魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒

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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す

第二十四話 完結!?

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 ホテルに戻ってシャワーを浴びるとまた問題が起きた。

「なんで俺がソファーで寝ないといけないんだよ!」
「当たり前です。低脳な貴方にマスターと一緒に寝る資格はありません」
「なんでお前なんかにそんな事言われないといけないんだよ!」
「決まってます。私がマスターの最初で最後のメイドだからです」
 な、なんだその理由。屁理屈にもなってすら無い。もう意味が分からないと言った方が良いだろう。

「だいたいこのホテルの宿泊代を払ってるのは俺なんだぞ」
「マスターの奴隷ならそれぐらい当然です」
「ど、奴隷ってせめて眷属って言ったらどうなんだ」
「眷属は私1人だけで充分です。いえ、私以外誰にもマスターの眷属は名乗らせません」
 なんて傲慢なんだ。これほど傲岸不遜な態度と物言いをする奴を見たのは初めてだ。

「なら、銀に決めて貰おうぜ」
「良いでしょう。マスターの意思なのであれば、私も依存はありません」
 そう言うと俺たちは銀の前に立つ。

「銀、お前は俺とこの糞メイドとどっちと寝たい?」
「マスターはこの低脳で、アホで、馬鹿で、グズで、能無しで、ミジンコで、間抜けな奴隷とではなく、この才色兼備、海内無双、才学非凡、英俊豪傑、温和怜悧と一緒に寝るべきです」
 よくそれだけの嫌味と自分を褒め称えられる言葉が出てくるな。てか温和怜悧ってお前のどこが穏やかで優しいんだよ。一度眼科に行った方が良いんじゃないか?いや、こいつの場合は眼科じゃなくて大きな研究所か。
 そして銀が選んだのは、

「銀!」
「そ、そんな……!」
 この俺だった!やはりな!銀ならきっと俺を選んでくれると信じてたぞ!

「マスター、1度病院に行った方が宜しいです。間違いなく脳に深刻なダメージを受けているに違いまりません」
 いったいお前はどこまで自分本意なんだよ。ま、そこまで行けば逆に清清しいまでに傲慢な女に見えてくるけどな。
 項垂れるアインを無視して銀と一緒にベッドの中に入る。

「銀、今日は背中に乗せてくれてありがとうな」
「ガウゥ……」
 既に眠いのか小さく返事をした銀はそのまま眠りについた。

「そ、そんな……」
 まだやってるのか。だけど少し可哀想な気もしないでもないが、だからと言ってベッドを譲り渡すほど俺はあまちゃんじゃないぜ!

「それじゃ、おやすみ~」
「ええ、お永眠やすみなさい」
「今、変な当て字を作らなかったか?」
「何のことですか?」
 この女。ま、良いか。俺はそのまま眠るのだった。

「そして二度と目を覚ます事無く、残されたマスターと私は幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」


―――――――――――――――――完結―――――――――――――――――――





「って、なに物語終了みたいな事言ってんだよ!」
「チッ!」
 おい。このメイド、心の底から舌打ちしやがったぞ。

「ったくこれじゃ寝られねぇじゃねぇかよ」
「なら代われ」
「最終的には命令口調かよ」
 まったくどこまで自分勝手な奴なんだ。

「まあ、良い。それよりも眠れるまで俺に付き合え」
「無理です。嫌です。生理的に無理です。なので死ね」
 拒否と心からの願望を僅か2秒で言い放ちやがった。

「お前が俺をどう思うが知らないが、銀の事を思うなら俺の質問に答えろ」
「貴方がマスターの事を大切に想っている事は知っていますが、どうして私の事を話さなければならないんですか」
「信用できない者に銀を一時でも預けられるわけないだろ」
「っ!」
 突然目を見開かせるアイン。きっと俺の体から溢れ出す敵意と威圧に気づいたんだろ。

「……不本意ではありますが、分かりました。それで何を知りたいのですか?」
「お前は人間じゃないんだよな?」
「何を今更聞いてるんですか?やはり低脳はこれだからこまりますね」
 お前は毎度返事をする時に俺の悪口を言わなければ気がすまないのか。

