射された。

 蒼の残像を引いて打ち下ろされる超音速ギロチンにて、エイリアスビートルの腕、切断!

「ウゥゥゥオオ!」

 直上からの攻撃に、ようやくエイリアスビートルの意識が向いた時には、落下中の園衛が頭上まで迫っていた。

「園・衛・ちゃん! かァァァァッ!」

「討魔刀法! 火龍ゥッ!」

 園衛が振り下ろすは、新たに転送した伸縮式大剣、その強化形態〈火焔・多勢丸〉。

 炎上する鋼鉄の大蛇と化した大剣が、重力落下の勢いでエイリアスビートルに叩きつけられた。

 瞬間、刀身が爆発。

 焼夷効果を持つ金属片を撒き散らして、エイリアスビートルを飲み込んだ。

「グワォ!」

 マグネシウムのごとく激しく発火する金属片には目くらましの効果もある。光学的、電子的にもジャミング効果のある煙幕の中で、園衛は南郷を抱いて離脱した。

 一跳び20メートルの超人的跳躍にて、煙幕に覆われたエイリアスビートルから距離を取る。

 園衛の傍らで、南郷はマスクの隙間から赤黒い血を吐いた。

「ブホぉッ……ゴッ……」

「キミは私の見込んだ男だ。この程度で死んでくれるな?」

「無茶言って……」

 南郷は打ち砕かれた装甲服の胸元を抑えた。左の肺に鋭い痛みがある。内臓を損傷しているのが分かった。

 痛みを誤魔化しながら呼吸を整える。

「なんで……来たんですか……」

「忘れ物を届けにきた」

 園衛は懐に手を入れると、何かを取り出して見せた。

 薄汚れた赤いボロキレが……南郷にとっては忌々しくも愛しきマフラーが、そこにあった。

「こんなもの……いまさら……」

「空理恵からの預かりモノだ。私に届け物をさせるとは……大した男だよ、キミは」

 南郷の息は荒く、園衛の声に応えようとしなかった。マフラーを受け取ろうともしなかった。

 折角、死によって生という苦痛からの解放が行われるというのに、それを邪魔しにくるのは余計なお節介だとでも言いたげだった。

 煙幕の中で、黄金の光が明滅していた。

 エイリアスビートルが、自己の存在確率を再チューニングしている光だった。

「園衛ちゃん……鬼神神楽まで持ち出したかァ……」

 勢いの収まりつつある煙幕の奥から、エイリアスビートルが旧知の相手に声をかける。

「アズハちゃんが抑えきれんのも当然だな……。そこまでして、南郷を助けたいというのかい……?」

「はい! 私は南郷くんと共に、今日を生き抜き、明日へと向かう所存です!」

 凛として、堂々と言ってのける園衛は、10年前と何も変わらない。

 闇の中で文字通り輝く園衛を見て、エイリアスビートルは笑った。

 哭くように、怒るように、蔑むように、笑いを零した。

「クククク……明日か。俺にとっての明日を奪ったのは、その男だ! 君の守ろうとしている男だ! 妻を! 子を! 未来全部を奪われた俺の気持ちが! 君に分かるのか? 分かるのかよッッッッ! 俺から明日を奪った奴が! これからものうのうと生きていくなど! ゆ・る・せ・る・かァァァァァァァッッッッっ!」

「ならば……もはや問答無用ッ! 邪界滅殺……宮元家の御役目、果たすのみです!」

 昨日に捉われたまま人を捨てた男の殺気を、園衛は気迫で跳ね返した。

 そして、傍らで沈む南郷を見下ろした。

 そこには対峙する人外と同じく、過去に死んだままの一人の人間がいた。

 希望もなく、怨念のままに戦い続ける生きる死体がいた。

 こんな地の底に死に場所を見出すような、悲しい男がいた。

 だが、彼を見る園衛の眼差しに哀れみはなかった。

「南郷くん……。さっき、あのアズハという娘に笑われたよ。『こんな格好をして、歳を考えろ』……とな」

 園衛は自嘲気味に笑いながら、青白く透き通る髪をかき上げた。

 身を包む戦闘装束といい、まるで変身ヒロインだ。10代の頃ならともかく、今の年齢で着るのは些か恥ずかしさもあった。

 いや……正確には照れ臭さ――だろうか。

 南郷は園衛の顔を見ていない。仮面に覆われた表情は見えず、意識があるかも定かではない。

 それでも、園衛は言葉を続けた。

 自分の思いを、彼に聞いてほしいから――。

「確かに、私は……私たちは、世界を救える年齢ではない。とっくに役目を終えた……物語を終えたロートルなんだろう。でもな、南郷くん。そんな私たちでも、女の子一人のお願いくらいは……守れるんじゃないか?」

