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第一章 魔力無し転生者は冒険者を目指す
第三十四話 武闘大会団体戦学科別代表選抜準決勝
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またもここらはミューラ先生の実況とエレイン先生の解説でお送りいたします。
「グハッ!」
よし!
『おっと試合開始早々ジン選手の一撃がウーケン選手を襲いステージの外まで吹き飛ばしたぞ!なんて凄まじい威力だ!』
『あれほどのパンチは現役時代の私でもそうそう目にした事はありません』
『しかしこれはどう言うことだ!AAAはジン選手がまだ敵側にいるにも拘らず大量の土柱と氷柱を出現させた!これでは戻ることが出来ない!どうした作戦ミスなのか!』
『そうではありません。相手の実力を考えて即座に土柱と氷柱を出現させなければ主導権を奪われてしまうと考えたのでしょう』
『つまりジン選手は完全に囮役ということでしょうか!』
『そうなりますね。しかし彼の実力を甘く見ないほうが良いですよ』
『エレイン先生……』
『なんですか?』
『そんなにジン選手は強いのですか?情報によりますと彼には魔力が無いということですが』
『ええ、強いですよ』
『どれぐらいでしょうか?』
『そうですね……近接戦闘の授業で闘った時は苦戦を強いられたほどです』
『エ、エレイン先生がですか!』
『ええ』
「担任教師が情報を漏らすなよ!」
『既に個人戦代表として力は認められているんですからこれぐらい良いでしょ。それとも後で職員室に来ますか?』
チッ、まったく口軽婆が。
『今、何を考えましたか?』
「ベツニナニモ」
『あ、あのエレイン先生試合中に選手と話すのは禁止ですよ。ってなんでジン君は私たちの話し声が聞こえてるんですか!』
「いや、普通に聞こえるぞ。ガルムたちも聞こえていたみたいだし」
『え?って実況を遮断するの忘れていました!』
実況を聞いて戦況が変わる恐れがあるためステージ上で闘う選手には聞こえないようにされている。って言っても俺たちの初戦の時も普通に繋がっていたかたな。正直今更ってかんじだ。
『それにしてもエレイン先生を苦戦させたのは事実なのでしょう!話しながらも銀の斧の四人の攻撃を見事躱しています!』
第一段階、第二段階は成功したな。次の段階も準備が出来た頃だろう。それにそろそろガルムあたりが気づくはずだ!
「俺とシャロンでジンの相手だ!タギラとジックは氷柱を破壊して先に進んでくれ!でないとこのままでは俺たちの優勢負けになる!」
「わ、分かった!」
(クソッ!ジュリアス・L・シュカルプまさかお前がこのような作戦を考えてくるとは思わなかったぞ。すっかり主導権を奪われてしまった。お前の事だから俺の考えを読んで対処してくると思っていた。いや、そう決め付けた俺の失態だ。だが腑に落ちない。なぜ昨日の準々決勝と同じ魔法を使ってくる。確かに人が通れるスペースは無いがこれでは唯の足止め程度。その間に俺たちがジンを倒してさえすれば人数は同じとなって人数差による優勢勝ちはなくなるんだぞ。いったい何を考えている)
「ガルム!もう少しで氷柱を突破するぞ!」
『タギラ選手とジック選手がガルム選手の指示で氷柱の破壊する!しかし凄まじい威力だ!次々と破壊されて行く!僅か数分で8割が破壊されたぞ!』
予想より早く進んでいるな。なら俺はもう少し焦らせるか。
(ジュリアスたちがいる場所までの道を作るためにまっすぐ破壊はしている。タギラとジックの力も凄まじい。だけどものの数分で残り僅かになるものなのか?いやなにかが――)
「ガルム危ない!」
「しまっ――!」
「キャッ!」
「ぐっ!」
『考え事をしていたのか反応に遅れたガルム選手をシャロン選手が庇うがジン選手の凄まじい一撃に二人とも吹き飛ばされてしまう!しかしどうにか踏ん張って場外まで吹き飛ばされずにすんだ!』
「ほう、今のを我慢するか。さすがジュリアスと同じクラスだな」
「本当に化け物ね……」
「タギラから聞いたのか?」
「ええ、そうよ。まったくあなた程の人物がどうして十一組なのか疑問だわ」
「魔力が無いからだろ?」
「実力主義のこの学園でそれが関係あると思う?実際に私たちより魔力量が多い学生は沢山いるわ」
「確かにそうだな」
ま、どうせ俺の正体をしるためにわざと十一組に入れたんだろうけど。
「でも十一組も悪くないぜ。面白い連中ばかりだしな」
「そうなの。なら今度遊びに行こうかしら?」
