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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第十五幕 密度とパワーアップ
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「さて、怪しまれずに都市ルーセントに入る事は出来た。で、明日からの予定だが、冒険者として活動しつつ住民から情報収集を行う。特に明日が肝心だ。まだこの都市に来たばかりだから誰も怪しいとは思わないだろうが、数日たって情報を集めていればどうみたって何か目的があって来たと敵に感づかれる恐れがあるからな」
「でしょうね。で、どういった情報を集めればいいの?」
「冒険者として怪しまれない程度で構わない。近づかない方が良い場所。最近変わった事とかなんでも良い。ただしストレートに訊くのは駄目だ」
「解ったわ」
「よし、明日からが本番だ」
予定も決まった千夜たちはそれぞれのベットに横になる。
次の日、朝食を終えた千夜たちは冒険者ギルドに向かっていた。
朝と言う事もあり沢山の人で溢れかえっていた。
「帝都の朝と似たような感じだが、道幅が帝都より狭い分密度が上がっている気がするな」
「ケアドやダラに朝一で荷物を運ぶ商人や行商人いるわ」
はぐれないように腕を組み人波を掻き分けながら進む。
慣れない道を歩いた事もあり予定より数分遅れで到着した。
中に入ると沢山の冒険者が依頼を受付嬢に渡したり、テーブルで情報交換や相談などをしていた。
(やはり、どこのギルドも厳つい男が多いな)
それが千夜が最初に思った事だ。
帝都で変わらないところが他にあるとすれば冒険者が受付嬢を口説いている事ぐらいだろう。
「俺は依頼を探してくるからエリーゼたちは待っていてくれ」
「解ったわ。私たちはあそこのテーブルで待ってる」
「多分と言うより必ず男どもに声かけられるどうが、穏便に対応してくれると助かる」
「ま、なんとかするわ」
満面の笑みで答えるエリーゼと不敵な笑みを浮かべるエルザの姿に不安しかない千夜だが、依頼を受けるため掲示板に向かう。
「何が良いか……」
ウィルも居る事を考えてC、Bランクの依頼を受けようと依頼内容を吟味するがなかなか良いのが見つからない。
(魔物討伐系の依頼が少ないがこれもタルタ村でエルザが言っていた事と関係があるのか? それともこのランクを受ける冒険者が多いだけなのか)
他のランクも見てみるが。
(やはり少ない。元々高ランクの依頼は少ないが、低ランクの討伐依頼が少ないのも気になる。それに盗賊討伐の依頼も少ない。やはりこれも暗霧の十月と代官の圧力によるものなのかもしれないな)
依頼を選ぶのを後にして思考を巡らせていると。
「てめぇ! 今なんて言いやがった!」
突然一人の男が怒鳴り声を上げる。
千夜は反射的に振り向いた事を後悔する。
「貴様みたいな腐肉の塊を相手にしている暇なんて無いと言いましたが? 腐っているせいで耳まで遠いようですね。早く土の中に戻った方が良いのでは?」
「て、てめぇ……」
「喋らないで貰えますか。腐臭で私の鼻が駄目になりそうなので。それとも今すぐその口の中に熱した鉄を流し込んで欲しいですか」
「なんだと……」
「だから口を開くなと言っているのです。どうやら脳味噌まで完全に腐っているようですね。慈悲の気持ちで貴方の治療も考えましたが無駄のようです。ですから早く土の中に戻りなさい」
「…………」
「いえ、そんな事したら土が駄目になりそうなので火葬の方がいいかもしれません。特別に選ばせてあげます。土葬と火葬どっちがお好みですか?」
「もう我慢の限界だ! ぶっ殺してやる」
怒張した顔は真っ赤になり、冷静な判断を失った男は剣を抜いた。
(穏便にと頼んだ筈なんだがな)
額に手を当てて嘆息する。
(それにしても最近エルザの毒舌を聞いて居ないと思ったが、パワーアップしているとは)
一触即発の雰囲気にも拘わらず呑気に構える千夜。エリーゼ、クロエ、ミレーネも慣れているのか平然と談話を楽しむ。
混乱しているのはウィルと冒険者たちぐらいだろう。
「死ねぇ!」
男は渾身の力で剣を振り下ろす。が、
「まったく蛆虫の湧いた腐肉はこれだからこまります」
呆れ果てるエルザは平然と男の攻撃を跳んで躱すと、そのまま回し蹴りを男の顔に叩き込む。
千夜程の力は無いにしろ存在進化を果たした吸血鬼の力をまともに食らった男は壁を破壊し大通りの外まで吹き飛ばされる。
一瞬にして美少女に吹き飛ばされた光景に冒険者や受付嬢たちは思考が追いつかないでいた。そんななか千夜だけが何事も無かったようにエルザたちの許に向かう。
「怪我は無いか?」
「あの程度、怪我をする余地などありません」
「そうか。受付嬢」
「は、はい!」
(ん? どこかで見た顔だな)
内心そんな事を思うが直ぐに頭を切り替えて話を進める。
「先に剣を抜いたのは大通りで気絶しているあの男だ。それにこっちは剣すら抜いていた無い。壁の弁償はあの男に頼んでくれ」
「わ、解りました」
そんな千夜の言葉に全員が疑問に思う。
((((((あれ、死んだんじゃないのか?))))))
