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第一章 魔力無し転生者は冒険者を目指す
第四十二話 武闘大会個人戦学園代表選抜二日目
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「なああああああぁぁぁ!間に合わなかったあああああぁぁ!」
絶望に満ちた雄叫びが夕焼け差し込む部屋に響き渡る。
「五月蝿い馬鹿者!静かにしろ!」
後ろから俺と同じぐらい大きな声で叱責するジュリアスだが、正直反論も相手にする気力すらない。
「終わりだ……もう、生きてる価値もない……」
「五月蝿くて怒りはしたが、そこまで落ち込むこともないだろ」
せっかく楽しみにしてたのに。録画予約出来なかった!これも武闘大会なんて面倒な行事があるせいだ!学園長に抗議してやる!
「私が怒り過ぎた。だから機嫌を直してくれ。な?」
仕方が無い。こうなったら他のアニメでも見て気を紛らわそう。んっ!?
「な、なあ、ジュリアス。このアニメどうしたんだ?」
「ああ、前にジンが楽しそうに見てたからな。録画予約しておいたんだ。もしかたら今日帰るのが遅くなるかもしれないと思ってな」
真顔でそう言ってくるジュリアスがこの瞬間だけ、神々しく輝きを放つ美しい存在に見えた。
「女神様!」
「なっ!急に何を言ってるんだ!」
「お前は本当に素晴らしい。ありがとう!」
「そ、そんなに嬉しかったのか。それなら良かった」
頬をほんの僅か赤くするジュリアスだが、そんな事どうでもいい。
今は待ち望んだアニメが楽しく見られる!
サスペンスアニメを満喫した俺は素晴らしい気持ちのまま一日を終えることが出来た。やっぱり今回は神回だったな。これもすべてジュリアスのお陰だ。
武闘大会個人戦学園代表選抜二日目。
俺は指定されたステージに上がる。
一試合目の相手はこれまた軍務科の女子生徒。
胸も大きくて結構好みのタイプなんですけど!でもせっかくの美人が怒りの形相で台無しだ。
「武闘大会個人戦学園代表選抜二日目第一試合、軍務科4年1組エイミー・トロイ・バレアレ対冒険科4年11組オニガワラ・ジン。フェアプレイをするように」
「イザベラ様をコケにしたこと、私が絶対に許しません!」
これまた正統派の女騎士って感じだ。ますます俺の好み!
「それに魔力を持たない貴方如きにこの私が負けるはずがありません。どうやらイーサンは油断して負けたようですけど、私はそんな事ありえません!」
凄いプライド。軍務科の連中って全員がこんなプライドの塊みたいな奴らなの?絶対に関わりたくねぇな。いや、もう関わってるか。
「それでは試合……開始!」
「かく――えっ!?」
「悪いな。相手が女子でも俺は手を抜かない主義なんだ」
魔法剣か魔導剣かは分からない。ま、どっちでも良いけど。
そんな剣を振り上げた瞬間に俺は5メートル離れていた距離をゼロ距離にまですると、掌底を叩き込んだ。
「勝者、オニガワラ・ジン!」
よし、これで三勝。順調順調。次の試合も勝つぞ!
午前中の試合も滞りなく終わり俺たちは食堂でご飯を食べていたが、今日は銀の斧のガルムたちも一緒に食べている。飯は多いほうが美味いしな。
「ジンは今のところ全勝か。ま、お前の実力ならそうそう負けることはないだろうが、気を抜くなよ」
「ほう、ふぁはへほ」
「食べながら喋るな、飛び散るだろうが」
隣で食べていたジュリアスに叱られてしまった。
ゴクリ。
「おう、任せろ」
だから俺は口の中の物を飲み込んで言い直した。
「それで、次の相手は誰だ?」
「同じ冒険科のレーネって奴だ」
「アイツか……」
俺の言葉にガルムの表情が険しくなる。
「知ってるのか?」
親しい訳じゃないが、一度闘った相手だ。ある程度ガルムの性格は分かっているつもりだ。
そんなガルムが険しい表情をするなど、そうそうある事じゃないだろう。
だからこそ俺は気になり、問うてみることにした。
「ああ。クラスは2組だが実力は1組の俺たちと遜色ないほどだ。気をつけたほうが良い」
「ガルムが言うほどか。で、どんな武器を使うんだ?」
「奴の武器は魔導鋏なんだが、コンクリートの壁すら断ち切る力がある」
「コンクリートの壁をか。それはすげぇな」
コンクリートの壁って事は最低でもブロック塀位の厚さはあるはずだ。
それを容易く断ち切る鋏。
そんな鋭利な鋏を扱う女子生徒ってどんな女子生徒なんだ?
