26 / 27
第十七・ジョーカーVS悠5
しおりを挟む
第十七・ジョーカーVS悠5
「うん?」
乱れに乱れていたジョーカーが動きを止めた。さすれば騒音が消え静まっていく巨大な砂ぼこりが無声映画のワンシーンみたいになる。そして現れたのは悠。外観は特に変わっていないように見えるが、何かがちがうとヒシヒシ伝わる。
「悠、いったい何をした?」
「ジョーカー、悪いけどもうオシマイ。ぼくが勝つのは見えちゃったからさ、ここで戦いを終わりにして、みんなで仲良く暮らさない?」
「なんだと!」
ジョーカー、悠に向かって巨大な火柱を吹き放つ。ところが悠は何も動じることなく立ったまま、クッと左手を開くと腕を前方へと突き出す。そうするとジョーカーから放たれる分厚く巨大な炎が悠の手に吸収されるように消えていく。
「なにぃ!!!」
はげしくおどろくジョーカー、今度は手からミサイル攻撃を乱射し始めた。それもはや壮絶な数字の暴力というほどの発射だが、悠はそれをすべて剣で払いのけていく。そして悠から遠ざかっていったミサイルは無価値な爆発をくり返す。
「な、な、な、なんだと……」
ジョーカードラゴンは青ざめワナワナ震える。
「ふん!」
悠、剣を放り投げるとグッと握った両手首をクロスに重ねた。そして息を止め全神経と体力を一点に集中。
「な、なに……」
ジョーカードラゴンの巨体がゆっくりと浮き始めた。おどろきで足をバタバタ動かすが、その裏はどんどん地面より離れ上がっていく。
「お、おのれ……念力か……」
ジョーカーはここで人間姿になろうとした。だがどうしてかビリビリっと電流によって思い通りにならない。どうやら浮かんでいるイコール自分の自由をごっそり奪われてしまっているようだと感じる。
「ふぅ……」
悠がゆっくり息を吐きながら腕のクロスを解除すると、なんとドラゴンは宙に浮いたまま停止。そしてしゃべることは出来ても身動きがまったくできないという惨めな状態に陥る。
「お、おのれ悠……女に恥をかかすか……」
「シッポ斬ってオシマイ。後は仲良くやろうよ」
「く……」
悠はドラゴンの後ろに回ると、巨大なシッポを見上げる。ドラゴンにとってシッポを根元からブッた斬られるのは問答無用の敗北であり、大変な屈辱を伴うとされる。シッポの再生に時間がかかり、勢いがそがれ女子力も歪む恐れありなどまったくもってつらい話ばかり。
「悠、切る前にひとつ聞かせろ」
「なに?」
「わたしが若い姿のままだったら……魅力的だと思ったり欲情したりするか」
「ま、まぁ……する」
「物語の展開によっては、わたしとセックスする事もあり得ると思うか?」
「せ、セックスはわかんないけど、でも親しくなるのはいいなぁと思う」
「そ、そうか」
「ではそろそろ斬らせてもらう!」
悠が剣を縦に持って身構える。そして気合の叫びを一つ放つと同時に飛びあがり、シッポの根元に向かって進んでいく。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁエペクーパーーーー」
悠の剣が風を起こす。目にもとまらぬ速さで斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬りまくる! それは赤いドラゴンのシッポがいくつも宙を舞うという事であり、地面に落ちるとズシーン! ズシーン! ってヘヴィーな音をまき散らす。
「ぅ……負けた……」
とっても悔しそうにつぶやいたドラゴン、疲れた目を浮かべながらバッタリその場に倒れ込んでしまう。
「斬りまくってごめんね」
勝利した悠、これはいたし方なかったんだとつぶやいてから、倒れたジョーカーに向かい両手を合わせぺこりと謝っておく。それから悠は剣を背中にしまうと両腕を大きく上に伸ばし深呼吸を何回かくり返した。すると体内から何かがスーッと抜けていく。心地よかった混じりっ気がピュアな単色になっていくのを感じながら目をやれば、ドラゴン女子にスフレなどの姿が現れていく。
「悠!」
さっそくカンゲキ屋さんのパネトーネがダッシュして熱く飛びつく。豊満でやわらかい弾力の密接、ムワーっと湧き上がるいいニオイ、それは悠のアタマをほんとうにクラクラさせる。
「協力してくれてありがとう。パネトーネに感謝」
悠がやさしい声で言って髪の毛を撫でると、パネトーネは腰が抜けてヘナヘナっとなってしまう。次に悠はクラフティに歩み寄り、ありがとうとニッコリまぶしい笑顔で礼を言う。わ、わたしは何もしてないと言いながら腰が抜けそうになったので、そんなクラフティを抱えた悠はクラフティにも深く感謝しているよと言って髪の毛を撫でた。
それから今度、悠はスフレに歩みより、いつもありがとうねと微笑む。それを見たスフレが、開いた左手平の真ん中を右の人差し指でグリグリやって言葉につまるから、悠はさらに近寄るとフワーっとスフレを抱きしめ耳元で感謝の言葉をささやく。
「いつもほんとうにありがとう。スフレにはどれだけ感謝しても足りないね」
そして最後に悠はジーっと自分を見つめているカッサータの方に目を向ける。そして口を開こうとしたら、先にけん制するように言われた。
「悠、わたしはおまえのために協力したんじゃないからな」
「そうなの?」
「わ、わたしはただ、スフレが可哀想に思っただけで」
「それでも感謝するよ、ありがとう」
「む、むぅ……」
こうしてジョーカーとの戦いは終わった。自分の負けだとジョーカーが認めてくれている以上、これからはみなでハッピーにまったり過ごせるだろうと思う悠だった。
「うん?」
