中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
上 下
67 / 127

67・萌えゲーも大事な勉強になるってか……4

しおりを挟む
 67・萌えゲーも大事な勉強になるってか……4



「いやぁ、ほんとうに勉強になるわ。女のわたしでさえ、よくこんな女キャラを思いつくもんだと感心させられる。このゲームつくった人ってどういう人? 尊敬しちゃうよ、マジで」

 本日学校から帰って着替えたわたしは、ベッドの上に座りながらノートにあれこれ書いている。それは勉強とか詩作とかではなく、プレイ中ゲームの大事なことを忘れないように書き留めているってこと。

「えっと……山崎、そうこいつが嫉妬深いんだよ。こいつとのデートをすっぽかしたら大爆発で好感度が一気に下がっちゃうんだ。あと、地味な文系を気取りながら侮れない田中も曲者。おまえなんかどうでもいいんだから人の恋路を邪魔するなって」

 わたしはすっかりこのゲームにハマっていた。そして光が夏海のビキニ姿を見たいと必死になった事への理解すら抱いていた。

「たしかになぁ、これは夏海のビキニ姿を見るために必死となるわ。だって現実において巨乳女子なわたしですらこんなに燃え上がってしまうんだから」

 わたしはもはやゲームの域を超えたような必死さでプレイする。これが勉強だったら、わたしは一流コースを歩めるかもしれない。

「わたしが魅力的な巨乳だからって胸ばっかり見るのやめてくれないってか? 夏海め……ちょっと巨乳だからっていい気になり腐ってからに」

 わたしは夏海の放ったセリフを聞いたとき、そういう事は小学生の頃にわたしも思った事があったな……と回想し、その姿を傍から見たらこんな感じになるのかと人生を学習している気になれた。

「それにしても……どのキャラもムカつく! と思わせてから、時々ふっとしおらしい事を言ってこっちの感情をキュウッとさせるんだ。女はあざとい、うん、女はイヤらしい生き物」

 わたしはこの恋愛ゲームをやりながら、これなら光がハマるのもムリは無いと思った。あげく女がこういうゲームをやってもおもしろいもんだと脳の中央がテカテカっと光ってもいる。

「よし、これでイケるはず……1年目から夏海のビキニ姿を見れるはず。今度こそ夏海の巨乳ムービーが拝めるはず」

 ここにたどり着くまで数時間かかった。ゲーム内ではたったの3ヶ月なのだけれど、もうすでにゲームをプレイするわたしのライフは0よ! みたいに疲れちゃっている。

「え、ちょっと待って、なんで、なんでまたワンピース? ふざけんなよ、何で人の期待をサクッと裏切るの?」

 わたしはここでネットを見ようと思ったのだけれど、大事なことに気づいた。

「そうだ、こういうときこそ彼氏の光に聞くべしだ。同じたのしさを2人で共有するって、それこそシアワセなカップルの営みだって、えらい先生が言っていたもんね」

 わたしは光に電話をかける。そして何がいけないのかわからないと素朴な疑問をぶつけた。

「だって勉強よし、運動よし、ルックスよしとそろっているんだよ? 1年目から並々ならぬ神経を削ってやってぬかりはないのに、何がいけないのかわからない、教えて!」

「おぉ、ハマってますなぁマリーさん」

「いいから教えてよ」

「そのプールデートの日付って7月30日じゃない?」

「そうだけれど、よくわかるね」

「だって、それより早くにプールデートの選択肢は出て来ないから。で、大事なのは7月14日の縁日に夏海を誘ったかどうか」

「縁日?」

「1年目で夏海のビキニ姿を見るためにはその日が重要」

「え、なに? じらさないで教えてよ」

「縁日に誘ってその浴衣すごくかわいいよ! ってべた褒めして、金魚すくいで高得点を出して夏海にプレゼントして、帰り道で不良に絡まれたときの殴り合いで勝利しなきゃいけないんだ」

「あぁ……」

 わたしはこのとき、なんだそれ? と思ったのだけれどすぐにある事を思い出したんだ。そういえば……1年目で夏海のビキニ姿を拝むためには、相当な好感度上げと試練のクリアがあるってネットに書いてあるのを見たと。試練、それがこれなのか! と胸にブッ刺さる。

「マリー、最終セーブの日付は?」

「え、セーブって……7月31日って日付しかないよ……」

「じゃぁ、最初からすべてやり直し、がんばれ!」

「……」

「マリー、だいじょうぶ?」

「ごめん、ちょっと瞑想する」

 わたしはゲームごときなんて表現では済まされないおそろしい脱力感に襲われた。

「どうしたのマリー? どこか具合でも悪いの?」

 晩ご飯のときお母さんがわたしの暗い顔を見て心配した。ふつうは心配するよね? でもそのとき実はゲームでさぁ……なんていうのはふつうじゃないよね。言えるわけないよ、そんなこと……そんなこと言ったらお母さんから女子力のムダ遣いって怒られちゃうよ。

「えっと……」

 わたしは晩ご飯が終わってもフラフラだった。今日はもうゲームはできないと思ったし、真面目に勉強だけして寝ようとも思った。そして実際に午後11時までしっかり勉強して自分はいい子だと自らをホメてホッとしたんだ。ところがオフロから上がったとき、ちょっとばっかりテンションが復活してしまう。

「夏海、ビキニ姿を拝みたいってまっすぐな心を甘く見るなよ。絶対に拝んでやるから」

 そんな感じでちょっとだけ……と思いながらまた最初からゲームをやり直した。でもって寝入ったのは午前3時だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

処理中です...