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第五・パネトーネが夜にご訪問
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第五・パネトーネが夜にご訪問
「ん……」
海底をさまようみたいに静まり返っている午前1時、悠がベッドの上で寝がえりを打った。窓の外から入ってくる色っぽい月明かりというのは、太陽の光と異なりとっても心身を沈め落ち着かせてくれる。
昨日はいろいろあって疲れたという悠の意識とか体は、深いなモノを全部ベッドに吸わせて回復しようとしている真っ最中。
だがそのときコンコンと小さな音が窓の方から立った。
―コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコンー
悠が気づくまで絶対あきらめない! という意思のごとくコンコン音は続いた。そうするとさすがに深く沈んでいた悠だって反応せざるを得ない。
「ぅ……」
シュワーっと夢から現実に転落し、暗い部屋のベッドで寝ていたのに、コンコンって音の連打がするんだと弱弱しい意識が刺激される。
「ん?」
いったい何事? と思いながら立ち上がり机上の丸い置きプッシュライトを押す。こうして夜の闇に明るさを交えさせてから窓に顔を向けた。
「あぅ!」
一瞬だが激に焦ったから脳を縛っていた眠気がほどけてしまう。暗くて明るいという内側から暗い外を見たとき、そこにドラゴンの顔面が浮かんでいるとなかなかに強烈で両目が慌てるようにぱちくりをくり返す。
「悠、わたし、わ・た・し……」
それは見た目に似合わないアッハーンと女子力に満ちた声。そんなドラゴンが二本足で立ち、窓ガラスを傷つけないよう配慮しながら爪でコンコンやっている。
「わたしって誰だっけ?」
窓をガラっと横に開けてすぐ言ってみればパネトーネだとドラゴンは言った。するとすぐ出来立てホヤホヤの記憶が感情と直結してエア写真みたいにいくつかの絵が脳内にて再生される。
「こんな夜中にどうしたの?」
「悠に会いたくてきたんだよ、とりあえず中に入りたい」
この状況でかわいい声でそうお願いされた時、うるさいなぁ、朝になってから! などと言うはずもなく、少しならいいよ表向きは冷静に、内側ではドキドキと同意する悠。するとシュワーっと夢のけむりみたいなモノが発生し、そいつが部屋の中に流れ込んできて床に到着すると、あの女子ことパネトーネの姿が登場。
「悠、夜中に悪いとは思いつつ、会いたかったんだぁ」
パネトーネが赤い顔でエヘッとやると、味気ない夜の部屋が急に濃厚なダシで見たされていくような気になる。あぁ、かわいい! そして罪深い! なんて思っている事は表に出さないでがんばる悠。
「よ、よくここがわかったね」
悠はひとまず落ち着こうと思い、机上の左端に置いていたお盆上のドリンクピッチャーに手をかけ、中に入っているお茶をグラスに注いでから飲む。
「いやぁ、大変だったんだよ。悠のニオイをたどってここまで来たんだけど、犬ほど優秀な嗅覚ってわけじゃないから、何時間もかかってやっとたどり着いた。でも途中で投げ出さなかったのは多分愛だと思うんだ。そういうのがわたしを突き動かしたという気がしてならないよ」
ポッと顔を赤らめ両手を頬に当てひとりデレデレってアクションをくり返すパネトーネ、その姿は昼間に見た英国風メイドと同じ。どんな男だってズキューン! と心臓を撃ち抜かれるかもしれないってオーラが浮かぶ。
「そ、それはお疲れ……とりあえずお茶でも」
そう言った悠、夜にふさわしいドキドキも度が過ぎていると内心思いながら、使っていないもう一つ予備グラスをパネトーネに渡そうとした。
「あ、待って!」
「え、なに?」
「悠が使ったのでちょうだい」
「え、でも……」
「いいの! 女同士だったらおぇぇ! って話だけど、なんでかな、悠が使ったのであれば、それをわたしが使えばそれはキスだよね? と言いたくなるわけで、そういうのって不思議とこのGカップの胸がキュンとしちゃう。なんでだろう、ダメな女になっても仕方ないよね! って気がしているよ」
「じゃ、じゃぁ……」
間接キスなんて絶対にイヤだ! と拒否されるならまだしも、絶対それがいいと女子の方に言われるた。それ前世では冗談の想像でも描けなかったこと。甘い空気がトロトロ漂う中、悠はリクエストに応えてグラスを渡した。