「ああ、歓迎するぜ」
見た目はキレイ系の美少女だが、性格はフレンドリーで親しみやすいタイプだ。きっと11組に来ても直ぐにクラスメイト連中とも仲良くなるだろう。
「それにしても随分と余裕ね」
「ま、確かに余裕だな。お前が俺の気を引いてる間にガルムは回復し、タギラたちには氷柱の破壊をさせる程度にはだけど」
「本当ムカつくわね。だけど個人戦でガルムを倒しただけはあるわね」
「あれには参った。流石の俺も焦ったからな」
「そんな風には見えないけど?」
「今はこっちに集中してるんで、ねっ!」
「っ!」
「これで残りは三人だな」
『な、なんということでしょうか!数メートルあった距離を一瞬にして詰めるとシャロン選手を倒してしまった!さすがは個人戦代表になるだけの実力は持ち合わせている!』
「さて、どうする?」
「どうやら俺たちは一番最初に倒すべき相手を間違えたようだな」
「ああ、お前たちはジュリアスを最初に倒すべきだと考えていたようだな」
「そこまで見抜いていたか」
「いや、誰だって分かるさ。ましてや今は準決勝。ここまでくれば誰が凄いのかなんて観客席から見ていても分かる」
「確かにその通りだな。だが良いのか?ジュリアスは確かに脅威だがタギラとジックは強いぞ」
「問題ないさ。なんせ全て計画通りなんだからな」
「なに!?」
「「ぐあっ!!」」
「タギラ!ジック!」
『おっと、これはどういうことだ!氷柱を破壊し終わった瞬間二人が悲鳴を上げて倒れてしまったぞ!』
「何をした!」
「あれさ」
「あれはお前が使役している魔狼」
『エレイン先生これはどう言うことでしょうか!』
『あの二人は雷属性の攻撃で倒れたんですよ』
『雷属性ですか?しかしデータによりますとAAAに雷属性を持つ選手は居ませんが?』
『いえ、違います。ジン選手が使役している魔狼のギンによる攻撃です』
『本当だ!土柱の上に魔狼が立っています。ですが、タギラ選手とジック選手の実力は本物です。そんな二人に雷属性の攻撃を当てるのは難しいのでは?』
『ええ、普通に狙っては無理でしょう。ですが二人の足元を見てください』
『足元ですか?あれは水ですか』
『その通りです。二人が破壊した氷が解けて地面が水浸しになっているんです。そこに雷を落とせば感電し気絶させることができます』
『なるほどそういうことですか!』
「ま、これも全部ジュリアスが考えた作戦だ。タブレットやスマホから閲覧できるのは相手選手のデータのみ。そこに使役している魔物のデータまでは含まれないからな」
「なるほどそういうことか。だがなぜお前が最初に攻撃してきた」
「いくつか理由がある。まず一つは主導権を奪うこと。戦略が得意なお前から主導権を奪わなければ俺たちに勝機はないと思ったから。ましてや全体的な実力はお前たちの方に武があるからな。二つ目はお前にこの作戦を悟られてはならないから。雷属性を得意とするウーケンがいれば気づかれる可能性がどうしてもあったからな」
「確かに雷を使えば感電することは誰にだってわかるからな。だから最初にウーケンを倒したのか。だが何故お前は残った?」
やはりそこが分からないか。どうせここまでくれば俺たちの勝利は99%決まったようなものだしな。話しても良いだろう。
だけどこの作戦は俺じゃなくてジュリアスが考えたように言わないとな。
「さっきも言ったようにお前に作戦を悟らせないためらしい。試合開始早々に一人を倒されれば焦る。しかしもしも俺が仲間のところに戻れば冷静さを取り戻しこの作戦に気づかれる恐れがあるからな。だから俺はお前らに冷静な判断をさせないためと出来るなもう一人リタイヤさせることが俺の役目ってわけさ」
「なるほど速度と威力を持ったお前と氷属性の魔法が得意なジュリアスが居なければ出来ない作戦だな」
「まあな。だけどどうやらジュリアスにはこの作戦が失敗したときの作戦も考えてあったようだけどな」
「ふ、ふあはははっ!完敗だ。実力でも戦略でも俺はどうやらジュリアスには勝てないらしい。だが銀の斧のリーダーとして最後まで闘わせて貰う!」
「ああ、構わないぜ」
『おっとジン選手とガルム選手が構えた!これで勝負は決まってしまうのか!』
『ガルム選手は魔道銃器を得意とする選手。ナイフでは近接戦を得意とするジン選手には勝てないでしょう』
エレインの推察は的中していた。一瞬睨み合ったがジンが動いたことに反応することも出来ずガルムは気絶させられた。
『決まったあああああぁぁぁ!!!勝者チームAAA!決勝戦進出決定!』
どうやらステージにも実況が入るようになったな。自動なのか?
