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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。
第七十幕 エルザとレイク
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戦闘が開始してから十数分。
地面にクレーターを作り、建物を破壊する。その度に轟音が轟く。
剣を振るえば、殴れば、蹴れば、それだけで周りを破壊するほどの戦闘。他の誰よりも派手に豪快な戦闘だと誰もが思うだろう。
しかし、現実は違う。
行われているのは一方的な暴力。
非道にして非情。
成す術も無く、抗う事も出来ず、ただ殺されるのを待つのみ。
しかし、怒りの形相を浮かべるエルザは動く事も叶わなくなったレイクを塵屑を見るような目で見下ろしていた。
戦闘が開始される数分前まで遡る。
エルザとレイクは武器を手に対峙し合っていた。片方が鬼の形相で、もう片方は見下し嘲笑う。
「どうやら、お前の主殿は俺の部下と戦うようだな。あっさり殺られたりしたりしてな」
「ふふ」
「何が可笑しい」
顔から笑みが消え、険しい表情へと変貌する。
「本当に雑魚ですね。相手の力も感じる事が出来ないとは」
「なんだとぉ」
「それに私の主は貴方方雑魚を相手するほど暇ではありませんので」
「そうかよ。なら殺ってみろよ。お前の主がどの程度なのか、お前が証明して見せろよ」
「貴様、一度ならず二度までも主を虚仮にするとは、どうやらそうとう死にたいようですね」
「生憎と俺は死ぬより殺すほうが好きなんだよ!」
レイクは地面を蹴ると15メートルも離れていた距離を一瞬にして詰め殴り掛かる。
(死ね)
エルザが反応出来ていないと思ったのか笑みを浮かべるレイク。しかし、
「ぐはっ!」
吹き飛ばされたのはレイクの方だった。
「ゲホッゲホッ………クソアマ……なにしやがった!」
「その程度の事も分からないのですか?」
「何!」
無表情。だが、憤りを宿す瞳を向けるエルザを見たレイクは何故か見下されているように感じた。
「なら、空っぽな頭で分かりやすく教えて差し上げます。塵虫に触れるのは嫌でしたので蹴ったのですよ。分かったか、この蛆虫」
「て、てめぇ……!」
怒気と殺気を纏った言葉がレイクの琴線に触れる。
「それに、まだ始まったばかりですよ」
言葉が終わると同時に再び蹴り飛ばす。
何が起きたのか理解出来ないレイク。一瞬にして景色が流れ、側頭部に強烈な鈍痛が襲われる。
幾つかの建物を破壊して止まったレイク。見た目ではそこまで酷くは無いが、頭を蹴られた事により軽い脳震盪を起こしておりよろけていた。
「ほら、先ほどみたいに攻撃してみてください。ほら早く!」
「グホッ!」
今度は鳩尾に膝蹴りを食らう。
鈍痛と内臓を握り締められるような痛みにレイクはその場に倒れ蹲る。
「ほら立ちなさい」
「……ぐぅええええぇぇ!」
あまりの痛みと圧迫が原因でレイクは胃の中の物を全て吐き出す。
「まったく人の命令も聞けない蛆虫が。だれが汚物吐いて良い言いましたか? こんな異臭も撒き散らして。どうしようもない蛆虫がっ!」
「グホッ!」
蹲るレイクの横腹を蹴られた衝撃で左の肋骨3本を粉砕されながら吹き飛ばされ、そのまま城壁に激突する。
城壁の一部を崩し、地面に落ちる。城壁に激突した時に粉塵が巻き起こるがエルザにとっては些細な事に過ぎない。
「ほら、早く立ちなさい。塵虫」
淡々と粉塵の中に居るレイクに歩み寄りながら命令する。
「うるせぇよ、このアマあああぁぁ!」
突如粉塵の中から姿を現したレイクは剣を持ってエルザに斬り掛かる。が、
「黙れ」
「っ! ぎゃああああああああああああぁぁぁ!!!」
剣を手にしていた右腕を音速を越える剣捌き斬り落とされる。
これまで感じたこの無い激痛に絶叫しながら地面にダイブした。
「黙れと言ったでしょう。何度言えば分かる!」
目の前の阿鼻召喚に心を痛めるどころか、泣き声が耳障りと言いたそうな表情でレイクの顔面を蹴る。
「泣くな! 喚くな! さっきの威勢はどこに行った! ほら早く立て!」
苛立ちを覚えるエルザ。自分が尊敬し愛する主を虚仮にされた存在がこうも容易く地面に倒れ伏す姿に先ほどよりも憤りを覚えてならない。
殴り、蹴るを何度も繰り返す。
「………た……たす……たすけて……」
「っ!」
ボキッ!
