56 / 204
優子暗殺計画 4
しおりを挟む
優子暗殺計画 4
「早く一発撃ってみたいよぉ!」
本日の川瀬理恵は午後の4時頃、自室にて悶々としていた。
「撃ちたい、撃ちたい、撃ってみたい!」
ベッドに腰かけ両手で頭を抱え、凶悪なる誘惑と格闘する。いったい何事かといえば、所有するバズーカーを撃ってみたい衝動に襲われているってことだった。
「暗殺予定日は今日じゃないけど……あぁもう思いっきりぶっ飛んでみたい!」
危なっかしい衝動に悶える理恵だった。ただいまは夕方が見えてくる頃。この時間帯というのは当然だが目立つ。ビルの屋上からバズーカーをぶっ放すには適さない。やるのであれば、夜もしくは平和ボケしまくりな午前中がよろしい。
「わかっているけど……撃ってみたい……」
理恵はだだっ子みたいに悶えた。何かの弾みでスイッチが押されてしまい、破壊欲がビリビリ刺激される。これは大変に粘着性のある誘惑だ。そこで理恵は妥協という2文字に負かされてしまう。
購入したのはバズーカーと弾丸2発。重要なのは弾丸の数だ。2発撃ち込めばスゴい事になるだろうと思っての事だった。されども今は、こんな風に考えてしまう。
「ま、まぁ……一発でもいいんじゃないかぁ……一発は試し撃ちに使ってもいいんじゃないかなぁ」
ジワジワっと胸に迫ってくる妥協。まだ金があるから使ってもだいじょうぶ! って、ギャンブル中毒者みたいな思考に脳が塗り替えられていく。
「よし、決めた。いきなり本番はよくない。やっぱり練習は大切だもんね」
川瀬理恵が立つ。一度決めたらやるのが女! と意気込み、家を出て自転車にまたがった。黒いカゴには小さなバッグが入っているが、そこには小さくしてあるバズカーと弾丸一発が入れてある。表向きは女の子の持ち物で、中身は一撃必殺のおそろしいアイテムという次第。
「うっしゃぁ!」
Dカップの胸にうずまくいけない興奮。人の道に外れるって罪の意識が、子どもっぽい刺激に覆われていた。危険なモノほど人の好奇心を突く。今の理恵も例外ではないから、グングン勢い任せに自転車を加速させていた。
「まずは小腹埋めの食料が必要かな」
ギュイーンとタイヤへ負担をかけるようにブレーキング。とあるコンビニの前に愛車を止めると、中に入ってチョコレートとミニスナック、500mlのペットボトルジュースなどを買った。この購入にはちゃんとした理由がある。
ビルの屋上へ行くためにはビルへ入らないといけない。でも夜になってからビルに入るというのは、その姿を見られると昼間よりヤバい。小学生が何してんだ? と補導される可能性大。もうちょい言うなら、ビルがある周辺の夜はちょい物騒でもある。よって夕方からビルに侵入し屋上へたどり着いておく。夜になって暗さが世界を覆った時、屋上から一発放つという段取り。
(よし……いないね)
バッグに買い物袋を持った理恵、周囲に人目がない事を確認してから、お目当てのビルにサッと入る。それからすぐ階段を上がっていき屋上へ続くドアの前に立つ。
ここのビルは屋上へ行けないようにドアにカギをかけていた。それで一安心と思うので、理恵がピッキングしたなんて気づいてない。このドアが開くなんて誰も想像すらしない。だからドアノブを回すと、当たり前のように屋上へたどり着けてしまう。
「うぅ~ん、屋上から見る夕焼けっていいなぁ」
くぅーっと背伸びをし、でっかい薄暮って絵を目にする。ちょっとした神話気取りな空間に感じられた。いいねぇ……とつぶやき腰を下ろすと、夜って世界が広がるまで休憩とする。
「優子が消えれば……どう考えてもわたしの天下だよ。日本でナンバーワンの魅力的な巨乳女子、小6でDカップって希少価値、それがこのわたし川瀬理恵。周りから天然記念物みたいにチヤホヤされて将来は約束される。お金に困ることはないし、何をやるって夢も叶え放題。大人になったらいいところで結婚して、子どもは3人くらい作って、あとはシアワセと一緒に余生を過ごすだけ。うふふ、想像するだけでブルっちゃうね。いかにもわたしに似合うストーリーって感じだね」
あーははははは! と余裕にゆとりを持って妄想。見た目はかわいい巨乳女子だが、中身は真っ黒なダークエンジェル。そんな理恵が愉快な想像をしまくる。そうやって時間は流れていった。きれいなオレンジ色だった世界が、ゆっくり死んで夜が到来する。