「それで……話ってなに?」
「あ、悠、部屋の電気はつけなくていいよ」
「え、どうして?」
「だってぇん……この暗いけど月のおかげで少し明るいって絶妙さが胸に来るじゃん。なんかこうわたしと悠の2人時間は別世界にあるってイメージじゃん。けっこうドキドキしていい感じだから、天井の電気はつけないで」
こうしてパネトーネはベッドに腰かけている悠の真横にドスっと腰を下ろした。そうすると濃厚ないいニオイがフンワーと悠を取り囲む。チラッと横を見ると美女のオーラと豊満なふくらみ具合があって、ニコっとする顔はエンジェルみたいにかわいい。あぁ、これがあのドラゴンだなんてと思ってしまうが、かわいくて魅力的ならなんでも許される! と思う悠がいた。
「ねぇ、悠……」
「な、なんですか?」
「悠って色っぽい格好で寝るんだねぇ」
「色っぽい?」
ここで悠はやっと気づいた。いつも寝るときはTシャツのパン一で、今もそういう格好だった。なぜどうして今まですっかりきれいに忘れていたのかと、立ち上がった悠は慌ててズボンを穿く。
「ねぇん、悠……」
再び座った悠の肩に自分の肩をクイっと当てるパネトーネ。シッポが欲しいならいつだって無条件であげるよと言い出す。その声は男子に寄り添いながら、同時にちょっと甘えたがりな女の子そのもの。
「その代わりさぁ、わ、わたしと恋人になるとかどう?」
「こ、恋人?」
「そうそう、わたしの中にある女の直感というのが確信させるんだよ。この魅力的な巨乳でかわいいってわたしは、男である悠と恋人になるとバッチグーな関係を築けるはずだって。それは素直に受け入れるべき運命であると同時に、わたしも悠もどっちも不幸になるはずがないと」
それはいきなり大胆かつ甘くおいしい話。前世では夢のまた夢以上に遠いラブリー物語だったと思う。しかし悠はこの話にドキドキしながらも、一応は持っている男らしさを持って却下した。
「えぇ、なんで却下するの? 悠ってわたしみたいな女はダメなの? わたしの何がダメ? どんな努力でもするから、だから教えて、教えてよぉ」
色白な両手を合わせ両目をうるませるパネトーネ。まるで否定するのは悪魔の所業みたいな空気が部屋に漂い始める。
「い、いや、そうじゃなくて……」
「じゃぁ何?」
「無条件でシッポもらうと自分がダメになっちゃう。自分の力で動きたいし、自分でお金稼がなきゃいけないし、ドラゴンのシッポ売りで少しお金がたまったら他の仕事をやってみたり、スフレに頼らない一人暮らしをしてみたいとも思ったりするから」
「やだぁ、悠ってどうしてかっこういいの、どうして男ってこう、女子の胸をキュッと感じさせるの? わ、わたし、いま猛烈にドキドキしていて、悠をこの胸にギュッと抱きしめたいとか思っちゃうよ」
「はは、それはどうも……でも、下にはスフレがいるから……」
「あ、ここってスフレの家……で、でも……わたしは誰に見られても気にしないけど?」
「い、いや、ぼくが気にしちゃうっていうか、あはは」
するとパネトーネ―、突然に悠をベッドに押し倒した。え! 何これ! とおどろく悠、すぐ真上から赤い顔の女子に見下ろされムンムンと伝わるいいニオイをもらいながら、目をほんのちょっと下にやったらすごい巨乳! ってふくらみも見えるから、全身にビリビリっと高圧電流が走る」
「そうだよね、下にスフレがいると思ったら落ち着けないよね。じゃぁ悠のお城ができたら、誰にも邪魔されずにわたしと2人の時間を楽しめるようになるって事だよね。そうか、じゃぁ……今はとりあえずガマンする。いずれ悠と結婚するって予約だけにするよ」
「よ、予約……」
「あ、でも……たとえばいっしょにオフロに入るとか、キモチが高ぶったら2人で協力して沈めるとか、そういう予約も……する? 女同士でやるというのはキモイって思う事でも、相手が悠だったら全然いいように思うんだ。む、むしろその……悠とならやってみたい気がするんだぁ」
パネトーネから濃厚な甘い感覚がしたたり落ちてくる。悠はごくりと息をのみ、こんな展開になったらどうしたらいいなんて考えていなかったと心の中で叫ぶ。
「悠……」
「な、なに?」
「今はこれくらにしておくよ。なんか……ここで強引に騒がしくすると、この上質なイチゴみたいって雰囲気が壊れちゃう気がする。そうなったら、せっかく知り合ったのが台無し。だから今日はこれで……」
