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107・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹5

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107・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹5


「ふん、弱っちい奴ら!」

 張り合い無さ過ぎな連中を倒した息吹少年、そのままこの場を立ち去ろうと歩き出す。

「待って、待って、ないない、それはない、わたし、わたしこと忘れてる!」

 スワー! っと巨乳女子が息吹の前に立つ。まくり上げられていたTシャツは下ろされているが、それでも巨乳ってふくらみ具合を見ると……いまや12歳って息吹の脳はビリビリっとなり血流に異変を起こさせようとする。

「な、なんだよ」

 息吹、面倒くさい話はイヤだから女子の相手をせず通り抜けたいと思う。

「ダーリン、助けてくれてありがとう」

 女子はエヘっと微笑んだが、そのかわいい顔を見るとまた脳がエラーを起こす。23歳の本来であればただのかわいいで済むはずだが、12歳になると思わず引っ張られドキドキしてしまうなんて、忘れたはずの感覚がよみがえりそうになる。

「いいよ、じゃぁこれからは気をつけろよ」

 息吹がそのまま歩きだそうとする、少女がぐっと腕をつかむ。そしてその年齢にふさわしくダイレクトな物言いを放つ。

「え、なに、なんでそんなにつれないの? もしかして同性愛? それとも女子と縁がないから女が憎いって自らを苦しめて賢者を気取るってタイプなの?」

「どっちでもねぇよ。と、とにかくダーリンとか言うな」

「いいんだよ、テレなくても、恥ずかしがる必要なんてないから」

「うっせーなぁ」

「あ、そうそうダーリン、ちょっとさっきの木刀貸してよ、いいモノ見せてあげるから」

「なんだよ、何を見せるって言うんだよ」

 息吹、ちょっと気になったので言われた通り木刀を貸してやった。すると女子はニッコリ笑った次の瞬間、ドコーン! っと思いっきり相手の頭に振り下ろした。

「あんぎゅぅう……何しやがる」

 息吹が頭を抑えたまらずかがみ込むと、ムッとした顔の女子が言い放つ。

「ダーリン、あんたどう見ても12歳くらいでしょう? わたし13歳、わたしの方が年上。年上に対する態度とか言葉遣いがよくない。それじゃぁせっかくの王子様も台無し!」

 まるで自分好みの少年を調教する気マンマンって感じの声で言っている。

「12歳じゃねぇよ、おれはほんとうは23歳だ」

 立ち上がった息吹、ズキズキしまくりな頭を抑えながら言ってやった。

「は? 23歳? へ? なに、ダーリンって中二病なの?」

 少女は意外な気がすると言いたげな目になるが、それでも息吹少年に恋するような目の輝度はフレッシュな100%のまんま。

「おれは家満登息吹、ほんとうは一回死んだ人間で年齢は23歳で、ちょっとした事があったせいで12歳にされてしまって……」

 息吹は一気に言い並べたが、その姿はおしゃべりとか説明がドヘタクソな少年でしかない。だからそれは不器用で愛しいって姿になるらしく、向かい合う女子の豊かな胸のふくらみをキュンとさせてしまうらしい。

「わたしは奇麗菜(きれいな)かすみ、通称ビューティーかすみ、13歳でありながらFカップって巨乳でもあるんだよ、しかも美巨乳、たいせつな事だから頭に刻み込んでおいてね」

 かすみは元気いっぱいに言いながら一方では顔を赤らめている。そうして色白な両手を頬に当て、これからどうする息吹? とか、デートはいいけどラブホテルはまだちょっと困るかなぁとあざとい声量でつぶやいたりする。

「ふん、おれは忙しいんだ。おまえなんかの相手をしているヒマなんてないし」

 息吹は女子の心に無頓着な男子そのもって声で言い放ち、クルっと回って歩きだそうとする。

「ちょっと待った!」

 かすみがまた前に立ちはだかり、すぐさま息吹の右腕をつかむ。そしてすぐさまTシャツの、あるいはかすみの体でもっともふっくらやわらかい弾力がいっぱい詰まっている個所に引っ張る。

 ムニュ! っと息吹の手に来たやわらかい弾力。そのボリューム……すごい巨乳! そして温かくすごい揉み応え……すごい手触り。

「ぅ……」

 息吹、ドキッとしたついでにうっかり少し揉んでしまった。だから余計にキモチよさを噛みしめてしまう。そして今は12歳ってモノだから、キモチいいと味わったが最後、ビリビリっとエロい電流に体が縛られてしまう。よって不本意なる勃起とか起こってしまう。

「ねぇ、息吹。ここでわたしがたすけて! とか大きな声で言ったらどうなると思う?

