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設定解説のこと

そのいち

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 メインイメージの図。



 ・東瀬織
 この物語の主人公。
 外見年齢は16-7歳ほどの絶世の美少女。その実態は約2000年前、神樹を素材に作られた名無しのヒトカタ、人間を模した呪術人形である。
 外見は製造当時の神宮に仕えていた巫女を模倣している。
 1000年もの長きに渡って敵対豪族や反乱勢力を内部崩壊させる呪術兵器として運用され、穢れと呪いを溜め込んだことで邪悪な存在へと歪み切り、世に災いをもたらす「荒神」と成った。
 1000年前に一度は解体、土中深くに廃棄されたものの、年月をかけて完全に自己修復された。
 永遠不滅の存在であり、現代科学を以てしても粒子加速器にて発生させたマイクロブラックホールでも使用しない限り物理的に完全に消滅させることは困難。
 現在は自我と生きる権利を認めてくれた宮元家当主、宮元園衛に恩義を感じて扈従しているものの、邪悪に染まり切った性根は変わっていない。
 後に作られた全ての空繰のプロトタイプであるが、完成度は別次元に高く、勾玉状の中枢回路は存在しない。外見、肌触り、内部構造の全てが人間と同一。
 身体能力は人間より上だが、戦闘用ではなく諜報や工作活動用に作られたため、戦闘能力自体は決して高くない。
 気象操作の能力を持つが、本来は信仰を集めるための能力でしかない。
 とはいえ人間とは呪術や魔導の適性に関しては比べるべくもなく高い。というより別次元である。
 根本の性質が「神」であるため、人間に対しては絶対的な上位存在であり、一般的な人間は本能的に畏敬を感じ、平伏してしまう。これは強靭な精神力や激情を持つ者でなければ抗えない。
 現在は姓と名を与えられ、天涯孤独の少年、東景のお世話役として生活している。



 ・宮元園衛
 かつて主人公だった女。29歳。独身。
 ヤマト王権成立前からオオキミに仕え、2000年以上の歴史を持つと言われる歴史ある武家、宮元家の現当主。
 私立宮元学院の理事長でもある。
 高校時代に妖魔との2000年に渡る戦いを終結させた、最強の対妖魔猟兵の一面も持つ。
 性格は厳しくも優しく、生きる意思ある者にはやり直すチャンスを与えようと思っている。
 一方で人を欺き、利用しようとする者、反省のない悪には問答無用で制裁を与える鬼神のごとき一面も持つ。
 世界は広いので、園衛のように物語を終えた「その後の主人公」は他にもいるかも知れない。
 家族構成は両親のほか、中学生の妹がいる。


 ・氷川朱音
 14歳、女子中学生。東景の幼馴染。
 真面目なクラス委員であり、園衛の密偵としての一面も持つ。
 心の奥には、幼い頃に見た現役時代の園衛への憧れが強く重く残っている。
 現在の園衛に対する失望と、特別な存在になりたい自分の夢が叶わない絶望とが、彼女の心を闇に染める。

 憧れていた正義のヒロインとは真逆の、特別な存在。
 それも悪くない。

 ・空繰とは
 2000年以上前、大和王権成立前に製造された神樹を素材としたヒトカタをプロトタイプとした呪術傀儡。
 小動物の残留思念を勾玉に込めて一種の集積回路とし、術者が遠隔操作するのが一般的。
 簡単に言えばラジコン操作できる呪いの人形である。
 古代では他の豪族との戦争にも用いられたが生産効率と運用面に難があり、次第に歴史の表舞台からは姿を消した。
 以後は一部の限られた術者が妖魔との戦いに用いてきた。
 勾玉の色によって性能の強弱が決定する。青→緑→黄→赤の順に強力になっていく。
 強力な個体は自律行動を行い、神にも等しい力を持つモノもいたが、ほとんどは過去の戦いで失われている。

 ・戦闘機械傀儡とは
 エンジンやサーボモーター、人工筋肉等で強化された近代の空繰をこう呼ぶ。
 成立は1950年代。
 90年代には自衛隊及び軍需産業との提携により徹底的な近代改修が施され、無敵の対妖魔戦術兵器として君臨した。
 機体は純然たる工業製品であり、素材と設備さえ揃っていれば大量生産が可能で、海外にも多数輸出された。
 勾玉には恐竜などの古生物の怨念が封じ込められているのが最大の特徴であり、その凶暴性とパワーは全ての
 空繰を過去のものとした。
 特に恐竜型戦闘機械傀儡の総生産数は500体以上に登り、10年前の最大最悪の敵性概念「禍津神」との戦役を勝利に導いた。
 中でもティラノサウルス型の「ジゾライド(輸出仕様の名称はレギュラス)」は代表的な機種とされる。
 呪術や超常現象の類は行使できないが、同時にそれらを完全に無効化する特性を持つ。
 かつては隆盛を極めたこれら戦闘機械傀儡も「禍津神」との最終決戦で大半が失われ、現存する機体は多くない。

 ・妖魔とは
 妖怪、魔物の類の総称。
 一般市民にとってはオカルトやおとぎ話の中の存在に過ぎない。
 概念的な存在が多く、定められた本能に従って行動するものが大半。
 意思の疎通は不可能だが、人間に取りついたものは例外。
 不安定な電磁波の集合体であるため、その構造をかき乱す強力な光や電撃に弱い。
 国内では10年前に宮元園衛の一派によって駆逐され、ほぼ絶滅。
 世界的にも1950年代から行われた戦闘機械傀儡による絶滅作戦、通称「クソッタレ妖魔全殺しキャンペーン 守ろう救おうぼくらの地球」により絶滅させられている。

