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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第七十六幕 地下室と日記
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施錠するための鍵穴などはなく、また魔法やスキルによる封鎖もされてはいないが長年放置されていたせいか、酸化による赤錆などで開け難くなっていた。が、千夜の腕力を持ってすれば容易いものだ。
まるで悲鳴を上げるかの如く軋みませながら開いた扉の中には下へと続く鉄の梯子が壁に取り付けられているだけだった。
「どうしますか?」
「降りるしかないだろう」
「では、私が下に下りて安全の確認を」
率先して立候補したエルザだったが、千夜によって拒否される。
「いや、先に俺がおりよう。その次にお前だ」
「お、俺!?」
指差された冒険者はまさか自分が選ばれるとは思っていなかったようだ。
「そうだ。その次に降りるベノワの護衛を頼む。もしかしたら下で魔物に襲われるかもしれないからな。さすがにベノワを守りながら戦うの難しい」
「わ、分かった」
魔物が住まう地下室に行くことになってしまっい恐怖で体が震えるが、Aランクの冒険者に頼まれたということが彼に自身を与えた。
「よし、それじゃ残りは班ごとに順番に降りて来い。ルーザは最後だ。降りている最中に襲われないとも限らないからな」
「分かりました」
こうして順番が決まると千夜は梯子に足をかけて降りていくのだった。
照明の魔法で垂らされた地下への通路はいまだに底が見えないほど深く長いものだった。
(もしかしたら20メートルはあるか)
内心そんなことを思いながらゆっくりと降りているとようやく底が見えた。
(いろいろと散らばっているな)
そんな事を思いながら千夜は床に着地する。
照明の魔法で照らされた室内にはベッド、机、本棚と必要最低限のものしかなかったが、ここに誰かが住んでいたことは間違いないだろうと千夜は判断した。
(それに魔物がいる気配はないし、入ってこれないだろう。でなければこんなところに住んだりはしないはずだ)
そんな事を思っていると、千夜に選ばれた冒険者が降りてきた。
「ま、魔物は居るか?」
「いや、いない。どうやらここは昔誰かが住んでいたようだ」
「そのようだな」
部屋を見渡して納得した冒険者はベノワが降りてくるのを待つ。
(この広さだと全員入るのは無理だな。仕方が無い)
そう判断した千夜はアイテムボックスから通信結晶を取り出しエルザに繋ぐ。
『どうかされましたか?』
「そっちの状況はどうなっている?」
『今のところは問題はありません』
「そうか。なら今、上に居る奴等はそのまま待機していくれ」
『どういうことでしょうか?』
「思いのほか部屋が狭くてな。全員は入れそうにないんだ」
『解りました。では上で待機しております』
「頼んだ」
通信を終えた千夜は懐に終うふりをしてアイテムボックスに収納した。
今降りている冒険者たちを待つこと十数分後、千夜を含めて6人が一室に集まっていた。
「ここに財宝はなさそうだな」
「確かにな」
集まった冒険者たちがそんな事を口にするが千夜は気にする様子もなく、ベノワに話しかける。
「それでどうする?」
「この海底遺跡に関する物が見つかるかもしれません。出来れば地図などがあればいいのですが」
「分かった探してみよう」
こうして手分けして財宝や武器、海底遺跡に関する情報を集めはじめるのだった。
千夜は本棚から適当に本を抜き取りパラパラと捲るがそこに書かれてあったのは、料理に関するものだった。遥か昔の本ということもありとても貴重なものではあるが、千夜にとって今欲している情報とは違うと解るとすぐに本棚に戻した。
(これといった物は見当たらないな。やはりここに住んでいた奴はすでに出て行ったようだな)
死体が無いことから戻ってきては無いと判断した。
次に机の上を調べてみるがあるのは汚れた白紙と文房具のみ、日記や資料などは一切ない。
(隠し通路も見当たらないし、完全に外れだな)
内心そんな事を思いながら千夜はあることに気が付いた。
(椅子がない)
そう、この部屋には椅子が無いのだ。
本棚や机、ベッドはあるにも関わらず何故か椅子がない。
(もしかしてあの上にあったのがここで使われていた椅子なのか?だがどうやって持ち出した。もしかして俺と同じでアイテムボックス持ちなのか?それになんで椅子を持ち出した。この場所を見つけられないようにするにしても別に椅子じゃなくても良いはずだ)
思考の海に潜っていると一人の冒険者が何かを見つけたようだ。
「なあ、これって日記の一部だよな」
その言葉に全員がその男の許に集まる。
「見せてもらっても良いですか?」
「ああ」
ベノワはその千切られたであろう日記の一片を読む。
千夜も内容を覗き見る。そこには、
──────────────────────────────────
5月16日
今日もまた外に出ることが出来なかった。
私はなんて臆病なんだろう。外に出るのが怖い。でもまたあいつ等に教われると思うと足が竦む。
5月17日
今日はあいつ等がこの場所にやってきた。どうしようこのままだと私、殺されちゃう!
5月18日
私は自分の身を守るために守護者を創った。私の可愛い生き物たち。
5月19日
再びあいつ等がやってきた。でもあの子達が全員倒してくれた。なんて強いんだろう。これでもう私は大丈夫だ。
5月20日
今日もまたあいつ等がやってきた。
どうしてあいつ等はそんなに私の力を欲するの?
私はただ自由自適に生きたいだけなのに。
5月21日
終わりだ。
まさか、あの子達を倒しちゃうなんて!このままだと
──────────────────────────────────
「あれ続きは?」
「駄目ね。昔のだから虫に食べられて無くなってる」
所々穴が開いているが運良く文字の所は食べられて居なかったが、最後の部分だけガッツリと食べられていた。
「でもこの日記は」
「ああ、間違いなくこの海底遺跡を作った人物の物だろう」
千夜はそう推測した。
(創ったということはあの巨大ウツボも魔物生成スキルかなんらかの力で創ったってことだろう)
千夜は内心そう判断するとすぐさま切り替えて情報が手に入りそうな物をだけを持ち帰る事にした。
まるで悲鳴を上げるかの如く軋みませながら開いた扉の中には下へと続く鉄の梯子が壁に取り付けられているだけだった。
「どうしますか?」
「降りるしかないだろう」
「では、私が下に下りて安全の確認を」
率先して立候補したエルザだったが、千夜によって拒否される。
「いや、先に俺がおりよう。その次にお前だ」
「お、俺!?」
指差された冒険者はまさか自分が選ばれるとは思っていなかったようだ。
「そうだ。その次に降りるベノワの護衛を頼む。もしかしたら下で魔物に襲われるかもしれないからな。さすがにベノワを守りながら戦うの難しい」
「わ、分かった」
魔物が住まう地下室に行くことになってしまっい恐怖で体が震えるが、Aランクの冒険者に頼まれたということが彼に自身を与えた。
「よし、それじゃ残りは班ごとに順番に降りて来い。ルーザは最後だ。降りている最中に襲われないとも限らないからな」
「分かりました」
こうして順番が決まると千夜は梯子に足をかけて降りていくのだった。
照明の魔法で垂らされた地下への通路はいまだに底が見えないほど深く長いものだった。
(もしかしたら20メートルはあるか)
内心そんなことを思いながらゆっくりと降りているとようやく底が見えた。
(いろいろと散らばっているな)
そんな事を思いながら千夜は床に着地する。
照明の魔法で照らされた室内にはベッド、机、本棚と必要最低限のものしかなかったが、ここに誰かが住んでいたことは間違いないだろうと千夜は判断した。
(それに魔物がいる気配はないし、入ってこれないだろう。でなければこんなところに住んだりはしないはずだ)
そんな事を思っていると、千夜に選ばれた冒険者が降りてきた。
「ま、魔物は居るか?」
「いや、いない。どうやらここは昔誰かが住んでいたようだ」
「そのようだな」
部屋を見渡して納得した冒険者はベノワが降りてくるのを待つ。
(この広さだと全員入るのは無理だな。仕方が無い)
そう判断した千夜はアイテムボックスから通信結晶を取り出しエルザに繋ぐ。
『どうかされましたか?』
「そっちの状況はどうなっている?」
『今のところは問題はありません』
「そうか。なら今、上に居る奴等はそのまま待機していくれ」
『どういうことでしょうか?』
「思いのほか部屋が狭くてな。全員は入れそうにないんだ」
『解りました。では上で待機しております』
「頼んだ」
