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転校生は宇宙人(地球を守れ!)2

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 転校生は宇宙人(地球を守れ!)2


 海野夢矢が転校してきて2日ほどが経過した。女子たちは飢えたメスライオンのように、イケメン夢矢にキャーキャーする。

「海野みたいな男子に抱かれたいよね」

「見つめられるだけでイッちゃいそうだよ」

 そんなセリフがあっちこっちから聞こえる。そんな中、優子にちょっとした変化が発生。なんとなく夢矢に対して、心のガードを緩め始めたような感じがあった。

「中野、ちょっと校内を散歩でもしない?」

 給食時間が終わると夢矢が優子を誘う。小6にしてはキザったらしい表情やふるまいだ。周囲の女子たちはガゥガゥと猛獣のようにうなる。

「わ、わかった……じゃぁ……ちょっとだけ」

 仕方ないなぁと立ち上がる優子がいた。まとわりつかれてすごい迷惑! と顔に出てはいるのだが、散歩につき合うとろこが少し意外。

「優子ってイケメンに興味はないんじゃなかった?」

 イラ立った顔の女子が香苗につぶやいた。

「むぅ……そのはずなんだけどなぁ……優子の女子スイッチが入っちゃったのかなぁ」

 ふぅっとためいきを吐く香苗、ここ数日の優子は目がちょっと変だねと語る。海野夢矢がやってきた翌日から変化は出ていたとみる。なんとなく、青い海に青春を求めるような……そんな感じが優子の目に生じていると香苗は言う。

「あの2人デキちゃうのかなぁ」

 あ~あとつぶやく香苗。それとなく教室を見渡してみた。すると夢矢と仲良くする優子に対して、ギンギラの嫉妬をかます同性がたくさん目に映る。女の敵は女だから、優子に災いが降らなきゃいいけどと思わずにいられなかった。

「中野、ひとつ聞いてもいい?」

「な、なに?」

 校内をいっしょに歩いて目立ちまくる中、夢矢が優子に質問した。宇宙に興味はある? という、変な角度からぶつけられるような内容だった。

「宇宙?」

「そう、宇宙。人間ってやつはちっぽけなくせに物知りを気取る。宇宙のことなんて何にもわかっていないくせに、宇宙を制覇したような気でいる。それで中野、海王星っていうのは知っている?」

「か、海王星? 聞いた事はあるけど……」

「もしかすると、そこには生命体がいるかもしれないよ」

「生命体? 地球以外に?」

「そうさ、たとえば人間みたいな知的生命体とかね」

「で、でも……地球以外に生命体がいたら……とっくにニュースになるんじゃ……」

「だからほら、人間は知ったかぶりをするってこと。実際には何もしらないってこと。もしかしたら海王星にも人間みたいな存在がいて、地球人の女の子が欲しいとか思っていたりするかもしれないよね。中野みたいにかわいくて巨乳な女の子は、一番狙われるかもしれないよ」

 語る夢矢のフンイキは明らかに変。それなのに変な魅力があって、優子の豊かな胸をドキドキさせる。うっかりすると抱かれたいと思わせられるような感じ。

「あ、ごめん。中野が魅力的だからつい長く見つめてしまった」

「そ、そんな……べ、べつに怒ってない」

「ありがとう。やさしいんだな中野は」

 クスっと笑った夢矢の目は青い海を思わせる。まるで海王星のうつくしさをコピーしたようなそれは、優子のEカップをギュッとつかむように感じさせた。

 ーそして翌日ー

「今日もまた転校生?」

 朝っぱらから優子たちのクラスは沸いた。こんな時期に? いきなり? しかも連打? とザワザワする。

 でも転校生は男子ということで、女子たちはワクワク。メスライオンのエネルギーがまた少し熱くなった。そして担任に呼ばれた少年が室内に入ってくる。

「浦野静塗です」

 あいさつしてペコっと頭を下げる少年。こちらは性矢とちがって、物静かそうな印象。決して悪くはないがイケメンとしては華がない。控えめでマジメっぽい男子が好きな女子向け。メスライオンみたいに飢える女子には物足りないと言える。