「だが、問題はそこじゃない」
「ん?」
「これは噂なんだが、奴の鋏は古代武器って話だ」
『え?』
「ん?急にどうしたんだ。そんなに驚いて」
「ジン知らないのか!古代武器は1500年以上前に滅んだレグウェス帝国が開発したと言われている武器の事だ」
レグウェス帝国?聞いたこともない国だな。
そんな俺の疑問にガルムが教えてくれた。頑固だが根は優しい奴だからな。
「今の時代の兵器より遥かに進んだ科学技術を持っていたとされる国だ。その力は絶大で大陸制覇も夢ではないとされていた。しかし禁忌を犯し、創造神アリエス様を怒らせ滅ぼされたと言われる国だ」
あ~、なんだかありそう話だな。あの我侭女神の事だ。どうせ下らない理由で滅ぼしたんだろうけど。
「その時に残った遺産や武器などが古代武器と言うわけだ」
「それで、本当だったのか?」
「いや、分らない。そうじゃないかって言われているだけだからな」
「なら、彼女の戦績は?」
「1勝2敗だ。負けた相手は軍務科のオスカーと冒険科3年1組のワタナベ・アスカだ」
アスカか。確かにアイツは強いよな。俺は一瞬で倒してやったけど。ハハハッ!
「でも負けてるようならデマじゃないのか?」
「分らないが、用心にこしたことはない」
「なんだ、心配してくれてるのか」
「ば、馬鹿!誰がお前など心配するか!この俺を二度倒した男なんだこんなところで負けて貰っては困るだけだ」
「相変わらずガル君は素直じゃないんだから」
「シャロン!」
チームメイトにまでからかわれてやんの。
だが分かるぞ。真面目な奴ってどうしても揶揄いたくなるよな。
「飯を食べ終わったことだし、演習場に戻るか」
「そうだな。私の相手も油断なら無い相手だからな」
「誰なんだ?」
「軍務科4年1組ロイド・サウス・グリードだ」
ああ、あの頭でっかちか。
「イザベラさんほどでは無いだろうが、簡単に勝てる相手ではない。代表に選ばれるためにはもう負けられないからな」
ジュリアスの成績は2勝1敗。成績上位三名が代表に選ばれる今回のルールでは、これ以上の敗北はなんとしても避けたいところだろう。
「頑張れよ」
「そう言うジンこそ、負けるんじゃないぞ」
「俺はいつも通り闘うだけさ」
「そうだったな」
互いに意識確認を終えた俺たちは演習場へと向かった。さあ、午後からも頑張って行くぞ!
選手と生徒が全員集まるとスキン先生が軽く挨拶をして午後からの試合が始まった。
「これより武闘大会個人戦学園代表選抜二日目第二試合、冒険科4年2組レーネ・オネスト対冒険科4年11組オニガワラ・ジンの試合を始めます。二人とも軽く挨拶して」
試合を始める前に対戦者どうしで挨拶する決まりだ。殆どの試合で暴言を言われっぱなしの俺としては普通に挨拶したい。というよりもナイスボディの美女と是非仲良くなりたい!
「ジンだ。よろしく」
「よろしくお願いします!」
随分と礼儀正しい子だな。
「俺のこと馬鹿にしないのか?」
「とんでもありません。この場にいる時点で強いのは当たり前です!」
それもそうか。
「それに彼女が出場者の中で一番の危険人物だと言ってましたから」
彼女?いったい誰の事だ?