ーそうして午後8時ごろー
暗い空をとぶ戦闘機があった。カエルーノ部隊の見回り機である。世界を守るために日々活動していると言えば立派だが、活動の動機として大きいのは優子を守るためだった。リーダーであるカエルーノがそういう思いを抱いている。
ちょっと前に白い大蛇が優子を狙ったことがある(9~12話を参照) いつなんどき優子に大変な事が降りかからないか、そう思うから広いエリアを見回りさせているのだ。
「あ、あ、こちら303号。これといった異常なし」
キュィーンと戦闘機を飛ばす303号は、あと1時間くらい見回ったら交代かぁと思い、色白美人な月がもたらす輝きを詩人気取りで楽しむ。
そしてまさにこの頃、とあるビルの屋上にいた川瀬理恵が立つ! バズーカーに弾丸をセットすると、夜風が最高にキモチいい縁で構える。
ピーピー! と小さな音を鳴らしながら、暗視スコープを見て確認。優子のいる学校方面へ合わせると、そのまま画面を拡大。
「おぉ……こんなに離れていても、学校が見えてきた。すご! 6年1組の窓ガラスに室内まで見える。これってカンペキ。撃ち込んだら全滅って感じかな」
くふふ♪ と笑いながら発射しようとしたが……ここで賢者の意識がストップをかけた。
「あ、そうだ……いま教室を破壊したら計画が失敗してしまう!」
ハッとたいせつな事に気づいてしまった。今ここで教室を破壊したら、当然大騒ぎになる。優子を含む生徒は6年1組以外のどこかに移動してしまう。教室に弾丸を撃ち込むのなら、優子の抹殺も同時でなければいけないって事。
「こ、ここまで来たら撃ちたい……何か他のところは……」
学校方面で何かターゲットになるものは? と探してみるのだが、イライラして時間だけが過ぎていく。そこで何も考えずテキトーに選んでみることにした。
「そうだね、××公園の便所でも破壊してみよう」」
グッとかまえる理恵、ピーピーと音を鳴らしながらロックオン設定に入る。狙うは××公園にある汚い公衆便所。あんなの壊したところで誰も困らないでしょう? と勝手に思いセット完了。
ーどっくん・どっくん・どっくんー
不謹慎な心臓の高鳴り、それを持ってついに理恵が一発放った。
ードーンー
日常生活では無縁のデカイ音が鳴る。それと同時にデカくてまぶしい光が外に出る。それはもう美しくておそろしいモノだった。暗い夜を切り裂く悪魔の光であり、○○小学校方面へとうなりながら飛んでいく。
「うん?」
巡回中のカエル303号が異変に気づいた。
「なんだ、何が来るんだ?」
ぎゅわーっと猛スピードで近づいてくる高熱源体、その正体が分からない303号はどのような行動を取ればいいのかと悩む。だが取るべきアクション一つしかない。
「く!」
慌てて戦闘機を一回転させる。そうすると猛スピードの何かが間近を通り抜けていく。それは夜の暗さを引き裂くまぶしい光。それを見て303号はカエルーノに連絡を入れた。
「いますごい勢いで高熱源体が通り過ぎていきました。どうやら○○小学校方面に向かっている模様」
その報告を耳にしたカエルーノがちょっと不安を覚えた。○○小学校と言えば優子が通うところだ。即座に心配になったので303号に問い返す。
「高熱源体とはどの程度のモノだった?」
「よくはわかりませんが……もしかするとミサイル弾かもしれません」
「なにぃ! それが○○小学校方面に放たれたというのか! 303号、どこで放たれたか探るんだ。なんでもいい、何かわかったすぐ報告を」
「了解しました!」
303号の戦闘機が方向を変えた。謎の高熱源体が公園に到着し、きたない公衆便所を撃破したとかいうのは後回し。光の離れた方へと機体を進めた。
「この高さを横切ったというのは……高いところから放ったということだ。ビルか? ビルの屋上から撃ったということかもしれない」
303号はコクピット画面をサーチモードライトに切り替える。そうやって赤い熱反応が浮かんでいる場所を探した。
「うん?」
ひとつ温度の高い反応がある。そこまで降下しようかと思ったが、カメラをズームして見ることにした。するとどうだろう、暗いビルの上に誰かが立っている。
「女……女の子というべきか……」
そういう存在がひとり、満足気に喜んでいる。そうして足元には熱が下がっている最中のモノが一つ。それは明らかにデカいわけで、ピストルなんて代物ではない。
