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優子、萌えゲーにハマる(目指せななみのビキニ姿)2

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優子、萌えゲーにハマる(目指せななみのビキニ姿)2

 早朝、それのアタマに「相当に早い」って表現をつけた時間帯に優子は起きた。それはこっそり萌えゲーの途中をやるため。一応抜かりはなく、そうするために夜はちょっと早めに寝ていた。

「よし、絶対ななみをプールデートに誘う」

 リアル巨乳女子な優子、二次元巨乳って彼女の水着姿を拝むため、男子顔負けの情熱を持ってゲーム機の電源を入れる。

「えっと、今週の日曜日は……運動能力をしっかり上げるために運動に費やそう」

 そう言って運動コマンドを選び、ななみのビキニ姿、ななみのビキニ姿と呪文みたいにつぶやいた。ところが突如してななみより電話がかかってきた。あれ? とか思って応対すると、ななみが怒った声で言う。

―デートの約束を忘れるなんて最低―

 ガーン! 思わずコントローラーを両手から落としてしまう。そして額に右手を当てくやしさいっぱいの声をくり返す。

「忘れてた……忘れてた……忘れてた……忘れてた……」

 日曜日はななみと映画に行く約束だったのだ。それを忘れたことでななみからの好感度が大きく低下。この湿り気たっぷりのくやしさ、この粘着性バツグンのせつなさ、もはや不健康バクダン。

「んうぅ!!!」

 声を抑えて勢いよく立ち上がったら、優子の小6ながらEカップってTシャツのふくらみ具合が揺れ動く。

「ハァハァ……ななみめ、ななみめ」

 ギュッと色白な両手をにぎり、うかつなふるまいに出たりしないよう自分を落ち着かせる。

「人生は1回きりだけどゲームは何回もやり直せる。ななみめ、わたしって女の執念を甘く見るなよ」

 優子、今度は絶対に抜からないと心に誓い、メモとペンを持って再び床にしゃがみ込む。

「えっと……今月の20日って日曜日にななみと駅前で待ち合わせと。で、一週間ごとにゲームデータのセーブを忘れるべからず……と」

 こうなってくるとたかがゲームとは言えない感じになってくる。もしこれが学校の勉強だったら、とても一生懸命って姿勢に五重丸をもらえる可能性ありだ。そしてゲームはいい感じで進む。一度ななみの好感度を落としたから、今度はそうするまいと慎重も慎重に進む。

「えぇ……おまえに興味なんかないんだけど……」

 本命をななみとしている優子にしてみれば、他の女が言い寄ってくる展開はうざかった。男ならいろんな女にモテてうれしい! と思うところだが、いかんせん優子は女子なのでそういうよろこびが胸に湧いたりしない。むしろバカじゃないの? なんてつめたい目を向けてしまう。

「たくさんの女にモテたってさ、一度にたくさんの相手なんてできるわけないじゃん。本命と恋愛したいんだから邪魔しないでよ」

 優子、そう言ってななみとのデートにこぎつけた。これは好感度を盛り返すためのモノだから当然の事として内容はくっそ地味。動物園を2人で歩くだけというモノ。

「わたしを動物に例えたらどれだけと思うって……どうせかわいい動物で言われたいんでしょう?」

 優子、ななみより突き付けられた選択肢を見ながら、チッ! こんなの楽勝って思ったのだがコントローラーの操作を誤ってしまう。

「あ……」

 しまった! と思ったときには遅い、なんとななみはゴリラに似ているという絶対に選んではいけない選択肢で〇ボタンを押してしまった。

―悪かったわね、かわいくない女でー

 当然ななみが激怒、さらなる好感度低下。恋人未満、親友以上? という感じから、友だち未満、きみの思いはただのカン違い! というランクまで転がり落ちてしまった。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 一応声量はすごく小さくしているが叫ばずにいられなかった。そして再び立ち上がると机を乱暴に叩きたくなるって衝動をこらえるため、えっちらほっちら体操をやり始める。ユッサユッサと揺れる白い無地Tシャツの豊かでやわらかそうなふくらみ。

「また、けっこう前からやり直し……やだぁ、ちょっとセーブ忘れただけでこんな苦行をさせられるなんて」

 ななみの水着姿を拝んでやる! という男子的な情熱は燃えているが、ゲームそのものへのテンションは下がってしまった。天国目前で地獄へ落ちて、再び天国を目指すみたいなしんどさが優子に降りかかる。

「えっと……」

 やる気なくなる2,3手前って感覚でゲーム再開。しかし心の火力が弱いと、ついつい寄り道って誘惑に負けてしまう。

「また……」

 本命ではないどうでもいいキャラからデートに誘われた。それはとってもフレンドリーで人懐っこいとかいう女子であり、もっとも落としやすいとされる。

「仕方ないな、暇つぶしにデートしてやるよ」

 無機質なプレイボーイみたいってつぶやきを落としてデートの誘いに乗る。しかし優子はプレイに身が入らない状態だったから、ついついメモるという作業を怠ってしまう。

「電話?」

 日曜日の夜になって恐怖の電話がかかってきたが、それもなんで? と思う辺り優子の頭がかなり疲れてしまっている。

「待っていたのに……約束忘れるのはひどいよって……あぁ、デート、デート、デート……忘れてた……忘れてたよぉ……」

 優子、両手からコントローラーを床に落とす。いま、その巨乳って胸のふくらみ内に渦巻くのは絶望という2文字。なぜってもっともフレンドリーで落としやすいキャラを怒らせた結果、かなりデカい爆弾が炸裂。優子が操作する主人公の評価はがた落ちで、もちろんそれはななみというキャラにも多大な影響を及ぼす。

「ぅ……」

 思わず目から涙が出そうになってしまう。もう人生なんかどうでもいいってつぶやくと同時に、すり潰されたみたいな疲労に表情はとっても暗い、そして目が死にかけている。

「えっと、えっと、えっと……」

 やり直しとコントローラーを手に取ったものの、ふっと居間にある時計を見たらもう午前5時35分ではないか。午前4時からプレイしていた優子にとってはおよそ90分だが、実に濃厚で重たいモノだった。

「ここは素直に終わらないと……」

 元気があればプレイ続行に執着しただろう。だが優子は当然の事として知っている。午前6時にもなれば母が起きてくるだろうと。だからここで止めるのが吉。加えていえば執着しない方が女子としてエレガントと考えに女子力を注入。

「ぁ……しんど……学校行きたくない……」

 立ち上がった優子はよろめく。そして、何ゆえこんな早起きでゲームなんかしたのだろうと今は後悔。数時間後にはまたゲームをやりたくなるとして。
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