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72・閻美、色気リターンズ2
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72・閻美、色気リターンズ2
「お、おれが……目の前にいる?」
震えながらつぶやいた伊吹、その瞬間に脳がビク! っとした。体の感覚がゼロから作り上げあげられる最中のごとく異常感に満ちている。それは自分が慣れ親しんでいる情報とまったくフィットしない。
「え……」
戸惑った伊吹、深い意味などなくただ偶然的に右手を動かした。もしかするとそれは落ち着かないゆえに首の後ろ辺りをかこうとしたのかもしれない。だがその手がテーラードジャケットの触れたと思えなかったとき動きが止まる。
(は?)
指先が触れたのは着物みたいに思えた。そして何よりその内側こと自分の体に大変に豊満で気にするなというのはむずかしいふくらみがあると感じて止まない。
「な、なんだ?」
慌てて見つめた両手は明らかに自分のモノとはちがう。男性のらしさを備えたきれいな手ではなく、疑う余地なくグラマーな女の手。
「これぞスワップアウト」
目の前にいる伊吹が得意気な顔で腕組みをして微笑む。それはたしかに自分ではあるが、悪用された気の毒な自分見たいにしか見えない。
「閻美、おまえ何をした!」
「おぉ、わたしがわたしの声でわたしに怒鳴る姿はおもしろいもんだ。しかもあれ、わたしという着物がよく似合う美爆乳な女を客観的に見るとこんな感じかぁと新鮮。しかしなにより……いいぞ、伊吹のこの体。男の体になって思うはなんという身軽さってことだ。背負うものがない、気兼ねなく突進出来るこのフリーライクな体の感覚、女では絶対に味わえないな」
「入れ替わったっていうのか……」
「そうだ、入れ替わった。そしてセックスをしたいと思う」
「なんだそれ……おまえアタマだいじょうぶか?」
「まぁまぁ落ち着いて聞くべしだよ伊吹、わたしはこう考えたんだ。伊吹はわたしとセックスしない。そしてわたしは伊吹を捕獲しにくい。それならわたしが伊吹になってわたしを捕獲すればいい。それからセックスに持ち込み、一体化したところで元に戻る。そうすればわたしは女として伊吹に抱かれることができるというわけだ」
「閻美……女子高生みたいな発想するなよ……」
「でも、おもしろいだろう?」
閻美こと伊吹が伊吹こと閻美にズイっと近づく。するとどうだろう、動くための小さな反応というのが取れない。中身が伊吹でも体は閻美というグラマー女なので、華麗なる動きが取れない。
「どうした伊吹、なんか動きが鈍そうだな、慣れないか? そうだろう、なんせわたしの美爆乳というグラマーな体だからな。気になるだろう? もしかすると自分で自分のを見てみたいか? いや、もしすれば自分で自分のを触って楽しんでみたいのではないか?」
「へ、変な事を言うな」
どうしても戸惑ってしまう伊吹、目の前にいる自分こと閻美にクッと両肩をつかまれた。するとあまり感じたくない、心地よさとは無縁の恥じらいが生じ恥辱めいてしまう。
「どうした伊吹、わたしの顔を赤くしてくれているが、もしかしてテレているのかな?」
「だ、誰がテレてなんか……」
「そうか?」
今や伊吹である閻美は、ドキドキしている自分を見つめながら右手を動かした。そして着物の上から左側のふくらみに手をあてる。
「ぅ……」
「気恥ずかしいか? それが女のフィーリングだよ、伊吹。生前に呆れるほどたくさんの女を食ったとしても、女の感覚を味わった事はないだろう? 一度味わってみたらいい、そして閻美が愛しいと思えばいい。そうしたらきっとこう思うはず、男として閻美を抱いてやりたいと」
言いながらクスっと笑う者は右手をスーッと相手の着物内部に入れようとする。すると触られる側はドキッとせずにいられない。不本意ながらも顔を赤くすると、相手の腕を払いのけ後ずさり。
「おぉ、わたしがすごくかわいい反応をしている。男から見るとわたしはまちがいなく愛さずにいられない美爆乳美女だな」
「閻美! さっさと戻せ!」
「じゃぁセックスしよう」
「セックスばっかり……」
「いいじゃないか、この世のみんなはセックスが大好き。伊吹だって生前そうだった。だったらわたしがセックス大好きでも責めるべきじゃない」
「ったく……」
伊吹、クルっと回れ右すると白い着物姿のまま走り出した。これ閻美だったら出来るのであるが、伊吹には初めてのこと。閻美というグラマーな女の体になり、しかも着物姿で走るというのはビギナーにはハードルが高いこと。
「あぅ……」
周りに見知らぬ他人がたくさんいるという中でコケてしまった。その姿は誰がどう見ても気の毒な女性にしか見えない。
「いいよ、逃げなよ、どんどん逃げなよ。それをつかまえてセックスに持ち込むから、つかまえた時の喜びは大きい方がいいから。なんなら戦おうか? おたがい特殊能力は使えるのだからさ」
伊吹の姿で閻美が笑って言う。立ち上がった着物姿の女こと伊吹にしてみても、戦って相手をひねり上げこらしめるって展開に持ち込みたい。だがいまは閻美の体に全然慣れていない。このグラマーな女のユッサユッサフルフルってふくよかな肉体とか、それを白い着物で包んでいるって感覚に慣れない事には戦闘など不可能。
(閻美のくそったれめ……)
着物姿の女はひとまず人気が少ない裏通りに逃げ込んでいったが、伊吹はそれを即座に追いかけたりしない。すぐそこにある自販機でソフトドリンクを一本購入し、グビグビやって小休止。そしてフリーな左手を人目盗んでちょい股間に当て顔を赤くしたりしてつぶやく。
「あぁ……これが男の疼きか……なんとキモチいいことだろう……しかもこの全体の身軽さ。これなら1日で地球一周できそうな気がするな」
「お、おれが……目の前にいる?」
震えながらつぶやいた伊吹、その瞬間に脳がビク! っとした。体の感覚がゼロから作り上げあげられる最中のごとく異常感に満ちている。それは自分が慣れ親しんでいる情報とまったくフィットしない。
「え……」
戸惑った伊吹、深い意味などなくただ偶然的に右手を動かした。もしかするとそれは落ち着かないゆえに首の後ろ辺りをかこうとしたのかもしれない。だがその手がテーラードジャケットの触れたと思えなかったとき動きが止まる。
(は?)