だが、そんな疑問は今は置いておくとしよう。
「そうか。ま、互いに頑張ろうや」
「はい、ありがとうございます」
ほんとうにここまで勝ち残れたな。
「それでは試合開始です!」
悪いな、だが戦場での優しさは死を意味するってさんざん叩き込まれたんでな。
相手の懐に入り込み掌底を打ち込む。
「かはっ!」
肺の中の空気を全て吐き出したレーネはその場に倒れこんだ。気弱そうな女に対してするのは良い気分じゃないが、仕方が無い。
駆け寄ってきた主審が確かめる。
「勝者、オニガワラ・ジン!」
これで4勝だな。
「早く終わったことだし、ジュリアスの試合でも見に行くか」
《やっぱり、私が想像してた通り最高ね》
なんだこの声?レーネか?
振り向くが彼女は気絶したままだった。
ならいったいどこから。それに誰も聞こえてないのか?
《今、私の声が聞こえるのは貴方だけよ。正確には貴方の頭に直接話しかけてるんだけどね》
なるほど、通りで俺の心の声が駄々漏れなわけだ。
《全然怖がらないわね》
めっちゃ怖いさ。今にもチビリそうな思いだっつうの。
《アハハハッ!全然そんな風には見えないわよ》
そう振舞っているだけだ。で、お前は何者なんだ?
《私はこの子が手にしている鋏よ》
なに!?
俺は思わず振り返ってしまう。
《この鋏の名前は殺戮鋏。1500年以上前に馬鹿な国で作られた鋏よ》
どっかの帝国で造られたっていう古代武器ってやつか。噂は本当だったんだな。
《何気に知識はあるようね》
褒められても嬉しくねぇよ。それにしても物騒な名前だな。
《太古昔にあった大戦争に勝つために作られた一つだからね》
ま、よくある話だな。戦争に勝つためにあらゆる手段をとるのはどの時代でも同じってわけか。
《やっぱり貴方最高ね!無駄な正義感もなく、だけど快楽殺人鬼でもない。平然と生物を屠ることの出来る鋼以上の精神を持ってる!さすが異世界人。いえ、今の時代では送り人っていうのかしら》
なんでその事を知っている。
《今の時代より遥かに進歩した科学技術を持っていたレグウェス帝国が作り出した人切り鋏よ。それぐらい分って当然でしょ。それとも地獄島を生き抜いた男って言った方が良いかしら》
てめぇ誰かに喋ったら木っ端微塵に破壊するぞ。
《良いわ!素晴らしいわその殺気!さすが地獄島を生き抜いた男。ゾクゾクする》
この鋏完全にイカれてやがる。ん?一つ疑問なんだが。
《あら、何かしら?》
なんで喋れるんだ。それもレグウェス帝国が科学技術の成せる技ってやつか?
《いえ、違うわ。私は元々人間だったの。正確には言えばレグウェス帝国軍429特殊武装小隊の隊員だったの。そしてこの殺戮鋏の最初の使い手でもあったわ》
全然意味が分らん。なんで元人間だったアンタが鋏に宿ってるんだ。
《戦場で殺された私には未練があったの。で気が付いたらこの鋏に憑依してたってわけよ》
なるほどな。それでその未練ってなんだ?
《もっと沢山の命を奪うことよ》
やっぱりイカれてるな。
《元々429特殊武装小隊の隊員たちは快楽殺人鬼や猟奇殺人鬼で死刑宣告された囚人だったもの》
帝国の上層部の頭は大丈夫だったのか?
《戦争中で沢山の人が死んだわ。そうなれば兵士を集めるのも大変なの。そこで平然と人を殺せる私たちが選ばれたってわけ。ただ殺すぐらいなら戦場で敵を殺して死んで貰った方がなんぼか得だからってね》
上層部も上層部で頭が変だったんだな。
《私たちにしてみれば、合法的に沢山の命を奪えたから最高の仕事だったけどね》
だろうな。で、そんなイカれた快楽殺人鬼が俺になんのようだ?
