息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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194・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)10

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194・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)10


 いま、息吹が街を歩く。白いシャツの上に黒のシャツジャケットをまとい、下はブルージーンズと控えめな服装だが、めずらしく黒の丸サングラスをやっている。これは少なくともいまは三次元を歩くときに顔を隠すために必要となっていた。なぜなら街のあっちこっちにポスターが貼られているせいだ。

「無許可で人の顔写真と名前を載せるとか……」

―巨乳OR爆乳って女だらけのお相手ゲット大会(仮名)―

 そんな名前のポスターに巨乳や爆乳なら参加可能と書いてあるのみならず、息吹の顔写真を大きめに載せて、この人と結婚する権利を得られますと目立つように書いてある。こうなると息吹はこの世においては悪者と同じであり、恥知らずな男と数多くの女から軽笑されるは確実。

「ったく、いたるところ……あげく繁華街のあっちこっちにまでポスターをべったり貼って……しかもなに、地方テレビとネットで放送する予定って本気かよ」
 
 ぼやく息吹、ちょっと遅めの昼飯と思いながらマックに入ろうとした。するとどこぞで誰かがピンチになっているという信号が脳にビリビリっと伝わる。

「仕方ない、まずは人助けが先」

 息吹、マックから離れ人気のない裏通りに入るとビルの壁をかけ上がっていく。そしてビルからビルに飛び移ってさっそうと移動。

「えっと……シグナルは……性欲通りか……」

 息吹の言った性欲通りというのは、ひと昔前までは風俗店だらけというエリアだった。そのため本来は「夢通り」という名前だったモノが「性欲通り」という名前に変わってしまう。人にっては「子づくりの勉強通り」と言ったりしていたという。

 しかし時の流れと同時に人が性欲とコミュニケーションを切り離すようになったら、風俗店などはどんどんつぶれていく。だから夢の後腐れという感じでさびていき、今や廃墟を気取るようなフンイキすらあり、裏側にはアニメに使えそうな広い空地なんていうのもゴロゴロあったりする。当然、現在は昼間であっても危険度の高い場所となってしまっている。

「うん?」

 あるビルから空地を見下ろすと、そこには大量の男が集まっている。一定数の一定って表現が壊れたかのごとく大量で、それがひとりの女性を囲んでいる。誰がどう見ても明らかに不穏。

「あれ? あれって……」

 息吹、まぶしいほどの色白美人という外人女性に見覚えがあった。その記憶はとても新しいのですぐ思い出すことができる。

「たしか……リディエ」

 そう、上半身を赤いスポーツブラだけにし、指のない黒の皮手袋をはめ空手の構えを取るすごい巨乳というのはリディエ・クラインだった。

「えっと……」

 息吹、ついこの間の出来事を思い返す。あのとき目にしたリディエの強さは相当なモノであり、もはやふつうの女ではなく、ふつうの女と甘く見たら痛い目に遭わされるというレベル。

「しかし……あの強さをもってしても、人数が多すぎるか」

 息吹のつぶやき通り、男たちの数は過剰ハッピーセットという感じだ。しかしリディエの強さを見てみたいという気もする。そこで息吹、助けに行くという構えをしながらちょっとだけ成り行きを見守る事にした。

「へへへ、絶対この巨乳はゲットしてやるぜ」

「おうよ、ゲットして谷間に甘えタイムの始まりだぁ」
 
 数人の男たちがニヤニヤした後、すぐさま正面からイノシシのように突進。それをリディエの軽やかな動きと攻撃と粉砕する。

「せい!」

 リディエの体が最小限の動きをしたら、そのまま横蹴りを放つ。不意に横から掴もうとした男は胸板を蹴られ転がる。

 しかし……一人だけ気配を消すのがうまいという男がいて、それが不意に真後ろから出現すると、さすがのリディエも回避がむずかしい。

(しま……)

 後ろから肩を掴まれたリディエは焦ったゆえ、あまりやってはいけない反応に出てしまう。バカ正直に後ろへ振り向こうなどとしてしまう。

「もらったぁ!」

 男の勝ち誇ったような声と同時に、ブシュ―って音が鳴る。それは催涙スプレーというモノで、それがリディアの視界を攻撃。

「くぅ!」

 反射的に顔を動かしたものの、片目がスプレーから逃げられなかった。リディアの両ひざがガクっと落ちる。そして突然に見えなくなった方に手を当て表情を歪めた。

「卑怯者……」

 リディエが言うと後ろの男が笑いながら返す。

「巨乳をゲットするのに卑怯もパイもあるもんかよ」

 男、すぐさまリディアの後ろにかがみ込む。そして女が動こうとするより先に、両手を回し乱暴に揉み掴む。

「うぉ!」

 リディエのスポーツブラってふくらみを後ろからギュッと掴んだ男、その両手にあふれるようなやわらかい弾力がムニューっと弾ようにきたと衝撃を受ける。その圧倒的なボリュームも言葉にできない快感満載の揉み応えも生まれて初めて味わうものだった。

「で、でっけぇ!」

 男、両目を丸くしてギュッとふくらみを揉み掴んで女を抱き寄せる。すると周りの男たちが中学生みたいに顔を赤くし、もっとも気になる事を質問する。

「で、揉み応えとかどうなんだよ……」

「すげぇ、めちゃくちゃやわらかい弾力で、こ、こんなキモチよさが宇宙にあるなんて考えて事もなかった。これ一度触ったら72時間は手放せないって女神のレベルだ」

「お、おい、何ひとりで楽しんでいるんだよ……せめてその邪魔なブラジャーとか取れよ。その乳を外に出せよ」

「おぅ、待ってろよ」

 男がそう言って手を動かそうとするまでの、0.3秒くらいって隙に目の痛みをこらえてリディエが動く。

「ぅ……」

 突然女の両腕が動いたと思ったら、めちゃくちゃキモチいいって部分をつかんでいた手が払いのけられてしまった。

「ハァハァ……」

 片目を押さえながら男から離れるリディエ。見事に危機を脱したと言いたいところであるが、問答無用な窮地は何も変わっていない。

「チッ……空手かよ。せっかく美人ですごい巨乳と揃っているのに、そんな筋肉質な趣味に走るなよ。勿体ないじゃんかよ」

「そうだよ姉ちゃん、おれらといっしょに男女のコミュニケーションを楽しもう。空手なんかは筋肉バカに任せておけばいいんだよ」

 へへへとエロい野犬という感じの男たちが総勢でじりじりと一人の女に迫っていく。それはもう卑怯を通り越しカンペキな犯罪。

「ちょっと待ったぁ!」

 ここで突然にどこからともなく声がした。男たちはいっせいに何だ? と周囲を見渡すが誰の声かわからない。そして最後に残っている上の方に顔を向けたら、一人の男がギューンっと飛んできて……ダーン! っと女を守るようにして着地。

「なんだおまえは!」

「おれは家満登息吹、この女に代わっておれがお前らの相手をしてやろう」
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