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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第百三幕 洞窟内の港とプライドによる独断先行
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海賊たちの悲鳴や殺意の咆哮が洞窟内に響き渡る。
それを耳にした他の海賊たちがゾロゾロと集まり千夜たちに襲い掛かる。
「いったい何人いるのよ!殺しても殺しても限がないわよ!」
「文句言っても仕方が無いだろ!」
「分かってるわよ!」
減る気配の無い敵に怒鳴り散らすかのように愚痴るアイーシャにレイネが叱責する。
「それに私たちよりもセンさんたちのほうが大変なんですから頑張りましょうよ!」
「分かってるわよ!」
アイーシャたちが相手する海賊たちの数倍の数を千夜たちは相手に戦っていた。戦いは弱い方から叩くのがセオリーだが、それをさせないように位置取りをして戦っていた。が余裕の無いアイーシャたちにはその事に気づくはずもなかった。
「レイネ後ろ!」
「しまっ――!」
一時間以上にも感じる混戦にアイーシャたちの動きが鈍くなる。そんな僅かな隙を海賊たちが見逃すはずがない。
しかし集団戦闘、多対一の戦闘も視界の悪い場所での戦闘も何度も経験したことのある千夜たちからしてみれば造作もない。
「ぐはっ!」
戦闘のプロフェッショナル。
それが如何に凄く心強い存在か彼女たちは今まさに体験しようとしていた。
「大丈夫かえ?」
「あ、ありがとう」
「なぁに気にせぇへんでええ。今は同じ敵を倒す仲間なんじゃからな」
クロエの放った短剣でレイネは助けられた。
「クーエ。アイーシャたちの援護に回ってくれ」
「分かったぇ」
「え、援護なんて要らないわよ!」
しかしアイーシャにはそれが侮辱でしかなかった。
「黙りなさい。主が貴方達を助けると決めたのです。足手まといでしかない貴方達をです。ですから貴方達は黙って従っていれば良いのです!」
エルザの棘以上に殺傷能力のある言葉。流石の千夜ももう少しオブラートに包んで欲しいと思いながら戦闘を続行する。
「私だって強いんだから!」
「アイーシャ!」
だがエルザの言葉はプライドの高いアイーシャには逆効果だったらしく無謀な戦闘を開始してしまった。
(私は強いんだ!タイチにだって凄いって言われたんだから!こんな雑魚なんて私一人で――)
「キャッ!」
集団戦闘に慣れていないアイーシャたちの体を自分が思っていた以上に疲労していたらしく海賊の一撃に尻餅をついてしまう。
「け、剣!」
手から離れた剣を慌てて拾うとする。が、
「よくも俺たちの仲間をやってくれたな!」
「後悔させてやるよ!」
「触るな汚らわしい!」
腕や足を掴まれ暴れるが男数人を払いのける力はアイーシャにはない。
「えへっ、存分に味合わせてもらうぜ」
「やっ、やめろ!」
「誰が止めるかよ!」
涙目になりながらも抗うアイーシャ。
(お願い、誰か助けて!タイチ!)
「最初は俺からい――」
「え?」
ズボンを下ろそうとした男の顔が真っ二つに一刀両断される。頬に飛び散る鮮血と目の前の光景にアイーシャの脳は一瞬思考停止する
「戦闘中に女を陵辱とは馬鹿だろお前ら」
なんの感情も宿っていない眼精が海賊たちを見下ろしていた。
「てっ、てめ――!」
海賊たちがアイーシャを犯すのをやめ千夜に斬りかかるが一瞬にして腕と首が切落とされる。
「大丈夫か?」
「なんで助けたのよ」
「余計なお世話だったか?」
「ええ、余計なお世話よ!私なら余裕で倒せたわ!」
「きさ――」
怒りで飛び掛ろうとするエルザを手で制すとアイーシャと話し出す。
「それは悪かったな。だが海賊狩りの間は俺の指示に従う約束だったよな」
「………」
「次から俺の指示に従って貰う。それが従えないのなら。乗ってきた船の物置にでも縛って押し込んでおくがどうする?」
「……分かったわ。次からはちゃんと従う」
「なら、良い」
「それよりなんで私を助けたのよ」
「俺は女を無理やり犯すような行為が嫌いなだけだ。だから見るのも虫唾が走る」
「そ、そう」
冷徹な男かと思っていたアイーシャだったが以外に良いところもあるんだと思った。
(少し!ほんの少しだけよ!)