《別に大した理由じゃないわよ。貴方に興味があるのよ》
俺に?
《ええ。帝国時代にもそれほどの力を持った人間なんて居なかったわ。いったいどうすればそれだけ強くなるのか気になったのよ》
なるほどね。だがそれが今のお前に関係あるのか?
《関係ないわね》
ガクリ!
《うふふ、貴方でもそんな表情するのね》
当たり前だ。それよりどうしてお前みたいな快楽殺人鋏がレーネの元に居るんだ。
《この鋏は唯の鋏じゃなくてね。素質がないと扱えないのよ》
つまりレーネにはその素質があったってわけか。
《ええ、そうよ》
まったく可哀相に。こんな快楽殺人鋏の持ち主になるなんて不憫すぎるだろ。
《あら、失礼ね。切り刻んで欲しいのかしら》
その時は逆にお前を木っ端微塵に破壊してやるよ。
《それも良いわね》
え!?
《私ね、人を殺して苦痛に歪む表情を見るのも好きだけど、逆に苛められるのも大好きなの》
なに変なことカミングアウトしてんだよ!
《だって痛みって最高のエクスタシーじゃない。貴方にも分るでしょ》
痛いのは嫌いだ。だけど戦うのは好きだ。生きてるって実感できるからな。だけど拷問とかされるのは嫌いだ。
《あら、残念》
もう、良いか。そろそろ全ての試合が終わる。
《なら、最後に聞きたいことはない?》
なら、お前の名前を教えてくれ。
《え?》
ん?どうかしたのか?
《いえ、そんな質問されるとは思わなかったから驚いただけよ》
そうか。で、名前は?
《マイラよ。よろしくね地獄王さん》
お前、そのこと誰にも喋ってないだろうな。
《ええ、勿論。私って独占欲強いからせっかくの楽しみを人に教えたりしないわよ》
全然嬉しくないが、安心は出来そうだな。
お、ジュリアスの試合も終わったようだな。じゃあなマイラ。二度と話すことはないと思うが。
《それは寂しいわね》
全然寂しそうじゃないっつうの。まったくレーネとは仲良くするつもりが、面倒な奴に好かれたもんだな。
絶望に満ちた雄叫びが夕焼け差し込む部屋に響き渡る。
「五月蝿い馬鹿者!静かにしろ!」
後ろから俺と同じぐらい大きな声で叱責するジュリアスだが、正直反論も相手にする気力すらない。
「終わりだ……もう、生きてる価値もない……」
「五月蝿くて怒りはしたが、そこまで落ち込むこともないだろ」
せっかく楽しみにしてたのに。録画予約出来なかった!これも武闘大会なんて面倒な行事があるせいだ!学園長に抗議してやる!
「私が怒り過ぎた。だから機嫌を直してくれ。な?」
仕方が無い。こうなったら他のアニメでも見て気を紛らわそう。んっ!?
「な、なあ、ジュリアス。このアニメどうしたんだ?」
「ああ、前にジンが楽しそうに見てたからな。録画予約しておいたんだ。もしかたら今日帰るのが遅くなるかもしれないと思ってな」
真顔でそう言ってくるジュリアスがこの瞬間だけ、神々しく輝きを放つ美しい存在に見えた。
「女神様!」
「なっ!急に何を言ってるんだ!」
「お前は本当に素晴らしい。ありがとう!」
「そ、そんなに嬉しかったのか。それなら良かった」
頬をほんの僅か赤くするジュリアスだが、そんな事どうでもいい。
今は待ち望んだアニメが楽しく見られる!
サスペンスアニメを満喫した俺は素晴らしい気持ちのまま一日を終えることが出来た。やっぱり今回は神回だったな。これもすべてジュリアスのお陰だ。
武闘大会個人戦学園代表選抜二日目。
俺は指定されたステージに上がる。
一試合目の相手はこれまた軍務科の女子生徒。
胸も大きくて結構好みのタイプなんですけど!でもせっかくの美人が怒りの形相で台無しだ。
「武闘大会個人戦学園代表選抜二日目第一試合、軍務科4年1組エイミー・トロイ・バレアレ対冒険科4年11組オニガワラ・ジン。フェアプレイをするように」
「イザベラ様をコケにしたこと、私が絶対に許しません!」
これまた正統派の女騎士って感じだ。ますます俺の好み!