「ぎゃああああああああぁぁぁ!!!」
聞きたくも無かった言葉が耳に届いた瞬間エルザの怒りは頂点に達した。
何の前触れもなくレイクの左腕を折る。
「喚くな!」
ボキッ!
「泣き叫ぶな!」
ボキッ!
「……………たすけ……て……」
「っ!」
体中から悲鳴をあげるレイク。それはどこの骨が粉砕しようと折れようと痛みすら感じなくなっていた。ただ、全身を激痛が襲う。その事だけがレイクを恐怖させる。
意識朦朧な状態で擦れが声音で呟かれた言葉にエルザは渾身の一撃で蹴り飛ばした。
再び城壁に激突したレイクは磁力を失ったマグネットのように地面に落ちる。
「いいですか、侮辱するにしたってそれ相応の実力と言う物が必要なんです。なのに貴方なんですか。力も無いくせに主を馬鹿にして」
「…………」
既にレイクに意識はない。だが、まだ息をしている。それだけで奇跡だと言わざる終えない。
「身の程を知れ、雑魚!」
最後はエルザの一振りによって戦いは、いや、リンチは幕を閉じた。
「予想以上の愚者のせいで我を忘れていました。反省です。どうやら服は汚れていないようですね………良かった」
身だしなみを整えたエルザはエリーゼたちの許へ歩き出した。
地面にクレーターを作り、建物を破壊する。その度に轟音が轟く。
剣を振るえば、殴れば、蹴れば、それだけで周りを破壊するほどの戦闘。他の誰よりも派手に豪快な戦闘だと誰もが思うだろう。
しかし、現実は違う。
行われているのは一方的な暴力。
非道にして非情。
成す術も無く、抗う事も出来ず、ただ殺されるのを待つのみ。
しかし、怒りの形相を浮かべるエルザは動く事も叶わなくなったレイクを塵屑を見るような目で見下ろしていた。
戦闘が開始される数分前まで遡る。
エルザとレイクは武器を手に対峙し合っていた。片方が鬼の形相で、もう片方は見下し嘲笑う。
「どうやら、お前の主殿は俺の部下と戦うようだな。あっさり殺られたりしたりしてな」
「ふふ」
「何が可笑しい」
顔から笑みが消え、険しい表情へと変貌する。
「本当に雑魚ですね。相手の力も感じる事が出来ないとは」
「なんだとぉ」
「それに私の主は貴方方雑魚を相手するほど暇ではありませんので」
「そうかよ。なら殺ってみろよ。お前の主がどの程度なのか、お前が証明して見せろよ」
「貴様、一度ならず二度までも主を虚仮にするとは、どうやらそうとう死にたいようですね」
「生憎と俺は死ぬより殺すほうが好きなんだよ!」
レイクは地面を蹴ると15メートルも離れていた距離を一瞬にして詰め殴り掛かる。
(死ね)
エルザが反応出来ていないと思ったのか笑みを浮かべるレイク。しかし、
「ぐはっ!」
吹き飛ばされたのはレイクの方だった。
「ゲホッゲホッ………クソアマ……なにしやがった!」
「その程度の事も分からないのですか?」
「何!」
無表情。だが、憤りを宿す瞳を向けるエルザを見たレイクは何故か見下されているように感じた。
「なら、空っぽな頭で分かりやすく教えて差し上げます。塵虫に触れるのは嫌でしたので蹴ったのですよ。分かったか、この蛆虫」
「て、てめぇ……!」
怒気と殺気を纏った言葉がレイクの琴線に触れる。
「それに、まだ始まったばかりですよ」
言葉が終わると同時に再び蹴り飛ばす。
