異世界でドラゴン女子たちと仲良くしてみます

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
上 下
16 / 27

第十三・ジョーカーとパネトーネ

しおりを挟む
第十三・ジョーカーとパネトーネ


 一体のドラゴンがとある森の前にたどり着く。それからパッと煙ひとつ出して人間姿になったが、それはパネトーネという女子だった。

「さてと……」

 午後2時頃という時間帯なのだが、森の中へ進んでいくとすぐさま周囲はひんやり薄暗くなる。それでも進んでいくと廃墟って表現が似合うような風景へ包まれていく。明るいけどものすごく暗く、暗いけど明るさがしっかり存在するという魔物チックな様相が大きくなっていく。

「いやだわ、ここはいつ来てもフンイキがありすぎ」

 昼間は眠っていますというような木々の並びに手を当てたりしながら、パネトーネは30分くらい歩いた。その間ひたすらお目当ての相手に会ったらどういう風に話を切り出そうかなどなど考えておく。

 そしてもうすぐうす暗い大きな鏡と言いたくなる湖となったとき、一体の大きなドラゴンって姿も目に映る。

(んぐ……)

 一歩踏み出すごとに緊張が増幅するようだったが、パネトーネはこっちに気づかないドラゴンに向かって大きな声を出す。

「ジョーカー」

 すると風格ありまくりな赤いドラゴンがこっちを向く。

「パネトーネか、何のようだ」

 それは女の声ではあるが女の子ではない。相当年季の入った女性ながらも、うつくしさとたくましさの両方を兼ね備えているモノ。

「えっとその……ちょっと相談があるっていうか」

 ここでパネトーネ、つい顔を赤くしデレっとしてしまう。エヘエヘっとテレ笑いをしながらアタマをかくサマは相手にとってみれば気に入らないモノらしかった。それならわたしも聞きたい事があるとジョーカーは言うと、ボン! と音を立てると2mくらいはある老婆の姿になった。シワが多いモノのよく見れば美人だという顔をしており、頭の真ん中に一本ツノがあり、宙に浮かぶ体は甲冑に包まれ、背中には巨大な翼を有しやや高い所で停止してパネトーネを見下ろす。

「相談とはなんだ?」

「えっとですね、うまく行くと思ってやったことが思い通りにならないので、どうしてなんだろうと質問したくて来ました」

「何をやったというんだ?」

「えっとその……実はですね、悠……悠という者がいるんですけど、その悠の子どもが産みたいとか思いまして、それでその、悠の事を思いながら保存していた女子力の実とかを大量に一気食いしたんです。だけど妊娠できなくて、おかしいなぁ、どうしてなのかなぁって思って相談しに来ました」

「悠?」

 ここでジョーカーが腕組みをしたまま宙から地上へと下りる。そうしてひとりテレくさっているパネトーネの前に立つ。それは若い女子よりさらに背が高くがっちりした体型であり、長生きした女の迫力に満ちている。

「パネトーネ」

「は、はい……」

「悠とは男だな?」

「え、あ……はい」

「男の子どもが欲しいと思ったわけだな?」

 ジョーカー、クッと前触れなく右手を動かす。そしてドキッとしたパネトーネの豊満でやわらかい左側のふくらみをグッと掴む。

「あ……じょ、ジョーカー?」

 びっくりして顔を赤くするが、そのままゆっくりふくらみをまさぐられるとパネトーネ―は恥じらいながらもクゥっと目を細め感じ入ってしまう。

「男がいるとか、それが悠という名前だとか、パネトーネが現を抜かしているとか、そういう情報はカッサータから報告されている」

「ぁ……んぅ……そ、そ、そうなんです……か……」

「男にホレたな?」

「ぁんん……う……」

 パネトーネ、ふくらみをまさぐり続けられトロっとした表情を赤裸々に浮かべてしまうのだった。そしてジョーカーの手が胸から離れると、ホッとしてひとつ深呼吸をやろうとした。だがそれより先にパーン! と痛そうな音が響いた。

「んぅ!」

 ビンタされたパネトーネ、たまらず唇を噛みながらぶたれた方の頬に手の平を当てる。ジーンと熱い痛みがジンジンとうなる。

「パネトーネ」

「はい……」

「男にホレてはいかん。前々から機会があれば話を聞かせてやっていたはずだ。過去に男というのがいて、それは女を堕落させる存在であったと。悠というのがいつどこから来たのかはわからんが、ひとりだけなら心配ないかと思っていたらこのザマ」