「それに魔力を持たない貴方如きにこの私が負けるはずがありません。どうやらイーサンは油断して負けたようですけど、私はそんな事ありえません!」
凄いプライド。軍務科の連中って全員がこんなプライドの塊みたいな奴らなの?絶対に関わりたくねぇな。いや、もう関わってるか。
「それでは試合……開始!」
「かく――えっ!?」
「悪いな。相手が女子でも俺は手を抜かない主義なんだ」
魔法剣か魔導剣かは分からない。ま、どっちでも良いけど。
そんな剣を振り上げた瞬間に俺は5メートル離れていた距離をゼロ距離にまですると、掌底を叩き込んだ。
「勝者、オニガワラ・ジン!」
よし、これで三勝。順調順調。次の試合も勝つぞ!
午前中の試合も滞りなく終わり俺たちは食堂でご飯を食べていたが、今日は銀の斧のガルムたちも一緒に食べている。飯は多いほうが美味いしな。
「ジンは今のところ全勝か。ま、お前の実力ならそうそう負けることはないだろうが、気を抜くなよ」
「ほう、ふぁはへほ」
「食べながら喋るな、飛び散るだろうが」
隣で食べていたジュリアスに叱られてしまった。
ゴクリ。
「おう、任せろ」
だから俺は口の中の物を飲み込んで言い直した。
「それで、次の相手は誰だ?」
「同じ冒険科のレーネって奴だ」
「アイツか……」
俺の言葉にガルムの表情が険しくなる。
「知ってるのか?」
親しい訳じゃないが、一度闘った相手だ。ある程度ガルムの性格は分かっているつもりだ。
そんなガルムが険しい表情をするなど、そうそうある事じゃないだろう。
だからこそ俺は気になり、問うてみることにした。
「ああ。クラスは2組だが実力は1組の俺たちと遜色ないほどだ。気をつけたほうが良い」
「ガルムが言うほどか。で、どんな武器を使うんだ?」
「奴の武器は魔導鋏なんだが、コンクリートの壁すら断ち切る力がある」
「コンクリートの壁をか。それはすげぇな」
コンクリートの壁って事は最低でもブロック塀位の厚さはあるはずだ。
それを容易く断ち切る鋏。
そんな鋭利な鋏を扱う女子生徒ってどんな女子生徒なんだ?
「だが、問題はそこじゃない」
「ん?」
「これは噂なんだが、奴の鋏は古代武器って話だ」
『え?』
「ん?急にどうしたんだ。そんなに驚いて」
「ジン知らないのか!古代武器は1500年以上前に滅んだレグウェス帝国が開発したと言われている武器の事だ」
レグウェス帝国?聞いたこともない国だな。
そんな俺の疑問にガルムが教えてくれた。頑固だが根は優しい奴だからな。
「今の時代の兵器より遥かに進んだ科学技術を持っていたとされる国だ。その力は絶大で大陸制覇も夢ではないとされていた。しかし禁忌を犯し、創造神アリエス様を怒らせ滅ぼされたと言われる国だ」
あ~、なんだかありそう話だな。あの我侭女神の事だ。どうせ下らない理由で滅ぼしたんだろうけど。
「その時に残った遺産や武器などが古代武器と言うわけだ」
「それで、本当だったのか?」
「いや、分らない。そうじゃないかって言われているだけだからな」
「なら、彼女の戦績は?」
「1勝2敗だ。負けた相手は軍務科のオスカーと冒険科3年1組のワタナベ・アスカだ」
アスカか。確かにアイツは強いよな。俺は一瞬で倒してやったけど。ハハハッ!