パネトーネ―はそう言うと赤い顔でエヘっと満面の笑みを浮かべて見せた。その笑顔はまさに天使! とかいう感じだから、そうだねと返事をしながら残念……なんて思ってしまう悠だった。
「じゃぁ、わたしはこのあたりで帰るよ」
盛り上がりという勢いが増しつつあるというところで、パネトーネが聞き分けのいい子という表情で立ち上がる。急に来られてと最初は思っていたが、帰ると言われたらさみしいような気がしてしまう悠。帰っちゃうの? なんて言わないけど言いたいようなキモチを持ち、窓から外に出ようとするパネトーネの背中に目をやる。するとふっと動きを止めたドラゴン女子が振り返り、そうそう聞きたかったんだと思い出した質問を投げかける。
「悠はスフレのことをどう思っている」
「え、スフレはいい子とかわいいとか思っているけど」
「まさかスフレとキスしたりした?」
「し、してない、してない」
「スフレといっしょにオフロに入ったとか、その、2人でいっしょにみたいな事をしたとか」
「し、してないよ……」
「あぁ、よかった、この上ないくらいホッとしたよ。わたしとしてはだね、SSSランクの自分がいるのに、お情けでAランクが精いっぱいってスフレに悠が惑わされていたらどうしようって思っていたから」
えへへと笑うパネトーネはたまらずかわいいが、けっこう肉食! というオーラも漂わせている。それから窓際にある机の上に悠のハンカチがあると気づく。もちろんそれを見て何もしないはずもなく、このハンカチをちょうだいと言う。
「え、別にいいけど」
「やった! このハンカチを悠だと思ってひたすら頬にスリスリするよ。じゃぁね、これからもガンガン遊びに来るから、その時はやさしく相手してね」
言い終えたパネトーネが外に飛び出すと姿はドラゴンに戻る。そうしてバサバサとすこぶる分厚い音と風圧を立て色白な月を目指すように飛んでいくった。
「パネトーネかぁ……」
少しばかり遠ざかっていくドラゴンのシルエットと明るい月を見てからバタンとドアを閉めた。それから寝ようと思いベッドに寝転がると、ムンワーっと残っているいいニオイが脳を歪めようとする。
(ん……いいニオイ……)
うつ伏せになった悠、深くたっぷり吸い込んでうっとりな目をする。明日というか今日……早起きして散歩するつもりなんだよなぁと、呆けた目のまま思い出し、眠るために数え始めるのだった。
(ドラゴンが一匹……ドラゴンが二匹……)
「ん……」
海底をさまようみたいに静まり返っている午前1時、悠がベッドの上で寝がえりを打った。窓の外から入ってくる色っぽい月明かりというのは、太陽の光と異なりとっても心身を沈め落ち着かせてくれる。
昨日はいろいろあって疲れたという悠の意識とか体は、深いなモノを全部ベッドに吸わせて回復しようとしている真っ最中。
だがそのときコンコンと小さな音が窓の方から立った。
―コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコン、コンコンー
悠が気づくまで絶対あきらめない! という意思のごとくコンコン音は続いた。そうするとさすがに深く沈んでいた悠だって反応せざるを得ない。
「ぅ……」
シュワーっと夢から現実に転落し、暗い部屋のベッドで寝ていたのに、コンコンって音の連打がするんだと弱弱しい意識が刺激される。
「ん?」
いったい何事? と思いながら立ち上がり机上の丸い置きプッシュライトを押す。こうして夜の闇に明るさを交えさせてから窓に顔を向けた。
「あぅ!」
一瞬だが激に焦ったから脳を縛っていた眠気がほどけてしまう。暗くて明るいという内側から暗い外を見たとき、そこにドラゴンの顔面が浮かんでいるとなかなかに強烈で両目が慌てるようにぱちくりをくり返す。
「悠、わたし、わ・た・し……」
それは見た目に似合わないアッハーンと女子力に満ちた声。そんなドラゴンが二本足で立ち、窓ガラスを傷つけないよう配慮しながら爪でコンコンやっている。
「わたしって誰だっけ?」
窓をガラっと横に開けてすぐ言ってみればパネトーネだとドラゴンは言った。するとすぐ出来立てホヤホヤの記憶が感情と直結してエア写真みたいにいくつかの絵が脳内にて再生される。
「こんな夜中にどうしたの?」
「悠に会いたくてきたんだよ、とりあえず中に入りたい」
この状況でかわいい声でそうお願いされた時、うるさいなぁ、朝になってから! などと言うはずもなく、少しならいいよ表向きは冷静に、内側ではドキドキと同意する悠。するとシュワーっと夢のけむりみたいなモノが発生し、そいつが部屋の中に流れ込んできて床に到着すると、あの女子ことパネトーネの姿が登場。
