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抜けられなくなった巨乳を救出せよ1

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「ふわぁ……ん……」

 18歳になってそれなりの時間が経ったこのおれ、実につまらないなぁと心が燃えカスみたいになっている。だから大学に向かおうって午前10時からすごいアクビが出る。

 実際、18歳になったからなに? 選挙権? エロ動画? そういう事を並べられたって、ぶっちゃけ現実はつまらない。年齢が上がるほど苦痛が増えるばっかり。これだったら中学2年生くらいで永遠のストップ! ってなる方がよっぽどマシとか思ったりもする。

「中2だったら彼女がいなくてもへっちゃらだったけれど、18歳で彼女がいないとさみしくて恥ずかしい。予想したとおり童貞で、理想の女子と出会うこともセックスすること無い。それでどうやって18歳って年齢を楽しめというんだよ。出会ってみたい……ショートヘアーが似合ってふっくらかわいくておっぱいが大きい巨乳って女の子と、でもってその女の子と恋愛して愛を育んで、巨乳っておっぱいに甘えながら温かいセックスとかしてみたい。でも……絶対ムリなんだろうな、そういうあこがれを持ったまま死んでいくってオチなんだろうな、ちくしょう!」

 おれは他人に聞こえない小声でぼやきまくっていた。しかしここでフッと足を止めた。その理由はなぜか突然、いつもとちがう道を歩いてみたくなったから。

「まぁ……人生ってたまにはちがう道を歩いて、ちがう景色を見て、ちがうキモチを得るのも大事って言うしな」

 おれは哲学的に深いことをひとりでつぶやきながら、昼でも危ないとか魔物コースとかいう道を歩くことにした。大学まで遠回りになるけれど、いまのおれは崇高な物思いにふけりたい。


「うぉ……この感じ……ヤバ」

 人気とか見慣れた風景とか、そういう表現から確実に遠ざかっていく。そして明るい時間帯だというのに、キラっと輝く刃物みたいな恐怖感が漂う。この辺りは大昔においてはヒッピーのたまり場だったと聞いた。そして今やくっそボロボロで穴だらけみたいな建物がひとつあって、それは愛の巣とか言われていたらしい。そしてこの辺りは90年代において麻薬三昧とセックスと殺人が毎晩展開される場所になり、今や誰も通らない空間となったのだという。

「早くこの辺りを通り過ぎよう……」

 自分の知っている世界から、ちょっと目立たない穴場に入るだけでもけっこう怖い。18歳の男が堂々ビビるのも格好悪いから、急ぎ足でここを早く抜けようと思う。と、そのとき……実に汚い愛の巣って建物が右側の前方に見えたとき、おれはいきなり思いもしない声を聞いた。

「お兄さん、たすけて!」

「え……」

 おれはまったく予想していなかった展開にビビってしまった。いま、女子の声が聞こえた。年齢からすると小6か中1みたいな感じで、お兄さんとかたすけて! とか言ったはず。

「お兄さん、こっち、こっちだよ!」

 おれが声のする方に目を向けると……そこには穴から顔と上半身を出している人間の姿がある。それは古びたビルの内側から外に出ようとして抜けられなく姿と思う。あれはどのくらいだろうか、高さ……80cmとかくらいかな。なぜ今まで見えなかったのか不思議だ。

「な、なんだ……なんだ!」

 こんな状況でやばいと思うしかない。だが、お兄さんとかたすけて! とか言われたら、心優しい正義に満ちるおれは無視できない。

「ん……」

 おれは得体の知れない緊張を抱きつつ、やさしさと正義を持って壁に近づいた。明るい時間帯だからこそ、逆に言えば夜より怖いという感覚も込みで。
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