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第五章 依頼が無いので、呆気なく新婚旅行に行く事になりました。
第百十六幕 ベラノの森と船酔い
しおりを挟む「ここがベラノの森か」
「はい、ここが私が生まれて数年の間ですが暮らしていたベラノの森です。迷いの森のように強い魔物は殆ど居らず、住み心地の良い場所です。でも、エルフは警戒心が強いので集落から一定の範囲に方向阻害結界が張ってあります」
「私たちの家と同じって事ね」
「いえ、あそこまで高性能ではありません。ましてやたった数メートルの距離にある建物の変えるほど強い結界は私たちにも不可能です。せいぜい出来るのは方向感覚を狂わせることぐらいです」
あらためて千夜の凄さを思い知るエリーゼたちである。
「それよりも行くぞ。ミレーネ案内を頼む」
「解りました」
(ここからは何が起きるか分からないからな警戒を最大にしておくか)
マップ、危機察知、探索全てを発動して森の中へと進んでいく千夜たち。なお、スケアクロウは再び謎の亜空間に戻り、馬車はアイテムボックスに収納した。
歩き続けること数分。
「のどかなところね。空気も美味しくて気持ちが良いわ」
「ありがとうございます」
「確かに気持ちがいいな。このまま横になって昼寝が出来そうだ」
それほど気分が良くなる程素晴らしい森なのだ。しかし、それほど素晴らしい森なのに今まで人間たちが踏み入れなかったかというと、理由は二つある。
一つは、場所の問題である。ガレット獣王国国内にあるため人間たちが攻め入れなかったこと。
もう一つは、エルフたちが最初から住み着いていたことだ。数の力で奪い取れば簡単だが、それだけの数となると侵攻してきたのではないかと国際問題になる恐れがあるため、だからといって少数で攻め入れば魔法と精霊魔法、弓が得意なエルフに返り討ちにあってしまう。まして土地勘はエルフにあるため奪うにも奪えなかったのだ。
それから進むこと数分。
「結界か」
「流石はセンヤさんですね。ここから先は結界が張ってあります。ですので必ず私についてきてください。逸れたら大変ですから」
ミレーネの言葉に頷くエリーゼたち。
(確かに酔いそうになるな。普通に奴らは気付かないだろうが、どうも変な気分だ)
全てにおいて常識外れの千夜にとっては結界を感知できてしまうため、方向阻害の魔力が漂うこの空間では船酔いのような感覚に襲われていた。
(結界を破壊することは簡単だが、そうもいかないからな)
無駄に相手を刺激しないため、我慢してミレーネの後を追いかける。
そしてようやく、目的に到着するのであった。
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