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優子暗殺計画 3
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優子暗殺計画 3
「さーてと、優子はいるかな」
午後2時40分に自転車をストップさせた理恵が、○○小学校というのを目前にした。学校という存在そのものは知っていたが、自分より巨乳がいるとは知らなかった。
「よいしょっと」
電柱の近くに自転車を止めると、道路を挟んで向こう側にある学校の入り口を見つめる。ただいま理恵が考えているのは優子の暗殺であるが、ちょっと足りない情報があった。それをゲットするため足を運んだという次第。
「優子はまだかな……」
スーッとつめたい風が吹く中、にぎやかになっていく校門を見守る。すると校内より6年生の男子たちが数人できた。その中の一人がドキ! っとした反応を浮かべる。黙っていられないとばかり仲間を腕をつかみ、あれを見ろ! と言う。
「おぉ!」
男子たちは向こう側に立っている女子にカンゲキした。なぜってあっち側にいる見知らぬ少女は、シャツのボタンを外し谷間を見せてくれているではないか。しかも計算高くブラのカップが少しだけ刺激的に見える。まさに一見悩殺ってレベルがそこにある。
「あ、あれってけっこう巨乳じゃね?」
「中野には負けるような気がするけど、巨乳だと思う」
「どうする? ナンパでもしたらどう?」
そんな事を男子たちが言うわけであるが、理恵にしてみれば彼らはザコキャラだった。たくさんいる無名の男に過ぎない。恋い焦がれるような目はたくさん向けて欲しいが、下心の行動なんてモノはあの世でやってくれって話だった。
「おーい、おまえどこの学校のやつ?」
男子のひとりが理恵に声をかけた。まずは会話して巨乳と親しくなりたい願望あり。
「さぁね~♪」
理恵は笑顔でつぶやきながら、取り出したサングラスをかける。それがまたよく似合っており、放たれるオーラとバツグンに噛み合う。
「お、おい……あいつ巨乳アイドルでもやってる奴じゃないか?」
男子のひとりは理恵のオーラに怖気づく。他のやつも同じで、おれらみたいなザコキャラは相手してもらえないよと弱気な発言をかます。だから下心のあるやつは悔しくなり、理恵に向かって言ってやった。
「おーい! おまえってけっこう巨乳だよな」
「まぁね、大した事あるけどね」
「でもさ、おまえなんか中野に負けてるし、お前なんか中野に比べたら二等賞レベルだし」
そう言って男子声を揃えて理恵に言い放った。がんばれ二等賞、お気の毒な二等賞! と、歌うようにして言い放った後、ぎゃはははと大声で笑う。
「く……おのれ……」
ぎゅうっと手をにぎりワナワナふるえる理恵がいた。あんなザコキャラはどうでもいいとして、中野というのが気に食わない。それは非常に高い確率で中野優子を意味しており、理恵が優子に勝てていない事を思い知らされる現実だった。
「優子め! 優子め! 優子め!」
電柱をガンガン蹴り飛ばす理恵、ふと本能的に校門の方を向く。怒りのエネルギーに応えるかのように、いいタイミングで優子が出現。
「優子!」
周囲のことなんか知った事っちゃないと、理恵がとってもデカい声を放つ。生の叫び声だというのに、拡声器でも使ったかのように響きまくる。
「あ……」
立ち止まった優子、まだ新しい記憶であるいけ好かない女子を見る。それからムッ! っとした表情になり、相手したくないって顔を正直に浮かべてみせる。
この間モールで会ったときもそうだったが、あの女子は自分の谷間やブラをひけらかす。優子にとってみれば安っぽい行為であり、女としてクズって話でもある。そういうのを好まないがゆえ、優子は知らん顔して歩き出そうとする。
「こらぁ中野優子、無視するなぁ!」
マイクでも使っているのかと思うほどのでかい声で名前を呼ばれる。真っ赤な顔になりながらも、がんばって無視しようとする優子。だから理恵が歌い始める。
「中野優子、Eカップの巨乳! 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪」
理恵がでっかい声でメロディーに乗せたりするものだから、これにはさすがの優子も無視できなくなった。気恥ずかしさと怒りで真っ赤な顔面になって、理恵がいる向こう側へと移動し、ある程度近づいたら即座に言い放った。
「ちょっと、どういうつもり!」
ギギっと怒りを隠さない優子。