 ところが静塗はおとなしそうに見えて積極的なやつだった。室内をかんたんに見渡したと思ったら、担任にお願いというのをした。

「先生、お願いがあります」

「なにかな?」

「あの女の子のとなりに座らせてください」

 静塗は人差し指と中指の2本をくっつけ立てたら、それを中野優子に向けた。おぉ! とざわめきが発生。

「いきなり求愛コール来た!」

 誰かがそう言って大いに盛り上げる。ググっと赤い顔をする優子だったが、静塗というのは静かそうでけっこう押すやつだった。

「浦野くん、あそこはもう空いていないんだけど」

「じゃぁ空けてください。なぜならぼくは、ああいう感じの女の子が大好きだからです」

 お見事! って感じに静塗は言い切った。その姿は神々しいモノに見えるわけで、ギャーギャー騒いでいた室内をシーンとさせてしまう。

「よろしく」

 となり席にやってきた静塗を、優子は笑顔で迎えづらい。いや、だまっていられなかったので、ちいさな声で言ってやった。

「バカじゃないの? 恥ずかしいんだよ……困るんだよ」

 ふん! と赤い顔でそっけない態度を示す。それに対して静塗は静かな声で、強引なのか理性持ちかわかりにくい感じでつぶやいた。

「ごめんよ。でも……言わずにはいられなかったんだ」

 そんな風に謝った静塗だったが、授業以外は優子にべったり。それは当然ながら三角関係みたいな絵を浮かび上がらせた。

 海野夢矢と浦野静塗、2人の男子が1人の女子をめぐって争っている! まるで昼間の主婦向けドラマみたい! と周囲は目を丸くする。

「えぇ……浦野も優子が好きなの?」

「なんで優子が急にモテだすわけ?」

 こんな会話がなされると、当然のように続きは残酷っぽいモノになる。たった一言、優子の巨乳って発せられたら火がつく。

「やっぱりEカップって巨乳だからモテるのかな?」

「もしそうだったら……優子に対して何か言いたくなるね」

 スワーっと広がる同性の嫉妬目線。今はまだ一線を超えてはいない。でもそれが一線を超えると、女が女を不幸にするって物語が始まる。女はいつだって同性を持ち上げ、一方では同性を貶めようとする生物だから。

「優子、ちょっと」

 授業と授業の合間に佳苗が優子を誘った。ちょいと強引にトイレに引っ張り込むと、嫉妬されちゃってるよぉと注意を促す。

「嫉妬?」

「2人の男子を巨乳重力でひきつけているって、そう思われているよ」

「なにそれ、わたしそういう女じゃないし」

 キモチよく否定しようとした優子がいた。しかし……数日前から始まっている目の変化は隠せない。青い海に女心を投げたいと願うような目。香苗はそれを色ボケだとか言った。

「優子は海野が好きなの?」

「べ、べつに……す、す、好きとか、そんな恋愛感情みたいには……」

「じゃぁ浦野はどう?」

「わ、わかるわけない……だって、きょう転校してきたばかりなんだよ?」

 優子は顕明に無罪とか無実を訴えていた。むしろ被害者はこっち! と言いたげでもある。そのくせ目は海にロマンスを求める女の子って色合い。

「優子」

 とつぜんに香苗は優子の両肩をつかんだ。

「な、なに?」

 ビクン! と反応して固まったら、つぎの瞬間にびっくりしてしまう。なぜって目の前にいる佳苗が、ルール違反みたいなことをし始めたから。

 ムギュ! っと、優子の豊満なふくらみの片方がつかまれた。香苗はおどろく優子なんか無視しするように、やわらかい弾力を味わうように揉みまくる。

「優子のおっぱいって……どうしてこんなに大きくてキモチいい手触りなの?」

「か、香苗……なにやって……」

 真っ赤になった顔で、止めて! と相手の手を振り払おうとした。ところがこの場のかな惠はけっこうイジワル。89cmのふくらみを少しつよくつかんだりする。ムギュっと揉みつかむから、優子の目がいっしゅんトロっとなってしまう。

「優子っておっぱいが感じやすいんだよね」

「や、やめてよ……」

「だったらハッキリさせないと。あいまいな色ボケ巨乳女子をやっていると、他の女から刺されるよ。明日あたりブス! っとやられてさ、優子死亡ってニュースになるかもね」

「か、香苗……」

「うん?」

「ま、まずは……」

「なに?」

「お、おっぱい揉むのやめてほしい」

 そういわれるとさっくり優子パイから手を離す香苗。もうちょっと味わっていたかったなぁって目をしつつ、優子にはっきりさせるようにいった。

 2人の男子のどっちを選ぶのか、それとも独身巨乳でいるのか。もし逆ハーレムみたいな事を長らくやったりすると、いつ殺されてもおかしくない! 香苗はそう伝えたらトイレから出て行った。

「逆ハーレムなんて……そんな目で見られるなんて……」

 いったいこの展開はなに? と神さまに文句を言いたくなった。でも2人の男子は優子にべったりしようとする。そして奪い合うような目つきになっていく。

ーそしてすべての授業が終了ー

「中野、ちょっと話がしたいんだ」

 夢矢よりも先に静塗が声をかけてきた。マジメで誠実さを持ちつつ、融通きかない人なんて表情が印象的。

「きょうはわたしは……」

 優子が戸惑っていると、夢矢が向かってきた。それを目にしたら静塗は大胆な行動に出る。優子の左腕をつかむと、そのまま立たせひっぱり始めた。

「ちょ、ちょっと……」

 あせってカバンをつかむ優子だったが、グイグイひっぱられてしまう。フルフルっとTシャツのふくらみ具合が揺れてしまうほど、強引にひっぱられ教室から出る。

「ちょっとどこに行くの?」

「優子、たいせつな話を聞いて欲しいんだ」

「ゆ、優子って……」

 いきなり名前で呼ばれ困惑度がはげしく上昇。でも……力づよくひっぱられると、乙女心ってモノがほんのりボケてしまう。こういうのも悪くないと思ってしまうような、ふだんの冷静な自分に言わせればバカじゃないの? 的な感じになってしまう。

 そうしてたどり着いたのは音楽室。そこに優子を連れ込んだら、2人しかいない室内の奥に進む。それからカベを背にした優子を、真正面に立つ静塗が見つめる。

「な、なに?」

 ドッキン・ドッキン……優子の胸がピンク色にドキめいてしまう。

「優子、今から話すことはたいせつな事なんだ。どうかおちついて最後まで聞いて欲しい」

 静塗の放つ真剣さは、優子の緊張をいくぶん薄めた。そんなにマジメに言い寄られるのなら、話くらいは聞こうと思う優子。そうして静塗からおどろくべき話が展開されるのであった。


ー優子に告げられるおどろくべき話とは。次回に続くー
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