 優しく語りかける声に、南郷が反応した。

 ヘルメットの頭部が起き上がり、園衛を見上げようとしていた。

「願い……? 誰の……?」

「空理恵だよ。帰ってきてほしい……それくらいのお願い、簡単だろう?」

「そんなこと、俺は……」

「キミが自分をどう思っていようとも、空理恵にとってキミはヒーローなんだ。だから――」

 もう一度、立ち上がってくれ。

 私と一緒に来てほしい――そう続けるよりも早く、南郷は園衛からマフラーを奪い取った。

「ごちゃごちゃグタグダと……説教が長い……!」

 何かを誤魔化すような悪態を吐きながら、南郷は一人で立ち上がった。

 そして、首にマフラーを巻いた。

 むず痒い喜びは、凍死した肉体に血が通う感触に似ていて、マフラーを握る指は震えていた。

 遠い昔にどこかに落としてしまった忘れ物が……やっと見つかったのだ。

 風のない地の底で、マフラーがゆらりと靡く。

 そこに宿った怨念が、祟り甲斐のある彼に戻ってくれたと、せせら笑うように。

 あるいは呪布に籠められた別の想念が、張り合いのある彼に戻ってくれたと、歓喜に踊るように。

 愛と呪詛のマフラーが、ぬるりと南郷十字の首で蠢いていた。

 バイザーの奥で、片目の義眼が赤く輝く。

 それは義眼に対応し切れぬHMDのシステムエラーであるが、心なしか生気の光のように……園衛には感じられた。

 南郷十字という一人の人間が、この瞬間に蘇ったのだと確信できた。

 死に覆われた灰の上、明暗相反する最強の戦士がいま、並び立つ。

 視線の向こうの煙幕は晴れ、更なる自己改良を行ったエイリアスビートルが現れた。

 全身が黄金に輝き、背中の翅が展開されている。

 凄まじい放熱と放電。自己の存在確率を常に変動させている。もはや先程と同じ攻撃は通じないだろう。

 相手は全力で諸共に燃え尽きる気なのだと……園衛は悟った。

「あの人を倒すには、私たち二人の力を合わせるしかない!」

「奴は分身体を使って何度でも復活する。なら……」

「分身のない状態で、物理攻撃と霊的攻撃を同時に叩き込む! 寸分違わぬタイミングで……。出来るな、南郷くん!」

「また無茶ぶりをしてくれる……!」

 そう言いつつも、南郷は拒否しない。無理だとも言わない。

(この人となら……出来る!)