「優子は相変わらず巨乳だねぇ」
理恵はまず感心するって目をつくり、それを露骨に優子のトレーナーを見る。クッと豊かにふくらんで、やわらかそうな弾力ってオーラがギュゥっと詰め込まれている感じ。さすがEカップ、Dカップとは一味ちがうと素直に認める理恵。でもその次に憎たらしい表情で言ってやる。
「小6でEカップ、たしかに優子はすごいけど……調子に乗っていられるのも今のうち。せいぜい勝者を気取っていればいいよ。もうすぐ笑えなくなるだろうから」
「どういうこと!」
「そんな事より優子、ひとつ聞きたいのよ。あんた6年何組?」
腕組みをし谷間の表情を隠さない理恵からは、尊大って言葉のまぶしさがキラキラ放たれる。上から目線の美学ともいう感じが、優子にしてみれば激しくうざい。
「それが人に質問する態度? なんであんたにクラスとか教えなきゃいけないのよ」
ふん! これ以上つきあっていられるか! と優子が回れ右をする。ぶつぶくさ言いながらこの場から退散しようとする。
「みなさーん! この子、この中野優子って女の子は小6なのにEカップなんですよ! Eカップ! すごい巨乳ですよね、しかもやわらかい弾力がいっぱい! 一度は拝ませろ! って話ですよね」
理恵が周りに宣伝するようにドデカい声で叫ぶ。
「く……ぅ」
何度となく真っ赤な顔になる優子の足が止まる。こいつ大きらい! と思ったが、関わり合いを早く終わらせるため仕方なく言ってやる。
「6年1組だけど……なんのために聞くの?」
「そう、1組か……よーく覚えておく」
「ちょ、ちょっとこっちの質問に答えなさいよ」
「優子、いい事教えてあげようか?」
「な、なに……」
「巨乳ってさ、あんまり豊かで目立つと早死にするかもよ。優子もそうかもよ? もしかしたら中野優子は中学生になる前に他界しちゃうかもねぇ♪ チーン! ナムアミダブツ!」
ケケケっと笑う理恵は、歯ぎしりして怒っている優子なんか相手にしない。必要な情報さえ得れば、あとは自転車に乗ってこの場を離れるだけ。
「ちょっと、あんた何しにきたの?」
優子は理恵を止めようとしたのだが、あばよ! ってかっこうよく言われるだけだった。一方的に情報を求められ、一方的に無視される。なんとも言い難いストレスが優子に押し付けられる。
「へへへ♪ 優子は1組かぁ、これで暗殺計画が前に進む」
スィースィーっと優雅に自転車をこぐ理恵。優子が通う学校と、優子が身を入れる教室が分かれば話がグーッと前に進む。いよいよ気合が入ってきた! という顔になったら、自販機でジュースを一本購入。人気のない公園に入りベンチに座ったら、大事な確認に入る。
「えっと……○○小学校の6年1組……」
左手に冷たいジュースの缶を持ち、右手に持つスマホの画面を見る。優子がいる6年1組、その教室の窓がどこにあるか情報確認。その窓を遠距離からまっすぐ狙える建物はどこか……と検索を進めていく。
理恵がやろうと思う事、それは優子の教室にバズーカーを撃ち込むこと。それは小学校の一クラスくらいは見事に吹き飛ばす。もちろん巻き添えという犠牲者も発生するだろうが、優子が消えてくれるなら致し方ないと考える。
「そうだよ、目的を達成するためにはお安い同情におぼれている場合じゃないんだよ。暗殺のためのグッド物件を見つけないと」
甘い液体をグビっとやりながら脳内で映像起こしをやってみる。見慣れた町並み、新鮮味のない光景、道路、人通り、公園、歩道橋、車の販売店、コンビニ、ドーナッツ屋さん、そしてアパートやらマンションなどなど……
「入るのに苦労するかもしれないけど、やっぱりビルの上から攻撃しなきゃ」
けっこう真剣かつシリアス的に思考をめぐらせた。せっかくバズーカーと弾丸2発を購入したのである、それを使えないなんてオチはカンベンと思う。
「ちょっと見に行かなきゃいけないか」
空っぽになった缶をゴミ箱に放り込む。がらん!って音を聞いたら、行くぞ! と気合の再充填。ぶっ飛びの暗殺が成功しますように! と祈りながら、再び自転車を転がし始める。
「優子の学校から10k離れるってしんど……」
理恵はとあるコンビニの駐輪場を利用した。1時間なら無料なので、その間に場所を見つけねばと思いながら歩き出す。
この辺りは優子の学校からおよそ7kくらい離れている。これでもかなりの遠距離なのだから、ここに良い舞台はないかと探し始める。
そうして20分ほどが経過した時、理恵の足が止まった。信号のためでも疲れたってわけでもない。よい建物を発見したからこそ止まったのだ。
(あった!)
それは目立つとも目立たないとも言えるような場所に立つ、ちょっと古い感じのオフィスビル。多くの一般人には無縁のな上、ちょっと古くて高さもいい感じ。方向的にも悪くないから、願ったり叶ったりの物件。
(ちょっと見てみよう)
理恵はDカップの胸をドッキン・ドッキンさせながら、それとなくサッとビルの中に入った。そうして階段をササっと上がっていき、屋上へのドアを目の前にする。そいつは思った通りロックされており、ノブを回しただけでは開けない。
「さて……ここで開けられなかったらシャレにならないよ」
理恵がシャツのポケットから取り出したは針金。事前にネットで調べてきたのである。針金の先をチョチョイと少し変形させると、これ一本でピッキング可能であると。
ドックン・ドックン、イヤでも高ぶる緊張感。スワーっと心の奥に広がる罪悪感。正直に言えば怖い。今ならまだ間に合うからやめれば? なんて声も聞こえてきそう。
「や、やめるもんか……勝利は……栄光は勇気ある者にしか回ってこないんだから」
そのつぶやきを神が認めたというのか、カチッと心地よい音が響いた。マジで? と理恵がドアノブを回すと、見事にドアは開いた。それまさに勇気ある者へのご褒美と言わんばかりこと。
「出れた!」
高いところに開放感に満ちたスペース。風が吹き見上げる空が近いと感じられる。
「うわぁ、キブン最高」
ぐぅ! っと背伸びをしてキモチ良さを味わったら、スマホで方向を確認した。優子の学校にして、優子の在籍する6年1組がある方向に向く。
「なるほどここからまっすぐ撃てば……優子を葬れるわけね」
くふふ♪ と浮かぶ満面の笑み。それだけでは足りないから、ギュッと右手をにぎり天へ突き上げる。そうして思いっきり大きな声で叫んでやった。
「いぇい! 我に勝利あれ!」
「さーてと、優子はいるかな」
午後2時40分に自転車をストップさせた理恵が、○○小学校というのを目前にした。学校という存在そのものは知っていたが、自分より巨乳がいるとは知らなかった。
「よいしょっと」
電柱の近くに自転車を止めると、道路を挟んで向こう側にある学校の入り口を見つめる。ただいま理恵が考えているのは優子の暗殺であるが、ちょっと足りない情報があった。それをゲットするため足を運んだという次第。
「優子はまだかな……」
スーッとつめたい風が吹く中、にぎやかになっていく校門を見守る。すると校内より6年生の男子たちが数人できた。その中の一人がドキ! っとした反応を浮かべる。黙っていられないとばかり仲間を腕をつかみ、あれを見ろ! と言う。
「おぉ!」
男子たちは向こう側に立っている女子にカンゲキした。なぜってあっち側にいる見知らぬ少女は、シャツのボタンを外し谷間を見せてくれているではないか。しかも計算高くブラのカップが少しだけ刺激的に見える。まさに一見悩殺ってレベルがそこにある。
「あ、あれってけっこう巨乳じゃね?」
「中野には負けるような気がするけど、巨乳だと思う」
「どうする? ナンパでもしたらどう?」
そんな事を男子たちが言うわけであるが、理恵にしてみれば彼らはザコキャラだった。たくさんいる無名の男に過ぎない。恋い焦がれるような目はたくさん向けて欲しいが、下心の行動なんてモノはあの世でやってくれって話だった。
「おーい、おまえどこの学校のやつ?」
男子のひとりが理恵に声をかけた。まずは会話して巨乳と親しくなりたい願望あり。
「さぁね~♪」
理恵は笑顔でつぶやきながら、取り出したサングラスをかける。それがまたよく似合っており、放たれるオーラとバツグンに噛み合う。
「お、おい……あいつ巨乳アイドルでもやってる奴じゃないか?」
男子のひとりは理恵のオーラに怖気づく。他のやつも同じで、おれらみたいなザコキャラは相手してもらえないよと弱気な発言をかます。だから下心のあるやつは悔しくなり、理恵に向かって言ってやった。
「おーい! おまえってけっこう巨乳だよな」
「まぁね、大した事あるけどね」
「でもさ、おまえなんか中野に負けてるし、お前なんか中野に比べたら二等賞レベルだし」
そう言って男子声を揃えて理恵に言い放った。がんばれ二等賞、お気の毒な二等賞! と、歌うようにして言い放った後、ぎゃはははと大声で笑う。