「こちら303号、ビルの上に立つあやしい存在を発見しました」
彼はカエルーノに報告をした。
「あやしい? それはどんなやつだ?」
「見取れる限りでは少女かと、あと放ったのはおそらくバズーカーではないかと思われます」
「少女? バズーカー? なんか特徴は?」
「特徴……多分小学生の高学年です。中野優子と同じくらいかもしれません。それとなく巨乳に見えますが、中野優子にはちょっと負けているって感じでしょうか」
「なに!?」
カエルーノの頭がピーン! と音を立てた。303号から伝えられる情報で何がわかったのか? といえば、ひとつの可能性を読み取ったのである。
ーカエルーノの推測。もしかするとバズーカーを放った女子というのは、優子の巨乳に嫉妬する者かもしれない。その妬みから優子を攻撃しようとしたのではないか? こんな時間に一発放ったのはリハーサルであり、明日か近日中の午前に、学校へ向かって攻撃するのかもしれないー
「303号、○○小学校をリターンバリアで包んでおけ」
「リターンバリアを? 何時間設定で?」
「何か問題が起こるとすれば午前か昼間だ、だからとりあえず、明日の今時刻まで有効設定にしておいてくれ。強度および反射能力はフルマックスで頼む。優子さんに何かが起こるなどあってはならないのだから」
「了解!」
カエルたちがそんな会話をしているとは想像もできない理恵、これは非常に楽しみだなぁと帰り支度を整えた。
「えっと明日は14日か……じゅうし……重死……ジューシーに優子が重死……わぉ! めっちゃステキじゃん。決めた! 明日の14日に決行する。中野優子のEカップは滅び、わたしのDカップが女神として伝説となる。うん、それでこそ物語が弾むってものよ」
そんなおそろしい事をつぶやく理恵だった。かわいい顔に悪魔っぽいオーラを纏い、学校に何かがセットされているとは知る由もなく、ひとまずはビルの屋上を後にした。
「早く一発撃ってみたいよぉ!」
本日の川瀬理恵は午後の4時頃、自室にて悶々としていた。
「撃ちたい、撃ちたい、撃ってみたい!」
ベッドに腰かけ両手で頭を抱え、凶悪なる誘惑と格闘する。いったい何事かといえば、所有するバズーカーを撃ってみたい衝動に襲われているってことだった。
「暗殺予定日は今日じゃないけど……あぁもう思いっきりぶっ飛んでみたい!」
危なっかしい衝動に悶える理恵だった。ただいまは夕方が見えてくる頃。この時間帯というのは当然だが目立つ。ビルの屋上からバズーカーをぶっ放すには適さない。やるのであれば、夜もしくは平和ボケしまくりな午前中がよろしい。
「わかっているけど……撃ってみたい……」
理恵はだだっ子みたいに悶えた。何かの弾みでスイッチが押されてしまい、破壊欲がビリビリ刺激される。これは大変に粘着性のある誘惑だ。そこで理恵は妥協という2文字に負かされてしまう。
購入したのはバズーカーと弾丸2発。重要なのは弾丸の数だ。2発撃ち込めばスゴい事になるだろうと思っての事だった。されども今は、こんな風に考えてしまう。
「ま、まぁ……一発でもいいんじゃないかぁ……一発は試し撃ちに使ってもいいんじゃないかなぁ」
ジワジワっと胸に迫ってくる妥協。まだ金があるから使ってもだいじょうぶ! って、ギャンブル中毒者みたいな思考に脳が塗り替えられていく。
「よし、決めた。いきなり本番はよくない。やっぱり練習は大切だもんね」
川瀬理恵が立つ。一度決めたらやるのが女! と意気込み、家を出て自転車にまたがった。黒いカゴには小さなバッグが入っているが、そこには小さくしてあるバズカーと弾丸一発が入れてある。表向きは女の子の持ち物で、中身は一撃必殺のおそろしいアイテムという次第。
「うっしゃぁ!」
Dカップの胸にうずまくいけない興奮。人の道に外れるって罪の意識が、子どもっぽい刺激に覆われていた。危険なモノほど人の好奇心を突く。今の理恵も例外ではないから、グングン勢い任せに自転車を加速させていた。
「まずは小腹埋めの食料が必要かな」
ギュイーンとタイヤへ負担をかけるようにブレーキング。とあるコンビニの前に愛車を止めると、中に入ってチョコレートとミニスナック、500mlのペットボトルジュースなどを買った。この購入にはちゃんとした理由がある。