指先が触れたのは着物みたいに思えた。そして何よりその内側こと自分の体に大変に豊満で気にするなというのはむずかしいふくらみがあると感じて止まない。
「な、なんだ?」
慌てて見つめた両手は明らかに自分のモノとはちがう。男性のらしさを備えたきれいな手ではなく、疑う余地なくグラマーな女の手。
「これぞスワップアウト」
目の前にいる伊吹が得意気な顔で腕組みをして微笑む。それはたしかに自分ではあるが、悪用された気の毒な自分見たいにしか見えない。
「閻美、おまえ何をした!」
「おぉ、わたしがわたしの声でわたしに怒鳴る姿はおもしろいもんだ。しかもあれ、わたしという着物がよく似合う美爆乳な女を客観的に見るとこんな感じかぁと新鮮。しかしなにより……いいぞ、伊吹のこの体。男の体になって思うはなんという身軽さってことだ。背負うものがない、気兼ねなく突進出来るこのフリーライクな体の感覚、女では絶対に味わえないな」
「入れ替わったっていうのか……」
「そうだ、入れ替わった。そしてセックスをしたいと思う」
「なんだそれ……おまえアタマだいじょうぶか?」
「まぁまぁ落ち着いて聞くべしだよ伊吹、わたしはこう考えたんだ。伊吹はわたしとセックスしない。そしてわたしは伊吹を捕獲しにくい。それならわたしが伊吹になってわたしを捕獲すればいい。それからセックスに持ち込み、一体化したところで元に戻る。そうすればわたしは女として伊吹に抱かれることができるというわけだ」
「閻美……女子高生みたいな発想するなよ……」
「でも、おもしろいだろう?」
閻美こと伊吹が伊吹こと閻美にズイっと近づく。するとどうだろう、動くための小さな反応というのが取れない。中身が伊吹でも体は閻美というグラマー女なので、華麗なる動きが取れない。
「どうした伊吹、なんか動きが鈍そうだな、慣れないか? そうだろう、なんせわたしの美爆乳というグラマーな体だからな。気になるだろう? もしかすると自分で自分のを見てみたいか? いや、もしすれば自分で自分のを触って楽しんでみたいのではないか?」
「へ、変な事を言うな」
どうしても戸惑ってしまう伊吹、目の前にいる自分こと閻美にクッと両肩をつかまれた。するとあまり感じたくない、心地よさとは無縁の恥じらいが生じ恥辱めいてしまう。
「どうした伊吹、わたしの顔を赤くしてくれているが、もしかしてテレているのかな?」
「だ、誰がテレてなんか……」
「そうか?」
今や伊吹である閻美は、ドキドキしている自分を見つめながら右手を動かした。そして着物の上から左側のふくらみに手をあてる。
「ぅ……」
「気恥ずかしいか? それが女のフィーリングだよ、伊吹。生前に呆れるほどたくさんの女を食ったとしても、女の感覚を味わった事はないだろう? 一度味わってみたらいい、そして閻美が愛しいと思えばいい。そうしたらきっとこう思うはず、男として閻美を抱いてやりたいと」
言いながらクスっと笑う者は右手をスーッと相手の着物内部に入れようとする。すると触られる側はドキッとせずにいられない。不本意ながらも顔を赤くすると、相手の腕を払いのけ後ずさり。
「おぉ、わたしがすごくかわいい反応をしている。男から見るとわたしはまちがいなく愛さずにいられない美爆乳美女だな」
「閻美! さっさと戻せ!」
「じゃぁセックスしよう」
「セックスばっかり……」
「いいじゃないか、この世のみんなはセックスが大好き。伊吹だって生前そうだった。だったらわたしがセックス大好きでも責めるべきじゃない」
「ったく……」
伊吹、クルっと回れ右すると白い着物姿のまま走り出した。これ閻美だったら出来るのであるが、伊吹には初めてのこと。閻美というグラマーな女の体になり、しかも着物姿で走るというのはビギナーにはハードルが高いこと。
「あぅ……」
周りに見知らぬ他人がたくさんいるという中でコケてしまった。その姿は誰がどう見ても気の毒な女性にしか見えない。
「いいよ、逃げなよ、どんどん逃げなよ。それをつかまえてセックスに持ち込むから、つかまえた時の喜びは大きい方がいいから。なんなら戦おうか? おたがい特殊能力は使えるのだからさ」
伊吹の姿で閻美が笑って言う。立ち上がった着物姿の女こと伊吹にしてみても、戦って相手をひねり上げこらしめるって展開に持ち込みたい。だがいまは閻美の体に全然慣れていない。このグラマーな女のユッサユッサフルフルってふくよかな肉体とか、それを白い着物で包んでいるって感覚に慣れない事には戦闘など不可能。
(閻美のくそったれめ……)
着物姿の女はひとまず人気が少ない裏通りに逃げ込んでいったが、伊吹はそれを即座に追いかけたりしない。すぐそこにある自販機でソフトドリンクを一本購入し、グビグビやって小休止。そしてフリーな左手を人目盗んでちょい股間に当て顔を赤くしたりしてつぶやく。
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