「やったああああぁぁ!」
「うおっ!」
感動のあまりエミリアが抱きついてきた。ああ、凄い。なんて素晴らしい柔らかな感触なんだ。至福の一時だ。
「嘘みたいです。まさか私たちが代表に選ばれるなんて」
「ああ、本当だな!でもこれも全部ジンのお陰だ!本当にありがとうな十一組だからって諦めてたけど、今は出て良かったって思うぜ!」
「まだ泣くのは早いだろ。明日の決勝も勝って優勝して軍務科の連中と闘おうぜ」
「ジンの言うとおりだ。明日勝利して祝杯を挙げよう!」
「「「おう!」」」
レオリオたちは嬉し涙を流し笑顔でステージを降りた。
何もしなければ何も変わらない。しかし行動すれば絶対ではないが可能性はある。それだけはこの世において確実にして絶対の真理なのかもしれない。
湧き上がる嬉さに浸りながら俺たちは廊下に出た。
『あ』
廊下に出るとそこには、今さっき闘った銀の斧の連中がそこにいた。正直気まずいこういう時どう話しかければいいのか、五年間気まぐれ島にいた俺には分からない。いや、前世でも同じだったような気がする。
「おめでとう。俺たちに勝ったんだ。絶対優勝して軍務科の連中をぶっ倒してくれよ」
そんなガルムの言葉に俺たちは笑みを浮かべた。
「それにしてもまさかジュリアス君がガルムより優れた戦略家だったねんて知らなかったわ」
「あれには俺も驚いたぞ」
その言葉にジュリアスの表情に影が落ちた気がした。
「ジュリアス、次は負けないからな」
「あ、ああ……」
そう言い残して彼らは去って行った。
「じゃ、俺たちも観客席に行こうぜ」
「うん、賛成」
「決勝の相手がどちらになるか知らないといけませんからね」
「俺はもう帰って寝たいんだが」
武闘大会団体戦学園代表選抜に出場する事が決まったからなのかレオリオたちの表情は明るく楽しそうに話していたが、俺が眠たいと言うと不満げな表情で言って来た。
「駄目だよ。ジン君は私たちに必要なんだから」
「そうです。私たちを団体戦に引き込んだ。責任は最後まで取って貰わなければ」
「へいへい」
はぁ、めんどくさい。賞金に目が眩んだとはいえ早く帰って寝たい。
「す、すまないみんな。少し用事を思い出した!」
「え、ちょっと!」
「いったいどうしたんでしょうね?」
「俺にはわかんねぇな」
「ジン君は分かる?」
俺たちの会話に入ってこなかったからもしやと思ったが予想通りだな。ま、ジュリアスらしいな。
「さぁな。ま、悪いようにはならねぇさ」
「「「?」」」
そう思いながら俺ははぐらかしながら観客席へと向かった。
************************
慌てて追いかけ目的の人物の後姿を捉えた私は息を吐き出すように彼の名を叫んだ。
「ガルム!」
慌てた様子で私に呼び止められたガルムは頭上に疑問符を浮かべて問い返してきた。
「ジュリアスか。どうかしたのか?」
「どうしても話しておかなければならない事がある」
「話?」
「あ、ああ。だがここでは話せない。悪いが付き合ってくれるか?」
「構わない」
どうしても私は言わなければならない。この行為が仲間の敗北になるかもしれないと分かっていても、正々堂々と闘ってくれたクラスメイトに嘘はつけないんだ。
ガルムたちを連れてパイプ椅子などが収納されている倉庫へとやってきた。
「それで話ってなんだ?」
「じ、実は……今日の作戦は私が考えたものではないんだ!」
その言葉にガルムたちは驚愕の表情を浮かべていた。
「お前じゃないだと。では誰が作戦を考えたと言うんだ」
「ジンだ」
「嘘だろ?」
流石のガルムたちも信じられないのか驚愕の表情を浮かべていた。
だがそれが事実だ。
「本当だ。今日だけじゃない。昨日の準々決勝だってそうだ。これまでの作戦は全てジンが考えたものだ」
「だが、リーダーはお前だろ?」
「それもジンの作戦だ。誰もが作戦はリーダーが考えるものだと思っている。勝ち進めば脅威となるのは作戦を考えるリーダーだ。そうなれば狙われやすくなる。だからもしものためにリーダーは私がすることになったんだ。唯一1組である私が」
真っ直ぐとガルムたちの顔を見詰めていると流石に嘘ではないと悟ったのか、これまで以上に驚いた表情をしていた。
「おいおい」
「まさかそこまで彼は考えていたの……」
「タギラとシャロンが化物と言うだけのことはあるようですな」
「ジュリアスなぜそれを俺たちに話した」
ガルムはこの話をした事が一番不思議でならなかったようで真剣な眼差しで訊いてきた。
「同じクラスメイトとして正々堂々と闘ってくれたみんなに嘘はつけなかったんだ」
「相変わらずお人よしだな。ワシら他のやつ等に言うとは思えへんかったんか?」
「考えたさ。それで敗北し仲間に迷惑をかけるかもしれないって。それでも………」
「お前は優しすぎる。だが安心しろ。ここまで誠意を見せてくれたジュリアスを裏切るようなことはしない」
「あ、ありがとう!」
本当に私は言い友達に巡り合えた!
「それでジュリアス一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
先ほどまで笑みを浮かべていたガルムだったが、一瞬にして真剣な面持ちになる。
「ジンは何者だ?」
「それはどう言う意味だ?」
「魔力も持たないものがあれだけの力を持っていることが不思議でならない。ましてやタギラが言うにはあれでも本気では無かったと言うんだ。いったいアイツは何者なんだ?」
それは私も思っていた。いったいあれだけの力と考え方をどこで身に着けたのか。
本を読んで身に着けたようなものじゃない。まるで実際に経験しながら1つ1つ気づき、それを試しながら答えを見つけた来たような感じだ。
しかしそれは戦闘を何度も繰り返して来たと言う事だ。
「私にも本当の事は分からない。ただ一つ言える事は私たちより遥かに経験者であるってことだ」
「「「「「経験者?」」」」」
「私はジンとルームメイトだから奴の体を見たことがあるんだが、あれは魔物と何度も戦ってきた人間の体だ。鍛えられ戦闘で邪魔をしないために洗礼された無駄のない筋肉、戦闘に特化した肉体には大量の古傷があった。あれは私たち同世代の子供が負う傷の量ではなかった」
まさに歴戦の戦士と言った姿だったことを思い出しながら私が出した答えでもあった。
「そうか……経験か。今の俺たちでは到底追いつくことの出来ない物だな」
「それともう一つ。ジンが本気を出せば間違いなくこの学園の誰よりも強いと私は思う」
「この学園の誰よりもだと?それは先生方を含めてか」
「そうだ。ここだけの話、編入試験の実技でジンはテトル先生を一撃で倒したらしい」
「あの女好きで最低のテトル先生を!」
シャロン流石に言い過ぎでは。ま、事実だから否定は出来ないが。
「そうだ」
「だが、それだけでは学園の誰よりも強いとは言い切れないだろ」
「なら、たった数メートル離れた距離から放たれた魔導弾丸を掴む事が出来るのか?」
「どういうことだ?」
「みんなも知っていると思うがジンが編入した日にギドたちを病院送りにした事件は知っているな」
「あの暴力事件のことか」
「あの時ギドは倉庫から魔導拳銃を盗み出していたんだ」
「本当なのか!」
「ああ、最初は私を脅すために使うつもりだったようだが、ジンとの喧嘩で奴は怒り狂い発砲した。だがジンはそれを平然と掴んでみせたんだ」
「そんなことが可能なのでござるか?」
「SSランク以上の冒険者なら可能かもしれない。だが学生が出来るようなことではない」
「だが事実だ。私はあの現場に居たからな」
あの時の異常なまでジンの身体能力を思い出しながら私は答えた。
「この事も他言無用にしたほうがいいな」
「すまない。そうして貰うと助かる」
「俺たちはそろそろ観客席に戻る。ジュリアスも早く戻ったほうがいいだろう」
「そ、そうだな」
こうして私たちの話は終わった。だけど私たち六人の中にある決意が出来た。それはジンが何者なのか知ることだ。
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「グハッ!」
よし!