通信を終えた千夜は懐に終うふりをしてアイテムボックスに収納した。
今降りている冒険者たちを待つこと十数分後、千夜を含めて6人が一室に集まっていた。
「ここに財宝はなさそうだな」
「確かにな」
集まった冒険者たちがそんな事を口にするが千夜は気にする様子もなく、ベノワに話しかける。
「それでどうする?」
「この海底遺跡に関する物が見つかるかもしれません。出来れば地図などがあればいいのですが」
「分かった探してみよう」
こうして手分けして財宝や武器、海底遺跡に関する情報を集めはじめるのだった。
千夜は本棚から適当に本を抜き取りパラパラと捲るがそこに書かれてあったのは、料理に関するものだった。遥か昔の本ということもありとても貴重なものではあるが、千夜にとって今欲している情報とは違うと解るとすぐに本棚に戻した。
(これといった物は見当たらないな。やはりここに住んでいた奴はすでに出て行ったようだな)
死体が無いことから戻ってきては無いと判断した。
次に机の上を調べてみるがあるのは汚れた白紙と文房具のみ、日記や資料などは一切ない。
(隠し通路も見当たらないし、完全に外れだな)
内心そんな事を思いながら千夜はあることに気が付いた。
(椅子がない)
そう、この部屋には椅子が無いのだ。
本棚や机、ベッドはあるにも関わらず何故か椅子がない。
(もしかしてあの上にあったのがここで使われていた椅子なのか?だがどうやって持ち出した。もしかして俺と同じでアイテムボックス持ちなのか?それになんで椅子を持ち出した。この場所を見つけられないようにするにしても別に椅子じゃなくても良いはずだ)
思考の海に潜っていると一人の冒険者が何かを見つけたようだ。
「なあ、これって日記の一部だよな」
その言葉に全員がその男の許に集まる。
「見せてもらっても良いですか?」
「ああ」
ベノワはその千切られたであろう日記の一片を読む。
千夜も内容を覗き見る。そこには、
──────────────────────────────────
5月16日
今日もまた外に出ることが出来なかった。
私はなんて臆病なんだろう。外に出るのが怖い。でもまたあいつ等に教われると思うと足が竦む。
5月17日
今日はあいつ等がこの場所にやってきた。どうしようこのままだと私、殺されちゃう!
5月18日
私は自分の身を守るために守護者を創った。私の可愛い生き物たち。
5月19日
再びあいつ等がやってきた。でもあの子達が全員倒してくれた。なんて強いんだろう。これでもう私は大丈夫だ。
5月20日
今日もまたあいつ等がやってきた。
どうしてあいつ等はそんなに私の力を欲するの?
私はただ自由自適に生きたいだけなのに。
5月21日
終わりだ。
まさか、あの子達を倒しちゃうなんて!このままだと
──────────────────────────────────
「あれ続きは?」
「駄目ね。昔のだから虫に食べられて無くなってる」
所々穴が開いているが運良く文字の所は食べられて居なかったが、最後の部分だけガッツリと食べられていた。
「でもこの日記は」
「ああ、間違いなくこの海底遺跡を作った人物の物だろう」
千夜はそう推測した。
(創ったということはあの巨大ウツボも魔物生成スキルかなんらかの力で創ったってことだろう)
千夜は内心そう判断するとすぐさま切り替えて情報が手に入りそうな物をだけを持ち帰る事にした。
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