異世界✕兄妹✕姉妹

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
上 下
6 / 46

多貴を15歳の剣士にさせる計画

しおりを挟む
6・多貴を15歳の剣士にさせる計画


「わ、若返り?」

 多貴はとりあえず的におどろいた次、頭の中に穴が開いた! というような顔で両目をパチクリさせた。

「そ、若返り」

「そ、って普通に言ってるけど、どういうこと? そんなのできるの?」

「出来るわ」

 エリスは白いカップに口を当て少々ヌルくなったモノを飲んだら、追加を店員にお願いしてから説明に入る。母を幽閉し我こそが! と女王になったポニー、同性愛なので自国民の女から彼女を作ろうとした。しかし感性がつよいキャラなのでフィーリングの合う女子が見つからない。そこでこう考えた。別の世界から女子をムリヤリ引っ張り込めばいい、それなら彼女がなかなか出来ないって恥をかく事もないと。

「多貴と妹さんをこの世界に連れてきた穴、あれは時空を歪める機械によって作られたもの。その機械は腕に自身のある技術系女子の集まり、通称ポニー技術団によって作られた。もちろんポニーが信じられないほどのお金を注入しているからできるって面もあるんだけどね」

 エリスはここで店員が持ってきたコーヒーを受け取る。なんとも上品な手付きでミルクやシュガーを入れてかき混ぜた後、ポニー技術団が歪めた時空を折り曲げるという発想の具現化に成功したのだと説明を続けた。

「折り曲げる?」

「そ、折り曲げて合わせることで、その人の現在と過去をリンクさせられるんだって。で、その時空から若さエキスを吸収して若返ると」」

「うそ、そんな事が出来たの?」

 信じられないなぁって言いかけたものの、異世界をつなぐトンネルを実際に通った以上、若返りって話を本当なのでは? と思って聞くしかない。

「ただ、ポニーが言うには折り曲げた空間のつなぎは今のところ一時しかできないんだって。だから昔の自分に戻っても空間のリンクが解除されると若返る前の元に戻ってしまうと、わたしはそういう風に聞いた」

 そう言ってニコっと笑った後、エリスは自分を少しあざとい女だと表現。なぜなら若返った多貴に剣術を覚えさせポニーと戦う自分の援護をさせようと思っているのだと正直に打ち明ける。

「いや、ムリムリ! いくら若返ってもだよ? 剣術で強くなるなんてすぐにできるわけないよ」

 多貴はブンブンと顔を左に右に振った。しかしエリスに返し説明によれば、若返っている者は、正確には若がっている者は時の流れが変わるのだと言う。時間が重い、すなわち時間経過の密度が通常より2倍ほど増しになるのだという。

「つまり若返った多貴の1日は、ふつうの人でいう2,3日になるのよ」

「えぇ……」

「お願い! 初対面で厚かましいとか図々しいのは分かってる。だけど、どうしてもお願いしたくてたまらないの」

 美人で巨乳で切な気なエリスが頭を下げる。そこに隣にいて黙っていたホリーが参戦してきた。

「多貴、エリスみたいな美人を泣かせたらわたしが許さない」

「泣かしてない、ぼく何もしてない……」

「で、やるよね? まさか断ったりしないよね?」

「え、えぇ……何この展開……」

 多貴は顔を赤め両手を横に動かしイヤだと意思表示。するとホリーは腕組みをしてノンノンとつぶやく。

「多貴、妹……詩貴をポニーに取られちゃってるんだよ? 兄を敬愛する妹のために動けないなんて、そんな兄なんて夜空の星にでもなればいいんだよ。だからさ、今こそ立ち上がるべき。エリスのために力を貸し妹のために動けば、多貴の株が上がるじゃん。まぁ、わたしはポニーのこと好きだから、多貴よりはポニーを応援するけどさ」

 ここまで言われると多貴に退路というのはなかった。突然の話を引き受け前進する以外にできることはないって感じだった。

「ちょ、ちょっと数分だけちょうだい」

 ホリーのマネをするわけではないが、そんな風に腕組みをして目を閉じた。そして多貴は色んな事を手短にまとめ考える。ポニーに妹を取られたという事実。妹を取り戻させねばならないという事実。そして元の世界に戻らねばならないという事実。

(ぅ……ん)

 一瞬ブルッと震えたのは……若返ってみたいという願望に背中を突かれるせい。どう考えてもファンタジーなそれが叶うなら、しかも力がみなぎって頃の姿になれるなら、どんなモノだろう? と考え、考えれば考えるほどドキドキ引っ張られていき、今一度活力に満ちた自分になってみたいと思っていく。

「若返れるってどのくらいの間?」

 恐る恐る聞いてみると2,3ヶ月くらいだと言う。ついでに言えば時空の歪ませと異世界トンネルって2つを同時にやれば、こちらにやってきた日に向こうの世界へ戻れるのだともいう。

「だいじょうぶ。お金は全部わたしが面倒みる」

 落ち着き余裕すら見せるエリスによれば、いずれもやるならおそろしい金額がかかるのだという。それは宇宙旅行レベルの金額らしいが、価格設定はポニーの命令によるのだと教えてもくれた。

「ポニーが言うには値段を安くして庶民が群がったら価値が下がるんだって。まずは自分たちセレブがやってから、それから値段を下げるよう指示したとつぶやいていたわ」

 そう言ったエリスがコーヒーを飲むと、多貴が話を引き受けることは確定ってフンイキが出来上がっていた。

「よし、ぼくはやるよ、若返ってつよくなってみせるよ!」

 グィーンと来た勢いに多貴は乗っかった。そして胸の内側で少しばかり緊張したものの、言ったからには逃げられないと手をにぎる。

「ごめんね、わたしたちの話に付き合わせて」

 今さらだけど……なんて感じに謝るエリス。

「さて、多貴のかっこういい姿っていうのを拝見!」

 ホリーは確定した物語の展開に期待しているようだった。そのかわいい顔という目には、以前の多貴がどれほどのモノか期待して止まないってメッセージが込められている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?

との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」 結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。 夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、 えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。 どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに? ーーーーーー 完結、予約投稿済みです。 R15は、今回も念の為

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...