異世界✕兄妹✕姉妹

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ホリーVS親衛隊2

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40・ホリーVS親衛隊2


「やるな。エンミが手を出すなと言うからだまって見ていたが、3人がかりで攻撃するべきだったって事だな」

 今まで獲物見つめる無言のトラみたいだったイタミが口を開く。攻撃性をうっすら表に出すって感じでホリーを見る。それは危険とおそろしさと美しさ、すなわち吠える前の猛獣みたいな目。

「先の事はわからないとしても、初めて見た時……あんたが一番つよいのかな? って思った。だから2人を先にサッと片付け1対1に持ち込む、これが効率のいい戦い方」

 ホリーはニッと笑ってから……表情を真剣な色に染め替え剣を持って身構える。するとイタミも同じく構え相手を見る。そして2人は少しの間なにも動かずににらめっこをする。周りが何も言わないので静かにして湿った感が場を覆う。

(パワータイプか……)

 なぜ相手が動かないかホリーにはわかる。スピードが今一つでもパワーがあって重いというタイプは、自分から動くより相手を迎え討つ方がやりやすい。

「どうした来ないのか?」

 イタミが誘う。でも決して自分からは動こうとしない。それに関してはどっしりとしていた。相手を迎え討つのが必勝と決めたらそれを変えないという意思が生々しい。だからどんなに挑発しても決してイタミから向かっては来ないだろう。

(さて……できるかどうか……失敗したらやられるね)

 気合ひとつ飲み込んだホリーがダッシュ開始。グワーッと構えるイロミに向かっていくが、その最中にて剣を振る。

「ジェットストリーム!」

 すると構えるイロミが冷淡につぶやく。

「なんとなく想像できたぞ!」

 だがここでホリーのスピードが急にアップした。それはジェットストリームって技より早くイロミに到達すると思われた。

「ぅう!」

 これにはどっしり構えていたイロミも焦る。そして焦った瞬間にホリーが背後に回ったと見えたらとっさの反応というモノに出るしかない。

「こざかしい!」

 剣を下から上に振り上げジェットストリームを斬ったら、そのまま背後に体を動かし剣を振る。するとブン! と太くてつよい空振り音が立つ。何の手応えもないスカった感にイタミの体がぐらつく。

「こっち、こっち」

 ホリーの声がする方、つまり上に顔を向けるイタミ。

「ごめんね、アイム・ソーリー」

 言ったホリーが剣を振る。もっともそれは鞘に入れられているので、イタミの顔面を猛烈にヒットしても肉が斬れ飛ぶような絵にはならない。その代わりイタミが奥歯を折ったあげくに意識を失う手前状態となる。

「勝負あった! 女同士、ここは素直に負けを認めて」

 イタミから剣を奪い取るホリー。ところがこの年上女は地面に横たわりながら、意識を失う寸前って状態なのに何か攻撃って動きを取ろうとする。これはもうマナー違反とか見苦しいって姿であるから勝者をイラつかせる。

「あぁもう、うざい! 長いこと眠っていて!」

 ホリーは仕方ないって事で、握った右手をイタミの顔面に振り下ろす。ガーン! って勢いが直撃すれば鼻血ブーになったイタミがガクッと気を失う。真っ黒な過去を持つ女だが、見た目はとても美人だ。それが鼻血噴き出したりすると、なかなかのバイオレンスシーンみたいに映えてしまう。

「こんなひどい事をさせるから、わたしの性格が悪いみたいじゃんか。でもまぁ、これでポニー親衛隊の退治完了」

 ぶつくさ言いながらホリーは手についた少量の血をハンカチで拭き取る。それから多貴の方を見ていぇい! とピース。そして次にとっても怒っているであろう姉のエリーを見て、軽く両手を合わせ片目ウィンク。ごめんね! と心の中でつぶやいた。
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