『おっと試合開始早々ジン選手の一撃がウーケン選手を襲いステージの外まで吹き飛ばしたぞ!なんて凄まじい威力だ!』
『あれほどのパンチは現役時代の私でもそうそう目にした事はありません』
『しかしこれはどう言うことだ!AAAはジン選手がまだ敵側にいるにも拘らず大量の土柱と氷柱を出現させた!これでは戻ることが出来ない!どうした作戦ミスなのか!』
『そうではありません。相手の実力を考えて即座に土柱と氷柱を出現させなければ主導権を奪われてしまうと考えたのでしょう』
『つまりジン選手は完全に囮役ということでしょうか!』
『そうなりますね。しかし彼の実力を甘く見ないほうが良いですよ』
『エレイン先生……』
『なんですか?』
『そんなにジン選手は強いのですか?情報によりますと彼には魔力が無いということですが』
『ええ、強いですよ』
『どれぐらいでしょうか?』
『そうですね……近接戦闘の授業で闘った時は苦戦を強いられたほどです』
『エ、エレイン先生がですか!』
『ええ』
「担任教師が情報を漏らすなよ!」
『既に個人戦代表として力は認められているんですからこれぐらい良いでしょ。それとも後で職員室に来ますか?』
チッ、まったく口軽婆が。
『今、何を考えましたか?』
「ベツニナニモ」
『あ、あのエレイン先生試合中に選手と話すのは禁止ですよ。ってなんでジン君は私たちの話し声が聞こえてるんですか!』
「いや、普通に聞こえるぞ。ガルムたちも聞こえていたみたいだし」
『え?って実況を遮断するの忘れていました!』
実況を聞いて戦況が変わる恐れがあるためステージ上で闘う選手には聞こえないようにされている。って言っても俺たちの初戦の時も普通に繋がっていたかたな。正直今更ってかんじだ。
『それにしてもエレイン先生を苦戦させたのは事実なのでしょう!話しながらも銀の斧の四人の攻撃を見事躱しています!』
第一段階、第二段階は成功したな。次の段階も準備が出来た頃だろう。それにそろそろガルムあたりが気づくはずだ!
「俺とシャロンでジンの相手だ!タギラとジックは氷柱を破壊して先に進んでくれ!でないとこのままでは俺たちの優勢負けになる!」
「わ、分かった!」
(クソッ!ジュリアス・L・シュカルプまさかお前がこのような作戦を考えてくるとは思わなかったぞ。すっかり主導権を奪われてしまった。お前の事だから俺の考えを読んで対処してくると思っていた。いや、そう決め付けた俺の失態だ。だが腑に落ちない。なぜ昨日の準々決勝と同じ魔法を使ってくる。確かに人が通れるスペースは無いがこれでは唯の足止め程度。その間に俺たちがジンを倒してさえすれば人数は同じとなって人数差による優勢勝ちはなくなるんだぞ。いったい何を考えている)
「ガルム!もう少しで氷柱を突破するぞ!」
『タギラ選手とジック選手がガルム選手の指示で氷柱の破壊する!しかし凄まじい威力だ!次々と破壊されて行く!僅か数分で8割が破壊されたぞ!』
予想より早く進んでいるな。なら俺はもう少し焦らせるか。
(ジュリアスたちがいる場所までの道を作るためにまっすぐ破壊はしている。タギラとジックの力も凄まじい。だけどものの数分で残り僅かになるものなのか?いやなにかが――)
「ガルム危ない!」
「しまっ――!」
「キャッ!」
「ぐっ!」
『考え事をしていたのか反応に遅れたガルム選手をシャロン選手が庇うがジン選手の凄まじい一撃に二人とも吹き飛ばされてしまう!しかしどうにか踏ん張って場外まで吹き飛ばされずにすんだ!』
「ほう、今のを我慢するか。さすがジュリアスと同じクラスだな」
「本当に化け物ね……」
「タギラから聞いたのか?」
「ええ、そうよ。まったくあなた程の人物がどうして十一組なのか疑問だわ」
「魔力が無いからだろ?」
「実力主義のこの学園でそれが関係あると思う?実際に私たちより魔力量が多い学生は沢山いるわ」
「確かにそうだな」
ま、どうせ俺の正体をしるためにわざと十一組に入れたんだろうけど。
「でも十一組も悪くないぜ。面白い連中ばかりだしな」
「そうなの。なら今度遊びに行こうかしら?」
「ああ、歓迎するぜ」
見た目はキレイ系の美少女だが、性格はフレンドリーで親しみやすいタイプだ。きっと11組に来ても直ぐにクラスメイト連中とも仲良くなるだろう。
「それにしても随分と余裕ね」
