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多貴、気合入れて絶好調!
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30・多貴、気合入れて絶好調!
本日の天気は晴れ。空は人にやさしく青い微笑みを広げ、暑くもない寒くもない気温の中に心地よいプレンとされたような風が吹く。
「ふん!」
「せい!」
多貴とホリーの剣が勢いよくぶつかった。そして2人はググっと押し合う。そんな中ホリーにちょっと驚きって顔が浮かぶ。それは声というセリフに変換される。
「多貴、急激に成長しちゃって」
そうだった、詩貴を久しぶりに見たあの夜以降、多貴の成長にブーストがかかった。まるで時間って階段を3段飛びしているような速さであり、表情というよりは全身から凛々しいオーラが放たれて止まない。
「一日でも早く詩貴を取り戻す!」
多貴が相手のモノとぶつかっていた剣を思いっきり振り上げる。それはホリーを大きく後ずさりさせた。すると追撃だとばかり身構える多貴、ホリーから教えてもらったということで同名とした真空波を放つ。
「ジェットストリーム!」
空気がうねってホリーへ向かっていく。
「せいや!」
ホリーの剣が斜め下から上に振られれば、生き物みたいに動いていた空気が割れて飛び散るのだった。
「さすがホリー」
ふぅと汗を流しながらつぶやく多貴。
「いやいや多貴、すごいのはそっちだよ。こんなに早く劇的っぽく成長されるとさぁ、なんか自分の事みたいに嬉しくなっちゃうね」
同じく汗を額に流しながらホリーが剣をしまおうとする。ところがここで多貴が見て欲しいモノがあるとか言う。
「見て欲しいモノ?」
「まだ全然ダメなんだけど……キモチ程度の火炎を起こす」
「火炎? マジで?」
驚くホリーを見ながら多貴は両手で持った剣の体をやや斜めにする。すると剣から蒼白い光というよりは同じ色の炎が少し立つ。自分の精神を剣に注入し遠距離先ができるようにするのはスプリントスィング。以前に蒼白い球を少しばかり放てるようになっていたし、ホリーから教わった真空波もコツを掴んだ。
「まだこれくらいしかできないけどね……」
いま多貴がやっているのは自分の精神プラス熱を剣に注入している。だからさっきまではほんのりだった汗がダラダラ流れていて、でも剣に浮かばせる炎はまだかわいいレベル。それはけっこうきついって事だった。
「多貴、熱を込めて球を一発放って。どのくらい熱いか確かめてあげよう」
「いいの?」
「ホリー様を甘く見るべからず」
「では遠慮なく」
多貴は言うが早いが大きな気合と共に剣を振る。すると蒼白い光の球がホリーめがけてとんでいく。
「せい!」
ホリーは前に左腕を出す。そして広げた左手の平で向かって来たモノを受け止めた。まだ大丈夫だろうって思っていたし、実際手が飛ばされるようなレベルではない。でも熱というのは思ったより高かった。
「あちち……」
慌ててホリーは近くに置いていたペットボトルを掴む。そして内側にある水を左手にかけあちちって声を繰り返す。
「だいじょうぶ?」
「あぁ、だいじょうぶ。しかしすごいわ多貴、若返った価値があるってもんだよ。日増しにかっこうよくなってるね」
「いや、そんな……ぼくは妹を取り戻したいだけ」
「いやぁ、今の多貴だったらお姉ちゃんがホレるかもしれない」
「お姉ちゃんってエリーだっけ?」
多貴はこの世界に来てすぐに発生した出来事を思い出す。ホリーの姉ことエリーに罵倒され打ちのめされたという恥ずかしい事実。ちょこっと思い返すだけで穴に潜り込みたくなる。そんな多貴を見ながらホリーは微笑んで言う。
「お姉ちゃんは努力してかっこうよくなるタイプが好きなんだよ。一見クールだけど少女マンガで今の多貴みたいな男子が好きって思い描くタイプ。でさ多貴、お姉ちゃんって美人だしおっぱい豊かな巨乳でお買い得。もし付き合う事になったらよろしくね!」
「な、なに言ってんだよもう」
