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ポニーとポニー親衛隊
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34・ポニーとポニー親衛隊
ポニーが主として君臨する城、その中にある一室で親衛隊の3人がエリーにしごかれていた。厳密に言えばエンミとイロミの2人が絞られていた。エリー曰く、イタミは出来上がっているからいいとして、残りの2人が問題。特にリーダーになるべきエンミに対してはきつい目が向けられる。
「まだ始まって10分しか経っていないわよ」
練習用の剣を持って向かい合う2人だが、その姿や表情は大変に対象的だった。白いシャツにトレパンのエリーに汗は少なく顔には余裕があり息切れはなし。しかしエンミは同じ格好にて汗だらけ。ゼーゼー切れる息は今にも倒れそうな気配すら漂わせる。
朝食が終わってからひたすらトレーニング。前よりハードになったそれの中で、休む間もなくエリーと戦わせられるのだからたまない。動きが速い、剣が重いなどの理由がかさなる結果として、エンミには10分が30分のように感じられる。
「まさかもう息切れ?」
「ぅ……」
目がうつろになっているエンミに対してエリーはきびしい。ついこの間、レストランでの出来事を聞かされたらスパルタしなきゃいけないのかな? と思うようになったせいだった。わが妹のホリーはつよいとしながらも、あんまりあっさりやられるようでは先が思いやられると考える。
「早く攻めてきなさいってば、いつまでわたしを待たせる気なの?」
エリーの安定した表情が逆に怖いと思うエンミ。
「ハァハァ……」
軽い目まいがすでに始まっているエンミ、どうせなら渾身の一撃を放ってぶっ倒れ、それで潔くエリーに怒られようと考える。そのときトレーニングルームのドアがコンコンってノックされた。そして内側の返事を待つまでもなく、ポニーが中に入る。
「ポニー、どうしたんですか?」
とりあえず剣を下に向けるエリー。
「べつに大した用事はないわ。まずひとつ、わたしもたまには親衛隊を見たいと思った。そしてもうひとつ、今日のわたしはキブンがいいのよ。だからエリーに言っておこうと思って来た」
「わたしに何を言うのですか?」
「この間のレストランって一件でエリーは怒ってるんじゃないかなぁと思った。きっと親衛隊をビシバシに扱くんじゃないかなぁって思った」
「扱いてはダメなんですか?」
「そんなこと言わないわ。ギュギュウに絞る事もたまに必要。だけどエリー、急ぎ過ぎてもダメなモノはダメ。エリーは優秀だからね、その頭でやろうとすると不思議とダメなのが育ってしまう。そう、余裕っていうのも必要。ポニー親衛隊はエリートであってもいいけど愛嬌もあった方がいいわ」
ポニーはエリーに剣を貸してと広げた右手の親指以外をクイクイ動かす。そして剣を受け取ると、一枚100万円ほどの白いTシャツに200万円ほどする黒いズボンって格好で身構える。
「えっと……あなたエンミだったわね?」
「は、はい……」
「長い練習が悪いとは言わないけど、長ければいいとも言えないのよね。ヘロヘロのヨロヨロになったら精神的に惨めだよね? だったらここでひとつスカっとしましょう。そして休憩してキブンリフレッシュすればいい。ほら、かかっておいで。思いっきり、自分の力すべて出し切って向かっておいで」
言われてエンミもグッと身構える。エリーとポニーが会話している時間が少しの休憩になったので、キモチ程度とはいえ体力数値は増えた。これで憧れのポニーに思いっきり攻め込もうと息を整える。
「来るなら思いっきりね、思い残すことはないって全力でね」
「わかりました!」
エンミ、仲間やエリーが見ている前でポニーに斬り込む。それはなかなか立派なスピードだった。心地よい風に乗っかるって表現を用いてもいいくらいの速さはあった。
「エンミ、一休みタイム!」
ポニーが言ったとき、その極めて短い時間の中で……エンミは見た。まるでぶ厚い水中を魔物みたいな速度で動くポニーがいて、その手が持つトレーニング剣が水平に振られ、自分の腹部にはげしくぶつかってきたと。
「あぅぐ!」
両目を大きく開いただけでは収まらず、口から窒息寸前って苦しさを吐く。そしてエンミの体は吹き飛ばされたかのように飛ばされ、だだっ広い室内のカベに激突した。
「ぅ……」
ブルブルっと震えたエンミ、立ち上がろうとすることもポニーに目を向けることも出来ず気を失ってしまった。
「おやすみ、エンミ」
ポニーはニコっと笑ったら剣をエリーに返す。そして残る2人の親衛隊に手を振ってからトレーニングルームより立ち去って行った。
ポニーが主として君臨する城、その中にある一室で親衛隊の3人がエリーにしごかれていた。厳密に言えばエンミとイロミの2人が絞られていた。エリー曰く、イタミは出来上がっているからいいとして、残りの2人が問題。特にリーダーになるべきエンミに対してはきつい目が向けられる。
「まだ始まって10分しか経っていないわよ」
練習用の剣を持って向かい合う2人だが、その姿や表情は大変に対象的だった。白いシャツにトレパンのエリーに汗は少なく顔には余裕があり息切れはなし。しかしエンミは同じ格好にて汗だらけ。ゼーゼー切れる息は今にも倒れそうな気配すら漂わせる。
朝食が終わってからひたすらトレーニング。前よりハードになったそれの中で、休む間もなくエリーと戦わせられるのだからたまない。動きが速い、剣が重いなどの理由がかさなる結果として、エンミには10分が30分のように感じられる。
「まさかもう息切れ?」
「ぅ……」
目がうつろになっているエンミに対してエリーはきびしい。ついこの間、レストランでの出来事を聞かされたらスパルタしなきゃいけないのかな? と思うようになったせいだった。わが妹のホリーはつよいとしながらも、あんまりあっさりやられるようでは先が思いやられると考える。
「早く攻めてきなさいってば、いつまでわたしを待たせる気なの?」
エリーの安定した表情が逆に怖いと思うエンミ。
「ハァハァ……」
軽い目まいがすでに始まっているエンミ、どうせなら渾身の一撃を放ってぶっ倒れ、それで潔くエリーに怒られようと考える。そのときトレーニングルームのドアがコンコンってノックされた。そして内側の返事を待つまでもなく、ポニーが中に入る。
「ポニー、どうしたんですか?」
とりあえず剣を下に向けるエリー。
「べつに大した用事はないわ。まずひとつ、わたしもたまには親衛隊を見たいと思った。そしてもうひとつ、今日のわたしはキブンがいいのよ。だからエリーに言っておこうと思って来た」
「わたしに何を言うのですか?」
「この間のレストランって一件でエリーは怒ってるんじゃないかなぁと思った。きっと親衛隊をビシバシに扱くんじゃないかなぁって思った」
「扱いてはダメなんですか?」
「そんなこと言わないわ。ギュギュウに絞る事もたまに必要。だけどエリー、急ぎ過ぎてもダメなモノはダメ。エリーは優秀だからね、その頭でやろうとすると不思議とダメなのが育ってしまう。そう、余裕っていうのも必要。ポニー親衛隊はエリートであってもいいけど愛嬌もあった方がいいわ」
ポニーはエリーに剣を貸してと広げた右手の親指以外をクイクイ動かす。そして剣を受け取ると、一枚100万円ほどの白いTシャツに200万円ほどする黒いズボンって格好で身構える。
「えっと……あなたエンミだったわね?」
「は、はい……」
「長い練習が悪いとは言わないけど、長ければいいとも言えないのよね。ヘロヘロのヨロヨロになったら精神的に惨めだよね? だったらここでひとつスカっとしましょう。そして休憩してキブンリフレッシュすればいい。ほら、かかっておいで。思いっきり、自分の力すべて出し切って向かっておいで」
言われてエンミもグッと身構える。エリーとポニーが会話している時間が少しの休憩になったので、キモチ程度とはいえ体力数値は増えた。これで憧れのポニーに思いっきり攻め込もうと息を整える。
「来るなら思いっきりね、思い残すことはないって全力でね」
「わかりました!」
エンミ、仲間やエリーが見ている前でポニーに斬り込む。それはなかなか立派なスピードだった。心地よい風に乗っかるって表現を用いてもいいくらいの速さはあった。
「エンミ、一休みタイム!」
ポニーが言ったとき、その極めて短い時間の中で……エンミは見た。まるでぶ厚い水中を魔物みたいな速度で動くポニーがいて、その手が持つトレーニング剣が水平に振られ、自分の腹部にはげしくぶつかってきたと。
「あぅぐ!」
両目を大きく開いただけでは収まらず、口から窒息寸前って苦しさを吐く。そしてエンミの体は吹き飛ばされたかのように飛ばされ、だだっ広い室内のカベに激突した。
「ぅ……」
ブルブルっと震えたエンミ、立ち上がろうとすることもポニーに目を向けることも出来ず気を失ってしまった。
「おやすみ、エンミ」
ポニーはニコっと笑ったら剣をエリーに返す。そして残る2人の親衛隊に手を振ってからトレーニングルームより立ち去って行った。
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