「さて、残りの敵を片付けるか」
クロエたちが足止めしていたお陰で無事に助け出せた千夜は戦闘のど真中へと走りこんでいった。
そのあとは僅か数分で残りの海賊たちを全滅させてしまった。
「なんなのよ……」
「これがAランクの実力なんでしょうか」
「凄すぎる」
目の前に広がる死体の山にアイーシャたちは戦慄を覚える。
人が僅かな時間でこれだけの人間を殺せてしまうだけの力を持っていることに。
「おい、何をしているさっさと向かうぞ」
「う、うるさいわね。それぐらい分かっているわよ!」
千夜に急かされて慌てて走って追いかけるアイーシャたちだった。
「さて、残りはこの奥にいる海賊たちの親玉だな」
「聞き出せるだけ情報を吐かせたあと細切れにして魚どもの餌にしてやります」
「情報を聞き出したあとなら構わない」
先頭である千夜たちが不敵な笑みを浮かべていたがアイーシャたちからは見えなかった。それが結果的に正解だったことなど知るはずもない。
それを耳にした他の海賊たちがゾロゾロと集まり千夜たちに襲い掛かる。
「いったい何人いるのよ!殺しても殺しても限がないわよ!」
「文句言っても仕方が無いだろ!」
「分かってるわよ!」
減る気配の無い敵に怒鳴り散らすかのように愚痴るアイーシャにレイネが叱責する。
「それに私たちよりもセンさんたちのほうが大変なんですから頑張りましょうよ!」
「分かってるわよ!」
アイーシャたちが相手する海賊たちの数倍の数を千夜たちは相手に戦っていた。戦いは弱い方から叩くのがセオリーだが、それをさせないように位置取りをして戦っていた。が余裕の無いアイーシャたちにはその事に気づくはずもなかった。
「レイネ後ろ!」
「しまっ――!」
一時間以上にも感じる混戦にアイーシャたちの動きが鈍くなる。そんな僅かな隙を海賊たちが見逃すはずがない。
しかし集団戦闘、多対一の戦闘も視界の悪い場所での戦闘も何度も経験したことのある千夜たちからしてみれば造作もない。
「ぐはっ!」
戦闘のプロフェッショナル。
それが如何に凄く心強い存在か彼女たちは今まさに体験しようとしていた。
「大丈夫かえ?」
「あ、ありがとう」
「なぁに気にせぇへんでええ。今は同じ敵を倒す仲間なんじゃからな」
クロエの放った短剣でレイネは助けられた。
「クーエ。アイーシャたちの援護に回ってくれ」
「分かったぇ」
「え、援護なんて要らないわよ!」
しかしアイーシャにはそれが侮辱でしかなかった。
「黙りなさい。主が貴方達を助けると決めたのです。足手まといでしかない貴方達をです。ですから貴方達は黙って従っていれば良いのです!」
エルザの棘以上に殺傷能力のある言葉。流石の千夜ももう少しオブラートに包んで欲しいと思いながら戦闘を続行する。
「私だって強いんだから!」
「アイーシャ!」
だがエルザの言葉はプライドの高いアイーシャには逆効果だったらしく無謀な戦闘を開始してしまった。
(私は強いんだ!タイチにだって凄いって言われたんだから!こんな雑魚なんて私一人で――)
「キャッ!」
集団戦闘に慣れていないアイーシャたちの体を自分が思っていた以上に疲労していたらしく海賊の一撃に尻餅をついてしまう。
「け、剣!」
手から離れた剣を慌てて拾うとする。が、
「よくも俺たちの仲間をやってくれたな!」
「後悔させてやるよ!」
「触るな汚らわしい!」
腕や足を掴まれ暴れるが男数人を払いのける力はアイーシャにはない。
「えへっ、存分に味合わせてもらうぜ」
「やっ、やめろ!」
「誰が止めるかよ!」
涙目になりながらも抗うアイーシャ。
(お願い、誰か助けて!タイチ!)
「最初は俺からい――」
「え?」
ズボンを下ろそうとした男の顔が真っ二つに一刀両断される。頬に飛び散る鮮血と目の前の光景にアイーシャの脳は一瞬思考停止する
「戦闘中に女を陵辱とは馬鹿だろお前ら」
なんの感情も宿っていない眼精が海賊たちを見下ろしていた。
「てっ、てめ――!」
海賊たちがアイーシャを犯すのをやめ千夜に斬りかかるが一瞬にして腕と首が切落とされる。
「大丈夫か?」
「なんで助けたのよ」
「余計なお世話だったか?」
「ええ、余計なお世話よ!私なら余裕で倒せたわ!」
「きさ――」
怒りで飛び掛ろうとするエルザを手で制すとアイーシャと話し出す。
「それは悪かったな。だが海賊狩りの間は俺の指示に従う約束だったよな」
「………」
「次から俺の指示に従って貰う。それが従えないのなら。乗ってきた船の物置にでも縛って押し込んでおくがどうする?」
「……分かったわ。次からはちゃんと従う」
「なら、良い」
「それよりなんで私を助けたのよ」
「俺は女を無理やり犯すような行為が嫌いなだけだ。だから見るのも虫唾が走る」
「そ、そう」
冷徹な男かと思っていたアイーシャだったが以外に良いところもあるんだと思った。
(少し!ほんの少しだけよ!)
「さて、残りの敵を片付けるか」
クロエたちが足止めしていたお陰で無事に助け出せた千夜は戦闘のど真中へと走りこんでいった。
そのあとは僅か数分で残りの海賊たちを全滅させてしまった。
「なんなのよ……」
「これがAランクの実力なんでしょうか」
「凄すぎる」
目の前に広がる死体の山にアイーシャたちは戦慄を覚える。
人が僅かな時間でこれだけの人間を殺せてしまうだけの力を持っていることに。
「おい、何をしているさっさと向かうぞ」
「う、うるさいわね。それぐらい分かっているわよ!」
千夜に急かされて慌てて走って追いかけるアイーシャたちだった。
「さて、残りはこの奥にいる海賊たちの親玉だな」
「聞き出せるだけ情報を吐かせたあと細切れにして魚どもの餌にしてやります」
「情報を聞き出したあとなら構わない」
先頭である千夜たちが不敵な笑みを浮かべていたがアイーシャたちからは見えなかった。それが結果的に正解だったことなど知るはずもない。
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