ビルの屋上へ行くためにはビルへ入らないといけない。でも夜になってからビルに入るというのは、その姿を見られると昼間よりヤバい。小学生が何してんだ? と補導される可能性大。もうちょい言うなら、ビルがある周辺の夜はちょい物騒でもある。よって夕方からビルに侵入し屋上へたどり着いておく。夜になって暗さが世界を覆った時、屋上から一発放つという段取り。
(よし……いないね)
バッグに買い物袋を持った理恵、周囲に人目がない事を確認してから、お目当てのビルにサッと入る。それからすぐ階段を上がっていき屋上へ続くドアの前に立つ。
ここのビルは屋上へ行けないようにドアにカギをかけていた。それで一安心と思うので、理恵がピッキングしたなんて気づいてない。このドアが開くなんて誰も想像すらしない。だからドアノブを回すと、当たり前のように屋上へたどり着けてしまう。
「うぅ~ん、屋上から見る夕焼けっていいなぁ」
くぅーっと背伸びをし、でっかい薄暮って絵を目にする。ちょっとした神話気取りな空間に感じられた。いいねぇ……とつぶやき腰を下ろすと、夜って世界が広がるまで休憩とする。
「優子が消えれば……どう考えてもわたしの天下だよ。日本でナンバーワンの魅力的な巨乳女子、小6でDカップって希少価値、それがこのわたし川瀬理恵。周りから天然記念物みたいにチヤホヤされて将来は約束される。お金に困ることはないし、何をやるって夢も叶え放題。大人になったらいいところで結婚して、子どもは3人くらい作って、あとはシアワセと一緒に余生を過ごすだけ。うふふ、想像するだけでブルっちゃうね。いかにもわたしに似合うストーリーって感じだね」
あーははははは! と余裕にゆとりを持って妄想。見た目はかわいい巨乳女子だが、中身は真っ黒なダークエンジェル。そんな理恵が愉快な想像をしまくる。そうやって時間は流れていった。きれいなオレンジ色だった世界が、ゆっくり死んで夜が到来する。
ーそうして午後8時ごろー
暗い空をとぶ戦闘機があった。カエルーノ部隊の見回り機である。世界を守るために日々活動していると言えば立派だが、活動の動機として大きいのは優子を守るためだった。リーダーであるカエルーノがそういう思いを抱いている。
ちょっと前に白い大蛇が優子を狙ったことがある(9~12話を参照) いつなんどき優子に大変な事が降りかからないか、そう思うから広いエリアを見回りさせているのだ。
「あ、あ、こちら303号。これといった異常なし」
キュィーンと戦闘機を飛ばす303号は、あと1時間くらい見回ったら交代かぁと思い、色白美人な月がもたらす輝きを詩人気取りで楽しむ。
そしてまさにこの頃、とあるビルの屋上にいた川瀬理恵が立つ! バズーカーに弾丸をセットすると、夜風が最高にキモチいい縁で構える。
ピーピー! と小さな音を鳴らしながら、暗視スコープを見て確認。優子のいる学校方面へ合わせると、そのまま画面を拡大。
「おぉ……こんなに離れていても、学校が見えてきた。すご! 6年1組の窓ガラスに室内まで見える。これってカンペキ。撃ち込んだら全滅って感じかな」
くふふ♪ と笑いながら発射しようとしたが……ここで賢者の意識がストップをかけた。
「あ、そうだ……いま教室を破壊したら計画が失敗してしまう!」
ハッとたいせつな事に気づいてしまった。今ここで教室を破壊したら、当然大騒ぎになる。優子を含む生徒は6年1組以外のどこかに移動してしまう。教室に弾丸を撃ち込むのなら、優子の抹殺も同時でなければいけないって事。
「こ、ここまで来たら撃ちたい……何か他のところは……」
学校方面で何かターゲットになるものは? と探してみるのだが、イライラして時間だけが過ぎていく。そこで何も考えずテキトーに選んでみることにした。
「そうだね、××公園の便所でも破壊してみよう」」
グッとかまえる理恵、ピーピーと音を鳴らしながらロックオン設定に入る。狙うは××公園にある汚い公衆便所。あんなの壊したところで誰も困らないでしょう? と勝手に思いセット完了。
ーどっくん・どっくん・どっくんー
不謹慎な心臓の高鳴り、それを持ってついに理恵が一発放った。
ードーンー
日常生活では無縁のデカイ音が鳴る。それと同時にデカくてまぶしい光が外に出る。それはもう美しくておそろしいモノだった。暗い夜を切り裂く悪魔の光であり、○○小学校方面へとうなりながら飛んでいく。