何が起きたのか理解出来ないレイク。一瞬にして景色が流れ、側頭部に強烈な鈍痛が襲われる。
幾つかの建物を破壊して止まったレイク。見た目ではそこまで酷くは無いが、頭を蹴られた事により軽い脳震盪を起こしておりよろけていた。
「ほら、先ほどみたいに攻撃してみてください。ほら早く!」
「グホッ!」
今度は鳩尾に膝蹴りを食らう。
鈍痛と内臓を握り締められるような痛みにレイクはその場に倒れ蹲る。
「ほら立ちなさい」
「……ぐぅええええぇぇ!」
あまりの痛みと圧迫が原因でレイクは胃の中の物を全て吐き出す。
「まったく人の命令も聞けない蛆虫が。だれが汚物吐いて良い言いましたか? こんな異臭も撒き散らして。どうしようもない蛆虫がっ!」
「グホッ!」
蹲るレイクの横腹を蹴られた衝撃で左の肋骨3本を粉砕されながら吹き飛ばされ、そのまま城壁に激突する。
城壁の一部を崩し、地面に落ちる。城壁に激突した時に粉塵が巻き起こるがエルザにとっては些細な事に過ぎない。
「ほら、早く立ちなさい。塵虫」
淡々と粉塵の中に居るレイクに歩み寄りながら命令する。
「うるせぇよ、このアマあああぁぁ!」
突如粉塵の中から姿を現したレイクは剣を持ってエルザに斬り掛かる。が、
「黙れ」
「っ! ぎゃああああああああああああぁぁぁ!!!」
剣を手にしていた右腕を音速を越える剣捌き斬り落とされる。
これまで感じたこの無い激痛に絶叫しながら地面にダイブした。
「黙れと言ったでしょう。何度言えば分かる!」
目の前の阿鼻召喚に心を痛めるどころか、泣き声が耳障りと言いたそうな表情でレイクの顔面を蹴る。
「泣くな! 喚くな! さっきの威勢はどこに行った! ほら早く立て!」
苛立ちを覚えるエルザ。自分が尊敬し愛する主を虚仮にされた存在がこうも容易く地面に倒れ伏す姿に先ほどよりも憤りを覚えてならない。
殴り、蹴るを何度も繰り返す。
「………た……たす……たすけて……」
「っ!」
ボキッ!
「ぎゃああああああああぁぁぁ!!!」
聞きたくも無かった言葉が耳に届いた瞬間エルザの怒りは頂点に達した。
何の前触れもなくレイクの左腕を折る。
「喚くな!」
ボキッ!
「泣き叫ぶな!」
ボキッ!
「……………たすけ……て……」
「っ!」
体中から悲鳴をあげるレイク。それはどこの骨が粉砕しようと折れようと痛みすら感じなくなっていた。ただ、全身を激痛が襲う。その事だけがレイクを恐怖させる。
意識朦朧な状態で擦れが声音で呟かれた言葉にエルザは渾身の一撃で蹴り飛ばした。
再び城壁に激突したレイクは磁力を失ったマグネットのように地面に落ちる。
「いいですか、侮辱するにしたってそれ相応の実力と言う物が必要なんです。なのに貴方なんですか。力も無いくせに主を馬鹿にして」
「…………」
既にレイクに意識はない。だが、まだ息をしている。それだけで奇跡だと言わざる終えない。
「身の程を知れ、雑魚!」
最後はエルザの一振りによって戦いは、いや、リンチは幕を閉じた。
「予想以上の愚者のせいで我を忘れていました。反省です。どうやら服は汚れていないようですね………良かった」
身だしなみを整えたエルザはエリーゼたちの許へ歩き出した。
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