「でも負けてるようならデマじゃないのか?」
「分らないが、用心にこしたことはない」
「なんだ、心配してくれてるのか」
「ば、馬鹿!誰がお前など心配するか!この俺を二度倒した男なんだこんなところで負けて貰っては困るだけだ」
「相変わらずガル君は素直じゃないんだから」
「シャロン!」
チームメイトにまでからかわれてやんの。
だが分かるぞ。真面目な奴ってどうしても揶揄いたくなるよな。
「飯を食べ終わったことだし、演習場に戻るか」
「そうだな。私の相手も油断なら無い相手だからな」
「誰なんだ?」
「軍務科4年1組ロイド・サウス・グリードだ」
ああ、あの頭でっかちか。
「イザベラさんほどでは無いだろうが、簡単に勝てる相手ではない。代表に選ばれるためにはもう負けられないからな」
ジュリアスの成績は2勝1敗。成績上位三名が代表に選ばれる今回のルールでは、これ以上の敗北はなんとしても避けたいところだろう。
「頑張れよ」
「そう言うジンこそ、負けるんじゃないぞ」
「俺はいつも通り闘うだけさ」
「そうだったな」
互いに意識確認を終えた俺たちは演習場へと向かった。さあ、午後からも頑張って行くぞ!
選手と生徒が全員集まるとスキン先生が軽く挨拶をして午後からの試合が始まった。
「これより武闘大会個人戦学園代表選抜二日目第二試合、冒険科4年2組レーネ・オネスト対冒険科4年11組オニガワラ・ジンの試合を始めます。二人とも軽く挨拶して」
試合を始める前に対戦者どうしで挨拶する決まりだ。殆どの試合で暴言を言われっぱなしの俺としては普通に挨拶したい。というよりもナイスボディの美女と是非仲良くなりたい!
「ジンだ。よろしく」
「よろしくお願いします!」
随分と礼儀正しい子だな。
「俺のこと馬鹿にしないのか?」
「とんでもありません。この場にいる時点で強いのは当たり前です!」
それもそうか。
「それに彼女が出場者の中で一番の危険人物だと言ってましたから」
彼女?いったい誰の事だ?
だが、そんな疑問は今は置いておくとしよう。
「そうか。ま、互いに頑張ろうや」
「はい、ありがとうございます」
ほんとうにここまで勝ち残れたな。
「それでは試合開始です!」
悪いな、だが戦場での優しさは死を意味するってさんざん叩き込まれたんでな。
相手の懐に入り込み掌底を打ち込む。
「かはっ!」
肺の中の空気を全て吐き出したレーネはその場に倒れこんだ。気弱そうな女に対してするのは良い気分じゃないが、仕方が無い。
駆け寄ってきた主審が確かめる。
「勝者、オニガワラ・ジン!」
これで4勝だな。
「早く終わったことだし、ジュリアスの試合でも見に行くか」
《やっぱり、私が想像してた通り最高ね》
なんだこの声?レーネか?
振り向くが彼女は気絶したままだった。
ならいったいどこから。それに誰も聞こえてないのか?
《今、私の声が聞こえるのは貴方だけよ。正確には貴方の頭に直接話しかけてるんだけどね》
なるほど、通りで俺の心の声が駄々漏れなわけだ。
《全然怖がらないわね》
めっちゃ怖いさ。今にもチビリそうな思いだっつうの。
《アハハハッ!全然そんな風には見えないわよ》
そう振舞っているだけだ。で、お前は何者なんだ?
《私はこの子が手にしている鋏よ》
なに!?
