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116・バレンタイン
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116・バレンタイン
あるちょいエロなアニメを見た。そうすると、わたしをあなたにあげる! とかいうシーンがあったのだけれど、光と付き合っている現在のわたしは、この手は高校になったら使おうと胸に刻んだ。
「どうしようかな……」
バレンタイン。今年のそれは言うまでもなく特別。光という彼氏がいる以上、何にもしないとか絶対にありえない。問題は作るか、それとも買ってあげるか、どっちがいいかだった。
「どっちがいいと思う?」
おばあちゃんに聞いてみたら、するとお祖母ちゃん言った。男と女で比較すると、男はモノをもらう回数が少し少なくなるから、心のこもったモノをもらったときに素直に喜ぶ度合いは男の方が大きいって。
「よし、決まり! 作る、作っちゃる!」
わたしは光がピーナッツチョコレートを好きだって情報を持っている。もちろんそれはわたしも好きだから、作るって事には迷いはない。作ると決めたら風みたいな勢いで取りかかるんだ。
「えっと何々……バット等の型にクッキングシートを敷きますってか、でもってピーナッツは細かく砕くって、わたしと光の愛はそうかんたんには砕けないぞ! っと」
わたしはノリで作りそうなるけれど、胸の奥ではひたすら光のことを考えるようにしていた。そうすればキモチはこもるはず。ただのチョコレートではなくなく、マリーからの愛として手渡したい。
「えっと……チョコをボウルに割り入れたら、湯せんで溶かすか。それからピーナッツを加えて混ぜると」
わたしは順調だなぁと思うところを、もう少しで光に近づける! もう少しで愛し合える! とか思いながら作業にいそしむ。
「で、この型に流し込んだら表面を平らに地ならしってか」
予想していたよりは楽に作業は進んでいった。そして冷えて固まったチョコレートを切り分けたら、どんなモノかとひとつ食べてみる。そうしたらこれがうぬぼれとか抜きでとってもおいしい。
「やった! このおいしさならだいじょうぶ! キモチだって、絶対にキモチだってたっぷり埋め込められたはずだから」
そして次の日、わたしは光にそっと言っておいた。学校が終わってから渡したいモノがあるから、今日は何がなんでもいっしょに帰るよ! と。いや、それが何って言ったら日付からしてチョコレートっていうのはわかるのだけれど、生まれて初めて彼氏のために作ったモノだから、周囲が騒がしい中ではなく、2人で見つめ合うみたいなところで渡したいと思った。そして少しでいいからロマンスな雰囲気も欲しい。
「そ、それでさ、光……」
学校が終わって〇〇公園にたどり着いたら、わたしは光と見つめ合いながらドキドキしながらカバンから作ったモノを取り出す。
「その……わたしが作ったんだ」
「マリーの手作り!? え、ほんとうに作ってくれたの?」
「作ったよ、味見してちゃんとおいしいっていうのは確認済みだから安心して食べた」
「えぇ、ほんとうに……作ってくれたんだ……やば……感動して泣きそう。だ、だって好きな女の子が自分のためにチョコレートを作ってくれるなんて、そんなのって……」
わたしが見ると光はちょっと涙ぐんでいた。そして、いまの顔を見られたくはないけれど隠せないのだから仕方ないとあきらめている。
「光……」
「な、なに……」
わたしは光に近づくと……そっとハンカチで涙を拭ってあげる。光がちょっとおどろいたり恥ずかしがったりで動きそうだから、その前に大事なことを言うんだ。
「光……わたし……カンゲキ屋さんの光が好きだよ」
「ん……」
「あと、甘えん坊な光も好き」
「ぅ……」
「ちゃんとおいしく食べてね?」
「もちろん、言われなくても」
明るいけれど肌寒いという世界にいるはずなのに、とっても温かいって感じる事ができていた。ものすごく受け狙いな言い方をするなら、チョコレートが溶けちゃうかもねなんて、そんな感じだった。
