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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す

第三十三話 懸賞金ゲット!だけど……

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「ちょっと待ってろ。ジン頼んだ」
「了解」
 ロットの指示で俺はアイテムボックスから盗賊たちの死体を出す。

「鷹の爪、総勢21人の死体だ。確認してくれ」
「アイテムボックス持ちなのか」
「そうだが。それよりも確認を頼む」
「わ、分かりました」
 別に急かした覚えがないが男性職員は急いで確認する。
 待たされる事40分。ようやく確認が終わった。

「確かにこいつらは盗賊集団鷹の爪で間違いありません。リーダーのギブスはBランク冒険者に匹敵する実力者のはずですが、よくこれだけの人数をたった6人で倒せましたね」
「運が良かっただけさ」
「そうですか。それでは懸賞金を支払いますのでこちらの紙を受付に渡してください」
 さっきから何かメモっていたがなるほど、確認したって事を教えるためか。
 渡された紙を持って俺たちは受付に戻った。

「確認を終えました。盗賊集団鷹の爪の討伐を確認しました。懸賞金はどうされますか?」
「ああ、それならジンに――」
「山分けで頼む」
「ちょっ!待ってくれ!」
 あわてて止めに入るロット。なにか不満でもあったのか?

「もしかしてもう少し欲しいのか?さすがにそれは俺が困るんだが」
「そうじゃない!鷹の爪の大半を倒しのはジンだろ。なのにどうして山分けなんだ!」
「そうよ!逆にそれは貰いすぎよ!」
「そ、そうか。なら遠慮なくギブスの報酬は俺が貰う形で盗賊集団の報酬は山分けってことで」
「それでもまだ多いわよ!」
 まだ多いのか。ま、多く貰えるわけだし俺には文句はないけど、それはあまりにも無欲過ぎないか?

「それじゃ、ギブスの懸賞金と鷹の爪の懸賞金を俺が半分貰うってのでどうだ?」
「それなら別に構わないが……」
 どうにか納得してくれたか。

「なら懸賞金は現金でくれ。ロットたちは振込みで良いんだよな?」
「ああ」
「畏まりました。少々お待ちください」
 こうして俺は盗賊集団鷹の爪の懸賞金30万RKとギブスの懸賞金30万RKを合わせて60万RKも手に入れる事が出来た。
 Eランクになってそれだけの大金が入るって俺も何気にチート主人公みたいな人生を送り始めたな。ま、それでも全然足元には及ばないけど。
 依頼を終えた俺たちは冒険者組合を後にした。

「それでこれからどうするんだ?」
「この後は自由行動だ。何か行きたい所でもあるなら案内するぞ」
「それならいくつか家電や家具を買いたいんだが、良い所しらないか?」
「それなら私に任せて!」
 そんな俺の言葉に自信たっぷりに答えたのはルーチェだった。

「私こう見えても家電や家具には詳しいから!」
「そ、そうか」
 ちょっと心配になってロットたちに視線を向けたが心配するなって顔をされてしまった。ま、任せてみるか。
 ハンヴィーに乗った俺たちは家電製品を売っているお店へと向かう。

「それで何を買いたいの?」
「そうだな……」
 冷蔵庫、空気清浄機、掃除機、エアコン、あとはベッドにソファ、テーブルぐらいか。あとテレビも欲しいけど繋ぐの面倒だしな。いや、この気にネットもテレビも繋げるか。そうなるとパソコンも買わないと駄目か。そう考えると色々と出費が重なるが、ま、金がある時に買っておくか。

「欲しいのは冷蔵庫、空気清浄機、掃除機、エアコン、テレビ、パソコン。家具はベッド、ソファ、テーブルだな」
「何も揃ってないのね……」
「拠点となるビルは購入したけど、それで殆ど金が無くなったからな」
「なるほどね。ならまずは家電ね。ロットそこの交差点を左折して頂戴」
「了解」
 ルーチェの案内で向かった家電メーカーを帝都やスヴェルニ王国王都でも見た大手家電メーカのお店だった。まさかここで買うのか。

「ここは商品は他のお店に比べて値段は少しだけ高いけどどこのお店よりも性能がよくて長持ちするからお勧めよ」
「そうなのか」
「それで最初に何を買う?」
「冷蔵庫を頼む。共有スペースに一つと俺の部屋に一つ置くつもりだ」
「他の部屋には置かないの?」
「まだ仲間も一人だし、入ってから買うことにするさ」
「分かったわ。冷蔵庫コーナーはこっちよ」
 まさかコーナーの場所全部頭の中に入ってるのか?ルーチェっていったい何者なんだ?
 こうして俺はルーチェの勢いに負けて流されるまま冷蔵庫を2台。60インチテレビと32インチテレビを一台ずつ、エアコン10台、空気清浄機4台、デスクトップパソコン1台、掃除機1台を購入し、別のお店でベッドを3台、10人が余裕で座れる特大ソファを1台とそれ専用のテーブル、俺の部屋用のテーブル。それとテレビ台を2台、オフィスデスクとオフィスチェアも追加購入することになり合計1633050RKと言うとんでもない購入をしてしまった。アインに知られたらなんでそんなに買ったんですか。マスターのためにもっと他に買うものがあったでしょ。ってブチ切れられそうだな。と言うか。お金が全然足りなくてロットたちに借りる羽目になってしまったんだが。

