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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。

第百二十二幕 デセオと屑

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 エルフから貴重な話を聞き出せた千夜は緊急会議を行うとしてエリーゼたちを集めた。

「それでどうだったの?」
「ああ、間違いなく犯人は現在の長だ」
「ま、まさかお父様が!」
「いや、今の長は別の奴がやっているらしい」
「いったい誰なのじゃ?」
「名前はデセオだ」
「そ、そんな……」
 千夜の言葉にミレーネ表情は絶望の色に染まっていく。

「ミレーネ辛いと思うが話してくれないか?」
「………はい」
「ありがとう。やはりミレーネは優しくて強いな」
 千夜はミレーネを優しく、包み込むように抱きしめる。

「そんなことありません」
 ミレーネもまた優しげな温もりを感じるため千夜の背中に手を回す。

「さて、教えて貰えるか?」
「はい。デセオは私より二つ年上のエルフで優秀な人でした。ですが長は代々、前長の血縁の者が受け継ぐ決まり、それに不満がある場合は次代の長と決闘し勝利を得ることです。しかし……」
「決闘の結果、ミレーネが勝ったんだな」
「はい。私たちの決闘はダークエルフたちのような肉弾戦ではなく、狩で勝敗を決めます。自分で言うのも恥ずかしいですが、弓の才能に恵まれていたデセオよりも、それ以上に私は恵まれていました」
(大体の動機は見えてきたな)

「それにデセオは私たちの世代の中でも一番をとる事に執着してましたから」
「なるほどね。つまりは長になりたかったけどミレーネに負けた事が屈辱的でその恨みを晴らすためと長になるためにミレーネを犯人に仕立てたわけね。とんだ屑ね」
「屑じゃな」
「屑以下ですね」
(俺の妻たちは強くなるにつれ、口が悪くなるな。それよりも屑以下ってなんだ?)

「ま、犯人は分かった。だが、証拠はない。今の話をしたところで言い訳だと切り捨てられるのがオチだ」
「なら、どうするの?」
「現在長はであるデセオは村にいないらしい」
「それって」
「ああ、エルフ以上に人間は貪欲だ。どこかで人間たちと密会をしている可能性が高い」
「なるほどね。でもどうやって探し出すの?」
「ミレーネ森と森の外周辺で人目がつかない場所はしらないか」
「確か森の反対側は危険な場所が多いからと村の人たちも近づかない場所があります。理由は分かりませんが。このあたりで人目につかない場所となるとそこら辺しかありません」
「いや、それだけで十分だ。さて、これより捜索と隠密行動の実習訓練を行う。ターゲットはデセオ。必ず見つけて気づかれないようにする事が今回の訓練内容だ。良いな?」
「「「はい!」」」
 ミレーネ以外はやる気満々に返事をする。

「安心しろ悪いようにはしない」
「本当ですか?」
「ああ。だが、ミレーネやエリーゼたちに危害を加えるようなら容赦はしない。それで良いな」
「はい。それで構いません!」
 決意を固めたのか、ミレーネの瞳には強い意志が宿っていた。
(まったく強いな。俺の妻たちは)
 こうして千夜たちは、デセオ捜索が開始された。
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