あるちょいエロなアニメを見た。そうすると、わたしをあなたにあげる! とかいうシーンがあったのだけれど、光と付き合っている現在のわたしは、この手は高校になったら使おうと胸に刻んだ。
「どうしようかな……」
バレンタイン。今年のそれは言うまでもなく特別。光という彼氏がいる以上、何にもしないとか絶対にありえない。問題は作るか、それとも買ってあげるか、どっちがいいかだった。
「どっちがいいと思う?」
おばあちゃんに聞いてみたら、するとお祖母ちゃん言った。男と女で比較すると、男はモノをもらう回数が少し少なくなるから、心のこもったモノをもらったときに素直に喜ぶ度合いは男の方が大きいって。
「よし、決まり! 作る、作っちゃる!」
わたしは光がピーナッツチョコレートを好きだって情報を持っている。もちろんそれはわたしも好きだから、作るって事には迷いはない。作ると決めたら風みたいな勢いで取りかかるんだ。
「えっと何々……バット等の型にクッキングシートを敷きますってか、でもってピーナッツは細かく砕くって、わたしと光の愛はそうかんたんには砕けないぞ! っと」
わたしはノリで作りそうなるけれど、胸の奥ではひたすら光のことを考えるようにしていた。そうすればキモチはこもるはず。ただのチョコレートではなくなく、マリーからの愛として手渡したい。
「えっと……チョコをボウルに割り入れたら、湯せんで溶かすか。それからピーナッツを加えて混ぜると」
わたしは順調だなぁと思うところを、もう少しで光に近づける! もう少しで愛し合える! とか思いながら作業にいそしむ。
「で、この型に流し込んだら表面を平らに地ならしってか」
予想していたよりは楽に作業は進んでいった。そして冷えて固まったチョコレートを切り分けたら、どんなモノかとひとつ食べてみる。そうしたらこれがうぬぼれとか抜きでとってもおいしい。
「やった! このおいしさならだいじょうぶ! キモチだって、絶対にキモチだってたっぷり埋め込められたはずだから」
そして次の日、わたしは光にそっと言っておいた。学校が終わってから渡したいモノがあるから、今日は何がなんでもいっしょに帰るよ! と。いや、それが何って言ったら日付からしてチョコレートっていうのはわかるのだけれど、生まれて初めて彼氏のために作ったモノだから、周囲が騒がしい中ではなく、2人で見つめ合うみたいなところで渡したいと思った。そして少しでいいからロマンスな雰囲気も欲しい。
「そ、それでさ、光……」
学校が終わって〇〇公園にたどり着いたら、わたしは光と見つめ合いながらドキドキしながらカバンから作ったモノを取り出す。
「その……わたしが作ったんだ」
「マリーの手作り!? え、ほんとうに作ってくれたの?」
「作ったよ、味見してちゃんとおいしいっていうのは確認済みだから安心して食べた」
「えぇ、ほんとうに……作ってくれたんだ……やば……感動して泣きそう。だ、だって好きな女の子が自分のためにチョコレートを作ってくれるなんて、そんなのって……」
わたしが見ると光はちょっと涙ぐんでいた。そして、いまの顔を見られたくはないけれど隠せないのだから仕方ないとあきらめている。
「光……」
「な、なに……」
わたしは光に近づくと……そっとハンカチで涙を拭ってあげる。光がちょっとおどろいたり恥ずかしがったりで動きそうだから、その前に大事なことを言うんだ。
「光……わたし……カンゲキ屋さんの光が好きだよ」
「ん……」
「あと、甘えん坊な光も好き」
「ぅ……」
「ちゃんとおいしく食べてね?」
「もちろん、言われなくても」
明るいけれど肌寒いという世界にいるはずなのに、とっても温かいって感じる事ができていた。ものすごく受け狙いな言い方をするなら、チョコレートが溶けちゃうかもねなんて、そんな感じだった。
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