「ま、確かに余裕だな。お前が俺の気を引いてる間にガルムは回復し、タギラたちには氷柱の破壊をさせる程度にはだけど」
「本当ムカつくわね。だけど個人戦でガルムを倒しただけはあるわね」
「あれには参った。流石の俺も焦ったからな」
「そんな風には見えないけど?」
「今はこっちに集中してるんで、ねっ!」
「っ!」
「これで残りは三人だな」
『な、なんということでしょうか!数メートルあった距離を一瞬にして詰めるとシャロン選手を倒してしまった!さすがは個人戦代表になるだけの実力は持ち合わせている!』
「さて、どうする?」
「どうやら俺たちは一番最初に倒すべき相手を間違えたようだな」
「ああ、お前たちはジュリアスを最初に倒すべきだと考えていたようだな」
「そこまで見抜いていたか」
「いや、誰だって分かるさ。ましてや今は準決勝。ここまでくれば誰が凄いのかなんて観客席から見ていても分かる」
「確かにその通りだな。だが良いのか?ジュリアスは確かに脅威だがタギラとジックは強いぞ」
「問題ないさ。なんせ全て計画通りなんだからな」
「なに!?」
「「ぐあっ!!」」
「タギラ!ジック!」
『おっと、これはどういうことだ!氷柱を破壊し終わった瞬間二人が悲鳴を上げて倒れてしまったぞ!』
「何をした!」
「あれさ」
「あれはお前が使役している魔狼」
『エレイン先生これはどう言うことでしょうか!』
『あの二人は雷属性の攻撃で倒れたんですよ』
『雷属性ですか?しかしデータによりますとAAAに雷属性を持つ選手は居ませんが?』
『いえ、違います。ジン選手が使役している魔狼のギンによる攻撃です』
『本当だ!土柱の上に魔狼が立っています。ですが、タギラ選手とジック選手の実力は本物です。そんな二人に雷属性の攻撃を当てるのは難しいのでは?』
『ええ、普通に狙っては無理でしょう。ですが二人の足元を見てください』
『足元ですか?あれは水ですか』
『その通りです。二人が破壊した氷が解けて地面が水浸しになっているんです。そこに雷を落とせば感電し気絶させることができます』
『なるほどそういうことですか!』
「ま、これも全部ジュリアスが考えた作戦だ。タブレットやスマホから閲覧できるのは相手選手のデータのみ。そこに使役している魔物のデータまでは含まれないからな」
「なるほどそういうことか。だがなぜお前が最初に攻撃してきた」
「いくつか理由がある。まず一つは主導権を奪うこと。戦略が得意なお前から主導権を奪わなければ俺たちに勝機はないと思ったから。ましてや全体的な実力はお前たちの方に武があるからな。二つ目はお前にこの作戦を悟られてはならないから。雷属性を得意とするウーケンがいれば気づかれる可能性がどうしてもあったからな」
「確かに雷を使えば感電することは誰にだってわかるからな。だから最初にウーケンを倒したのか。だが何故お前は残った?」
やはりそこが分からないか。どうせここまでくれば俺たちの勝利は99%決まったようなものだしな。話しても良いだろう。
だけどこの作戦は俺じゃなくてジュリアスが考えたように言わないとな。
「さっきも言ったようにお前に作戦を悟らせないためらしい。試合開始早々に一人を倒されれば焦る。しかしもしも俺が仲間のところに戻れば冷静さを取り戻しこの作戦に気づかれる恐れがあるからな。だから俺はお前らに冷静な判断をさせないためと出来るなもう一人リタイヤさせることが俺の役目ってわけさ」
「なるほど速度と威力を持ったお前と氷属性の魔法が得意なジュリアスが居なければ出来ない作戦だな」
「まあな。だけどどうやらジュリアスにはこの作戦が失敗したときの作戦も考えてあったようだけどな」
「ふ、ふあはははっ!完敗だ。実力でも戦略でも俺はどうやらジュリアスには勝てないらしい。だが銀の斧のリーダーとして最後まで闘わせて貰う!」
「ああ、構わないぜ」
『おっとジン選手とガルム選手が構えた!これで勝負は決まってしまうのか!』
『ガルム選手は魔道銃器を得意とする選手。ナイフでは近接戦を得意とするジン選手には勝てないでしょう』
エレインの推察は的中していた。一瞬睨み合ったがジンが動いたことに反応することも出来ずガルムは気絶させられた。
『決まったあああああぁぁぁ!!!勝者チームAAA!決勝戦進出決定!』
どうやらステージにも実況が入るようになったな。自動なのか?
