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64・萌えゲーも大事な勉強になるってか……1
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64・萌えゲーも大事な勉強になるってか……1
「おはよう光」
「おはようマリー」
さわやか……というよりはまだ暑さが残っているような感じの午前8時、わたしと光は待ち合わせ場所で互いに手を振り合った。そして、さぁ行こうか! と歩き出しかけると光がとっても眠そうな顔でアクビをした。
「寝不足?」
「うん……」
「小説で?」
わたしが聞くと、このとき光は一瞬詰まったりする。そうなんだよねぇ、我が彼氏は時々こういうバカ正直を浮かべたりする。
「うん、小説」
「こらこら光、いま一瞬のつまづきはなに? 違うでしょう? 小説以外の何かで寝不足なんでしょう?」
「ち、ちがうよ」
「まさか浮気しているとか言わないよね」
「なんでそうなるんだよ」
「じゃぁなに? 彼女に対してウソは許さないぞぉ」
「ゲームをやっていたんだよ……つい夢中になって朝方までやっちゃったんだ」
「ゲーム? エロゲー?」
「ち、ちがうし……萌えゲーだし」
「萌えゲー?」
「そ、そうだよ、萌えゲー」
「ふ~ん……」
「な、なんだよ……」
「わたしって彼女がいるのに萌えゲーにハマるんだ? ふ~ん」
「ちょっと話を聞いてもらってもいいですか? マリーさん」
「いいよ、聞かせてもらおうじゃん」
光いわくこれには大事な話が2つ絡んでいるとのこと。まず前置きとして、萌えゲーもやってみればおもしろいわけで、ハマらない人よりはハマる人の方が絶対に多いとのこと。
「マリーはやったことないの?」
「ないよ」
「やってみたら絶対におもしろいんだけどな」
「で、もうひとつの重要な話ってなに?」
「もうひとつは……」
光いわく、萌えゲーは小説で女キャラのバリエーションを増やすのにとっても役に立つらしい。
「バリエーション?」
「つまりその小説を書くときにはさ、同じ女子ってキャラでも、それこそ同じツンデレでも性格とか考え方のちがうキャラを多く作れた方が絶対に得じゃん? アニメとか見て参考にしているけれど、ゲームも重要なんだ」
「あぁ……小説のためなのか……光は勉強熱心だなぁ……そういうところは評価するし好きだよ」
「でさ、たとえばその……デートを申し込まれて断るときでも、断り方とか言い方が色々あるわけで、自分では思いつかないようなのが出てくると、すごく勉強になるわけで、それを自分の小説でも使ってみようって思うんだ」
光はここでちょっと得意気というか誇らしげな顔をした。いいんだけどさ、そういう事ならいいんだけどさ、自分の彼氏が物事に一生懸命なのは最高なんだけどさ、なんか……わたしは置き去りにされたような気がする。
「置き去りってそんなひどい言い方……じゃぁさ、マリーも同じ萌えゲーをやってみたら?」
「えぇ、わたしが?」
わたしはこのとき、女のわたしが女を口説くゲームをやってどうするの? なんて思った。でも次の瞬間、待てよ……同じ事をやっていっしょに楽しんでみると思えば……同じたのしみを共有するみたいな事になるとすれば最高かもって気がした。そうだ、どうせならそういう前向きに考えた方がいいんだと結論付けた。
「じゃぁ、学校が終わったらそのゲームを教えてよ」
「いいよ!」
光は眠そうな顔をしつつテンションが上がった。ちょっと幼稚っぽくかわいいのは男子らしいってところだけれど、この際だ、わたしも同じ船に乗っていっしょに楽しんでみようと思う。
「おはよう光」
「おはようマリー」
さわやか……というよりはまだ暑さが残っているような感じの午前8時、わたしと光は待ち合わせ場所で互いに手を振り合った。そして、さぁ行こうか! と歩き出しかけると光がとっても眠そうな顔でアクビをした。
「寝不足?」
「うん……」
「小説で?」
わたしが聞くと、このとき光は一瞬詰まったりする。そうなんだよねぇ、我が彼氏は時々こういうバカ正直を浮かべたりする。
「うん、小説」
「こらこら光、いま一瞬のつまづきはなに? 違うでしょう? 小説以外の何かで寝不足なんでしょう?」
「ち、ちがうよ」
「まさか浮気しているとか言わないよね」
「なんでそうなるんだよ」
「じゃぁなに? 彼女に対してウソは許さないぞぉ」
「ゲームをやっていたんだよ……つい夢中になって朝方までやっちゃったんだ」
「ゲーム? エロゲー?」
「ち、ちがうし……萌えゲーだし」
「萌えゲー?」
「そ、そうだよ、萌えゲー」
「ふ~ん……」
「な、なんだよ……」
「わたしって彼女がいるのに萌えゲーにハマるんだ? ふ~ん」
「ちょっと話を聞いてもらってもいいですか? マリーさん」
「いいよ、聞かせてもらおうじゃん」
光いわくこれには大事な話が2つ絡んでいるとのこと。まず前置きとして、萌えゲーもやってみればおもしろいわけで、ハマらない人よりはハマる人の方が絶対に多いとのこと。
「マリーはやったことないの?」
「ないよ」
「やってみたら絶対におもしろいんだけどな」
「で、もうひとつの重要な話ってなに?」
「もうひとつは……」
光いわく、萌えゲーは小説で女キャラのバリエーションを増やすのにとっても役に立つらしい。
「バリエーション?」
「つまりその小説を書くときにはさ、同じ女子ってキャラでも、それこそ同じツンデレでも性格とか考え方のちがうキャラを多く作れた方が絶対に得じゃん? アニメとか見て参考にしているけれど、ゲームも重要なんだ」
「あぁ……小説のためなのか……光は勉強熱心だなぁ……そういうところは評価するし好きだよ」
「でさ、たとえばその……デートを申し込まれて断るときでも、断り方とか言い方が色々あるわけで、自分では思いつかないようなのが出てくると、すごく勉強になるわけで、それを自分の小説でも使ってみようって思うんだ」
光はここでちょっと得意気というか誇らしげな顔をした。いいんだけどさ、そういう事ならいいんだけどさ、自分の彼氏が物事に一生懸命なのは最高なんだけどさ、なんか……わたしは置き去りにされたような気がする。
「置き去りってそんなひどい言い方……じゃぁさ、マリーも同じ萌えゲーをやってみたら?」
「えぇ、わたしが?」
わたしはこのとき、女のわたしが女を口説くゲームをやってどうするの? なんて思った。でも次の瞬間、待てよ……同じ事をやっていっしょに楽しんでみると思えば……同じたのしみを共有するみたいな事になるとすれば最高かもって気がした。そうだ、どうせならそういう前向きに考えた方がいいんだと結論付けた。
「じゃぁ、学校が終わったらそのゲームを教えてよ」
「いいよ!」
光は眠そうな顔をしつつテンションが上がった。ちょっと幼稚っぽくかわいいのは男子らしいってところだけれど、この際だ、わたしも同じ船に乗っていっしょに楽しんでみようと思う。
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