俺は思わず振り返ってしまう。
《この鋏の名前は殺戮鋏。1500年以上前に馬鹿な国で作られた鋏よ》
どっかの帝国で造られたっていう古代武器ってやつか。噂は本当だったんだな。
《何気に知識はあるようね》
褒められても嬉しくねぇよ。それにしても物騒な名前だな。
《太古昔にあった大戦争に勝つために作られた一つだからね》
ま、よくある話だな。戦争に勝つためにあらゆる手段をとるのはどの時代でも同じってわけか。
《やっぱり貴方最高ね!無駄な正義感もなく、だけど快楽殺人鬼でもない。平然と生物を屠ることの出来る鋼以上の精神を持ってる!さすが異世界人。いえ、今の時代では送り人っていうのかしら》
なんでその事を知っている。
《今の時代より遥かに進歩した科学技術を持っていたレグウェス帝国が作り出した人切り鋏よ。それぐらい分って当然でしょ。それとも地獄島を生き抜いた男って言った方が良いかしら》
てめぇ誰かに喋ったら木っ端微塵に破壊するぞ。
《良いわ!素晴らしいわその殺気!さすが地獄島を生き抜いた男。ゾクゾクする》
この鋏完全にイカれてやがる。ん?一つ疑問なんだが。
《あら、何かしら?》
なんで喋れるんだ。それもレグウェス帝国が科学技術の成せる技ってやつか?
《いえ、違うわ。私は元々人間だったの。正確には言えばレグウェス帝国軍429特殊武装小隊の隊員だったの。そしてこの殺戮鋏の最初の使い手でもあったわ》
全然意味が分らん。なんで元人間だったアンタが鋏に宿ってるんだ。
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なるほどな。それでその未練ってなんだ?
《もっと沢山の命を奪うことよ》
やっぱりイカれてるな。
《元々429特殊武装小隊の隊員たちは快楽殺人鬼や猟奇殺人鬼で死刑宣告された囚人だったもの》
帝国の上層部の頭は大丈夫だったのか?
《戦争中で沢山の人が死んだわ。そうなれば兵士を集めるのも大変なの。そこで平然と人を殺せる私たちが選ばれたってわけ。ただ殺すぐらいなら戦場で敵を殺して死んで貰った方がなんぼか得だからってね》
上層部も上層部で頭が変だったんだな。
《私たちにしてみれば、合法的に沢山の命を奪えたから最高の仕事だったけどね》
だろうな。で、そんなイカれた快楽殺人鬼が俺になんのようだ?
《別に大した理由じゃないわよ。貴方に興味があるのよ》
俺に?
《ええ。帝国時代にもそれほどの力を持った人間なんて居なかったわ。いったいどうすればそれだけ強くなるのか気になったのよ》
なるほどね。だがそれが今のお前に関係あるのか?
《関係ないわね》
ガクリ!
《うふふ、貴方でもそんな表情するのね》
当たり前だ。それよりどうしてお前みたいな快楽殺人鋏がレーネの元に居るんだ。
《この鋏は唯の鋏じゃなくてね。素質がないと扱えないのよ》
つまりレーネにはその素質があったってわけか。
《ええ、そうよ》
まったく可哀相に。こんな快楽殺人鋏の持ち主になるなんて不憫すぎるだろ。
《あら、失礼ね。切り刻んで欲しいのかしら》
その時は逆にお前を木っ端微塵に破壊してやるよ。
《それも良いわね》
え!?
《私ね、人を殺して苦痛に歪む表情を見るのも好きだけど、逆に苛められるのも大好きなの》
なに変なことカミングアウトしてんだよ!
《だって痛みって最高のエクスタシーじゃない。貴方にも分るでしょ》
痛いのは嫌いだ。だけど戦うのは好きだ。生きてるって実感できるからな。だけど拷問とかされるのは嫌いだ。
《あら、残念》
もう、良いか。そろそろ全ての試合が終わる。
《なら、最後に聞きたいことはない?》
なら、お前の名前を教えてくれ。
《え?》
ん?どうかしたのか?
《いえ、そんな質問されるとは思わなかったから驚いただけよ》
そうか。で、名前は?
《マイラよ。よろしくね地獄王さん》
お前、そのこと誰にも喋ってないだろうな。
《ええ、勿論。私って独占欲強いからせっかくの楽しみを人に教えたりしないわよ》
全然嬉しくないが、安心は出来そうだな。
お、ジュリアスの試合も終わったようだな。じゃあなマイラ。二度と話すことはないと思うが。
《それは寂しいわね》
全然寂しそうじゃないっつうの。まったくレーネとは仲良くするつもりが、面倒な奴に好かれたもんだな。
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順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
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朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
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そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
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といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
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彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
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なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
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