「別に俺たちは気にしてねぇよ。今回はお前のおかげで楽に仕事が出来た」
「そうです。それにルーチェの言いなりで買い物してたらお金が無くなるのは当然です」
「だから足りない分は俺たちが出すぜ」
 そう言ってくれたので、ありがたく受け取ったけどお金が貯まったら返そう。
 こうして異常な大人買いは終了した。


 9月24日月曜日。
 夕方に戻ってくると既にアインが一日目を終えて戻ってきていた。

「よ、ただい――グヘッ!」
 挨拶するなり肘鉄を鳩尾に食らい、銀を奪われた。

「マスター、とても寂しかったです」
 お、俺の事はでうでも良いのかよ。

「あ、帰って来てたんですか。盗賊に襲われて死ねば良かったのに」
 なんて態度の違いだ。ここまで平然と言われると悲しみよりもあっぱれって言いたくなってくるぜ。
 どうにか3階の共有スペースへとやってきた俺は鈍痛が治まるのを待ちながらソファに全体重を預ける。

「まったく帰ってくるなり、なんてだらしない姿なんですか。これだからミジンコは」
「だれのせいでこうなったと思ってるんだ」
「疲れたからではないのですか?」
 お前にはさっきの肘鉄は記憶にないのか。

「それよりも今日の試験はどうだったんだ?」
「楽勝です。筆記試験は満点、実技試験Ⅰも瞬殺勝利です」
「そうか」
「驚かないのですか?」
「お前のステータスを見てるからな。筆記試験と実技試験Ⅰは余裕でクリアすると思ってたからな」
「ミジンコ以下の知能の持ち主である貴方でも理解力はあるようですね」
「お前は普通に褒めるって事ができないのか?」
「褒めてますが?」
「そうかよ。それよりも問題なのは明日から行われる実技試験Ⅱだ」
「実戦試験ですよね。楽勝です」
「最初に聞いておくが明日はパーティーを組んでやるわけだが、どうするつもりだ?」
「他の受験者と共に行動するとは聞いていますが、私にとっては足手まといなだけですので切り捨てます」
「お前の事だから絶対にそう言うと思ったよ」
 確かにこいつの実力なら他の奴らなんて足手まといだろうよ。だけどそれじゃ駄目なんだ。

「さきに冒険者試験を受けて合格した先輩として助言しておく」
「僅か数週間前に奇跡的に合格したミジンコが先輩気取りですか。私そう言うの嫌いなんですが」
 これまたハッキリと言いやがるな。

「そんな考えで試験を受けたら間違いなく落ちるぞ」
「だから先輩気取り――っ!」
「良いから聞け」
「分かりました」
「明日求められるのは実戦で戦える精神力や実力じゃない。仲間との協調性だ。でなければパーティーなんか組ませるわけがないだろ。だから絶対に同じパーティーメンバーと協力して魔物を倒せ良いな?」
「分かりました。ミジンコでも私より経験者であることは確かですから助言として覚えておきましょう」
 まったくコイツは。
 これ以上何を言っても聞きそうに無いと思った俺は部屋に戻って寝ることにした。
 買った家具や電化製品は明日設置すれば良いか。


 9月25日火曜日。
 起きると既に10時を回っていた。
 この時間帯なら既にアインは試験場となる森の中だろう。上手くやっていると良いが、あの性格だからな。マジで心配だ。
 さて、買った家具でも取り付けるか。あ、ネットとテレビ回線繋げるように連絡しておかないと。
 まずはそれぞれの会社に連絡して繋げるように契約をした俺はさっそくテレビやソファなどを各階や部屋に取り付けていった。エアコンは明後日に業者が取り付けにくるから手元にはない。
 2時間かけて俺は家具や家電を設置した。うん、はるかに前より見栄えがよくなったな。
 もう使わなくなったボロボロのソファ類は俺のアイテムボックスの中にしまっておくか。
 さて、12時過ぎなわけだが、生憎お金がまったくない!
 なので冒険者として働くとしよう。
 Dランクの掲示板からそれなりに金になりそうな依頼を探す。と言っても殆どがパーティー専用の依頼ばかりだ。やはりフリーだとそうそう出来る依頼が無いな。金額も安いし。
 俺はその中から廃墟に住み着いたスケルトン討伐を受けることにした。

