異世界✕兄妹✕姉妹

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
上 下
16 / 46

ポニー親衛隊面接2・イロミ・キョニュウダーの登場

しおりを挟む
16・ポニー親衛隊面接2・イロミ・キョニュウダーの登場


「さて、今日はどうなのかな」

 午前9時59分がけっこう回ったところでつぶやくエリー。色白きれいな両手をドアに付けて深呼吸。昨日に続いて今日もポニー親衛隊の面談。今日は午前と午後の2回を予定しており、午前には65人くらいが集まっているという。

「エンミみたいな子はしょっちゅう現れないだろうなぁ」

 エリーがそう言ったところで時刻は午前10時になる。だからドアを開き午前の紅茶とかクッキーなどを楽しんでいる65人を目にせんとドアを開けた。

 ギィっと音がしてドアが開けば、その瞬間内側にあった声だの雑音だのは見事に消える。まるで一瞬で消滅する夢みたいなモノ。代わりにとっても静かで重たい現実感がだだっ広い食堂を包み込む。

「みなさん、おはようございます。クッキーのお味はどうです?」

 なんて事を言いながらエリーはゆっくりと歩き始める。つよそうとか将来性ありそうとかいう女子はいるかいないか、スローな足取りで座っている者たちの顔ぶれを見る。だがそのときフッと一人が気になった。

(うん?)

 エリーの足が一時停止。これはまたえらく……なんというか……と思ったりしてしまう。

「あなた名前は?」

「イロミ・キョニュウダー、16歳です」

「ふむ……」

 エリーは右の人差し指で頬を数回かいた後、あなたの好きな言葉は? とイロミに質問した。

「一意専心です」

 すぐにキッパリはっきり答えたイロミからは、見た目に反してやれそうな感じが浮かんだ。16歳の少女はパープブルのロングヘアー。背はそこそこ高い方。全体的にスマートなフォルムだが、エリーと比べたらあまりムッチリ感はない。それでいてFカップって巨乳のエリーよりグラマー度が高い爆乳。エンミと比較すると動きや身体能力が高そうな印象はない。

 エリーはひとまずイロミから目を離し、他の大勢を見て回った。そうして数分後にイロミに向かってついてくるようにと指示。それ以外の64人は紅茶とクッキーをたっぷり楽しんでからお帰りくださいと伝えるのみ。

 昨日と同じミニ会議室に到着。中に入れ豪華なイスに座らせると、超高級な横長テーブルを挟んで向かい合う。

「イロミ、聞いてもいい?」

 ふっくらなお尻を落とすとすぐエリーが質問に入る。

「はい」

 おとなしそうに見えるイロミだが、けっこう堂々とした印象もある。

「ハッキリ言うけど、あなたかわいいし色っぽい。まぁ……わたしもそれなりの巨乳だと思っているFカップだけど、わたしよりあなたの方がグラマーさん。言いたくなかったら言わなくてもいいけど、あなた何カップ?」

「今のところHカップです」

「そ、そう……おほん! イロミ、べつに戦う女子はかわいくてもグラマーでもいいのよ。でもあなたからはかわいさとか色っぽさを超えるようなつよさは感じない。その辺りってどう? まさかわたしに気づかれないようつよさを隠しているとか?」

「ちがいます……つよくないです、全然ダメなんです」

「全然ダメ?」

「運動は好きです。こう見えても運動神経はいいと思っています。ただ、剣術とかそれにふさわしいようなつよさとかは持っていないんです」

「それでポニー親衛隊に入りたいと?」

「はい。自分を変えたいと思って来ました。ついでだから言っちゃってもいいですか?」

「いいよ、言ってごらんなさい」

「こんな、わたしみたいな女でもやればできると証明してみたくて来ました」

「その心意気はいいんだけど……う~ん……」

 エリーは豊かでやわらかい胸のふくらみに腕組みを当てると、さてどうしたものかと考えた。なぜこのような少女に気が止まったのかと自分でも思うが、なんというか感じるモノがあったと振り返る。ポニー親衛隊にあるべきつよさと無縁だとしても、こういうキャラがいてもいいんじゃない? 的な事を感じさせられたせいだとする。

「体力には自信ある?」

「はい」

「根性は?」

「あります。もしくじけそうになったら自分で自分をののしって燃え上がるタイプですから」

「どんな風に罵るの?」

「乳のデカさしか取り柄がないバカ女! とかです」

「ちょっと待っていて、すぐ戻る」

 エリーはイロミという少女を残して会議室から出ると、その足でポニーの書斎という場所に向かった。ポニーにはバカみたいに広い自分の部屋があって何でも置いてある。さらに言うと政治だの面倒くさいことは有能な部下およびエリーに任せ、最後の確認と承認しかやらない。それでもフィーリングの問題として書斎は必要なのだといい、たまにはここにこもって書類を見たりする。

