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いざ城に乗り込み・対戦
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38・いざ城に乗り込み・対戦
今日という日、それは予告したとおり城へ乗り込むデーである。予報通り雨は振っていない。でも予報とちがいやや曇っている。ホリーが言うところによれば、ポニーはこういうやや曇ってグレーな感じが好きらしい。
多貴、ホリー、エリスの3人が城の前に到着すると、事前に承知していた門番が女子2人に挨拶をしてから門を開けた。もちろん多貴もふつうに通すが、この少年に対しては頭を下げたりはしない。
「王玉広場にポニーたちはいるらしいですよ」
先頭に立つホリーは姉に教えてもらった情報をつぶやく。王玉広場というのは、超広大なお城スペースの中にあって、一番の面積を誇る広場。特に何かがあるわけではないがポニーが昔からとても気に入っていたところ。なぜ? と問われたら、ポニーはこう答えるだろう。お城という狭められがある中で無限のように広いという感じが、不健康で魅力的に見えるからと。
「ものすごく久しぶりって感じがするわ」
城から追い出されていたエリスは感慨深そうだった。卒業して何年もした後、ふっと学校に戻った卒業生みたいな顔をしている。
「多貴、肩に力が入りすぎ」
ホリーは何にも喋らない多貴の横に位置すると、そんなに硬いと本来の動きができなくなるよ? とアドバイス。そして3人はポニー達が待っている王玉広場に到着した。それはもう夢の世界かと思うような広さであって、わざわざ作らせた舞台がある。高いところにステージがあり、そこへ向かっていく階段が印象的。そして階段の前にはエリーが立ち、さらにその前には親衛隊の3人が立つ。
3人が随分高いところにあるステージに目を向けると、そこには玉座が2つあって片方にはポニーがいて、もう片方にはグレーのドレスを着た詩貴が座っていた。
「詩貴!」
妹の姿が目に入るや黙っていられず叫ぶ。
「お、お兄ちゃん……」
詩貴もそれなりの大きな声を出した。でも体がぐぐっと不自由な動きしかできず立ち上がれないのはイスに縛られているせいである。
「いらっしゃーい、待っていたわ」
玉座にゆったり腰掛けるポニーは白いドレスに身を包んでいる。片足をもう片方に乗っけるようにして組み、意外とある? って感じの谷間を見せながらつぶやきを続けた。
「ホリー、ご苦労さん。あなたには1年くらいの休暇とボーナスをあげたいキブン。で、多貴……随分と凛々しくなって。最初に会ったときのブタとは別人。かっこういいよ、だからって妹は返さないけどね。だけどホリーよりも多貴よりも問題なのは、お姉ちゃんだよ。わたしの前で今までの自分を反省して見せるために来た? だったら階段の前で跪いてちょうだい。そしたら笑ってから許してあげるけど」
フフっと姉に笑みを見せた。これまで通り相手は年上のくせに情けない顔をするんだと思った。ところが思わぬことにエリスの顔は凛々しく安定している。やわらかい笑みの中に強さがあるようだ。そしてポニーを見上げながらハッキリとした声で言った。
「謝ってもいいけど、その前にわたしの力を見せたい。そう思うからやってきた。そして早くそうしたいって疼いてる」
この発言にはポニーだけでなくエリーも目を丸くした。なぜならその声というのはエリスのモノであって異なるような感じにあふれていたから。
「はぁ? 城から追い出されて頭がパーになったの? ったく……どこまでも世話が焼けてうざいんだから……」
こんな風に前置きが展開されていたわけであるが、ジッとしていられないのが親衛隊の一人であるエンミ。いつまで話をしてるんだよ! ってな思いが吹きそうになる。それを察知したのか、ポニーがエンミに言った。
「親衛隊、とりあえずお客さんをもてなしてちょうだい」
それを聞いたら待ってました! とばかりエンミが剣を抜く。それとはちょっと色合いが異なるが、かなりやる気でイタミも剣を抜く。そして親衛隊ナンバーワンのグラマーで爆乳のイロミも、ややドキドキしつつ剣を抜くのだった。
「む!」
多貴も剣を抜こうとした。するとその前にホリーが進んでから、ここはわたしが引き受けると口にする。
「え、ホリー?」
「多貴は妹を助けるためにやってきた。前置きの戦いは少ない方がいい。その燃えるような思いはちょっと保留しておいて」
言って剣を抜くホリー、その目は親衛隊の3人を見ているが、実際にはその後ろに立っている姉に重点が置かれていた。
ジャマするか? と姉から心の声が流れてくる。だから妹は身構えながら姉に心の声で返事をした。多貴とエリスにも活躍させてあげたいんだよ、いいでしょう? と。
「今度は負けない」