 非論理的な確信と共に、二刀のMMEを構え、赤く透き通る刀身を発振させた。

 対する園衛に、既に転送できる武器はない。

 しかし無刀の空手にて、最後の武器を虚空に求めた。

「顕現せよ! フツノミタマッ!」

 直後、園衛の両手に二振りの長刀が出現した。

 幾何学的な意匠の柄に、蒼く透き通る石英のような刀身のそれは、どんな時代どこの国の刀剣とも似つかない。

 フツノミタマとは、あらゆる魔性、まやかしを払うとされる神話の時代の霊剣だ。

 遥かな古代にオオキミより使用許可を賜ったフツノミタマの分霊を、宮元家の遺伝子認証と勾玉の力によって、概念及び物理構造の再現を行ったのが、園衛の持つ長刀だった。

 これは妖魔や神霊といった、実体のあやふやな存在に致命的な威力を持つ。対妖魔絶対殲滅武装であつた。

 かたや物理最強の武器、かたや霊的最強の武器を持ち、対峙するは半神となりし究極の改造人間――。

 黄金の輝きの中で、エイリアスビートルが目を見開いた。

「いかに最強の対妖魔猟兵とサザンクロスといえどもォ! この俺の地獄の炎を消すことはァ――できィん!」

 エイリアスビートルの全身の砲門が開口! 粒子砲の一斉射撃を放った。

 それを読んでいた南郷と園衛は即、散開。粒子砲を回避し、一気に間合いを詰める。

「さぁせヌわぁぁぁぁぁぁぁッ! エイリアス! フォー―――スッッッッ!」

 咆哮、エイリアスビートル。

 気合とエネルギーの奔流が、存在確率を変動させ、周囲に40体以上の分身体を発生させた。

 第一形態と第二形態の分身たちが、生体ミサイルと粒子砲を展開。南郷と園衛めがけて、包囲殲滅射撃の陣を組んだ!

 そして、エイリアスビートル本体も全火器を展開。

「我が滅殺の円陣に! 死・角! なしッ! ブラスターインフェルノ・ディィィィィィテッッ!」

 叙事詩に語られる地獄の城塞、その炎を再現する全方位全弾一斉射撃が、たった二人の人間めがけて放たれた。

 闇を貫く加速粒子の熱線。無数の生体ミサイルの白い噴煙。それらが現世に地獄の様相を描き出す、その刹那の寸前にて

 園衛がフツノミタマを一閃した。

「伸びろ! 我が剣!」

 一気に50メートル以上に伸びた二刀が、分身包囲陣を薙ぎ払った。

 斬撃の瞬間のフツノミタマの刀身は実体も質量も存在しない、虚数次元に通じる虚構の刃。素粒子レベルの運動に介入し、崩壊させる存在破壊の概念兵器。

 それは存在確率の定まらない分身と、そこから生じた攻撃を触れただけで消滅させた。

「フツノミタマかァ! おのれぇい!」

 霊剣の特性を知るエイリアスビートルが激昂した。

 その時、南郷が撃尺の間合いに入った。

 粒子砲発射直後でエイリアスビートルは単結晶ソードを展開できない。僅かにモーションが遅れる。

 南郷の、気配を感じさせぬ、無言二刀斬撃。赤き残像が闇に奔る!