「銀、依頼に行くぞ」
「ガウッ!」
 俺と銀は早速依頼現場の廃墟へと向かった。
 40分かけてようやく到着した街外れの洋館はまさにお化け屋敷と言ってもいいような風貌をしていた。うん、スケルトンやゴーストが居てもおかしくないな。
 俺と銀は中に入る。
 金具がギィギィと軋ませながらドアを開けると中には大量のゾンビとスケルトンが居た。どうしてこんなに居るのか不思議だったが、思い返してみれば隣が墓地でそこから沸いてきたに違いない。

「銀、こいつ等は絶対に食べるなよお腹を壊すからな」
「ガウッ!」
 そう言って俺たちは戦闘を開始した。スケルトンやゾンビに指突は使えない。なので殴ったり蹴ったりして頭を破壊していく。
 それにしてもなんて臭いだ。腐臭のせいで鼻が馬鹿になりそうだ。
 さっさとこんな場所から出たい思いで俺と銀はいつも以上に戦闘に力が入る。
 何度も殴り、蹴りを繰り返す。
 1階のリビング、キッチン、応接室、2階の寝室に書斎、書庫、全てを回って俺と銀は打撃のみで倒していく。そんなに嫌なら銀の火属性魔法で焼き尽くせば良いだろうって。俺も最初は考えていたけど洋館は残して欲しいってのが依頼主からの要望なので残念ながらそれは出来ない。
 15分後全てのスケルトンとゾンビを倒した俺たちは洋館を後にして冒険者組合に報告しに向かった。
 冒険者組合にはいるなり他の冒険者や冒険者組合職員が顔を顰める。なんでだ?
 と思ったが、冒険者の一人が鼻と口を覆い隠したのでなんとなく理解した。やっぱり臭いが付いたか。

「スケルトンとゾンビの討伐を終えてきた」
「わ、分かりました。それではこちらで確認しますので討伐証拠を提出してください」
「分かった」
 俺は懐から取り出すフリをしてアイテムボックスから骸骨とゾンビの顔をカウンターに置く。

「ギャアアアアァァ!」
 涙を流しながらどこかへと逃げていった受付嬢。そんなに驚く事ないだろ。あ、もしかして新人だったのか。それなら悪いことしたな。
 んで、代わりに出てきたのはミキだった。

「もうジン君何してるんですか?」
「いや、スケルトンとゾンビの討伐報告に来たんだが討伐証拠を提出したら逃げられたんだ」
「そう言う時は骨一つとその骨と一緒に写った討伐現場を撮影してくれれば良いんですよ!」
「そうだったのか」
 分からなかったから。討伐した中で綺麗な奴を持ってきたんだが。そんな簡単な事で良かったのか。

「これからはそうするよ」
「まったく……ジン君のせいで先輩が逃げていったじゃないですか」
「え?さっきの受付嬢ミキより先輩なの?」
「はい。私より3年早く入社した先輩です」
「それにしては随分若かったように見えるんだが」
「それはつまり私が老けて見えるってことですか?」
「い、いや!そうじゃない!断じて違う」
「冗談ですよ」
 ふぅ、良かった。笑顔なのに目が笑ってなかったから。と言うかきっとあの目なら気まぐれ島の化け物連中でも余裕で逃げ出すだろうよ。
 報酬とポイントを稼いだ俺と銀は拠点にさっさと戻る事にした。
 戻るなりするに風呂に入る俺と銀。
 体の隅々まで洗った俺と銀は湯船に浸かる。

「やっぱり風呂は最高だな」
「クゥ~」
 銀も気持ち良いのか嬉しそうに目を瞑っていた。 
 風呂を上がると俺と銀は新しいベッドで寝ることにした。うん、高いベッドを買ったから寝心地が全然違うぜ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――
現在の鬼瓦人の総資産

懸賞金報酬(鷹の爪) +30万RK
懸賞金報酬(ホブス) +30万RK
大型冷蔵庫 -12万4500RK
小型冷蔵庫 -3万2000RK
掃除機 -4万8000RK
60インチテレビ -12万4700RK
32インチテレビ -3万9600RK
エアコン -3万8000RK×10
パソコン -27万8400RK
空気清浄機 -2万2900RK×4
ダブルベッド -12万3000RK
ベッド 1万6200RK×2
特大ソファ -25万6000RK
テーブル -3万5400RK
60インチテレビ台 -2万4000RK
32インチテレビ台 -7450RK
オフィスデスク -2万2000RK
オフィスチェア -1万4000RK
依頼達成報酬 +24万RK

借金-39万624RK
所持金24万RK
5階建てビル
冒険者昇格ポイント残り154ポイント
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