乱れに乱れていたジョーカーが動きを止めた。さすれば騒音が消え静まっていく巨大な砂ぼこりが無声映画のワンシーンみたいになる。そして現れたのは悠。外観は特に変わっていないように見えるが、何かがちがうとヒシヒシ伝わる。
「悠、いったい何をした?」
「ジョーカー、悪いけどもうオシマイ。ぼくが勝つのは見えちゃったからさ、ここで戦いを終わりにして、みんなで仲良く暮らさない?」
「なんだと!」
ジョーカー、悠に向かって巨大な火柱を吹き放つ。ところが悠は何も動じることなく立ったまま、クッと左手を開くと腕を前方へと突き出す。そうするとジョーカーから放たれる分厚く巨大な炎が悠の手に吸収されるように消えていく。
「なにぃ!!!」
はげしくおどろくジョーカー、今度は手からミサイル攻撃を乱射し始めた。それもはや壮絶な数字の暴力というほどの発射だが、悠はそれをすべて剣で払いのけていく。そして悠から遠ざかっていったミサイルは無価値な爆発をくり返す。
「な、な、な、なんだと……」
ジョーカードラゴンは青ざめワナワナ震える。
「ふん!」
悠、剣を放り投げるとグッと握った両手首をクロスに重ねた。そして息を止め全神経と体力を一点に集中。
「な、なに……」
ジョーカードラゴンの巨体がゆっくりと浮き始めた。おどろきで足をバタバタ動かすが、その裏はどんどん地面より離れ上がっていく。
「お、おのれ……念力か……」
ジョーカーはここで人間姿になろうとした。だがどうしてかビリビリっと電流によって思い通りにならない。どうやら浮かんでいるイコール自分の自由をごっそり奪われてしまっているようだと感じる。
「ふぅ……」
悠がゆっくり息を吐きながら腕のクロスを解除すると、なんとドラゴンは宙に浮いたまま停止。そしてしゃべることは出来ても身動きがまったくできないという惨めな状態に陥る。
「お、おのれ悠……女に恥をかかすか……」
「シッポ斬ってオシマイ。後は仲良くやろうよ」
「く……」
悠はドラゴンの後ろに回ると、巨大なシッポを見上げる。ドラゴンにとってシッポを根元からブッた斬られるのは問答無用の敗北であり、大変な屈辱を伴うとされる。シッポの再生に時間がかかり、勢いがそがれ女子力も歪む恐れありなどまったくもってつらい話ばかり。
「悠、切る前にひとつ聞かせろ」
「なに?」
「わたしが若い姿のままだったら……魅力的だと思ったり欲情したりするか」
「ま、まぁ……する」
「物語の展開によっては、わたしとセックスする事もあり得ると思うか?」
「せ、セックスはわかんないけど、でも親しくなるのはいいなぁと思う」
「そ、そうか」
「ではそろそろ斬らせてもらう!」
悠が剣を縦に持って身構える。そして気合の叫びを一つ放つと同時に飛びあがり、シッポの根元に向かって進んでいく。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁエペクーパーーーー」
悠の剣が風を起こす。目にもとまらぬ速さで斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬りまくる! それは赤いドラゴンのシッポがいくつも宙を舞うという事であり、地面に落ちるとズシーン! ズシーン! ってヘヴィーな音をまき散らす。
「ぅ……負けた……」
とっても悔しそうにつぶやいたドラゴン、疲れた目を浮かべながらバッタリその場に倒れ込んでしまう。
「斬りまくってごめんね」
勝利した悠、これはいたし方なかったんだとつぶやいてから、倒れたジョーカーに向かい両手を合わせぺこりと謝っておく。それから悠は剣を背中にしまうと両腕を大きく上に伸ばし深呼吸を何回かくり返した。すると体内から何かがスーッと抜けていく。心地よかった混じりっ気がピュアな単色になっていくのを感じながら目をやれば、ドラゴン女子にスフレなどの姿が現れていく。
「悠!」
さっそくカンゲキ屋さんのパネトーネがダッシュして熱く飛びつく。豊満でやわらかい弾力の密接、ムワーっと湧き上がるいいニオイ、それは悠のアタマをほんとうにクラクラさせる。
「協力してくれてありがとう。パネトーネに感謝」
悠がやさしい声で言って髪の毛を撫でると、パネトーネは腰が抜けてヘナヘナっとなってしまう。次に悠はクラフティに歩み寄り、ありがとうとニッコリまぶしい笑顔で礼を言う。わ、わたしは何もしてないと言いながら腰が抜けそうになったので、そんなクラフティを抱えた悠はクラフティにも深く感謝しているよと言って髪の毛を撫でた。
それから今度、悠はスフレに歩みより、いつもありがとうねと微笑む。それを見たスフレが、開いた左手平の真ん中を右の人差し指でグリグリやって言葉につまるから、悠はさらに近寄るとフワーっとスフレを抱きしめ耳元で感謝の言葉をささやく。
「いつもほんとうにありがとう。スフレにはどれだけ感謝しても足りないね」
そして最後に悠はジーっと自分を見つめているカッサータの方に目を向ける。そして口を開こうとしたら、先にけん制するように言われた。
「悠、わたしはおまえのために協力したんじゃないからな」
「そうなの?」
「わ、わたしはただ、スフレが可哀想に思っただけで」
「それでも感謝するよ、ありがとう」
「む、むぅ……」
こうしてジョーカーとの戦いは終わった。自分の負けだとジョーカーが認めてくれている以上、これからはみなでハッピーにまったり過ごせるだろうと思う悠だった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる