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優子のパスワード
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優子のパスワード
みんなが寝静まった頃、自室のドアをそーっと開ける優子がいた。2階の電気を付けなければ夜の魔物が見えそうな静けさが漂っている。
ただいま午前1時。優子は階段を下りて応接間にたどりつくと、母が購入し昨晩運ばれてきた新品のブツへ目をやる。
「インナースキャンかぁ」
明るくなった部屋の隅っこで、床に向く優子の目は真新しいアイテムを見つめる。次世代型の体重計って感じのスタイリッシュ感。丸みある尖りや金色っていうのが、けっこう神々しい感じを浮かせている。でもそれは体重計ではなくインナースキャンというモノ。しかも最新型という一級品。
「えっと……先に個人情報の登録をするんだったかな」
白にイチゴがばらまかれた模様のパジャマを着ている優子が、クッとその場にかがみ込む。パジャマの下にある89cmのやわらかい弾力が両膝に当たる。
「確かみんな登録したから、わたし情報は4番目に入れたらいいのか」
ピッピと音を鳴らしながら操作。父、母、弟の3人は物珍しさに即行飛びついた。ウキウキ顔で両足を乗せると、他者に見られても気にしないと個人情報をさらけ出したりした。それは無邪気な健康家族という感じの見た目。
「わたしの情報を見せられるわけがない……たとえ家族でも……」
誰に言うともなくひとりつぶやいた。
「生年月日。性別。体重。女性の場合はバストサイズ……って、こんなのまで入力して家族見られたら……小6の女としてやっていけなくなるじゃん」
そんな事を言う優子は入力が完了すると、最後にパスワードの設定もした。これをやらないと勝手に見られる可能性あり。とりわけおっぱい星人である弟が、ちょっとした出来心でのぞき見するかも知れない。
「よしプライバシー確保! これで安心!」
ヘヘっと笑みを浮かべた優子が動きだす。スーッと息を吸ったら右足を前に出す。続けて左足を前に進めると、両肩の力を抜いてまっすぐ立つ。
ーただいま計測中ですー
機械から上がってくる女性の声。それから2秒ほどしたら、ピーピーって完了音が生じる。
「どれどれ……」
機械から降りた優子、さっそくとばかりかがみ込んで個人情報へ目をやる。すると実に親切で人間味あふれたメッセージが添えつけられていた。
ー優子さんはほのぼのした微ポチャです。そのムッチリって魅力が過剰なモノにならないよう心がけましょう。年齢の割には豊かなバストの持ち主ですね。そこはこれからも自信を持って胸を張りましょうー
「うわぁ……なにこのメッセージ……この機械は中におっぱい星人が潜んでいるって気がしてしまうよ」
やれやれってため息を落とす優子だったが、ひとまず重要な情報という数値はメモに書き留め、機械の電源を切って部屋へと戻って行った。
そうして2時間後。ふわぁっとアクビをしながら真治が階段を降りてきた。んぅっとショボショボな目をしていたが、トイレ中に電気で目がさめてしまったようだ。出てきた時には目がハッキリ開いている。
「もう一回インナースキャンしてみようっと」
応接間に入った真治はピカピカ状態のブツを前にかがみ込む。まだ操作に慣れていないこともあり、呼び出しボタンを押し過ぎた。
「あっと違う、1がぼくで2がお母さんで3がお父さん……」
そんな事を口にしたが、ふと4という数字が出てきた。このマシーンは新規登録しないと次の数字は出て来ない。
「あれ? 4って誰だっけ……まさか……お姉ちゃんじゃ……」
とっさに浮かぶ見事な勘ぐり。そして当たり前のように続く好奇心。いけない事だと思うより先に、社会勉強というのぞき見欲を捨てられない。
「パスワード……こんなのかけるのはお姉ちゃんだけだ」
これでもう4イコール姉情報だと確信。では4桁のパスワードとはなんだろうかと、ちょい息を飲む。
「お姉ちゃんのパスワードかぁ……」
うむ……と真剣な教育者みたいに考える真治。
「お姉ちゃんっていうのは……」
真治の脳内コンピュータが考える。そして以前にあった他愛ない出来事を記憶から引っ張り出す。真治が優子と会話していたとき、スマホのパスワードがどうのって話題になった。細かいやり取りはおぼえていないが、真治が優子に対し「巨乳って言葉でも数字にしてみたら?」と冗談で言った。アホか! と、その場の姉は怒って話は終わり。だがもしかすると姉は、それをやっているかもしれない。
「巨乳……きょにゅう……これを数字でいうと……942……多分この3つは正解だと思う。けど最後の「う」はなんだろう。0? それとも6? 6かなぁ……9426で決まりかなぁ?」
マジメにブツブツやりながら作業していた。だがここで最後の数字を6ではなく5にしてしまった。あ、まちがえた! と思ったのだが、これがどうしてピンポーン! とキモチイイの音につながる。
「9425……巨乳……当たった!」
なぜ「う」が「5」なの? という疑問はどうでもよく、エヘヘと赤い顔で姉の情報を盗み見た。
「バスト89cm……さすがお姉ちゃん!」
なぜかうれしい。なんでやねん! というアニメ調のツッコミをされそうだが、姉の巨乳は弟として嬉しかった。そして優子がおっぱい星人が機械に潜んでいると言った、あのステキなメッセージもこっそり拝見。
「すご! まるでやさしい人間からのメッセージって感じじゃん」
それから真治は両手を合わせると小さくお祈りした。姉が今のムッチリ感をキープしたまま大人の巨乳になって欲しいと願った。痩せたりしないで欲しいとか、乳がしぼんでしまわないで欲しいとか、そこはほんとうに心を込めてお祈りしておいた。
「お姉ちゃん、がんばって巨乳女子でい続けてください!」
こうして真治はホクホクした顔で機械の電源を切る。姉の情報を見たところで何の役に立つのかわからないが、とっても大きな満足感を得ていた。そうしてもう一寝入りしようと自室へと戻って行った。
みんなが寝静まった頃、自室のドアをそーっと開ける優子がいた。2階の電気を付けなければ夜の魔物が見えそうな静けさが漂っている。
ただいま午前1時。優子は階段を下りて応接間にたどりつくと、母が購入し昨晩運ばれてきた新品のブツへ目をやる。
「インナースキャンかぁ」
明るくなった部屋の隅っこで、床に向く優子の目は真新しいアイテムを見つめる。次世代型の体重計って感じのスタイリッシュ感。丸みある尖りや金色っていうのが、けっこう神々しい感じを浮かせている。でもそれは体重計ではなくインナースキャンというモノ。しかも最新型という一級品。
「えっと……先に個人情報の登録をするんだったかな」
白にイチゴがばらまかれた模様のパジャマを着ている優子が、クッとその場にかがみ込む。パジャマの下にある89cmのやわらかい弾力が両膝に当たる。
「確かみんな登録したから、わたし情報は4番目に入れたらいいのか」
ピッピと音を鳴らしながら操作。父、母、弟の3人は物珍しさに即行飛びついた。ウキウキ顔で両足を乗せると、他者に見られても気にしないと個人情報をさらけ出したりした。それは無邪気な健康家族という感じの見た目。
「わたしの情報を見せられるわけがない……たとえ家族でも……」
誰に言うともなくひとりつぶやいた。
「生年月日。性別。体重。女性の場合はバストサイズ……って、こんなのまで入力して家族見られたら……小6の女としてやっていけなくなるじゃん」
そんな事を言う優子は入力が完了すると、最後にパスワードの設定もした。これをやらないと勝手に見られる可能性あり。とりわけおっぱい星人である弟が、ちょっとした出来心でのぞき見するかも知れない。
「よしプライバシー確保! これで安心!」
ヘヘっと笑みを浮かべた優子が動きだす。スーッと息を吸ったら右足を前に出す。続けて左足を前に進めると、両肩の力を抜いてまっすぐ立つ。
