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101・クリスマスに欲しいとか思うモノ
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101・クリスマスに欲しいとか思うモノ
「光、もうすぐクリスマスだね」
冬の寒さがマフラーとか手袋を完全必需品にしている今、学校帰りの道を歩きながらわたしは隣の光に言った。
「だね」
光が軽く震えながら相槌を打った。
「あのさぁ、光……ひとつお願いがあるんだけど、いい?」
わたしはとなりの彼氏をチラッと見てから、ムリならかまわないんだけどさと前置きしてから切り出した。
「ものすごく短くていいよ、ストーリーがなくてもいいよ、わたしと光がモデルみたいな中学生2人が出てきてさ、できれば男子が女子に告白して、メロメロになったところでキスをして……という、言うなればエンディングだけ切り出した感じ……書いてくれないかなぁ……」
「え?」
「その……小説家になりたいと日々奮闘している光の才能をさ、ちょこっとだけわたしのために使ってくれないかなぁとか思っちゃった。あ、もちろん創作活動のジャマになるならムリにとは言わない」
「あぁ……言われてみたら……なるほど……って思ったりした」
「光の小説には、わたしみたいな巨乳女子ってキャラで優子がいるけれど、優子はダメ。優子だと感情移入しにくい。別のあたらしい巨乳女子ってキャラを作って、名前もマリーにするとか」
「あ、ごめん、名前がマリーとかだと逆に感情移入がしにくい。つまり実際に知っている人間を使って架空の話にするっていうのは、実は苦手なんだ」
「じゃぁ、名前はどうでもいいけれど、中1で巨乳というわたしそのものなキャラを出して、あ、これって……光がわたしに告白しているんだというカン違いを誘うようなのを書いて欲しい。なんなら……」
「なんなら?」
「そのまま愛し合って結ばれるというオチでもいいから。愛し合う場面を濃密に描いてくれてもいいから、R18でもいいから」
「あぅぐ……」
「ダメかな?」
「わ、わかったよ、チャレンジしてみる。だけど24日とか25日に間に合わせられないかもしれない」
「それでもいいよ」
「わたしの方はちゃんとプレゼント考えているから」
「え、でも……マリーからはこのマフラーと手袋をクリスマスプレゼント兼ねてもらったんだけれど」
「そう言ったけれど、でも、やっぱりクリスマスプレゼントにはちょっとしたキモチを渡したい」
「いいよいいよ、そういう事しなくていいから。しょっちゅうプレゼントとかやっていたらお互い疲れちゃうしお金って言葉も絡んできてしまうから」
「ま、まぁ、じゃぁ、とりあえずプレゼントって頭を持っているだけにするよ」
「わかった」
「じゃぁ光先生、ド短編小説、お願いしてもいいですか!?」
「よし! ひとつやってみるか」
「おぉ、先生、たのしみに待っていますよぉ」
たのしみ! ものすごくたのしみ! わたしは生まれて初めて彼氏という存在に、自分のための作品というのを作ってもらえるんだ。
「あ、そうだ、マリー」
「なに?」
「一人称と三人称、どっちで書いたらいいんだろう」
「あぁ、それか……わたしみたいな巨乳女子って彼女を求めたくてたまらないって彼氏の心たる一人称が読みたいって思うけれど、全体の解説をしてくれる三人称も読みたいしなぁ……」
「じゃぁ両方書く!」
「え、だいじょうぶ? 創作のジャマにならない?」
「うまくいけばだいじょうぶ」
「うまく?」
「説明はできないけれど、どんな作品もなぜか上手くいくときと、不思議なくらい手強くてうまくやれないってときが生じる」
「じゃぁ、うまくできるなら2つお願い。でも光の創作活動をジャマしたくないからムリはしないで」
「うん、わかった」
ここでとなりの光がわたしを見てニコっとやったりすると、わたしにはそれ胸キュンの弾丸でしかない。
(ん……)
おたがい手袋をしているけれど、手をにぎり合って寒い中を歩いた。そしてわたしは光から告白されているような小説がもうすぐ読めるのだと、胸いっぱいにドキドキしたんだ。
「光、もうすぐクリスマスだね」
冬の寒さがマフラーとか手袋を完全必需品にしている今、学校帰りの道を歩きながらわたしは隣の光に言った。
「だね」
光が軽く震えながら相槌を打った。
「あのさぁ、光……ひとつお願いがあるんだけど、いい?」
わたしはとなりの彼氏をチラッと見てから、ムリならかまわないんだけどさと前置きしてから切り出した。
「ものすごく短くていいよ、ストーリーがなくてもいいよ、わたしと光がモデルみたいな中学生2人が出てきてさ、できれば男子が女子に告白して、メロメロになったところでキスをして……という、言うなればエンディングだけ切り出した感じ……書いてくれないかなぁ……」
「え?」
「その……小説家になりたいと日々奮闘している光の才能をさ、ちょこっとだけわたしのために使ってくれないかなぁとか思っちゃった。あ、もちろん創作活動のジャマになるならムリにとは言わない」
「あぁ……言われてみたら……なるほど……って思ったりした」
「光の小説には、わたしみたいな巨乳女子ってキャラで優子がいるけれど、優子はダメ。優子だと感情移入しにくい。別のあたらしい巨乳女子ってキャラを作って、名前もマリーにするとか」
「あ、ごめん、名前がマリーとかだと逆に感情移入がしにくい。つまり実際に知っている人間を使って架空の話にするっていうのは、実は苦手なんだ」
「じゃぁ、名前はどうでもいいけれど、中1で巨乳というわたしそのものなキャラを出して、あ、これって……光がわたしに告白しているんだというカン違いを誘うようなのを書いて欲しい。なんなら……」
「なんなら?」
「そのまま愛し合って結ばれるというオチでもいいから。愛し合う場面を濃密に描いてくれてもいいから、R18でもいいから」
「あぅぐ……」
「ダメかな?」
「わ、わかったよ、チャレンジしてみる。だけど24日とか25日に間に合わせられないかもしれない」
「それでもいいよ」
「わたしの方はちゃんとプレゼント考えているから」
「え、でも……マリーからはこのマフラーと手袋をクリスマスプレゼント兼ねてもらったんだけれど」
「そう言ったけれど、でも、やっぱりクリスマスプレゼントにはちょっとしたキモチを渡したい」
「いいよいいよ、そういう事しなくていいから。しょっちゅうプレゼントとかやっていたらお互い疲れちゃうしお金って言葉も絡んできてしまうから」
「ま、まぁ、じゃぁ、とりあえずプレゼントって頭を持っているだけにするよ」
「わかった」
「じゃぁ光先生、ド短編小説、お願いしてもいいですか!?」
「よし! ひとつやってみるか」
「おぉ、先生、たのしみに待っていますよぉ」
たのしみ! ものすごくたのしみ! わたしは生まれて初めて彼氏という存在に、自分のための作品というのを作ってもらえるんだ。
「あ、そうだ、マリー」
「なに?」
「一人称と三人称、どっちで書いたらいいんだろう」
「あぁ、それか……わたしみたいな巨乳女子って彼女を求めたくてたまらないって彼氏の心たる一人称が読みたいって思うけれど、全体の解説をしてくれる三人称も読みたいしなぁ……」
「じゃぁ両方書く!」
「え、だいじょうぶ? 創作のジャマにならない?」
「うまくいけばだいじょうぶ」
「うまく?」
「説明はできないけれど、どんな作品もなぜか上手くいくときと、不思議なくらい手強くてうまくやれないってときが生じる」
「じゃぁ、うまくできるなら2つお願い。でも光の創作活動をジャマしたくないからムリはしないで」
「うん、わかった」
ここでとなりの光がわたしを見てニコっとやったりすると、わたしにはそれ胸キュンの弾丸でしかない。
(ん……)
おたがい手袋をしているけれど、手をにぎり合って寒い中を歩いた。そしてわたしは光から告白されているような小説がもうすぐ読めるのだと、胸いっぱいにドキドキしたんだ。
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