2人はこんな会話をして休憩するわけであるが、それをちょっと離れたところからこっそり見るのがエリスだったりする。多貴の成長と凛々しさが印象的なだけに、自分が置いてけぼりを食らったように感じて悶々としていた。自分も多貴みたいになりたいだなんて事ばかり考えるようになっていた。
本日の天気は晴れ。空は人にやさしく青い微笑みを広げ、暑くもない寒くもない気温の中に心地よいプレンとされたような風が吹く。
「ふん!」
「せい!」
多貴とホリーの剣が勢いよくぶつかった。そして2人はググっと押し合う。そんな中ホリーにちょっと驚きって顔が浮かぶ。それは声というセリフに変換される。
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そうだった、詩貴を久しぶりに見たあの夜以降、多貴の成長にブーストがかかった。まるで時間って階段を3段飛びしているような速さであり、表情というよりは全身から凛々しいオーラが放たれて止まない。
「一日でも早く詩貴を取り戻す!」
多貴が相手のモノとぶつかっていた剣を思いっきり振り上げる。それはホリーを大きく後ずさりさせた。すると追撃だとばかり身構える多貴、ホリーから教えてもらったということで同名とした真空波を放つ。
「ジェットストリーム!」
空気がうねってホリーへ向かっていく。
「せいや!」
ホリーの剣が斜め下から上に振られれば、生き物みたいに動いていた空気が割れて飛び散るのだった。
「さすがホリー」
ふぅと汗を流しながらつぶやく多貴。
「いやいや多貴、すごいのはそっちだよ。こんなに早く劇的っぽく成長されるとさぁ、なんか自分の事みたいに嬉しくなっちゃうね」
同じく汗を額に流しながらホリーが剣をしまおうとする。ところがここで多貴が見て欲しいモノがあるとか言う。
「見て欲しいモノ?」
「まだ全然ダメなんだけど……キモチ程度の火炎を起こす」
「火炎? マジで?」
驚くホリーを見ながら多貴は両手で持った剣の体をやや斜めにする。すると剣から蒼白い光というよりは同じ色の炎が少し立つ。自分の精神を剣に注入し遠距離先ができるようにするのはスプリントスィング。以前に蒼白い球を少しばかり放てるようになっていたし、ホリーから教わった真空波もコツを掴んだ。
「まだこれくらいしかできないけどね……」
いま多貴がやっているのは自分の精神プラス熱を剣に注入している。だからさっきまではほんのりだった汗がダラダラ流れていて、でも剣に浮かばせる炎はまだかわいいレベル。それはけっこうきついって事だった。
「多貴、熱を込めて球を一発放って。どのくらい熱いか確かめてあげよう」
「いいの?」
「ホリー様を甘く見るべからず」
「では遠慮なく」
多貴は言うが早いが大きな気合と共に剣を振る。すると蒼白い光の球がホリーめがけてとんでいく。
「せい!」
ホリーは前に左腕を出す。そして広げた左手の平で向かって来たモノを受け止めた。まだ大丈夫だろうって思っていたし、実際手が飛ばされるようなレベルではない。でも熱というのは思ったより高かった。
「あちち……」
慌ててホリーは近くに置いていたペットボトルを掴む。そして内側にある水を左手にかけあちちって声を繰り返す。
「だいじょうぶ?」
「あぁ、だいじょうぶ。しかしすごいわ多貴、若返った価値があるってもんだよ。日増しにかっこうよくなってるね」
「いや、そんな……ぼくは妹を取り戻したいだけ」
「いやぁ、今の多貴だったらお姉ちゃんがホレるかもしれない」
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「お姉ちゃんは努力してかっこうよくなるタイプが好きなんだよ。一見クールだけど少女マンガで今の多貴みたいな男子が好きって思い描くタイプ。でさ多貴、お姉ちゃんって美人だしおっぱい豊かな巨乳でお買い得。もし付き合う事になったらよろしくね!」
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