ーただいま計測中ですー
機械から上がってくる女性の声。それから2秒ほどしたら、ピーピーって完了音が生じる。
「どれどれ……」
機械から降りた優子、さっそくとばかりかがみ込んで個人情報へ目をやる。すると実に親切で人間味あふれたメッセージが添えつけられていた。
ー優子さんはほのぼのした微ポチャです。そのムッチリって魅力が過剰なモノにならないよう心がけましょう。年齢の割には豊かなバストの持ち主ですね。そこはこれからも自信を持って胸を張りましょうー
「うわぁ……なにこのメッセージ……この機械は中におっぱい星人が潜んでいるって気がしてしまうよ」
やれやれってため息を落とす優子だったが、ひとまず重要な情報という数値はメモに書き留め、機械の電源を切って部屋へと戻って行った。
そうして2時間後。ふわぁっとアクビをしながら真治が階段を降りてきた。んぅっとショボショボな目をしていたが、トイレ中に電気で目がさめてしまったようだ。出てきた時には目がハッキリ開いている。
「もう一回インナースキャンしてみようっと」
応接間に入った真治はピカピカ状態のブツを前にかがみ込む。まだ操作に慣れていないこともあり、呼び出しボタンを押し過ぎた。
「あっと違う、1がぼくで2がお母さんで3がお父さん……」
そんな事を口にしたが、ふと4という数字が出てきた。このマシーンは新規登録しないと次の数字は出て来ない。
「あれ? 4って誰だっけ……まさか……お姉ちゃんじゃ……」
とっさに浮かぶ見事な勘ぐり。そして当たり前のように続く好奇心。いけない事だと思うより先に、社会勉強というのぞき見欲を捨てられない。
「パスワード……こんなのかけるのはお姉ちゃんだけだ」
これでもう4イコール姉情報だと確信。では4桁のパスワードとはなんだろうかと、ちょい息を飲む。
「お姉ちゃんのパスワードかぁ……」
うむ……と真剣な教育者みたいに考える真治。
「お姉ちゃんっていうのは……」
真治の脳内コンピュータが考える。そして以前にあった他愛ない出来事を記憶から引っ張り出す。真治が優子と会話していたとき、スマホのパスワードがどうのって話題になった。細かいやり取りはおぼえていないが、真治が優子に対し「巨乳って言葉でも数字にしてみたら?」と冗談で言った。アホか! と、その場の姉は怒って話は終わり。だがもしかすると姉は、それをやっているかもしれない。
「巨乳……きょにゅう……これを数字でいうと……942……多分この3つは正解だと思う。けど最後の「う」はなんだろう。0? それとも6? 6かなぁ……9426で決まりかなぁ?」
マジメにブツブツやりながら作業していた。だがここで最後の数字を6ではなく5にしてしまった。あ、まちがえた! と思ったのだが、これがどうしてピンポーン! とキモチイイの音につながる。
「9425……巨乳……当たった!」
なぜ「う」が「5」なの? という疑問はどうでもよく、エヘヘと赤い顔で姉の情報を盗み見た。
「バスト89cm……さすがお姉ちゃん!」
なぜかうれしい。なんでやねん! というアニメ調のツッコミをされそうだが、姉の巨乳は弟として嬉しかった。そして優子がおっぱい星人が機械に潜んでいると言った、あのステキなメッセージもこっそり拝見。
「すご! まるでやさしい人間からのメッセージって感じじゃん」
それから真治は両手を合わせると小さくお祈りした。姉が今のムッチリ感をキープしたまま大人の巨乳になって欲しいと願った。痩せたりしないで欲しいとか、乳がしぼんでしまわないで欲しいとか、そこはほんとうに心を込めてお祈りしておいた。
「お姉ちゃん、がんばって巨乳女子でい続けてください!」
こうして真治はホクホクした顔で機械の電源を切る。姉の情報を見たところで何の役に立つのかわからないが、とっても大きな満足感を得ていた。そうしてもう一寝入りしようと自室へと戻って行った。
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