 それをエイリアスビートルは電磁装甲で弾き、頭部の角で切り払った。冷却用の角は高熱と電磁場を帯びたプラズマホーンブレードであり、MMEの斬撃に拮抗できた。

 だが、それもまた南郷の読み通り。

 先の先を読む熟練者の経験値までは、肉体の進化では真似できなかった。

 南郷はMMEをガンモードにチェンジ

「ガンモード! スプレッド!」

 メタマテリアルの散弾を、エイリアスビートルの頭部に浴びせかけた。

 電磁シールドの内側から発射された散弾は、体表の電磁装甲に接触。激しい火花を散らす電磁発火により、エイリアスビートルの五感をジャミングした。

「南郷ォ! この期に及んでこんな手をォ!」

「卑怯上等姑息上等! 悔しかったら対応してみろっ、バケモノォ!」

 エイリアスビートルが五感の周波数を再チューニングするには、0.5秒とかからない。

 瞬きにも満たない、ほんの僅かな隙に過ぎない。

 しかし、極限の強さに至った達人中の達人にとっては、十分な隙。

 僅かに遅れて合流した園衛が、南郷と合わせて連撃を叩き込んだ。

「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

 二人の呼吸が重なり合い、赤と蒼の斬撃が、寸分の狂いなく同時にエイリアスビートルに切り込む。

 それは正しく、剣の舞。

 光と影は互いに寄り添い、反発し合い、交わらずとも同じ高みに向かって跳ねるように舞い斬り続けた。

 物理的ダメージと霊的ダメージ、すなわち量子ダメージはレジストも再生も不可能だった。

 黄金の電磁装甲に火花が走り、確実なダメージが蓄積していく。

 それでもまだ、全てを捨てた最強の改造人間の命は燃え続けていた。

「まだだ! まだ! 俺の命を消すには足りんぞォッッッ!」

 斬撃を受けながら、エイリアスビートルが渾身の振動拳を床面に叩きつけた。

「ドラグ・インフェルノォ!」

 輝き震える拳から、地下全体にエネルギーが浸透。地を這う龍が、地下構造を崩壊させた。

 割れて隆起する床面から衝撃波が吹き出し、園衛と南郷が吹き飛ばされた。

 大地震同然の揺れが地下を襲い、壁面に亀裂が走った。

 ここは埋め立て地に作られた人工的な地下空洞だ。外殻に僅かでも亀裂が生じれば、大量の海水が破孔を押し広げる。

 メキメキと音を立てながら、四方八方から海水が噴出し始めた。

「どうだ、南郷ォ! もう時間が……時間がないぞ? 俺に殺されるか! 水の中に沈むかァ!」

 エイリアスビートルは翅を広げ、イオンクラフトで浮遊していた。

 だが逃げるつもりはないのだ。

 互いを追いこみ、極限の果てに生死を決するつもりだと……南郷も園衛も分かっていた。

 二人は隆起した床面に乗り、静かに最後の一撃に備えた。

 南郷はMMEをツインエッジに合体させた。

 園衛は、二刀のフツノミタマを概念変化させ、一刀の大太刀に合一した。

「いくぞ、南郷くん……!」

「了解……。次で……奴を終わらせる」

 呼吸を合わせ、意識を合わせ、二人同時に必殺の一瞬を狙う。

 空中にて、エイリアスビートルの胸部装甲が弾けた。

 体内から、三門の大口径砲が露出。心臓にあたるバイオリアクターから直接、膨大なエネルギーが砲門に集まっていく……!

「共に地獄にィィィィィィ! フェイズ・クラック・カノンッッッ!」

 あらゆる物質が放つ波動を強制的に停止、破壊する力場が砲撃と化して放たれる。

 もはや人知を超えた領域に至ったエイリアスビートルの最終攻撃は、この地下ごと全てを無に帰すであろう。

 攻撃の原理も南郷と園衛の理解を超えている。限られた機器で観測できるのは膨大な電磁波の放出だけだ。

 だが、所詮は人間の想像力の範囲内にて作られた攻撃。

 南郷と園衛は直感と経験で、攻撃の弾道を見切った。

「「そ・こ・だァ――――ッ!」」

 園衛がフツノミタマの刀身を伸ばす! 限界まで伸ばす!

 その幅広の刀身に、南郷が乗った。刀身加速の勢いで上空のエイリアスビートルに突撃。

 フェイズクラックカノンの砲撃は不可視だが、南郷を確実に殺すためなら直撃狙いのピンポイント攻撃だと予測できた。

 下手に威力を分散した広域攻撃では殺し切れないと、これまでの戦闘経験で奴も学習している。それは戦闘経験の浅い者が陥り易い先入観、思い込み、想像力の不足……!

 刀身の上で、南郷は跳んだ。

 見えざる絶対破壊の砲弾が、足元を通り過ぎていった。

 目標を外して下方の床に撃ち込まれたエネルギー体は、衝突部分を圧壊させ、巨大なクレーターを生んだ。

 ただ一度の、一瞬の判断が勝敗を分けた。

 南郷の刺突が、MMEツインエッジの切っ先が、エイリアスビートルの首元に突き刺さっていた。

 園衛の伸ばしたフツノミタマの剣閃が、エイリアスビートルの胸を貫いていた。

「右大さん……これで――」

「終わり、だ」

 フツノミタマを横なぎに払い、MMEを縦一回転させ、エイリアスビートルは十文字に切断された。

「終わる……? 俺の命がァ――」

 エイリアスビートルの目が絶望に見開かれた。

 黄金の火花を鮮血のように散らして、四分割された肉体が落下していく。

 地の底に、地獄に、罪人に相応しき結末に――

「――俺の、復讐ゥがァ……ッッッ」

 血を吐くような怨嗟の声は、爆発に掻き消された。

 行き場を失ったバイオリアクターのエネルギーは、黄金色の炎となって闇を照らした。

 10年の月日の果てに、二人の男の長い旅路が漸く……終わった。
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