 ・荒神

 1000年前、長年に渡って呪術兵器として運用されていたヒトカタが、人間の邪念を受け止める許容量を超過した結果、精神だけでなく肉体までも変質した成れの果て。
 人を惑わす美しい少女の姿から、おぞましい蟲の集合体に変貌している。
 蟲型傀儡の分身体や有象無象の妖魔を無数に産み落とし、放置すれば日本全土の人間は食い殺され、山河は瘴気に汚染されていた。
 一見すると人の力の及ばない超自然的存在に見えるが、恐怖を超越する強靭な精神を持った人間によって1000年前と70年前の二度に渡って撃破されている。


 群れの頂点である瀬織を失った荒神の分身たちが、氷川朱音を代用品として取り込み、融合した状態。
 弱体化した瀬織とは拮抗状態にあり、無限の再生能力を持つ。
 しかし肉体はタンパク質、カルシウム、木材で構成されているに過ぎず、現代兵器や戦闘機械傀儡を投入すれば破壊は難しくない。

 ・宮元家とは
 大和王権成立前からオオキミに仕え、妖魔を討滅していたとされる家系。
 2000年に渡る戦いも宮元園衛の代に終結し、諸々の組織も解散。現在では単なる地方有力者である。
 製薬会社や病院、建築、不動産業も経営しており、政財界へのパイプは未だに強い。

 ・対妖魔猟兵とは

 生身で妖魔と戦う戦闘要員の総称。
 かつては刀剣や呪符を用いて戦っていたが、1950年代を境に急速に近代化。
 刀剣はチタニウムやステンレス製となり、銃火器や指向性散弾といった現代兵器も使用するようになった。
 宮元園衛など一部の達者は特殊な勾玉を用いた装備をまとい、攻撃力と防御力を強化していた。
 現在は宮元家が運営していた対妖魔組織自体が解散しており、兵科としては既に存在しない。

 ・マガツチ
 軽機動輸送型戦闘機械傀儡。
 サソリ型の機体であり、前線で戦う対妖魔猟兵に随伴して携行武器を運搬するために作られたウェポンキャリアー
 ……というのは建前で、実際は呪いの集合存在「荒神」の残骸をベースに作られた試作機である。
 開発時期は「禍津神」との戦役中であり、呪いに対して呪いで対抗できるか? という疑問を払拭するための実験機でもあった。
 結果として起動すら出来ない失敗作の烙印を押され、起動試験時の仕様のまま宮元家の蔵に10年間放置されていた。
 自らの親であり主である東瀬織に従属し、機能拡張装置として機体を分解、外骨格あるいは甲冑のように装着されるが、これは規定外の機能である。
 尾を変型させた「天鬼輪」による気象操作も全く想定外の機能であり、軽輸送用として設計された脆弱な機体に多大な負担をかけている。
 地表だけでなく壁面や地中を自在に移動する機動力に重きを置いており、戦闘能力はあくまで補助的なものに過ぎない。
 リチウムイオンバッテリーを動力源としたカーボンナノチューブ製人工筋肉で駆動する。勾玉の色は赤。
 発声機能も本来は存在しない。

 全長:2メートル20cm(尾を含まず)
 重量:130kg(本体重量)
 武装:掘削用マニピュレーター(爪)、有線式タングステン衝角(尾)
 その他仕様:最大積載量500kg、ハードポイント×10、内蔵式小型カーゴスペース×4、内蔵式中型カーゴスペース×2、最大移動速度時速60km


 〈マガツチ〉を外骨格装甲として装着した瀬織の戦斗形態。
 パワードスーツの着用というより、瀬織が荒神だった頃に行っていた「自己の分身との結合」と同質の行為である。
 しかし〈マガツチ〉に本来備わっていない機能のため、装甲や関節の分解行為は自壊に等しく、それだけで機体構造に多大な負担を強いる。

 ・重武マガツチ
 マガツチに急場しのぎの増加装備を施した形態。
 戦闘機械傀儡を重武装化した形態を「重武」と呼称する。
 ハードポイントは共通規格化されていることから、現存する他の戦闘機械傀儡の装備を増設することが容易だった。
 とはいえ、ペイロードを超過した重量を強引に懸架しているため、機体バランスは著しく悪い。
 対妖魔三連衝撃砲は本来、サーベルタイガー型傀儡の武装であり、防盾も別機体の装備が取り付けられている。
 スペルディスチャージャーは一般的な兵装であり、粉末化した呪符を発射することで結界の発生や解呪等を行う装備である。
 今回使用された小型マグニーザーは3トン級のセントロサウルス型傀儡の主武装であるが、30トン級のトリケラトプス型傀儡の補助武装でもある。
 マガツチに取り付けられた小型マグニーザーは主機を欠いた状態で、補助動力のみで使用されており、本来の1/3以下の出力で作動していた。
 本来、マグニーザーとは大型のターボシャフトエンジンに直結して駆動し、「禍津神」の地底の圧縮岩盤強度に等しい外殻を真正面から粉砕貫通するための超兵器である。

 全長:2メートル20cm(マグニーザー、尾を含まず)
 全備重量:688kg
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