「やったああああぁぁ!」
「うおっ!」
感動のあまりエミリアが抱きついてきた。ああ、凄い。なんて素晴らしい柔らかな感触なんだ。至福の一時だ。
「嘘みたいです。まさか私たちが代表に選ばれるなんて」
「ああ、本当だな!でもこれも全部ジンのお陰だ!本当にありがとうな十一組だからって諦めてたけど、今は出て良かったって思うぜ!」
「まだ泣くのは早いだろ。明日の決勝も勝って優勝して軍務科の連中と闘おうぜ」
「ジンの言うとおりだ。明日勝利して祝杯を挙げよう!」
「「「おう!」」」
レオリオたちは嬉し涙を流し笑顔でステージを降りた。
何もしなければ何も変わらない。しかし行動すれば絶対ではないが可能性はある。それだけはこの世において確実にして絶対の真理なのかもしれない。
湧き上がる嬉さに浸りながら俺たちは廊下に出た。
『あ』
廊下に出るとそこには、今さっき闘った銀の斧の連中がそこにいた。正直気まずいこういう時どう話しかければいいのか、五年間気まぐれ島にいた俺には分からない。いや、前世でも同じだったような気がする。
「おめでとう。俺たちに勝ったんだ。絶対優勝して軍務科の連中をぶっ倒してくれよ」
そんなガルムの言葉に俺たちは笑みを浮かべた。
「それにしてもまさかジュリアス君がガルムより優れた戦略家だったねんて知らなかったわ」
「あれには俺も驚いたぞ」
その言葉にジュリアスの表情に影が落ちた気がした。
「ジュリアス、次は負けないからな」
「あ、ああ……」
そう言い残して彼らは去って行った。
「じゃ、俺たちも観客席に行こうぜ」
「うん、賛成」
「決勝の相手がどちらになるか知らないといけませんからね」
「俺はもう帰って寝たいんだが」
武闘大会団体戦学園代表選抜に出場する事が決まったからなのかレオリオたちの表情は明るく楽しそうに話していたが、俺が眠たいと言うと不満げな表情で言って来た。
「駄目だよ。ジン君は私たちに必要なんだから」
「そうです。私たちを団体戦に引き込んだ。責任は最後まで取って貰わなければ」
「へいへい」
はぁ、めんどくさい。賞金に目が眩んだとはいえ早く帰って寝たい。
「す、すまないみんな。少し用事を思い出した!」
「え、ちょっと!」
「いったいどうしたんでしょうね?」
「俺にはわかんねぇな」
「ジン君は分かる?」
俺たちの会話に入ってこなかったからもしやと思ったが予想通りだな。ま、ジュリアスらしいな。
「さぁな。ま、悪いようにはならねぇさ」
「「「?」」」
そう思いながら俺ははぐらかしながら観客席へと向かった。
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慌てて追いかけ目的の人物の後姿を捉えた私は息を吐き出すように彼の名を叫んだ。
「ガルム!」
慌てた様子で私に呼び止められたガルムは頭上に疑問符を浮かべて問い返してきた。
「ジュリアスか。どうかしたのか?」
「どうしても話しておかなければならない事がある」
「話?」
「あ、ああ。だがここでは話せない。悪いが付き合ってくれるか?」
「構わない」
どうしても私は言わなければならない。この行為が仲間の敗北になるかもしれないと分かっていても、正々堂々と闘ってくれたクラスメイトに嘘はつけないんだ。
ガルムたちを連れてパイプ椅子などが収納されている倉庫へとやってきた。
「それで話ってなんだ?」
「じ、実は……今日の作戦は私が考えたものではないんだ!」
その言葉にガルムたちは驚愕の表情を浮かべていた。
「お前じゃないだと。では誰が作戦を考えたと言うんだ」
「ジンだ」
「嘘だろ?」
流石のガルムたちも信じられないのか驚愕の表情を浮かべていた。
だがそれが事実だ。
「本当だ。今日だけじゃない。昨日の準々決勝だってそうだ。これまでの作戦は全てジンが考えたものだ」
「だが、リーダーはお前だろ?」
「それもジンの作戦だ。誰もが作戦はリーダーが考えるものだと思っている。勝ち進めば脅威となるのは作戦を考えるリーダーだ。そうなれば狙われやすくなる。だからもしものためにリーダーは私がすることになったんだ。唯一1組である私が」
