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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。

第五十幕 買取と報告

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 途中経過報告を書きベルグに送った次の日、千夜たちはラロスが住む領主邸に来ていた。
 何事も無く無事に依頼を終えたと皮肉交じりに告げた千夜は証拠として魔物の魔核が入った袋の中身を見せた。

「た、確かに確認した……」
 先日会話した時とは違い、どこか不機嫌で返答も渋々答えていた。その態度にエリーゼたちは内心ざまあみろと言わんばかりに満面の笑みを浮かべていた。
 金貨50枚を受け取った千夜たちは挨拶をして直ぐに領主邸を後にした。
 ギルドに向かう途中エリーゼたちは笑っていた。

「見た、あの男の悔しそうな表情かお
「はい!」
「傑作だったのぉ~」
「あの程度ですんで良かったと奴には思って貰いたいほどです」
 各々感想を述べるが全員清清しい気持ちには変わりなかった。

「さて、この魔核を買い取って貰ったら観光でもするとしよう」
「「「「「賛成!」です」なのじゃ」」」
 全員の声が重なる。
 ギルドへ到着した千夜たちは買取カウンターで魔核の入った袋を出す。

「あ、あの……これは?」
「依頼で倒した魔物の魔核だ。買い取って貰いたい。それと魔物の死体も数体もあるんだが」
「は、はい。ただいま!」
 戸惑う受付嬢に千夜は答えると慌てて他の受付嬢を呼びにいった。
 20分後。

「査定が終わりました。買い取り価格は243780Jになります」
「解った」
 金貨2枚、銀貨43枚、銅貨78枚が入った袋がカウンターに置かれ、それを千夜は懐にしまう。

「魔物の方はもう少し時間がかかるようなので隣の建物に行ってください。そちらで解体作業したあと査定を行っていますので」
「解った」
 そう言って千夜たちは隣の建物に向かう。

「すまないがこちらで査定中と聞いたんだが?」
「あ、Aランクパーティーの方ですね」
「そうだ」
「まもなく終わりますので少々お待ちください」
 待たされること10分。

「査定が終わりました。全部で61840Jになります」
 銀貨61枚と銅貨84枚が入った袋を受け取りそれをウィルに渡す。

「大事に使えよ」
「はい!」
 自分で稼いだお金にウィルは目を輝かせる。

「嬉しいか?」
「はい!」
「そうか」
 ウィルの頭を撫でた千夜は観光のため街へとくり出す。


 その日の夜。
 観光を楽しんだ千夜たちは夕食を外で済まして部屋で寛いでいた時の事だった。
 突如念話による通信が千夜に届いたのだ。
(バンシーか?)

『どうした?』
『スケアクロウです。お時間宜しいでしょうか?』
『あ、ああ』
(バンシーじゃないのか)

『で、どうした?』
『はい。先日の調査が済みましたのでご報告をと』
『そうか。で、海賊と手を組んでいる商会は解ったか?』
『申し訳ありません。残念ながらそれについては掴めませんでした』
『そうか』
『しかし、同盟を結んでいる商会なら全て解りました』
『解った。報告してくれ』
『はい。まず、ダラで幅を利かせているのがグレムリン商会。二番目に大きく綿や絹などを扱っているドゥーナ商会。隣の領地であるマリーシ領に本部を構えるスヴィエル商会。帝都に本部を構えるリッチネス商会。最後にギグ商会です」
(ギグ。アミーの実家の商会だな)

『調べた中で違和感を覚えた商会はあるか?』
『いえ、これといったのはありません。ただギグ商会ですが数年前まで倒産寸前だったにも拘わらず革新的な商品で最近は業績を上げ去年借金を返し終えたと調べがついています』
『そんなに悪かったのか?』
『はい。なんでも帝国だけでなくガレット獣王国や火の国にも店舗を構えるリッチネス商会が店舗を構えてから業績が下がり、そんな弱ったところにグレムリン商会が潰しに掛かったとか』
『なるほど……』
『圧倒的な資金を持つグレムリン商会との戦いは数年続き、来年には潰れるという時に革新的な商品が爆発的に売れ――』
『なんとか潰されずに済んだと言う事か』
『はい』
『で、その同盟で一番被害を受けているのはどこだ?』
『一番はやはりグレムリン商会です。商船の数も多く被害は甚大だとか』
『次は?』
『次はギグ商会です。商船の数は多くありませんが商品を頻繁に他の領地に届けているらしく』
『なるほど』
『一番少ないのはリッチネス商会です。海賊の動きが活発化し始めたと知った途端、商船を使った輸送は極力控え陸の輸送に変更したようです』
(多分だがパルケの指示だろう。そういった嗅覚は優れているからなアイツは)

『それじゃ、二番目に少ないのは?』
『ドゥーナ商会です。商船の数は二番目に多いですが、そこまで船を出していないらしく。出すときも護衛船を5隻と徹底した感じです』
『そうか……』
(聞いた感じだと一番怪しいのはドゥーナ商会だが、疑いの目を避けるために被害を多くする事はよくあることだ。ましてや暗霧の十月ミラージ・サヴァンのリーダーは転生者だ。遥かに知識も豊富の筈。となるとやはり一番多いグレムリンか? いや、その裏をかいて一番少ないドゥーナ商会か………駄目だ。これじゃ悪循環だな)

『スケアクロウ』
『はっ!』
『近日中にそっちに行く事にする。出来るだけ海賊と商会について調べておいてくれ』
『畏まりました』
 念話を終えると千夜は大きく息を吐く。
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