148 / 204
優子が異世界に飛ばされた!(こんな巨乳女子と結婚がしたい)7
しおりを挟む
優子が異世界に飛ばされた!(こんな巨乳女子と結婚がしたい)7
翌日、午前9時40分にもなるとシンジはまったく落ち着かなかった。巨大空間みたいな洗面所でカガミを前に立ち、自分を見ながらつぶやいた。
「お見合い……お見合いなんて……」
心が落ち着かないのはやりたくねぇなぁって思いがあるからだった。隣国の姫とかいう者の写真を見ても別に好みではなかったし、姫の趣味が読書とか哲学を語るとか何とか聞かされると関わりたくないとさえ思う。
しかるにして母が勝手に決めたことであっても、王子は従わねばならない。そして基本的な話としては、このお見合いイコール結婚という流れにも乗らねばならない。
「いやだ……結婚するなら優子がいい……なんで優子みたいな理想女子を忘れて、好みでもない女とお見合いだの結婚しなきゃいけないんだよ」
シンジがうだうだぼやいていたら、昨日、優子の面倒を見たメイドがやってきて、もうそろそろ食堂にと声をかけてきた。
「優子は?」
「指示されたとおりドレスを着せて部屋で過ごさせていますが」
「そうか」
「王子様、いまはお見合いの事に集中なさってくださいませ。だいじょうぶ、きっとうまくいきますよ」
メイドに言われたらシンジは内心こう思った。人から気遣われてキモチが萎えるのはまったく最悪だな……と。
そして午前10時、お約束通りの時間に隣国の姫というのが父親たる王といっしょにやってきた。シンジ側は母子状態で姫側は父子状態。よって双方の親は子どもが結婚して家族になれば、親もまた愛し合うパートナーが得られるとギンギン的な意識を隠し持っていたりした。
「いやぁ、実にめでたい」
着席した王は軽く動かした右手を隣の娘に向け、向かいに座る2人を見た。もうお見合いというより結婚おめでとう! というフンイキを醸し出している。
「実に立派な姫様で」
シンジの母はそう言ってうれしそうな顔をする。
(優子……)
シンジはいま優子の事で頭と胸が一杯だった。優子のあの顔、あの全体像、あのふっくらやわらかそうな巨乳ってふくらみ具合、あの声、あの感じなどなど想うだけで幸せだというキモチになれる。
「シンジ、シンジ!」
となりの母に言われてハッと我に返る。そして何が好きなのか? などと聞かれたりする。
「あぁ、えっと……」
シンジは慌てて頭を元に戻す。しかしここで口にするのはあらかじめ母が用意していた出来アンサーである。姫が読書好きとか哲学好きとかなので、それに見合う答えが必要というわけだった。
「えっと好きな事は読書かな……と」
「まぁ、シンジ様とは気が合いそう」
「まぁ、哲学も好きなんですけどね」
「それはそれは」
こんな事を口にして向かいの姫からうれしそうな顔を向けられると、この世は腐っていると思った。人として非常に悪いことをしていると思った。そして自分の人生をダメにしているとも思った。
(いいのか……このままで……このまま話を進められたりすると……目の前の姫と、全然好みじゃない女と結婚することになって、男に生まれた価値が思いっきり下がって一生の苦痛を背負わねばならないのだぞ?)
シンジ、流れる時間の中でグツグツと煮えてきた心に言い聞かせる。このままジッとして黙っていてはダメだ。動け、シンジ、動くのだ! と。
「ちょっと、失礼します。すぐに戻ります」
ここで突然にシンジが立ち上がったので3人が一斉に目を向ける。だがいても立ってもいられないシンジはすぐさま歩き出して食堂を出る。
「優子、優子!」
シンジは優子がいる部屋のドアをノックしながら名前を呼ぶ。その姿には愛しいと思う女に狂う男の究極ピュアってオーラが浮かぶ。
「は、はい」
ガチャっとドアが開くと、昨日と同じドレスの優子が不安気な顔で姿を表す。シンジ、すかさず豊かでプクッとやわらかそうな谷間に目をやってから、優子の手をつかむ。
「え、あの……」
「いいから」
全力で動揺する優子のやわらかい手をつかんでグイグイ歩くシンジ、再びやってきた食堂のドアを勢いよく開ける。すると待たされていた3人が一斉に顔を向け、は? という表情に即替わり。
シンジの母、息子が何かやらかす! と思ったが、それより先にシンジが大きな声を出したので黙るしかなかった。
「このおれ、シンジ・ナカノはこの場にて宣言します。おれはこのお見合いを受けません、結婚する気もありません。なぜならおれにとっての理想、おれが結婚したいと思うステキな女子というのは、この優子という女子に他ならないから」
シンジはそう言うと両目を丸くして慌てる優子の肩に手を置く。
「優子? 誰だねその子は」
王が非常に不愉快だという顔をして質問をした。シンジの母が横から何か言おうとしたが、王はシンジという王子の声が聞きたいのだというジェスチャーで遮る。
「昨日、運命の出会いを果たした女の子です」
「運命の出会い? どこで?」
「森の中で」
「で、どこの出身だ」
「話によれば異世界です」