真っ直ぐとガルムたちの顔を見詰めていると流石に嘘ではないと悟ったのか、これまで以上に驚いた表情をしていた。
「おいおい」
「まさかそこまで彼は考えていたの……」
「タギラとシャロンが化物と言うだけのことはあるようですな」
「ジュリアスなぜそれを俺たちに話した」
ガルムはこの話をした事が一番不思議でならなかったようで真剣な眼差しで訊いてきた。
「同じクラスメイトとして正々堂々と闘ってくれたみんなに嘘はつけなかったんだ」
「相変わらずお人よしだな。ワシら他のやつ等に言うとは思えへんかったんか?」
「考えたさ。それで敗北し仲間に迷惑をかけるかもしれないって。それでも………」
「お前は優しすぎる。だが安心しろ。ここまで誠意を見せてくれたジュリアスを裏切るようなことはしない」
「あ、ありがとう!」
本当に私は言い友達に巡り合えた!
「それでジュリアス一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
先ほどまで笑みを浮かべていたガルムだったが、一瞬にして真剣な面持ちになる。
「ジンは何者だ?」
「それはどう言う意味だ?」
「魔力も持たないものがあれだけの力を持っていることが不思議でならない。ましてやタギラが言うにはあれでも本気では無かったと言うんだ。いったいアイツは何者なんだ?」
それは私も思っていた。いったいあれだけの力と考え方をどこで身に着けたのか。
本を読んで身に着けたようなものじゃない。まるで実際に経験しながら1つ1つ気づき、それを試しながら答えを見つけた来たような感じだ。
しかしそれは戦闘を何度も繰り返して来たと言う事だ。
「私にも本当の事は分からない。ただ一つ言える事は私たちより遥かに経験者であるってことだ」
「「「「「経験者?」」」」」
「私はジンとルームメイトだから奴の体を見たことがあるんだが、あれは魔物と何度も戦ってきた人間の体だ。鍛えられ戦闘で邪魔をしないために洗礼された無駄のない筋肉、戦闘に特化した肉体には大量の古傷があった。あれは私たち同世代の子供が負う傷の量ではなかった」
まさに歴戦の戦士と言った姿だったことを思い出しながら私が出した答えでもあった。
「そうか……経験か。今の俺たちでは到底追いつくことの出来ない物だな」
「それともう一つ。ジンが本気を出せば間違いなくこの学園の誰よりも強いと私は思う」
「この学園の誰よりもだと?それは先生方を含めてか」
「そうだ。ここだけの話、編入試験の実技でジンはテトル先生を一撃で倒したらしい」
「あの女好きで最低のテトル先生を!」
シャロン流石に言い過ぎでは。ま、事実だから否定は出来ないが。
「そうだ」
「だが、それだけでは学園の誰よりも強いとは言い切れないだろ」
「なら、たった数メートル離れた距離から放たれた魔導弾丸を掴む事が出来るのか?」
「どういうことだ?」
「みんなも知っていると思うがジンが編入した日にギドたちを病院送りにした事件は知っているな」
「あの暴力事件のことか」
「あの時ギドは倉庫から魔導拳銃を盗み出していたんだ」
「本当なのか!」
「ああ、最初は私を脅すために使うつもりだったようだが、ジンとの喧嘩で奴は怒り狂い発砲した。だがジンはそれを平然と掴んでみせたんだ」
「そんなことが可能なのでござるか?」
「SSランク以上の冒険者なら可能かもしれない。だが学生が出来るようなことではない」
「だが事実だ。私はあの現場に居たからな」
あの時の異常なまでジンの身体能力を思い出しながら私は答えた。
「この事も他言無用にしたほうがいいな」
「すまない。そうして貰うと助かる」
「俺たちはそろそろ観客席に戻る。ジュリアスも早く戻ったほうがいいだろう」
「そ、そうだな」
こうして私たちの話は終わった。だけど私たち六人の中にある決意が出来た。それはジンが何者なのか知ることだ。
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