「で、でもジョーカー」

「なんだ」

「ど、どうして……男にホレたらダメなんです。わたしは悠が悪い存在には思えません。むしろいい存在というか、女に必要だと感じるっていうか」

「どうしてだと?」

 ここでまたジョーカーの手がパネトーネの胸に向かって伸びる。だが今度は揉まれたくないと反射的に後ずさり。顔を真っ赤にして両腕で胸を隠すパネトーネ。

「その顔、その腑抜けてしまったというオーラ、それがダメなのだ。それこそ骨のない魚みたいになった女だ。女が男にホレるとそうなる。女はそうやって男にだまされ身を滅ぼす」

「で、でも……」

「パネトーネ、おまえが悠を思って女子力の実をバカ食いしても妊娠できないのはホレてしまったからだ。女同士ならいいのだが男にホレると女が生まれ持つ狂いスイッチが入ってしまう。そうなるとセックスでしか子どもは作れない」

「セックス? それってなんですか?」

「手っ取り早く言うと悠の***をおまえの***に挿入して愛し合い、最後に***となって完了するという行為だ」

「えぇ!!」

 パネトーネ、どえらいドッキリして左手を胸に当て、真っ赤な顔のまま右手を下半身に持っていった。そして目の前にジョーカーがいる事を忘れ、ここにああなってこうなってそうなるのかとつぶやいてしまう。

「このたわけ!」

 またパーン! と痛々しい音が鳴る。

「はんぅ!!」

 パネトーネ、右手で右頬を抑えながら少し涙を浮かべて反論してみた。なぜ打たれなきゃいけないのですか? と反抗したあげく、男の何がダメだというんですと頬を抑えながら噛みつく。

「男は女を不幸にする。女は持っているモノを吸い取られ奪われるだけだ。それなら独身もしくは女同士の結ばれがいい。それにこのわたしは大昔、男やオスという性別をこの世界から抹殺する事に協力し働いた。つまり大変に苦労したとわけだ。それなのに次世代の女が男にホレるなど容認できるわけがなかろう」 

「わたしが悠と結ばれたらダメなんですか?」

「ダメだ、おまえでなくても女が男と結ばれるというだけでガマンならん」

「そんな……」

「パネトーネ、おまえもカッサータを見習うべきだ」

「なんでわたしがカッサータなんかを……」

「あれは剣の腕前を上げんと努力することで心身を鍛えている。きれいな心であり続けるために男は必要ない。健全な心は健全な体に宿る。だからパネトーネ、おまえも今日から自分を鍛える修行を始めるといい」

「ジョーカー……」

「なんだ?」

「その、ジョーカーは男と恋愛した事があるんですか?」

「まだ若く純真すぎた時に少しはある」

「ズルい! 自分だけやってわたしはダメなんて。だいたいわたしはジョーカーの娘でもないのに」

「パネトーネ、わたしにとって男と恋愛したなんて過去は汚点。それを若い世代にさせたくないと思うは必然的な老婆心。ともかくおまえはこれ以上悠と親しくしてはならん。そんな事に時間を費やすヒマがあったら心身の修行をするべきだ。いいな? 返事はどうした返事は!」

「ん……」

 パネトーネは一瞬声を出しそうになった。しかし女としてのプライドみたいなモノが回転。だからジョーカーに対する返事をすることなく、その場を逃げるように走り出す。

「まったく……男のいない世界が出来てよろこんだというのに、また昔に戻ってしまうとかいうのか。避けたい、なんとしてもそれは避けたいものだ」

 やれやれとぼやくジョーカーは再びドラゴンの姿になると、うす暗い鏡面みたいな湖に再び入っていく。

「ハァハァ……」

 しばらく走ってから息切れを起こしたパネトーネ、近くの木に手を当てると顔を下に向けゼーゼーやる。

「女子力の実を多食いするだけではダメなのか……」

 悠の子どもを産みたいとか思うパネトーネだったが、そこでセックスという言葉を思い出す。

「せ、セックス……か……」

 手を木から離しまっすぐ立つと、トロっと赤い顔をしながら、左手でGカップってバストを、伸ばした右手でちょい下の方を触る。そして悠と名前を言いながらうすい妄想をすると、これがどうしてかすごくキモチいいと止められなくなっていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...