異世界でドラゴン女子たちと仲良くしてみます

jun( ̄▽ ̄)ノ

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第十七・ジョーカーVS悠5

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第十七・ジョーカーVS悠5


「うん?」

 乱れに乱れていたジョーカーが動きを止めた。さすれば騒音が消え静まっていく巨大な砂ぼこりが無声映画のワンシーンみたいになる。そして現れたのは悠。外観は特に変わっていないように見えるが、何かがちがうとヒシヒシ伝わる。

「悠、いったい何をした?」

「ジョーカー、悪いけどもうオシマイ。ぼくが勝つのは見えちゃったからさ、ここで戦いを終わりにして、みんなで仲良く暮らさない?」

「なんだと!」

 ジョーカー、悠に向かって巨大な火柱を吹き放つ。ところが悠は何も動じることなく立ったまま、クッと左手を開くと腕を前方へと突き出す。そうするとジョーカーから放たれる分厚く巨大な炎が悠の手に吸収されるように消えていく。

「なにぃ!!!」

 はげしくおどろくジョーカー、今度は手からミサイル攻撃を乱射し始めた。それもはや壮絶な数字の暴力というほどの発射だが、悠はそれをすべて剣で払いのけていく。そして悠から遠ざかっていったミサイルは無価値な爆発をくり返す。

「な、な、な、なんだと……」

 ジョーカードラゴンは青ざめワナワナ震える。

「ふん!」

 悠、剣を放り投げるとグッと握った両手首をクロスに重ねた。そして息を止め全神経と体力を一点に集中。

「な、なに……」

 ジョーカードラゴンの巨体がゆっくりと浮き始めた。おどろきで足をバタバタ動かすが、その裏はどんどん地面より離れ上がっていく。

「お、おのれ……念力か……」

 ジョーカーはここで人間姿になろうとした。だがどうしてかビリビリっと電流によって思い通りにならない。どうやら浮かんでいるイコール自分の自由をごっそり奪われてしまっているようだと感じる。

「ふぅ……」

 悠がゆっくり息を吐きながら腕のクロスを解除すると、なんとドラゴンは宙に浮いたまま停止。そしてしゃべることは出来ても身動きがまったくできないという惨めな状態に陥る。

「お、おのれ悠……女に恥をかかすか……」

「シッポ斬ってオシマイ。後は仲良くやろうよ」

「く……」

 悠はドラゴンの後ろに回ると、巨大なシッポを見上げる。ドラゴンにとってシッポを根元からブッた斬られるのは問答無用の敗北であり、大変な屈辱を伴うとされる。シッポの再生に時間がかかり、勢いがそがれ女子力も歪む恐れありなどまったくもってつらい話ばかり。

「悠、切る前にひとつ聞かせろ」

「なに?」

「わたしが若い姿のままだったら……魅力的だと思ったり欲情したりするか」

「ま、まぁ……する」

「物語の展開によっては、わたしとセックスする事もあり得ると思うか?」

「せ、セックスはわかんないけど、でも親しくなるのはいいなぁと思う」

「そ、そうか」

「ではそろそろ斬らせてもらう!」

 悠が剣を縦に持って身構える。そして気合の叫びを一つ放つと同時に飛びあがり、シッポの根元に向かって進んでいく。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁエペクーパーーーー」

 悠の剣が風を起こす。目にもとまらぬ速さで斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬りまくる! それは赤いドラゴンのシッポがいくつも宙を舞うという事であり、地面に落ちるとズシーン! ズシーン! ってヘヴィーな音をまき散らす。

「ぅ……負けた……」

 とっても悔しそうにつぶやいたドラゴン、疲れた目を浮かべながらバッタリその場に倒れ込んでしまう。

「斬りまくってごめんね」

 勝利した悠、これはいたし方なかったんだとつぶやいてから、倒れたジョーカーに向かい両手を合わせぺこりと謝っておく。それから悠は剣を背中にしまうと両腕を大きく上に伸ばし深呼吸を何回かくり返した。すると体内から何かがスーッと抜けていく。心地よかった混じりっ気がピュアな単色になっていくのを感じながら目をやれば、ドラゴン女子にスフレなどの姿が現れていく。

「悠!」

 さっそくカンゲキ屋さんのパネトーネがダッシュして熱く飛びつく。豊満でやわらかい弾力の密接、ムワーっと湧き上がるいいニオイ、それは悠のアタマをほんとうにクラクラさせる。

「協力してくれてありがとう。パネトーネに感謝」

 悠がやさしい声で言って髪の毛を撫でると、パネトーネは腰が抜けてヘナヘナっとなってしまう。次に悠はクラフティに歩み寄り、ありがとうとニッコリまぶしい笑顔で礼を言う。わ、わたしは何もしてないと言いながら腰が抜けそうになったので、そんなクラフティを抱えた悠はクラフティにも深く感謝しているよと言って髪の毛を撫でた。

 それから今度、悠はスフレに歩みより、いつもありがとうねと微笑む。それを見たスフレが、開いた左手平の真ん中を右の人差し指でグリグリやって言葉につまるから、悠はさらに近寄るとフワーっとスフレを抱きしめ耳元で感謝の言葉をささやく。

「いつもほんとうにありがとう。スフレにはどれだけ感謝しても足りないね」

 そして最後に悠はジーっと自分を見つめているカッサータの方に目を向ける。そして口を開こうとしたら、先にけん制するように言われた。

「悠、わたしはおまえのために協力したんじゃないからな」

「そうなの?」

「わ、わたしはただ、スフレが可哀想に思っただけで」

「それでも感謝するよ、ありがとう」

「む、むぅ……」

 こうしてジョーカーとの戦いは終わった。自分の負けだとジョーカーが認めてくれている以上、これからはみなでハッピーにまったり過ごせるだろうと思う悠だった。
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