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89・わたしも合気道をやる、ちゃんとした2つの理由

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 89・わたしも合気道をやる、ちゃんとした2つの理由


「あのさぁ……」
 今日の晩ご飯ってとき、お父さんは職場の人たちと飲み
会に行くって事で、わたしとお母さんとお祖母ちゃんの3人という女だけ空間になっていたのを利用して話を切り出す。

「わたし決めたんだ」

「決めたってなに?」

「わたし合気道をやる! 合気道をやってお祖母ちゃんみたいにつよい女になる!」

「はぁ?」

 お母さんはお祖母ちゃんが何かを言うより早く釘刺しみたいな感じで、ものすごく怪訝な顔をわたしに向けてきた。

「今さらなに言ってんの? 小3くらいのとき合気道でもやってみたら? と言ったら、そんなのやりたくないと露骨に嫌がったくせに。忘れたとは言わせないからね、マリー」

「あのときはその……女子力がまだ初歩の段階だったんだよ。でも今は違うから、ちゃんと合気道をやりたいって理由は2つあるから」

 ここでわたしはお祖母ちゃんの方に目を向け、まずは気になるって事を確認したくて質問する。

「お祖母ちゃん、仮にわたしが合気道をやるようになってもさ、この魅惑の巨乳女子って体型とか特徴とかおっぱいのボリュームとかやわらかい弾力って特徴とか今後のさらなる成長とか、その他モロモロに悪影響を与えるって事はないよね?」

「まぁ、合気道で女がムキムキにたくましくなるって事はめったに起こらないし、マリーの美巨乳女子という要素や成長がが阻害されることもないだろうとは思うけれど?」

「よし! だったら決まり! わたしが合気道をやろうと思ったひとつめの理由は、わたしも何かをやらなきゃって思ったから。彼氏の光を応援するばっかりで自分は何もしないって、ちょっとさみしいって気がするから、わたしも何かをがんばるんだ。そうしてその姿を光に見てもらって、やった! とかよろこびを噛み締めたい」

「まぁ、その心意気は良しってところだね。で、もうひとつは?」

「もうひとつは……わたしが光を守りたいと思った」

「マリーが光を守る?」

「そうだよ、光は基本的にはインドアな男子だし持っている感性とか能力は小説とか見事偏っているから、光が何かをやってマンガの主人公みたいにつよくなるなんて、そんなのムリ。そしていまのがんばる光を見ると、それを求めるのもまちがっているかなって思う。だからわたしがつよくなって、なにかあったらわたしが光を守れるようにすればいいんだ。わたしはそれをイヤだと思わない」

「ん……言う事は立派だね」

「言う事が最低よりはいいじゃんか」

「ほんとうにちゃんとがんばる?」

「お母さん、わたしって一途な女なんだよ? 恋愛でもなんでもまっすぐに全うしたいって思うタイプなんだから」

「まぁ……何にもしない帰宅部のままよりは、何かをやっている方がいいんだろうね」

「ちゃんとがんばると約束します!」

「わかった、じゃぁ後でネットでいろいろ探しておいて」
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