ここで横から割って入るように言ったのは、レストラン前でのリベンジだ! という目をホリーに向ける親衛隊のエースことエンミだった。
今日という日、それは予告したとおり城へ乗り込むデーである。予報通り雨は振っていない。でも予報とちがいやや曇っている。ホリーが言うところによれば、ポニーはこういうやや曇ってグレーな感じが好きらしい。
多貴、ホリー、エリスの3人が城の前に到着すると、事前に承知していた門番が女子2人に挨拶をしてから門を開けた。もちろん多貴もふつうに通すが、この少年に対しては頭を下げたりはしない。
「王玉広場にポニーたちはいるらしいですよ」
先頭に立つホリーは姉に教えてもらった情報をつぶやく。王玉広場というのは、超広大なお城スペースの中にあって、一番の面積を誇る広場。特に何かがあるわけではないがポニーが昔からとても気に入っていたところ。なぜ? と問われたら、ポニーはこう答えるだろう。お城という狭められがある中で無限のように広いという感じが、不健康で魅力的に見えるからと。
「ものすごく久しぶりって感じがするわ」
城から追い出されていたエリスは感慨深そうだった。卒業して何年もした後、ふっと学校に戻った卒業生みたいな顔をしている。
「多貴、肩に力が入りすぎ」
ホリーは何にも喋らない多貴の横に位置すると、そんなに硬いと本来の動きができなくなるよ? とアドバイス。そして3人はポニー達が待っている王玉広場に到着した。それはもう夢の世界かと思うような広さであって、わざわざ作らせた舞台がある。高いところにステージがあり、そこへ向かっていく階段が印象的。そして階段の前にはエリーが立ち、さらにその前には親衛隊の3人が立つ。
3人が随分高いところにあるステージに目を向けると、そこには玉座が2つあって片方にはポニーがいて、もう片方にはグレーのドレスを着た詩貴が座っていた。
「詩貴!」
妹の姿が目に入るや黙っていられず叫ぶ。
「お、お兄ちゃん……」
詩貴もそれなりの大きな声を出した。でも体がぐぐっと不自由な動きしかできず立ち上がれないのはイスに縛られているせいである。
「いらっしゃーい、待っていたわ」
玉座にゆったり腰掛けるポニーは白いドレスに身を包んでいる。片足をもう片方に乗っけるようにして組み、意外とある? って感じの谷間を見せながらつぶやきを続けた。
「ホリー、ご苦労さん。あなたには1年くらいの休暇とボーナスをあげたいキブン。で、多貴……随分と凛々しくなって。最初に会ったときのブタとは別人。かっこういいよ、だからって妹は返さないけどね。だけどホリーよりも多貴よりも問題なのは、お姉ちゃんだよ。わたしの前で今までの自分を反省して見せるために来た? だったら階段の前で跪いてちょうだい。そしたら笑ってから許してあげるけど」
フフっと姉に笑みを見せた。これまで通り相手は年上のくせに情けない顔をするんだと思った。ところが思わぬことにエリスの顔は凛々しく安定している。やわらかい笑みの中に強さがあるようだ。そしてポニーを見上げながらハッキリとした声で言った。
「謝ってもいいけど、その前にわたしの力を見せたい。そう思うからやってきた。そして早くそうしたいって疼いてる」
この発言にはポニーだけでなくエリーも目を丸くした。なぜならその声というのはエリスのモノであって異なるような感じにあふれていたから。
「はぁ? 城から追い出されて頭がパーになったの? ったく……どこまでも世話が焼けてうざいんだから……」
こんな風に前置きが展開されていたわけであるが、ジッとしていられないのが親衛隊の一人であるエンミ。いつまで話をしてるんだよ! ってな思いが吹きそうになる。それを察知したのか、ポニーがエンミに言った。
「親衛隊、とりあえずお客さんをもてなしてちょうだい」
それを聞いたら待ってました! とばかりエンミが剣を抜く。それとはちょっと色合いが異なるが、かなりやる気でイタミも剣を抜く。そして親衛隊ナンバーワンのグラマーで爆乳のイロミも、ややドキドキしつつ剣を抜くのだった。
「む!」
多貴も剣を抜こうとした。するとその前にホリーが進んでから、ここはわたしが引き受けると口にする。
「え、ホリー?」
「多貴は妹を助けるためにやってきた。前置きの戦いは少ない方がいい。その燃えるような思いはちょっと保留しておいて」
言って剣を抜くホリー、その目は親衛隊の3人を見ているが、実際にはその後ろに立っている姉に重点が置かれていた。
ジャマするか? と姉から心の声が流れてくる。だから妹は身構えながら姉に心の声で返事をした。多貴とエリスにも活躍させてあげたいんだよ、いいでしょう? と。
「今度は負けない」
ここで横から割って入るように言ったのは、レストラン前でのリベンジだ! という目をホリーに向ける親衛隊のエースことエンミだった。
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