「な、なに?」

「世間、ううん、世界は女の味方。息吹に同情する人なんていない。わたしの相手をしてると言わない限り叫ぶ。そして息吹はケーサツに連行されてしまうって物語」

「わ、わかったよ……と、と、とりあえず喫茶店にでも」

「喫茶? 行きたいけど目立つじゃん。いくらわたしがかわいくて巨乳な女子とか言っても13歳で息吹は12歳。マックにしよう、それがいいよ、わたしたちみたいな微笑ましいカップルには」

 マック……さっき行ったような気が……と思ったがそんな事はどうでもいい状況。だから息吹はマックに行くことに同意した。するとかすみが手を緩めたので、反射的にかすみの胸から手を離してしまう。すると今までつかんでいた豊満な幸せ感がいきなり消えてさみしいみたいになって、でもキモチよさが忘れられないとしつこく脳が思い出そうとする。だから息吹少年、赤い顔をしてすぐ回れ右をしなければいけなかった。心臓のドキドキと勃起が絡んでとっても窮屈だからだ。そこにかすみがやさしいような声をかける。

「気にしなくていいよ息吹……」

「な、なにがだよ……」

「男の子だもん……仕方ないよ、ね?」

「く……」

 息吹、走って逃げようかなと思ったが、多分ギャーギャー騒ぐだろうと予想が立つのでマックに付き合う約束は守る事とした。

「じゃぁ、ほら」

 かすみ、息吹の横に立って、左手を伸ばす。

「べ、べつに手なんかつながなくてもいいだろう」

 息吹はそう言ったが、言い終わると同時に手を掴まれていた。するとかすみのやわらかい手がキモチいいとか思ってしまう。12歳の愚者モードは、23歳の賢者モードより強大。

「えへ、息吹のドキドキが伝わる」

「う……」

「あ、そうそう息吹、ひとつ言っておくよ」

「な、なんだよ……」

「息吹は男の子だから、わたしの巨乳とかおっぱいが気になると思うし、チラチラ見るのはいいよ。でも、少し遠慮しなきゃっな! って配慮を持ってくれたら、見られるわたしは胸キュン。そうなると2人の愛情が育つスピードが速まるって頭に入れておいてね」

「う、うるさいな……」

「ん、息吹ってかわいい」

 かすみはとても機嫌がよいらしい。なんでも休日の今日は王子様に会えるような予感が目覚めた時からあったという。

 一方の息吹、そんな話を聞かされるとかすみに申し訳ないような気になる。実際のところは23歳の男、しかも生前は500人以上の女とやりまくったゲスであり、ホストとして客の女に刺し殺された者。

「中2だったら……おれみたいなのより、もっといいやつがいるだろう」

 息吹がそう言って手を離そうとすると、かすみはその手をギュッとにぎって言い返す。

「息吹の方がかわいいしかっこういい。だってエロい男3人に絡まれているわたしをたすけてくれた。木刀使ってかっこうよく戦う姿を見せてくれた。そんなやつ周りにいないもん。だからこれ運命。運命の日が訪れるのに年齢なんか関係ない、だからわたしは息吹を離さない」

 あぁ、どうしたものか……と思ってしまう息吹だったが、ここでドキッとして足を止めた。

「うん? どうしたの息吹?」

 キョトンとするかすみの方は、向かいから一人白い着物の女性が歩いてくるっていうのを見ても問題としなかった。なんとなく印象的な姿だなと思うだけで終わり。しかし息吹の方はそうはいかない。

(閻美……)

 そう、あれはまちがいなく閻美。何か言われるんじゃないかと思うが、12歳になっていると気づかないまま通り過ぎるかもしれないと期待する。一度にあれこれ面倒が起こるのはたまらないと思う息吹だった。
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