「悠、夜中に悪いとは思いつつ、会いたかったんだぁ」
パネトーネが赤い顔でエヘッとやると、味気ない夜の部屋が急に濃厚なダシで見たされていくような気になる。あぁ、かわいい! そして罪深い! なんて思っている事は表に出さないでがんばる悠。
「よ、よくここがわかったね」
悠はひとまず落ち着こうと思い、机上の左端に置いていたお盆上のドリンクピッチャーに手をかけ、中に入っているお茶をグラスに注いでから飲む。
「いやぁ、大変だったんだよ。悠のニオイをたどってここまで来たんだけど、犬ほど優秀な嗅覚ってわけじゃないから、何時間もかかってやっとたどり着いた。でも途中で投げ出さなかったのは多分愛だと思うんだ。そういうのがわたしを突き動かしたという気がしてならないよ」
ポッと顔を赤らめ両手を頬に当てひとりデレデレってアクションをくり返すパネトーネ、その姿は昼間に見た英国風メイドと同じ。どんな男だってズキューン! と心臓を撃ち抜かれるかもしれないってオーラが浮かぶ。
「そ、それはお疲れ……とりあえずお茶でも」
そう言った悠、夜にふさわしいドキドキも度が過ぎていると内心思いながら、使っていないもう一つ予備グラスをパネトーネに渡そうとした。
「あ、待って!」
「え、なに?」
「悠が使ったのでちょうだい」
「え、でも……」
「いいの! 女同士だったらおぇぇ! って話だけど、なんでかな、悠が使ったのであれば、それをわたしが使えばそれはキスだよね? と言いたくなるわけで、そういうのって不思議とこのGカップの胸がキュンとしちゃう。なんでだろう、ダメな女になっても仕方ないよね! って気がしているよ」
「じゃ、じゃぁ……」
間接キスなんて絶対にイヤだ! と拒否されるならまだしも、絶対それがいいと女子の方に言われるた。それ前世では冗談の想像でも描けなかったこと。甘い空気がトロトロ漂う中、悠はリクエストに応えてグラスを渡した。
「それで……話ってなに?」
「あ、悠、部屋の電気はつけなくていいよ」
「え、どうして?」
「だってぇん……この暗いけど月のおかげで少し明るいって絶妙さが胸に来るじゃん。なんかこうわたしと悠の2人時間は別世界にあるってイメージじゃん。けっこうドキドキしていい感じだから、天井の電気はつけないで」
こうしてパネトーネはベッドに腰かけている悠の真横にドスっと腰を下ろした。そうすると濃厚ないいニオイがフンワーと悠を取り囲む。チラッと横を見ると美女のオーラと豊満なふくらみ具合があって、ニコっとする顔はエンジェルみたいにかわいい。あぁ、これがあのドラゴンだなんてと思ってしまうが、かわいくて魅力的ならなんでも許される! と思う悠がいた。
「ねぇ、悠……」
「な、なんですか?」
「悠って色っぽい格好で寝るんだねぇ」
「色っぽい?」
ここで悠はやっと気づいた。いつも寝るときはTシャツのパン一で、今もそういう格好だった。なぜどうして今まですっかりきれいに忘れていたのかと、立ち上がった悠は慌ててズボンを穿く。
「ねぇん、悠……」
再び座った悠の肩に自分の肩をクイっと当てるパネトーネ。シッポが欲しいならいつだって無条件であげるよと言い出す。その声は男子に寄り添いながら、同時にちょっと甘えたがりな女の子そのもの。
「その代わりさぁ、わ、わたしと恋人になるとかどう?」
「こ、恋人?」
「そうそう、わたしの中にある女の直感というのが確信させるんだよ。この魅力的な巨乳でかわいいってわたしは、男である悠と恋人になるとバッチグーな関係を築けるはずだって。それは素直に受け入れるべき運命であると同時に、わたしも悠もどっちも不幸になるはずがないと」
それはいきなり大胆かつ甘くおいしい話。前世では夢のまた夢以上に遠いラブリー物語だったと思う。しかし悠はこの話にドキドキしながらも、一応は持っている男らしさを持って却下した。
「えぇ、なんで却下するの? 悠ってわたしみたいな女はダメなの? わたしの何がダメ? どんな努力でもするから、だから教えて、教えてよぉ」
色白な両手を合わせ両目をうるませるパネトーネ。まるで否定するのは悪魔の所業みたいな空気が部屋に漂い始める。
「い、いや、そうじゃなくて……」
「じゃぁ何?」
「無条件でシッポもらうと自分がダメになっちゃう。自分の力で動きたいし、自分でお金稼がなきゃいけないし、ドラゴンのシッポ売りで少しお金がたまったら他の仕事をやってみたり、スフレに頼らない一人暮らしをしてみたいとも思ったりするから」
「やだぁ、悠ってどうしてかっこういいの、どうして男ってこう、女子の胸をキュッと感じさせるの? わ、わたし、いま猛烈にドキドキしていて、悠をこの胸にギュッと抱きしめたいとか思っちゃうよ」
「はは、それはどうも……でも、下にはスフレがいるから……」
「あ、ここってスフレの家……で、でも……わたしは誰に見られても気にしないけど?」
「い、いや、ぼくが気にしちゃうっていうか、あはは」
するとパネトーネ―、突然に悠をベッドに押し倒した。え! 何これ! とおどろく悠、すぐ真上から赤い顔の女子に見下ろされムンムンと伝わるいいニオイをもらいながら、目をほんのちょっと下にやったらすごい巨乳! ってふくらみも見えるから、全身にビリビリっと高圧電流が走る」
「そうだよね、下にスフレがいると思ったら落ち着けないよね。じゃぁ悠のお城ができたら、誰にも邪魔されずにわたしと2人の時間を楽しめるようになるって事だよね。そうか、じゃぁ……今はとりあえずガマンする。いずれ悠と結婚するって予約だけにするよ」
「よ、予約……」
「あ、でも……たとえばいっしょにオフロに入るとか、キモチが高ぶったら2人で協力して沈めるとか、そういう予約も……する? 女同士でやるというのはキモイって思う事でも、相手が悠だったら全然いいように思うんだ。む、むしろその……悠とならやってみたい気がするんだぁ」
パネトーネから濃厚な甘い感覚がしたたり落ちてくる。悠はごくりと息をのみ、こんな展開になったらどうしたらいいなんて考えていなかったと心の中で叫ぶ。
「悠……」
「な、なに?」
「今はこれくらにしておくよ。なんか……ここで強引に騒がしくすると、この上質なイチゴみたいって雰囲気が壊れちゃう気がする。そうなったら、せっかく知り合ったのが台無し。だから今日はこれで……」
パネトーネ―はそう言うと赤い顔でエヘっと満面の笑みを浮かべて見せた。その笑顔はまさに天使! とかいう感じだから、そうだねと返事をしながら残念……なんて思ってしまう悠だった。
「じゃぁ、わたしはこのあたりで帰るよ」
盛り上がりという勢いが増しつつあるというところで、パネトーネが聞き分けのいい子という表情で立ち上がる。急に来られてと最初は思っていたが、帰ると言われたらさみしいような気がしてしまう悠。帰っちゃうの? なんて言わないけど言いたいようなキモチを持ち、窓から外に出ようとするパネトーネの背中に目をやる。するとふっと動きを止めたドラゴン女子が振り返り、そうそう聞きたかったんだと思い出した質問を投げかける。
「悠はスフレのことをどう思っている」
「え、スフレはいい子とかわいいとか思っているけど」
「まさかスフレとキスしたりした?」
「し、してない、してない」
「スフレといっしょにオフロに入ったとか、その、2人でいっしょにみたいな事をしたとか」
「し、してないよ……」
「あぁ、よかった、この上ないくらいホッとしたよ。わたしとしてはだね、SSSランクの自分がいるのに、お情けでAランクが精いっぱいってスフレに悠が惑わされていたらどうしようって思っていたから」
えへへと笑うパネトーネはたまらずかわいいが、けっこう肉食! というオーラも漂わせている。それから窓際にある机の上に悠のハンカチがあると気づく。もちろんそれを見て何もしないはずもなく、このハンカチをちょうだいと言う。
「え、別にいいけど」
「やった! このハンカチを悠だと思ってひたすら頬にスリスリするよ。じゃぁね、これからもガンガン遊びに来るから、その時はやさしく相手してね」
言い終えたパネトーネが外に飛び出すと姿はドラゴンに戻る。そうしてバサバサとすこぶる分厚い音と風圧を立て色白な月を目指すように飛んでいくった。
「パネトーネかぁ……」
少しばかり遠ざかっていくドラゴンのシルエットと明るい月を見てからバタンとドアを閉めた。それから寝ようと思いベッドに寝転がると、ムンワーっと残っているいいニオイが脳を歪めようとする。
(ん……いいニオイ……)
うつ伏せになった悠、深くたっぷり吸い込んでうっとりな目をする。明日というか今日……早起きして散歩するつもりなんだよなぁと、呆けた目のまま思い出し、眠るために数え始めるのだった。
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