「ポニー、ちょっといいですか?」

 エリーがドアをノックすると、どうぞ! と無愛想な声がする。機嫌悪いというよりは書類に目を通すことに疲れているって様子。

「まったくかったるいわ。自分の中にある活力を抑え込み、自ら年寄りになるのを望むかのように座って書類とにらめっこ。こんな事ばかりやっていたら早く老けてババアになってしまう」

 金のイスに座るポニーはグチグチやったら、今度は超超高級チョコレートをつまんだりして、なんか用? とエリーに目を向ける。

「親衛隊の面談でちょっと話が」

「いいわよ、息抜きにたのしい話が欲しいと思っていたところだから」

「実は……」

 エリーは話をテンポよく語って聞かせた。するとポニーはにんまり笑って一言発した。その子は合格、採用! と。

「いいんですか?」

「いいわよ。アグレッシブな女子はわたしの好みだもの。それにエリー、親衛隊にはどこか愛嬌があってもいいわけよ。昨日のエンミ、あれは優秀な部類だけど、それと同じのだけで固めたらつまらないじゃん。エリーもそういうキモチがあったからイロミが気になったはず」

「まぁ……そうなんですけど」

「やや劣るモノがいるなら、それを引き上げるよう仲間の中で育成とかすればいい。そうすれば絆も深くなるでしょう」

「そうですね」

「あ、だけどね、根っからのヘボでまったくの見込みなしはダメ。だから採用はしても条件をつけて」

「条件?」

「1ヶ月以内、その間に最低限の力はつけてもらう。つまり弱いけど愛しいキャラクターって思わせるくらいには成長してもらうってこと」

「わかりました」
 エリーはそう言って書斎から出ようとしたが、ふと足を止め聞かなくてもいいのだろうが聞きたくなったので聞いた。

「ポニー、詩貴は?」

「庭でも散歩していると思うわ。わたしも書類から解放されて詩貴と語り合いたいと思っているところ」

「そうですか。それでこれは今フッと思ったんですけど、詩貴もポニー親衛隊に入れてみるというのはどうです?」

「詩貴を親衛隊に?」

「だってポニーに聞かせてもらった話じゃ、自分を鍛えたいって意識が詩貴にはあるらしいので」

「なかなかいいアイデア! と言いたいけど……詩貴はわたしの愛する者だからねぇ。どうしたって他の面々とちがって不平等っぽくなる。そうならなかったとしても、わたしが詩貴を愛しているとか言うだけで、他の面々が嫉妬しそうな気がする。まぁ、詩貴がやってみたいと言うなら考えるけどさ」

「わかりました。では」

 エリーはそう言って書斎から出た。そうしてミニ会議室に戻ると、ポニーとした会話の内容を伝える。

「イロミの育成にはわたしも協力するけど、基本的にはエンミにさせる。エンミの方が年下だけどつよいのはあっち。だからイロミ、あなたが言うやれるところを見せるためにも教えには素直に従うべきってことね」

「わかりました」

「オーケー、じゃぁ親衛隊バッヂを渡しておく。今日はこれで家に帰って荷造りしなさい。そして今日の夜に来れるなら来ればいい。部屋はいますぐ用意させるからだいじょうぶって事にしておく」

「わかりました!」

 こうしてイロミ・キョニュウダーの親衛隊への仮参加が決まった。親衛隊はいったいどんな感じになるんだろうかと少したのしみに思ったりするエリーだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】異世界アイドル事務所〜アナタの才能、発掘します!〜

成瀬リヅ
ファンタジー
「願わくば、来世で彼女をトップアイドルに……」  そう思いながら死んだアイドルプロデューサーの俺・小野神太は、気付けば担当アイドルと共に多種族の住む異世界へ転生していた!  どうやら転生を担当した者によれば、異世界で”トップアイドルになれるだけの価値”を示すことができれば生き返らせてくれるらしい。  加えて”アイドル能力鑑定チート”なるものも手に入れていた俺は、出会う女性がアイドルに向いているかどうかもスグに分かる!なら異世界で優秀なアイドルでも集めて、大手異世界アイドル事務所でも作って成り上がるか! ———————— ・第1章(7万字弱程度)まで更新します。それ以降は未定です。 ・3/24〜HOT男性向けランキング30位以内ランクイン、ありがとうございます!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界に転移したけどマジに言葉が通じずに詰んだので、山に籠ってたら知らんうちに山の神にされてた。

ラディ
ファンタジー
 日本国内から国際線の旅客機に乗り込みたった数時間の空の旅で、言語はまるで変わってしまう。  たった数百や数千キロメートルの距離ですら、文法どころか文化も全く違ったりする。  ならば、こことは異なる世界ならどれだけ違うのか。  文法や文化、生態系すらも異なるその世界で意志を伝える為に言語を用いることは。  容易ではない。 ■感想コメントなどはお気軽にどうぞ! ■お気に入り登録もお願いします! ■この他にもショート作品や長編作品を別で執筆中です。よろしければ登録コンテンツから是非に。

【完結】君の世界に僕はいない…

春野オカリナ
恋愛
 アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。  それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。  薬の名は……。  『忘却の滴』  一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。  それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。  父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。  彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。

処理中です...