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36・夏、縁日これはもう活用必至のイベント3

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 36・夏、縁日これはもう活用必至のイベント3


「いやぁ、それにしてもマリーのお祖母ちゃんが超達人とかいま思い返し手もびっくり」

「だね」

 光のテンションは安定しているけれど、わたしのテンションがちょい下がり気味なのは、もう午後8時30分って時間になっていて、わたしの家に向かっている最中だから。

「ねぇ、光……」

「もうちょい遠回りしようよ、わたし9時までに帰ればだいじょうぶなんだけれど」

「ダーメだ!」

「なんで……」

「マリーみたいな着物姿でかわいい女の子にはもう遅いんだよ。それに、おれだって9時には帰るって家に約束してあるんだ。マリーを9時に送り届けたら、おれが約束を破ることになっちゃうだろう」

「ん……」

 あぁ、どうしてたのしい時間はこんなに早く流れるのだろうと思う。光と2人なら夜道も怖くはないけれど、祭りある背中がとてもさみしい。

(もう家についちゃった……)

 午後6時に落ち合ったのだから、およそ2時間30分くらいのデートだった。でも中身が充実していたから、あと1時間くらいはいっしょにいたいなぁと胸がうずく。

「あ、マリーこれ」

「ん?」

「あげる」

「へ? おはじき?」

「あ、いや、途中でトイレに行ったとき、戻る途中で売られているのを見て500円だから買おうとか思っちゃって、なんとなくマリーにあげたいって思っちゃって」

「その、なんとなくって表現はつけなくてもいいよ」

「マリーに何かあげたいとか思った」

「それ、無駄遣いとかになっていない? 光ってたまにいい格好したがるから」

「だ、だいじょうぶ、ちゃんと買える範囲だった……いい格好かもしれないけれど、マリーにあげたいって思ったから、買った事に後悔とかそんなのもない、だいじょうぶ!」

「ありがとう、素直にうれしいよ」

「そ、そうか、じゃぁ!」

「あ、光、ちょっと待って」

 わたしは光をクイクイっと手招きした。そして顔に何かついているよとかいって、どこだよ? と光がちょっとイラついた所で取ってあげるとかいって顔を近づけさせたところで……思い切った行動に出た。

「ん!」

 いわゆる……ほっぺにチュってやつ……初めてやった。

「え……」

 光の顔にドギマギって表現が浮かんだのを見るとうれしい。ほっぺにチュっとやったのに冷静な顔をされたらめっちゃ傷つくもんね。

「じゃぁね、寄り道しないでまっすぐ帰るんだよ?」

「わ、わかってるよ……」

「うん、じゃぁ」

 わたしは冷静な素振りで光の背中を見送った後、家に入ってドアをしめたのだけれど、それからどうしたって顔面がニンマリ! となってしまう。やっちゃった、ほっぺにチュ! っとやっちゃった。そして光のあのドギマギってかわいい顔が忘れられない……
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