「でしょうね。で、どういった情報を集めればいいの?」
「冒険者として怪しまれない程度で構わない。近づかない方が良い場所。最近変わった事とかなんでも良い。ただしストレートに訊くのは駄目だ」
「解ったわ」
「よし、明日からが本番だ」
予定も決まった千夜たちはそれぞれのベットに横になる。
次の日、朝食を終えた千夜たちは冒険者ギルドに向かっていた。
朝と言う事もあり沢山の人で溢れかえっていた。
「帝都の朝と似たような感じだが、道幅が帝都より狭い分密度が上がっている気がするな」
「ケアドやダラに朝一で荷物を運ぶ商人や行商人いるわ」
はぐれないように腕を組み人波を掻き分けながら進む。
慣れない道を歩いた事もあり予定より数分遅れで到着した。
中に入ると沢山の冒険者が依頼を受付嬢に渡したり、テーブルで情報交換や相談などをしていた。
(やはり、どこのギルドも厳つい男が多いな)
それが千夜が最初に思った事だ。
帝都で変わらないところが他にあるとすれば冒険者が受付嬢を口説いている事ぐらいだろう。
「俺は依頼を探してくるからエリーゼたちは待っていてくれ」
「解ったわ。私たちはあそこのテーブルで待ってる」
「多分と言うより必ず男どもに声かけられるどうが、穏便に対応してくれると助かる」
「ま、なんとかするわ」
満面の笑みで答えるエリーゼと不敵な笑みを浮かべるエルザの姿に不安しかない千夜だが、依頼を受けるため掲示板に向かう。
「何が良いか……」
ウィルも居る事を考えてC、Bランクの依頼を受けようと依頼内容を吟味するがなかなか良いのが見つからない。
(魔物討伐系の依頼が少ないがこれもタルタ村でエルザが言っていた事と関係があるのか? それともこのランクを受ける冒険者が多いだけなのか)
他のランクも見てみるが。
(やはり少ない。元々高ランクの依頼は少ないが、低ランクの討伐依頼が少ないのも気になる。それに盗賊討伐の依頼も少ない。やはりこれも暗霧の十月と代官の圧力によるものなのかもしれないな)
依頼を選ぶのを後にして思考を巡らせていると。
「てめぇ! 今なんて言いやがった!」
突然一人の男が怒鳴り声を上げる。
千夜は反射的に振り向いた事を後悔する。
「貴様みたいな腐肉の塊を相手にしている暇なんて無いと言いましたが? 腐っているせいで耳まで遠いようですね。早く土の中に戻った方が良いのでは?」
「て、てめぇ……」
「喋らないで貰えますか。腐臭で私の鼻が駄目になりそうなので。それとも今すぐその口の中に熱した鉄を流し込んで欲しいですか」
「なんだと……」
「だから口を開くなと言っているのです。どうやら脳味噌まで完全に腐っているようですね。慈悲の気持ちで貴方の治療も考えましたが無駄のようです。ですから早く土の中に戻りなさい」
「…………」
「いえ、そんな事したら土が駄目になりそうなので火葬の方がいいかもしれません。特別に選ばせてあげます。土葬と火葬どっちがお好みですか?」
「もう我慢の限界だ! ぶっ殺してやる」
怒張した顔は真っ赤になり、冷静な判断を失った男は剣を抜いた。
(穏便にと頼んだ筈なんだがな)
額に手を当てて嘆息する。
(それにしても最近エルザの毒舌を聞いて居ないと思ったが、パワーアップしているとは)
一触即発の雰囲気にも拘わらず呑気に構える千夜。エリーゼ、クロエ、ミレーネも慣れているのか平然と談話を楽しむ。
混乱しているのはウィルと冒険者たちぐらいだろう。
「死ねぇ!」
男は渾身の力で剣を振り下ろす。が、
「まったく蛆虫の湧いた腐肉はこれだからこまります」
呆れ果てるエルザは平然と男の攻撃を跳んで躱すと、そのまま回し蹴りを男の顔に叩き込む。
千夜程の力は無いにしろ存在進化を果たした吸血鬼の力をまともに食らった男は壁を破壊し大通りの外まで吹き飛ばされる。
一瞬にして美少女に吹き飛ばされた光景に冒険者や受付嬢たちは思考が追いつかないでいた。そんななか千夜だけが何事も無かったようにエルザたちの許に向かう。
「怪我は無いか?」
「あの程度、怪我をする余地などありません」
「そうか。受付嬢」
「は、はい!」
(ん? どこかで見た顔だな)
内心そんな事を思うが直ぐに頭を切り替えて話を進める。
「先に剣を抜いたのは大通りで気絶しているあの男だ。それにこっちは剣すら抜いていた無い。壁の弁償はあの男に頼んでくれ」
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