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第六章 帰って早々、呆気なくフィリス聖王国調査を始めました。

第三十七幕 七聖剣と立ち去りたい

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「で、エクスたちの処罰はどうすんだよ」
「一週間の謹慎と半年の減給とする」
「ま、妥当なところだな」
 どれだけ精神が幼くても数少ないハイヒューマンを七聖剣から降ろす事は難しいのだ。

「さて、次が最後の議題だ。カズヤ・アサギリ」
 レイの一言で全員が視線が和也に集中する。

「君が元勇者であり、冒険者だったことは報告を受けて知っている。それでも君は魔族と亜人種と戦えるか?」
 射殺すような視線を向けるレイ。
(ライラにも言ったが、それじゃ脅迫に近いからな)
 内心そんな事を思う和也だが、

「私はすでにライラ様の部下です。それに私にも信じる正義と悪があります。それを行うためなら誰であろうと殺すだけです」
 簡素な返答。しかし和也から吐かれた言葉はどこか冷徹に聞こえるのであった。

「分かった。なら改めて自己紹介を行おう。俺は七聖剣第一席、レイ・グラームだ」
「七聖剣第二席、ベイラント・アーサーだ! よろしくな!」
「七聖剣第三席、リアン・テネシー。宜しくねカズヤ君」
「七聖剣第四席、ライラ・オネスト。今更だが宜しく頼む」
「七聖剣第五席、クロウ・レガート」
「七聖剣第六席、イザベラ・コンタージュよ。よろしくね」
「七聖剣第七席、エクス・スピナです。宜しくね」
 全員が個性豊かな挨拶をする。それに対して和也は。

「朝霧和也と言います。色々な事情により現在はライラ様の部下です。どうぞこれからもよろしくお願いします」
 軽く社交辞令をこなすだけだった。

「どうやら君が居た世界では礼儀を知っているようだな」
「それは私住んでいた国が礼儀を重んじる国だったからだけの話です」
「だとしてもだ。さて、これにて会議は終了とする。カズヤと話したい者もいるだろう。が、節度を守って話すように。以上だ」
 まるで転校生に興味を示す同級生たちに向かって注意を促す先生のような事を最後に円卓会議は終了したのだった。
(さて、さっそく始めるとするか)
 ようやく行動できると思っていた和也だが、それは早計な考えとなった。

「カズヤよ。少し良いか?」
「これはアーサー様、如何されましたか?」
 まるでライオンのたてがみのような赤髪のベイラントは和也に接近してきた。

「お主の事情は報告書を読んである程度は知っておるぞ! 平和な国で生まれながらたった一年弱でその強さを手に入れ、貴族吸血鬼を一騎討ちの末討ち取った功績、同じ騎士として感服いたすぞ!」
「第二席アーサー殿にお褒めの言葉を頂けるなど歓迎の極みにございます。しかし、私など七聖剣の足元にも及ばない若輩者。今後とも宜しくお願いいたします」
「そう畏まる必要はない! ライラ殿と会話しているように普段らしくでよい!」
(ほんと元気なおっさんだな)

「そうよ。いつも道理で構わないわ」
「これは第六席のコタージュ殿」
「イ・ザ・ベ・ラ。私の事はそう呼んで欲しいわね。異世界の勇者君」
(こっちはこっちで軽いな)

「二人ともあまりカズヤを困らせないで貰いたい」
「ライラちゃんお久しぶりね。こうやって話すのは半年振りかしら?」
「ええ、氾濫した魔物討伐作戦以来だそれとちゃん付けは止めてくれ」
「ライラ殿これは失礼した。しかしたった一年弱で貴族吸血鬼を倒すほどの男。興味を持たぬ方がおかしい」
「そうよ。ライラちゃんだってカズヤ君の冒険者としての噂を耳にして勧誘したくせに」
「それをいわれると返す言葉も無いがそれでもカズヤは私の部下なのでな。お二人に失礼があっては上司として面目が立たぬ」
「そういった事気にしないくせに」
「うっ」
「安心せい。ライラ殿から奪ったりはせぬよ」
「っ~~」
 二人の言葉に硬直するライラ。そんな会話からすっかり除け者となった和也は早くこの場から立ち去りたいと思うのであった。
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