「く……おのれ……」
ぎゅうっと手をにぎりワナワナふるえる理恵がいた。あんなザコキャラはどうでもいいとして、中野というのが気に食わない。それは非常に高い確率で中野優子を意味しており、理恵が優子に勝てていない事を思い知らされる現実だった。
「優子め! 優子め! 優子め!」
電柱をガンガン蹴り飛ばす理恵、ふと本能的に校門の方を向く。怒りのエネルギーに応えるかのように、いいタイミングで優子が出現。
「優子!」
周囲のことなんか知った事っちゃないと、理恵がとってもデカい声を放つ。生の叫び声だというのに、拡声器でも使ったかのように響きまくる。
「あ……」
立ち止まった優子、まだ新しい記憶であるいけ好かない女子を見る。それからムッ! っとした表情になり、相手したくないって顔を正直に浮かべてみせる。
この間モールで会ったときもそうだったが、あの女子は自分の谷間やブラをひけらかす。優子にとってみれば安っぽい行為であり、女としてクズって話でもある。そういうのを好まないがゆえ、優子は知らん顔して歩き出そうとする。
「こらぁ中野優子、無視するなぁ!」
マイクでも使っているのかと思うほどのでかい声で名前を呼ばれる。真っ赤な顔になりながらも、がんばって無視しようとする優子。だから理恵が歌い始める。
「中野優子、Eカップの巨乳! 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪ 優子がボヨヨーン♪」
理恵がでっかい声でメロディーに乗せたりするものだから、これにはさすがの優子も無視できなくなった。気恥ずかしさと怒りで真っ赤な顔面になって、理恵がいる向こう側へと移動し、ある程度近づいたら即座に言い放った。
「ちょっと、どういうつもり!」
ギギっと怒りを隠さない優子。
「優子は相変わらず巨乳だねぇ」
理恵はまず感心するって目をつくり、それを露骨に優子のトレーナーを見る。クッと豊かにふくらんで、やわらかそうな弾力ってオーラがギュゥっと詰め込まれている感じ。さすがEカップ、Dカップとは一味ちがうと素直に認める理恵。でもその次に憎たらしい表情で言ってやる。
「小6でEカップ、たしかに優子はすごいけど……調子に乗っていられるのも今のうち。せいぜい勝者を気取っていればいいよ。もうすぐ笑えなくなるだろうから」
「どういうこと!」
「そんな事より優子、ひとつ聞きたいのよ。あんた6年何組?」
腕組みをし谷間の表情を隠さない理恵からは、尊大って言葉のまぶしさがキラキラ放たれる。上から目線の美学ともいう感じが、優子にしてみれば激しくうざい。
「それが人に質問する態度? なんであんたにクラスとか教えなきゃいけないのよ」
ふん! これ以上つきあっていられるか! と優子が回れ右をする。ぶつぶくさ言いながらこの場から退散しようとする。
「みなさーん! この子、この中野優子って女の子は小6なのにEカップなんですよ! Eカップ! すごい巨乳ですよね、しかもやわらかい弾力がいっぱい! 一度は拝ませろ! って話ですよね」
理恵が周りに宣伝するようにドデカい声で叫ぶ。
「く……ぅ」
何度となく真っ赤な顔になる優子の足が止まる。こいつ大きらい! と思ったが、関わり合いを早く終わらせるため仕方なく言ってやる。
「6年1組だけど……なんのために聞くの?」
「そう、1組か……よーく覚えておく」
「ちょ、ちょっとこっちの質問に答えなさいよ」
「優子、いい事教えてあげようか?」
「な、なに……」
「巨乳ってさ、あんまり豊かで目立つと早死にするかもよ。優子もそうかもよ? もしかしたら中野優子は中学生になる前に他界しちゃうかもねぇ♪ チーン! ナムアミダブツ!」
ケケケっと笑う理恵は、歯ぎしりして怒っている優子なんか相手にしない。必要な情報さえ得れば、あとは自転車に乗ってこの場を離れるだけ。
「ちょっと、あんた何しにきたの?」
優子は理恵を止めようとしたのだが、あばよ! ってかっこうよく言われるだけだった。一方的に情報を求められ、一方的に無視される。なんとも言い難いストレスが優子に押し付けられる。