「シンジ殿、貴殿……正気か? その優子とやら王室にふさわしいオーラを纏っておらぬ。たとえドレスを着せようとも、それまちがいなく下級国民のオーラ。しかも優子とやらは見た目、たとえ美巨乳って特徴を持っていても年齢は……12歳くらいではあるまいか? それいわゆる子ども巨乳に他ならない。シンジ殿、お主、ここにいる立派なわが娘より優子の方がいいと言うのか!」
王は声を荒げた。食堂とは思えぬような広さの空間に印象的な怒声が響く。ふつうなら誰しもがビビってしまう類だ。
「そうです」
「な、なに?」
「おれがいいなぁと思う女子の顔とか感じとか、そしてふっくら巨乳という特徴とか、それらをすべて持っているのが優子なのです」
「だがシンジ殿、その優子とちがって我が娘には光レベルの知性がある。娘といっしょになれば人生を深く語り合えるのだぞ」
「あ、ごめんなさい、実はおれそういうの興味ないです。おれは好みの女といっしょに楽しく過ごす方がいいわけで、哲学とか実はまったくどうでもよくて、哲学はヒマ人のオナニーとさえ思っているのです」
「優子が……その巨乳女子がわが娘より魅力で勝るというのか!」
「おれにとっては優子が女神です」
シンジが言うと王の顔色がどんどん赤くなる。それは巨大火山が噴火する手前みたいなモノだ。
「シンジ! 謝りなさい、いますぐ! そして言った事を撤回しなさい、いますぐに!」
母の声が軽い狂乱モードになっている。これはもうこの空間が爆発して大混乱が発生する予感だ。しかしその予感を抑え込むような大声をシンジがぶっ放した。
「うだうだうっせーんだよ! 好きでもない女と結婚する方が、その方がよっぽど不誠実だろうが。周りがどう言おうと思おうと、これが自分好みの女とはっきり言えない男はクズだ。そんな男が女を幸せにできるもんか!」
それはシンジの放った人生の真実とも言える叫びだった。こうなるともう誰もシンジを止められないという空気になるだけ。
「まったく……なんと不愉快な話だ」
怒りに震える王がいる。さっきまでシンジを恋しそうに見ていた姫の顔は、汚いモノを見て幻滅するような色合いに変わっていた。
「帰るぞ!」
「はい、お父様」
2人は食堂から出て行った。その後を平謝りするシンジの母が追いかけていく。シンジは何も言えず戸惑うばかりな優子のやわらかい手をギュウっと握りながら小声でつぶやいた。
「後悔なんかしていない」
翌日、午前9時40分にもなるとシンジはまったく落ち着かなかった。巨大空間みたいな洗面所でカガミを前に立ち、自分を見ながらつぶやいた。
「お見合い……お見合いなんて……」
心が落ち着かないのはやりたくねぇなぁって思いがあるからだった。隣国の姫とかいう者の写真を見ても別に好みではなかったし、姫の趣味が読書とか哲学を語るとか何とか聞かされると関わりたくないとさえ思う。
しかるにして母が勝手に決めたことであっても、王子は従わねばならない。そして基本的な話としては、このお見合いイコール結婚という流れにも乗らねばならない。
「いやだ……結婚するなら優子がいい……なんで優子みたいな理想女子を忘れて、好みでもない女とお見合いだの結婚しなきゃいけないんだよ」
シンジがうだうだぼやいていたら、昨日、優子の面倒を見たメイドがやってきて、もうそろそろ食堂にと声をかけてきた。
「優子は?」
「指示されたとおりドレスを着せて部屋で過ごさせていますが」
「そうか」
「王子様、いまはお見合いの事に集中なさってくださいませ。だいじょうぶ、きっとうまくいきますよ」
メイドに言われたらシンジは内心こう思った。人から気遣われてキモチが萎えるのはまったく最悪だな……と。
そして午前10時、お約束通りの時間に隣国の姫というのが父親たる王といっしょにやってきた。シンジ側は母子状態で姫側は父子状態。よって双方の親は子どもが結婚して家族になれば、親もまた愛し合うパートナーが得られるとギンギン的な意識を隠し持っていたりした。
「いやぁ、実にめでたい」
着席した王は軽く動かした右手を隣の娘に向け、向かいに座る2人を見た。もうお見合いというより結婚おめでとう! というフンイキを醸し出している。
「実に立派な姫様で」
シンジの母はそう言ってうれしそうな顔をする。
(優子……)
シンジはいま優子の事で頭と胸が一杯だった。優子のあの顔、あの全体像、あのふっくらやわらかそうな巨乳ってふくらみ具合、あの声、あの感じなどなど想うだけで幸せだというキモチになれる。
「シンジ、シンジ!」
となりの母に言われてハッと我に返る。そして何が好きなのか? などと聞かれたりする。
「あぁ、えっと……」
シンジは慌てて頭を元に戻す。しかしここで口にするのはあらかじめ母が用意していた出来アンサーである。姫が読書好きとか哲学好きとかなので、それに見合う答えが必要というわけだった。
「えっと好きな事は読書かな……と」
「まぁ、シンジ様とは気が合いそう」
「まぁ、哲学も好きなんですけどね」
「それはそれは」
こんな事を口にして向かいの姫からうれしそうな顔を向けられると、この世は腐っていると思った。人として非常に悪いことをしていると思った。そして自分の人生をダメにしているとも思った。
(いいのか……このままで……このまま話を進められたりすると……目の前の姫と、全然好みじゃない女と結婚することになって、男に生まれた価値が思いっきり下がって一生の苦痛を背負わねばならないのだぞ?)
シンジ、流れる時間の中でグツグツと煮えてきた心に言い聞かせる。このままジッとして黙っていてはダメだ。動け、シンジ、動くのだ! と。
「ちょっと、失礼します。すぐに戻ります」
ここで突然にシンジが立ち上がったので3人が一斉に目を向ける。だがいても立ってもいられないシンジはすぐさま歩き出して食堂を出る。
「優子、優子!」
シンジは優子がいる部屋のドアをノックしながら名前を呼ぶ。その姿には愛しいと思う女に狂う男の究極ピュアってオーラが浮かぶ。
「は、はい」
ガチャっとドアが開くと、昨日と同じドレスの優子が不安気な顔で姿を表す。シンジ、すかさず豊かでプクッとやわらかそうな谷間に目をやってから、優子の手をつかむ。
「え、あの……」
「いいから」
全力で動揺する優子のやわらかい手をつかんでグイグイ歩くシンジ、再びやってきた食堂のドアを勢いよく開ける。すると待たされていた3人が一斉に顔を向け、は? という表情に即替わり。
シンジの母、息子が何かやらかす! と思ったが、それより先にシンジが大きな声を出したので黙るしかなかった。
「このおれ、シンジ・ナカノはこの場にて宣言します。おれはこのお見合いを受けません、結婚する気もありません。なぜならおれにとっての理想、おれが結婚したいと思うステキな女子というのは、この優子という女子に他ならないから」
シンジはそう言うと両目を丸くして慌てる優子の肩に手を置く。
「優子? 誰だねその子は」
王が非常に不愉快だという顔をして質問をした。シンジの母が横から何か言おうとしたが、王はシンジという王子の声が聞きたいのだというジェスチャーで遮る。
「昨日、運命の出会いを果たした女の子です」
「運命の出会い? どこで?」
「森の中で」
「で、どこの出身だ」
「話によれば異世界です」
「シンジ殿、貴殿……正気か? その優子とやら王室にふさわしいオーラを纏っておらぬ。たとえドレスを着せようとも、それまちがいなく下級国民のオーラ。しかも優子とやらは見た目、たとえ美巨乳って特徴を持っていても年齢は……12歳くらいではあるまいか? それいわゆる子ども巨乳に他ならない。シンジ殿、お主、ここにいる立派なわが娘より優子の方がいいと言うのか!」
王は声を荒げた。食堂とは思えぬような広さの空間に印象的な怒声が響く。ふつうなら誰しもがビビってしまう類だ。
「そうです」
「な、なに?」
「おれがいいなぁと思う女子の顔とか感じとか、そしてふっくら巨乳という特徴とか、それらをすべて持っているのが優子なのです」
「だがシンジ殿、その優子とちがって我が娘には光レベルの知性がある。娘といっしょになれば人生を深く語り合えるのだぞ」
「あ、ごめんなさい、実はおれそういうの興味ないです。おれは好みの女といっしょに楽しく過ごす方がいいわけで、哲学とか実はまったくどうでもよくて、哲学はヒマ人のオナニーとさえ思っているのです」
「優子が……その巨乳女子がわが娘より魅力で勝るというのか!」
「おれにとっては優子が女神です」
シンジが言うと王の顔色がどんどん赤くなる。それは巨大火山が噴火する手前みたいなモノだ。
「シンジ! 謝りなさい、いますぐ! そして言った事を撤回しなさい、いますぐに!」
母の声が軽い狂乱モードになっている。これはもうこの空間が爆発して大混乱が発生する予感だ。しかしその予感を抑え込むような大声をシンジがぶっ放した。
「うだうだうっせーんだよ! 好きでもない女と結婚する方が、その方がよっぽど不誠実だろうが。周りがどう言おうと思おうと、これが自分好みの女とはっきり言えない男はクズだ。そんな男が女を幸せにできるもんか!」
それはシンジの放った人生の真実とも言える叫びだった。こうなるともう誰もシンジを止められないという空気になるだけ。
「まったく……なんと不愉快な話だ」
怒りに震える王がいる。さっきまでシンジを恋しそうに見ていた姫の顔は、汚いモノを見て幻滅するような色合いに変わっていた。
「帰るぞ!」
「はい、お父様」
2人は食堂から出て行った。その後を平謝りするシンジの母が追いかけていく。シンジは何も言えず戸惑うばかりな優子のやわらかい手をギュウっと握りながら小声でつぶやいた。
「後悔なんかしていない」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
恋愛
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる