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五話・落選したから選考者を殺す男
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(この物語はフィクションであり、実在する人物ㆍ団体とは関係ありません)
五話・落選したから選考者を殺す男
それはある平日の昼時だった。○○ビルの中に一人の男が入っていく。単純に思うなら30代の後半から40代だと思われる彼は、2人並んで座っているレディーの片方に声をかけた。
「○○大賞の選考部門というのはどこにある?」
「はい?」
女性は頭を捻られたような顔になり、言っている意味が分からないと返す。すると彼、プリンターで印刷した紙を置き、この○○大賞の選考をやった奴を一人でもいいから呼べと命令調子になる。
「失礼ですがどちらさまで」
恐る恐る彼女が問うた時、彼は忍耐の尾がキレたらしい。相手の黒く長い髪の毛を乱暴に掴んで無理やり立ち上がらせた。
「痛い……」
あまりにも強く引っ張られ彼女が泣きそうな顔。しかし彼はそれを緩めず、電話を手にして彼女に迫る。選考者を一人でいいから呼べと。彼女はそれが誰か分からないと言ったのだが、だったら責任者のような奴を呼べと彼は迫り続ける。
「何してるんだ!」
警備員が声を出して寄って来た。
「うるさいんだよ、お前は屁でもこいて昼寝してろ」
彼はナイフを取り出し、彼女の喉元に突きつけながら電話しろと脅迫。そこで彼女は責任者のいる部署に通報ボタンを押した。
「山中さんをお願いします、大至急」
怯え震え泣き出しそうな声に向こう側は大事を感じた。そうしてすぐ50代くらいの男性と、30代くらいの男性2人がかけつける。
「おまえらが選考者か」
「選考者とは?」
50代の男性が話をしようと試みたが、相手のペースに乗りたくないと彼は女を人質にしたままこう言った。
「3人だけで話をしたい、それが出来る部屋に連れていけ」
「分かった」
そうして人質を込みにした4人は階段を上がって、3Fの一番奥にある会議室に入った。内側からカギをかけただけでなく、机やら椅子やらをドアの前に積み重ね防壁にしてから話をする事と相成る。
「これだ、この○○大賞の選考の事で話をしたい」
彼はそう言って印刷用紙を机の上に放り投げ、自分はタバコを取り出して銜える。
「これはもう締切で終わった」
30代の男が言うと、彼は小さく笑って言う。
「そんな事は分かってんだよ、アタマ悪いなお前」
そんなやり取りを制するかのように50代の男性は、なんの話がしたいのか読めないと伝える。だから彼はフッと煙吐いてイラついた声にて説明。
「俺は落選した」
「落選?」
「あぁ、そうだ。落選したんだよ、だから来た、なぜ俺をバカにするのかとな」
「なぜ落選がバカ扱いと同じ事になるんだ」
「それを今から話する」
彼はタバコを銜えたまま、怯えてしゃがんでいる女を見下ろしながら片足を上げた。そうして女の頭を足で踏みつけながら、2人の男を見て言う。
「お前らよ、小説書けるのか?」
「どういう事だ」
「言葉の通りだ、実際に書けるのかどうかと聞いてるんだ」
「いや、書けない」
「そっちの30歳くらいのお前、お前は」
「僕も書けない」
「書けないってか、2人も書けないと今言ったな?」
彼は女の頭から足を離すと、銜えタバコで歩き出した。座っている、30代であろう男の所に歩み寄って問う。
「何様のつもりだよ、書けない奴が何を偉そうに振る舞ってやがるんだよ」
「言っている意味がぼくには分からない」
「小説を書けない無能なお前が、何を偉そうに人の作品に難癖つけてやがるんだって事だ」
「いや、それは違う」
「何が違うというんだ」
「書くのと読む、および選考……それらは全て別の才能なんだ」
「ふざけたことを言うな!」
彼は近くにあった高級灰皿を手にすると、遠慮なく30代の頭に振り落とした。そうして相手が自分の方を見たので、その顔面を横殴りする。
「ぅぉ……」
大量の血が床にこぼれ、砕けた歯の破片も一緒に転がる。それでもなお彼は相手の顔面を灰皿で殴るので、殴られる側の顔面が変形していく。それを50代の男が止めんと声を出し、激しい怒りに満ちている男に質問をした。
「君は小説を書いて応募したのか?」
「あぁ、したんだよ」
「通らなかったと?」
「一次さえ通らなかった、一次も通らなかったんだぞ」
そこでまた怒りが吹き上がったらしく、顔面が変形している者に更なる強打を追加。冗談が通じない量の血がこぼれ醜い顔と苦悩が広がる。
「待て、彼が先ほど言った事が分からないか?」
「なんだと?」
「書くと読む、更には選考、それらの才能は別物だ」
「だったらお前らは完全な無能だ」
彼は灰皿をもうひとり30代の頭に容赦なく叩きつけた。それだけでは収まらないらしく、椅子を持ち上げ殴っていく。次第に動きが鈍って死にかけていく者を見ながら叫ぶ。
「お前らの選びは才能ではなく流行だけだろうが」
「というと?」
「お前らが見込んだ奴はクズみたいなやつばかりだ、似たようなモノばかりばら撒く」
「売れると思って選んでいるんだ」
「で、それが全部売れたわけじゃない、お前らの見る目は無能の極み、違うか?」
そうして彼、椅子を放り投げナイフを手にすると、それを30代の脳天に突き刺した。さすがにそれは50代の男性をも黙らせ、女性は泡を吹いて気を失ってしまう。
「無能が望みの薄い拝金主義に走って選ぶだけ、それは正当な選考と違うだろう」
「それは確かに一理ある」
「一理じゃない、丸ごとそうだろう」
「それがいけないか」
「では俺が腹を立てて殺したのも正当化できるな、違うか?」
犯人となった男はタバコを吸いながら、意図的なのか休憩なのか無声を保つ。50代の男が何を言っても答えず、足元に転がる役目終えた吸殻をばら蒔いて煙を吐く。それだけでは飽き足らないらしく、突然にチャックを開けて逸物を取り出し死体に向かって放尿までし始めるではないか。
「君の言う事が一理あるとして、なぜ君はそこまで憎しみを持つ」
「無能な奴にバカにされて笑える奴がいるか?」
「いや、違うそうじゃない」
「だったら何だ」
「通らなかったのであれば、次は通るようにすればいいんじゃないのか?」
「テンプレな返答だな、爺のくせにゆとり教育かよ」
軽く笑いながら、短くなったタバコを死体の顔面に捨て足で踏む。
「もしかしたら君は……」
「なんだ、言えよ、言ってみろよ」
「君は40代くらいだ、つまり年齢による気負いもあるんじゃないか?」
すると彼、ゆっくり座っている相手に歩んで行く。そうして後ろに立つと、怯えている事が伝わる相手を見下ろし静かな声でつぶやいた。
「俺が40歳だから落選させたんだろう」
「意味が分からん」
「才能があっても40代というだけで落選させたと言ってるんだ」
「それは違うぞ、面白い作品なら年齢は関係ない」
「かますなよ、つまらない作品でも若ければ無条件で通るんだろう?」
「きみは一体はどれだけ自分に自信が無い人なんだ」
「お前らが人をバカにするからだろうが」
彼は激怒した。座っている50代の腕を後ろから取ると、驚く相手の反応を抑え込みながらナイフを手にし指を切り落としていく。
「ぎゃー」
気の毒な悲鳴が上がった、そして次の瞬間には肉体というソーセージが転がりカメのような手が出てくる。
「年齢だけで人を馬鹿にする、しかも正当に作品を評価しない」
「ぁ……」
両手の10本指を切り落とされた50代は床を転がり絶叫を止める事が不可能。
「なぁ、お前らの選考って何のためにあるんだよ」
彼は被害者の頭を踏みつけ動きを止める。
「売れる作品を探している」
「それならそれでもいい、なぜ才能の無いお前らが偉そうに振る舞うんだ」
「偉そうにした覚えは一度もない」
「人を一次で落とした上に寸評すら送らない」」
彼は50代の服を掴んで立ち上がらせると、そのまま壁に頭を激しくぶつけさせ血で床を染めていく。
「なんでだよ、なんで才能の無い方が偉そうに振る舞うんだよ」
容赦なく何度も何度も壁に頭と顔面をぶつけていく。
「才能あっても無意味にされるのはお前らのせいだ」
彼の怒りはまったく衰える気配なし。
「それで出版業界が危機とか当たり前だろう、無能の自業自得だろうがよ」
今までで一番激しい強打を与えた時、50代は顔面を血だらけにして死んでいた。それを床に放り投げると、また放尿をかけてやる。
「ふん、ざまーみやがれ」
部屋の中は細切れにされた肉と破片が散らばっていた。その床にある惨劇を見れば、いかなる人間も気を失うか絶叫するかだろう。
「ざまーみや……」
ここで突然に声のトーンが落ちた。彼はナイフを床に落としてジッと立つ。説明が困難な心情が胸に渦巻いてきて、先ほどまでの高揚がどこに消えたのか分からない。
「おれの人生……終わってしまった」
寂しそうにつぶやきを並べていく。小説を書くのが好きでも金にならなければ何の意味ない。その事をもっと早くに理解し、マジメなキモチで執筆なんかするんじゃなかったとはげしく後悔。しかしもうすべてが遅い。
「頑張れば報われるってか、誰が言ったんだよそんな白々しい台詞」
寂しそうにこぼしたら、カーテンをかけていた窓に歩んで行く。そうして勢いよく左右に開け、その勢いで窓も開く。
「やっほ~」
大きな声で叫び、笑顔見せながら中指を立ててやった。それは彼がこの世に別れを告げる最後の声やらアクション。すると射殺せんと構えていた部隊が一斉に火を噴く。銃声が響いて彼は部屋の中央に飛ばされていく。額のど真ん中を撃ち抜かれた彼は、自分がバラバラにした肉片と血の中に転がって立ち上がらない。でも息を引き取る寸前、ツーっと涙を流し最期につぶやいた。
「い、一回……だけでいいから……人に認められた……かったなぁ……」
五話・落選したから選考者を殺す男
それはある平日の昼時だった。○○ビルの中に一人の男が入っていく。単純に思うなら30代の後半から40代だと思われる彼は、2人並んで座っているレディーの片方に声をかけた。
「○○大賞の選考部門というのはどこにある?」
「はい?」
女性は頭を捻られたような顔になり、言っている意味が分からないと返す。すると彼、プリンターで印刷した紙を置き、この○○大賞の選考をやった奴を一人でもいいから呼べと命令調子になる。
「失礼ですがどちらさまで」
恐る恐る彼女が問うた時、彼は忍耐の尾がキレたらしい。相手の黒く長い髪の毛を乱暴に掴んで無理やり立ち上がらせた。
「痛い……」
あまりにも強く引っ張られ彼女が泣きそうな顔。しかし彼はそれを緩めず、電話を手にして彼女に迫る。選考者を一人でいいから呼べと。彼女はそれが誰か分からないと言ったのだが、だったら責任者のような奴を呼べと彼は迫り続ける。
「何してるんだ!」
警備員が声を出して寄って来た。
「うるさいんだよ、お前は屁でもこいて昼寝してろ」
彼はナイフを取り出し、彼女の喉元に突きつけながら電話しろと脅迫。そこで彼女は責任者のいる部署に通報ボタンを押した。
「山中さんをお願いします、大至急」
怯え震え泣き出しそうな声に向こう側は大事を感じた。そうしてすぐ50代くらいの男性と、30代くらいの男性2人がかけつける。
「おまえらが選考者か」
「選考者とは?」
50代の男性が話をしようと試みたが、相手のペースに乗りたくないと彼は女を人質にしたままこう言った。
「3人だけで話をしたい、それが出来る部屋に連れていけ」
「分かった」
そうして人質を込みにした4人は階段を上がって、3Fの一番奥にある会議室に入った。内側からカギをかけただけでなく、机やら椅子やらをドアの前に積み重ね防壁にしてから話をする事と相成る。
「これだ、この○○大賞の選考の事で話をしたい」
彼はそう言って印刷用紙を机の上に放り投げ、自分はタバコを取り出して銜える。
「これはもう締切で終わった」
30代の男が言うと、彼は小さく笑って言う。
「そんな事は分かってんだよ、アタマ悪いなお前」
そんなやり取りを制するかのように50代の男性は、なんの話がしたいのか読めないと伝える。だから彼はフッと煙吐いてイラついた声にて説明。
「俺は落選した」
「落選?」
「あぁ、そうだ。落選したんだよ、だから来た、なぜ俺をバカにするのかとな」
「なぜ落選がバカ扱いと同じ事になるんだ」
「それを今から話する」
彼はタバコを銜えたまま、怯えてしゃがんでいる女を見下ろしながら片足を上げた。そうして女の頭を足で踏みつけながら、2人の男を見て言う。
「お前らよ、小説書けるのか?」
「どういう事だ」
「言葉の通りだ、実際に書けるのかどうかと聞いてるんだ」
「いや、書けない」
「そっちの30歳くらいのお前、お前は」
「僕も書けない」
「書けないってか、2人も書けないと今言ったな?」
彼は女の頭から足を離すと、銜えタバコで歩き出した。座っている、30代であろう男の所に歩み寄って問う。
「何様のつもりだよ、書けない奴が何を偉そうに振る舞ってやがるんだよ」
「言っている意味がぼくには分からない」
「小説を書けない無能なお前が、何を偉そうに人の作品に難癖つけてやがるんだって事だ」
「いや、それは違う」
「何が違うというんだ」
「書くのと読む、および選考……それらは全て別の才能なんだ」
「ふざけたことを言うな!」
彼は近くにあった高級灰皿を手にすると、遠慮なく30代の頭に振り落とした。そうして相手が自分の方を見たので、その顔面を横殴りする。
「ぅぉ……」
大量の血が床にこぼれ、砕けた歯の破片も一緒に転がる。それでもなお彼は相手の顔面を灰皿で殴るので、殴られる側の顔面が変形していく。それを50代の男が止めんと声を出し、激しい怒りに満ちている男に質問をした。
「君は小説を書いて応募したのか?」
「あぁ、したんだよ」
「通らなかったと?」
「一次さえ通らなかった、一次も通らなかったんだぞ」
そこでまた怒りが吹き上がったらしく、顔面が変形している者に更なる強打を追加。冗談が通じない量の血がこぼれ醜い顔と苦悩が広がる。
「待て、彼が先ほど言った事が分からないか?」
「なんだと?」
「書くと読む、更には選考、それらの才能は別物だ」
「だったらお前らは完全な無能だ」
彼は灰皿をもうひとり30代の頭に容赦なく叩きつけた。それだけでは収まらないらしく、椅子を持ち上げ殴っていく。次第に動きが鈍って死にかけていく者を見ながら叫ぶ。
「お前らの選びは才能ではなく流行だけだろうが」
「というと?」
「お前らが見込んだ奴はクズみたいなやつばかりだ、似たようなモノばかりばら撒く」
「売れると思って選んでいるんだ」
「で、それが全部売れたわけじゃない、お前らの見る目は無能の極み、違うか?」
そうして彼、椅子を放り投げナイフを手にすると、それを30代の脳天に突き刺した。さすがにそれは50代の男性をも黙らせ、女性は泡を吹いて気を失ってしまう。
「無能が望みの薄い拝金主義に走って選ぶだけ、それは正当な選考と違うだろう」
「それは確かに一理ある」
「一理じゃない、丸ごとそうだろう」
「それがいけないか」
「では俺が腹を立てて殺したのも正当化できるな、違うか?」
犯人となった男はタバコを吸いながら、意図的なのか休憩なのか無声を保つ。50代の男が何を言っても答えず、足元に転がる役目終えた吸殻をばら蒔いて煙を吐く。それだけでは飽き足らないらしく、突然にチャックを開けて逸物を取り出し死体に向かって放尿までし始めるではないか。
「君の言う事が一理あるとして、なぜ君はそこまで憎しみを持つ」
「無能な奴にバカにされて笑える奴がいるか?」
「いや、違うそうじゃない」
「だったら何だ」
「通らなかったのであれば、次は通るようにすればいいんじゃないのか?」
「テンプレな返答だな、爺のくせにゆとり教育かよ」
軽く笑いながら、短くなったタバコを死体の顔面に捨て足で踏む。
「もしかしたら君は……」
「なんだ、言えよ、言ってみろよ」
「君は40代くらいだ、つまり年齢による気負いもあるんじゃないか?」
すると彼、ゆっくり座っている相手に歩んで行く。そうして後ろに立つと、怯えている事が伝わる相手を見下ろし静かな声でつぶやいた。
「俺が40歳だから落選させたんだろう」
「意味が分からん」
「才能があっても40代というだけで落選させたと言ってるんだ」
「それは違うぞ、面白い作品なら年齢は関係ない」
「かますなよ、つまらない作品でも若ければ無条件で通るんだろう?」
「きみは一体はどれだけ自分に自信が無い人なんだ」
「お前らが人をバカにするからだろうが」
彼は激怒した。座っている50代の腕を後ろから取ると、驚く相手の反応を抑え込みながらナイフを手にし指を切り落としていく。
「ぎゃー」
気の毒な悲鳴が上がった、そして次の瞬間には肉体というソーセージが転がりカメのような手が出てくる。
「年齢だけで人を馬鹿にする、しかも正当に作品を評価しない」
「ぁ……」
両手の10本指を切り落とされた50代は床を転がり絶叫を止める事が不可能。
「なぁ、お前らの選考って何のためにあるんだよ」
彼は被害者の頭を踏みつけ動きを止める。
「売れる作品を探している」
「それならそれでもいい、なぜ才能の無いお前らが偉そうに振る舞うんだ」
「偉そうにした覚えは一度もない」
「人を一次で落とした上に寸評すら送らない」」
彼は50代の服を掴んで立ち上がらせると、そのまま壁に頭を激しくぶつけさせ血で床を染めていく。
「なんでだよ、なんで才能の無い方が偉そうに振る舞うんだよ」
容赦なく何度も何度も壁に頭と顔面をぶつけていく。
「才能あっても無意味にされるのはお前らのせいだ」
彼の怒りはまったく衰える気配なし。
「それで出版業界が危機とか当たり前だろう、無能の自業自得だろうがよ」
今までで一番激しい強打を与えた時、50代は顔面を血だらけにして死んでいた。それを床に放り投げると、また放尿をかけてやる。
「ふん、ざまーみやがれ」
部屋の中は細切れにされた肉と破片が散らばっていた。その床にある惨劇を見れば、いかなる人間も気を失うか絶叫するかだろう。
「ざまーみや……」
ここで突然に声のトーンが落ちた。彼はナイフを床に落としてジッと立つ。説明が困難な心情が胸に渦巻いてきて、先ほどまでの高揚がどこに消えたのか分からない。
「おれの人生……終わってしまった」
寂しそうにつぶやきを並べていく。小説を書くのが好きでも金にならなければ何の意味ない。その事をもっと早くに理解し、マジメなキモチで執筆なんかするんじゃなかったとはげしく後悔。しかしもうすべてが遅い。
「頑張れば報われるってか、誰が言ったんだよそんな白々しい台詞」
寂しそうにこぼしたら、カーテンをかけていた窓に歩んで行く。そうして勢いよく左右に開け、その勢いで窓も開く。
「やっほ~」
大きな声で叫び、笑顔見せながら中指を立ててやった。それは彼がこの世に別れを告げる最後の声やらアクション。すると射殺せんと構えていた部隊が一斉に火を噴く。銃声が響いて彼は部屋の中央に飛ばされていく。額のど真ん中を撃ち抜かれた彼は、自分がバラバラにした肉片と血の中に転がって立ち上がらない。でも息を引き取る寸前、ツーっと涙を流し最期につぶやいた。
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