「へへへ♪ 優子は1組かぁ、これで暗殺計画が前に進む」
スィースィーっと優雅に自転車をこぐ理恵。優子が通う学校と、優子が身を入れる教室が分かれば話がグーッと前に進む。いよいよ気合が入ってきた! という顔になったら、自販機でジュースを一本購入。人気のない公園に入りベンチに座ったら、大事な確認に入る。
「えっと……○○小学校の6年1組……」
左手に冷たいジュースの缶を持ち、右手に持つスマホの画面を見る。優子がいる6年1組、その教室の窓がどこにあるか情報確認。その窓を遠距離からまっすぐ狙える建物はどこか……と検索を進めていく。
理恵がやろうと思う事、それは優子の教室にバズーカーを撃ち込むこと。それは小学校の一クラスくらいは見事に吹き飛ばす。もちろん巻き添えという犠牲者も発生するだろうが、優子が消えてくれるなら致し方ないと考える。
「そうだよ、目的を達成するためにはお安い同情におぼれている場合じゃないんだよ。暗殺のためのグッド物件を見つけないと」
甘い液体をグビっとやりながら脳内で映像起こしをやってみる。見慣れた町並み、新鮮味のない光景、道路、人通り、公園、歩道橋、車の販売店、コンビニ、ドーナッツ屋さん、そしてアパートやらマンションなどなど……
「入るのに苦労するかもしれないけど、やっぱりビルの上から攻撃しなきゃ」
けっこう真剣かつシリアス的に思考をめぐらせた。せっかくバズーカーと弾丸2発を購入したのである、それを使えないなんてオチはカンベンと思う。
「ちょっと見に行かなきゃいけないか」
空っぽになった缶をゴミ箱に放り込む。がらん!って音を聞いたら、行くぞ! と気合の再充填。ぶっ飛びの暗殺が成功しますように! と祈りながら、再び自転車を転がし始める。
「優子の学校から10k離れるってしんど……」
理恵はとあるコンビニの駐輪場を利用した。1時間なら無料なので、その間に場所を見つけねばと思いながら歩き出す。
この辺りは優子の学校からおよそ7kくらい離れている。これでもかなりの遠距離なのだから、ここに良い舞台はないかと探し始める。
そうして20分ほどが経過した時、理恵の足が止まった。信号のためでも疲れたってわけでもない。よい建物を発見したからこそ止まったのだ。
(あった!)
それは目立つとも目立たないとも言えるような場所に立つ、ちょっと古い感じのオフィスビル。多くの一般人には無縁のな上、ちょっと古くて高さもいい感じ。方向的にも悪くないから、願ったり叶ったりの物件。
(ちょっと見てみよう)
理恵はDカップの胸をドッキン・ドッキンさせながら、それとなくサッとビルの中に入った。そうして階段をササっと上がっていき、屋上へのドアを目の前にする。そいつは思った通りロックされており、ノブを回しただけでは開けない。
「さて……ここで開けられなかったらシャレにならないよ」
理恵がシャツのポケットから取り出したは針金。事前にネットで調べてきたのである。針金の先をチョチョイと少し変形させると、これ一本でピッキング可能であると。
ドックン・ドックン、イヤでも高ぶる緊張感。スワーっと心の奥に広がる罪悪感。正直に言えば怖い。今ならまだ間に合うからやめれば? なんて声も聞こえてきそう。
「や、やめるもんか……勝利は……栄光は勇気ある者にしか回ってこないんだから」
そのつぶやきを神が認めたというのか、カチッと心地よい音が響いた。マジで? と理恵がドアノブを回すと、見事にドアは開いた。それまさに勇気ある者へのご褒美と言わんばかりこと。
「出れた!」
高いところに開放感に満ちたスペース。風が吹き見上げる空が近いと感じられる。
「うわぁ、キブン最高」
ぐぅ! っと背伸びをしてキモチ良さを味わったら、スマホで方向を確認した。優子の学校にして、優子の在籍する6年1組がある方向に向く。
「なるほどここからまっすぐ撃てば……優子を葬れるわけね」
くふふ♪ と浮かぶ満面の笑み。それだけでは足りないから、ギュッと右手をにぎり天へ突き上げる。そうして思いっきり大きな声で叫んでやった。
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