「そうじゃない。お前がオートマタ、ホムンクルス、アンドロイドのどれなのかって聞いてるんだ」
「なるほど。ですが私はどれも違います。正確に言うならアンドロイドに近い存在と言っておきましょう」
「アンドロイドに近いってどういうことだ?」
「知っての通り私の動力源はマナです。今は魔力と言うようですが。一度のマナ補給で500年の稼動が可能です」
「そ、それは凄いな」
 なんだこのチートメイドは。

「勿論それは戦闘などなければの話です。戦闘をすれば魔力は減りますし損傷すれば自己再生機能を使う事になりますからその分魔力も消費します」
 なるほど、確かにそれで減らなければ間違いなく化物だな。

「そして私の身体。詳細に言えば骨はミスリル合金。筋肉はミスリル特殊繊維。間接などのはユグドラシル特殊樹脂を使用して造られています。皮膚もそうです。そして内臓や脳もあります。ですのでこうして自立して動けますし、会話も可能です。食事も人間同様に食べることも可能です。ま、食べる必要はありませんが消費した魔力を食事から摂取する事も可能です。ま、一気に大量に消費した場合はマスターの魔力を吸収する必要がありますが。ですのでアンドロイドに近い存在ではありますが、正式には貴方が挙げたどれでもありません。私はサイボーグなのです」
「なるほどな。だから最初にサイボーグって言ったのか」
「そのスカスカの脳みそでもようやく理解できましたか」
 こいつを造った局長は間違いなく感情設定を間違えてるな。もしくはMだったかのどちらかだろう。
 だけどなるほどな。だから見た目が人間にしか見えないのか。よく観察すれば瞳孔が機会のような動きをしているから分かるが、そこまで観察する奴なんていないだろうからな。こいつの正体がバレる事はないだろうが。

「ボルキュス陛下にだけは伝える必要があるだろうな」
「確かこの国の皇帝でしたね」
「よく知ってるな」
「こうしている間にも私はネットワークに接続して色々な情報を入手してますので。貴方も随分と悪さをしたみたいで」
「ああ、王族を殴った件か」
「あのまま処刑されていれば良かったのに」
 お前ってほんとブレないよな。

「ですが何故皇帝に伝える必要があるのですか?」
「決まってるだろ。お前が自由に動けるようにするためだよ。それに住所や戸籍が無ければ怪しまれるだろうが」
「別に必要とは感じませんが」
「なら、お前の素性がバレてお前を狙った奴らのせいで銀が危険に晒されても良いって言うんだな」
「うっ……分かりました。でしたら何か職業に就いていた方が怪しまれませんね」
 何気に頭の回転が速い。

「なら、冒険者になれ」
「冒険者、魔物や犯罪者を討伐する傭兵ですか。なぜ高貴な私がそんな薄汚い職に就かなければならないのですか」
「俺が冒険者だからだよ」
「なら、貴方1人で活動すれば良いでしょ。マスターと私はここで寛いでいますから」
 この女、いつかぶん殴ってやろうか。

「生憎と銀は冒険者活動を楽しんでる。それに銀を強くするためでもあるからな」
「分かりました。マスターのためと言う事ならば私は冒険者になりましょう」
 ほんと、ブレないな。ま、分かりやすいとも言えるが。

「なら明日一緒にボルキュス陛下の所に行くぞ」
「分かりました」
 話を終えた終えれはベッドに横になった。
 今度は何も言って来ないな。


 9月18日火曜日。
 朝食を終えた俺はボルキュス陛下に電話してアポを取る。俺から連絡があった事が嬉しかったのか直ぐに了承してくれた。
 9時に待ち合わせをした俺たちはゆっくりと街中を歩きながら王宮へと向かう。

「昨日も思いましたが、随分と平和になったものです」
「そんなに昔は違ったのか?」
「はい。大陸制覇を目指していた帝国と他国の戦争は苛烈でしたから。空はいつも灰色に染まっており空気も臭く。血と火薬、肉の焼ける臭いがそこら中から漂っていました」
 いったいどれだけ酷い戦争をしてたんだ。帝国の技術力を考えれば地球で起きた第二次世界大戦よりも酷い有様だったに違いない。
 だが、俺から言わせて貰えば今のこの世界も十分物騒である。平然と武器を持って歩く人々なんて前世では見たことはない。ま、アメリカや他の国にでもこんな光景は早々に見られないだろう。スラム街にでも行けば見られるかもしれないが。
 それに今は平穏な日常だがいつ魔物の大群や龍が襲ってくるかなんて分かりはしない。そうなれば一瞬にしてパニックが起きてこの場所は戦場と化すだろう。それを考えればこの世界は平和とは言えない。あの気まぐれ島と比べるなら即答で平和な場所だと断言できるけど。それを考えたら前世の日本って凄く平和な場所だったんだな。楽園とも言えるかもしれない。ま、社畜だった俺には関係ないけど。

「ま、その分警備も危機感も不十分過ぎますけど」
「平和な場所に住んでいたら誰だって危機感なんて覚えないだろうよ。まさか自分がって考える奴なんて他人から見れば被害妄想が過剰な奴だって思われて終わりだろうし。それに警備だってレグウェス帝国の技術力と比べたら数段落ちるだろうからな」
「低脳な癖に何気に的を得た事を言いますね」
 低脳は余計だろ。

「確かにその通りだと私も思います。被害妄想と言われようとその時のために備えをしている人間こそが生き残れる可能性が高いのです。それを怠るような人間はただの蛆虫以下の馬鹿です」
 それ現代の日本人に言ったら間違いなく睨まれるぞ。

「ま、確かに備えあれば憂い無しって言う諺があるぐらいだしな」
「そんな言葉があるのですか?」
 四字熟語は知っていたくせに諺は知らないのかよ。

「俺が前に居た場所にあった言葉だ」
「なるほど。その言葉を考えた人物は大変優秀な方だったのでしょう。貴方と違い」
 だからお前は一々一言余計なんだよ。あと絶対にボルキュス陛下の前でそんな態度を取るなよ。俺まで罰せられる可能性だってあるんだからな。

「それにしても随分と注目を浴びていますね」
「そりゃあな。メイド服を着て歩いていれば誰だって視線を向けるだろうよ」
「なるほど。私の正装に文句があると言う事ですね。抹消しなければ」
「なんで物騒な答えに行き着くんだよ!大多数とは違う事や考え、服装をしていれば誰だって視線を向けるだろうよ」
「なるほど。そう言う事ですか」
 この世は何気に多数決である。特に日本はそうだった。大多数の人間と考え方が違うだけで変人扱いされる。それが良いのか、悪いことなのかは置いといてだ。
 例えば、大半の人間がファッションに拘るだろう。勿論強弱はある。お金を掛ける人も居れば、ある程度で抑える人も居る。だがそのファッションに一切の興味が無く同じ服を何枚も買って使いまわして要ればそれは変人に思われるだろう。
 何故なら、ファッションをする事は当たり前という考えが無意識にあるからだ。
 それと同じで当たり前と言う大多数の意見とは違うこと。または違う意見を持っている人間と言うのは変人として見られがちで、忌避感を持たれ易かったりする。それが嫌ならその大多数と同じ事をすれば良いし。自分の意思を貫き通すのであれば気にしなければ良い。
 そうこうしているうちにそろそろ時間なので俺たちは王宮に向かった。
 警備員に伝えると普通に通れた。またお前か、みたいな顔をされてしまったが、そんなに頻繁に来てはいない筈だ。
 王宮内に入るとイオが出迎えてくれた。シャルロットが出迎えてくれるものかと思っていたが、どうやら学園に行っているらしい。学生なんだから学園に行っているのは当然だ。因みに俺は高校生の時は3年間皆勤賞だったぜ。ま、大学は遊び呆けてたけど。

「お待ちしておりました。それでは案内致します」
 アインの事を一切聞かないのは俺がボルキュスに伝えたからだろう。ま、大まかにしか伝えてないから詳細に話すためにもこうしてここに来たわけだが。一番の目的はアインの戸籍と住所。それから冒険者試験を受けれるように推薦状を書いて貰うことだ。俺としては断らないで欲しい。アインが冒険者になろうとしているのは銀のためだ。つまり断ると言う事は銀に尽くせないと言う事になる。そうなればアインが何をしでかすか分からないからな。
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