「うん?」
巡回中のカエル303号が異変に気づいた。
「なんだ、何が来るんだ?」
ぎゅわーっと猛スピードで近づいてくる高熱源体、その正体が分からない303号はどのような行動を取ればいいのかと悩む。だが取るべきアクション一つしかない。
「く!」
慌てて戦闘機を一回転させる。そうすると猛スピードの何かが間近を通り抜けていく。それは夜の暗さを引き裂くまぶしい光。それを見て303号はカエルーノに連絡を入れた。
「いますごい勢いで高熱源体が通り過ぎていきました。どうやら○○小学校方面に向かっている模様」
その報告を耳にしたカエルーノがちょっと不安を覚えた。○○小学校と言えば優子が通うところだ。即座に心配になったので303号に問い返す。
「高熱源体とはどの程度のモノだった?」
「よくはわかりませんが……もしかするとミサイル弾かもしれません」
「なにぃ! それが○○小学校方面に放たれたというのか! 303号、どこで放たれたか探るんだ。なんでもいい、何かわかったすぐ報告を」
「了解しました!」
303号の戦闘機が方向を変えた。謎の高熱源体が公園に到着し、きたない公衆便所を撃破したとかいうのは後回し。光の離れた方へと機体を進めた。
「この高さを横切ったというのは……高いところから放ったということだ。ビルか? ビルの屋上から撃ったということかもしれない」
303号はコクピット画面をサーチモードライトに切り替える。そうやって赤い熱反応が浮かんでいる場所を探した。
「うん?」
ひとつ温度の高い反応がある。そこまで降下しようかと思ったが、カメラをズームして見ることにした。するとどうだろう、暗いビルの上に誰かが立っている。
「女……女の子というべきか……」
そういう存在がひとり、満足気に喜んでいる。そうして足元には熱が下がっている最中のモノが一つ。それは明らかにデカいわけで、ピストルなんて代物ではない。
「こちら303号、ビルの上に立つあやしい存在を発見しました」
彼はカエルーノに報告をした。
「あやしい? それはどんなやつだ?」
「見取れる限りでは少女かと、あと放ったのはおそらくバズーカーではないかと思われます」
「少女? バズーカー? なんか特徴は?」
「特徴……多分小学生の高学年です。中野優子と同じくらいかもしれません。それとなく巨乳に見えますが、中野優子にはちょっと負けているって感じでしょうか」
「なに!?」
カエルーノの頭がピーン! と音を立てた。303号から伝えられる情報で何がわかったのか? といえば、ひとつの可能性を読み取ったのである。
ーカエルーノの推測。もしかするとバズーカーを放った女子というのは、優子の巨乳に嫉妬する者かもしれない。その妬みから優子を攻撃しようとしたのではないか? こんな時間に一発放ったのはリハーサルであり、明日か近日中の午前に、学校へ向かって攻撃するのかもしれないー
「303号、○○小学校をリターンバリアで包んでおけ」
「リターンバリアを? 何時間設定で?」
「何か問題が起こるとすれば午前か昼間だ、だからとりあえず、明日の今時刻まで有効設定にしておいてくれ。強度および反射能力はフルマックスで頼む。優子さんに何かが起こるなどあってはならないのだから」
「了解!」
カエルたちがそんな会話をしているとは想像もできない理恵、これは非常に楽しみだなぁと帰り支度を整えた。
「えっと明日は14日か……じゅうし……重死……ジューシーに優子が重死……わぉ! めっちゃステキじゃん。決めた! 明日の14日に決行する。中野優子のEカップは滅び、わたしのDカップが女神として伝説となる。うん、それでこそ物語が弾むってものよ」
そんなおそろしい事をつぶやく理恵だった。かわいい顔に悪魔っぽいオーラを纏い、学校に何かがセットされているとは知る由もなく、ひとまずはビルの屋上を後にした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
恋愛
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。



ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる